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ユウティラヌスもしくはユティランヌス(学名: 、「羽毛の生えた暴君」の意)は、ティラノサウルス上科の恐竜の1属。ユウティラヌス・フアリ (Yutyrannus huali) ただ1種のみが知られており、前期白亜紀に現在の中華人民共和国北東部に生息していた。
● 発見と命名
ユウティラヌス・フアリは2012年春に徐星らによって新属新種として学術的に命名・記載された。属名は中国語北方方言の「羽(yǔ)」とラテン語化したギリシャ語の「tyrannus=暴君」に由来するように、羽毛の生えたティラノサウルス上科の羽毛の生えた属として分類されることを反映している。種小名は北方方言の「華麗(huálì)」から由来し、羽毛が美しく保存されていたことを反映する。
ホロタイプ標本 ZCDM V5000 は最も大きい標本で、スラブで圧縮されてはいるものの、頭骨の備わったほぼ完全な成体の骨格である。パラタイプ標本は残り2つの標本である。ZCDM V5001 はより小型の個体の骨格およびホロタイプ標本と同じスラブの一部で構成されている。ELDM V1001 はホロタイプ標本よりも8歳若いと推定された幼体である。これらの化石は徐星の指導の下で中国科学院古脊椎動物古人類学研究所によりプレパレーションが行われ、諸城恐竜博物館とエレンホト恐竜博物館のコレクションの一つに加えられている。
● 形態
ユウティラヌスは大型の二足歩行の捕食動物だった。3個体のうち仙椎の癒合の具合などから最高齢と目されるホロタイプ標本は、記載論文で全長9メートル、体重1414キログラムと推定された。ホロタイプ標本の大腿骨長は85センチメートルに達し、頭骨長は90.5センチメートルと見積られた。パラタイプ標本の頭骨長は80センチメートルと63センチメートルで、体重はそれぞれ596キログラムと493キログラムと推定された。
◎ 羽毛
ユウティラヌスの記載された標本には、印象化石という形で羽毛の直接的証拠がある。羽毛の長さは最大20センチメートルで糸状であったが、羽毛の糸が単純か複合か、幅広か狭いかは定かになるほどではなかった。羽毛は体の様々な部位を覆っていた。ホロタイプ標本では骨盤と足の近くの部位に羽毛が生え、標本 ZCDM V5000 では尾の軸から下側に30°の角度で尾の羽毛が後方へ突出した。最も小さい標本では首に20センチメートル、上腕に16センチメートルの羽毛が確認された一方、ユウティラヌス・フアリは現在直接的な羽毛の証拠がある最大の恐竜の種であり、その体重はかつて最も重いとされていたベイピャオサウルスの40倍に達した。
羽毛の分布に基づくと、義県の年間平均気温が10℃という冷涼な気候であったとして、全身を覆う羽毛が体温を一定に保っていた可能性がある。代わりに、ユウティラヌスの発見された地域に生息域が限られていた場合、羽毛はディスプレイに用いられていた可能性がある。さらに、2体の成体の標本の鼻先の中央の鶏冠は派手でかつ両側が波打っており、これはおそらくディスプレイのために用いられていた。大型の基盤的ティラノサウルス上科に羽毛が存在したことにより、後のティラノサウルス科もその巨体にも拘わらず成体でも同様に羽毛を持っていた可能性が示唆されている。もしウロコの皮膚が後の属の表皮の特徴の主流であれば、外皮の特徴と程度は体サイズや温暖な気候、あるいは他の要因に応じて時と共に変化した可能性がある。以下にクラドグラムを示す。
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◇ line-height:100%
label1=プロケラトサウルス科
1={{clade
1=グアンロン
2= }} }}
● 古生物学
標本の成長段階が様々であるため、ユウティラヌス・フアリの成長の間の変化を決定することができた。成長の間に後肢・足・腸骨・前肢が相対的に小型化した一方、頭骨は上下に深く頑強に成長した。加えて、マプサウルスといった他の竜脚類を狩る獣脚類も群れで狩りをする習性を示すことが知られている。しかし、3体のユウティラヌスが死亡した真の原因は不明のままである。
ユウティラヌスの産地が定かでないため、ユウティラヌスと共存していた動物相の構成は不明である。年代推定ではユウティラヌスの標本の起源は義県累層尖山溝部層あるいは陸家屯部層であると暗示されており、そうであればプシッタコサウルスや、シノサウロプテリクス、カウディプテリクスと同時期に生息したということになる。といった魚類も繁栄していた。また球果植物門の裸子植物と水域が広がっていたとされる。環境は現在のカナダのブリティッシュコロンビア州の温帯雨林と対比でき、気温は季節により大きく変動したと推測される。火山噴火や森林火災が義県ではよく起きていたと見られている。当時の遼寧省では1億3000万年前から1億2000万年前にかけて複数回の火山噴火が起き、それに由来する泥や火山灰に埋没した化石が多数産出している。ユウティラヌスと同じティラノサウルス上科ではディロングも同様の例にあたる。
「ユウティラヌス」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年10月12日15時(日本時間)現在での最新版を取得
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