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カッコいい
マノスポンディルスを返せ
他を寄せ付けない圧倒的な迫力の持ち主だから歯と顎で獲物を骨ごとかみ砕く
偉そう 強くないし賢くない
他を寄せ付けない圧倒的な迫力の持ち主だから
強くて賢いから「タブン」
ティラノサウルス(学名:genus Tyrannosaurus)は、約7,000万 - 約6,600万年前(中生代白亜紀末期マーストリヒチアン)の北アメリカ大陸(画像資料)に生息していた肉食恐竜。大型獣脚類の1属である。他にティランノサウルス、チラノサウルス、タイラノサウルスなどとも呼ばれる。
最大全長は約13メートル、最大体重は約9トンと、現在まで報告されている獣脚類の中で史上最大級の体格を誇る種の一つに数えられており、中生代最後の地質区分とされるマーストリヒチアン最末期の約400万年間にかけて北米ララミディア大陸に生息していた。そしてK-Pg境界を境に絶滅している。
非常に名高く、最も有名な恐竜とされ、『ジュラシック・パーク』等の恐竜をテーマにした各種の創作作品において頻繁に登場する。一方でその生態には未解明な部分も多く、新説の多様さも相まって議論が絶えない恐竜でもある。また、恐竜時代終焉の象徴として滅びの代名詞にも度々引用される。
Tyrannosaurus という名称は特に断りのない場合は属名を指す。Tyrannosaurus 属の種として広く認められているのは現在のところ Tyrannosaurus rex のみである。
● 呼称
属名の Tyrannosaurus は、 (テュランノス)「暴君」 + σαῦρος (サウロス)「とかげ」ないし「爬虫類」の合成語で、「暴君とかげ」や「暴君竜」といった意味になる。本属に代表する Tyrannosaurus rex の名は一般にも広く通用している。種小名の rex はラテン語で「王」の意。
恐竜を含む古生物は観葉植物や現生動物と同様、ラテン語の学名を呼称として通用するのが慣例となっており、ティラノサウルスも例外ではない。属名の「ティラノサウルス」のみ、もしくは「T.レックス」が慣用されている。
日本語の表音表記には揺らぎが多く、最も一般的な「ティラノサウルス」のほか、nの重なりに重きを置いた「ティランノサウルス」、「チラノサウルス」、「チランノサウルス」、「チラノザウルス」、「チランノザウルス」、「タイラノサウルス」、「テュランノサウルス」などがある。例として、群馬県立自然史博物館は一貫して「ティランノサウルス」表記を採用している。呼称に関しては英語圏でも混乱があり、「tie−RAN−oh−saw−rus」「tye−RAN−uh−SAW−rus」など発音表記に差がある。
● 発見と研究の歴史
1892年、アメリカの古生物学者エドワード・ドリンカー・コープは後にティラノサウルスのものと同一視される脊椎の一部を発見し、マノスポンディルス・ギガス(Manospondylus gigas)と名付けた。1900年にはアメリカ自然史博物館の学芸員であったバーナム・ブラウンが2つ目の化石をワイオミング州で発見した。この標本はコープに師事していたヘンリー・フェアフィールド・オズボーンによって1905年にディナモサウルス・インペリオスス(Dynamosaurus imperiosus)と名付けられた。ブラウンは1902年にモンタナ州で3つ目の化石も発見し、同年の夏にオズボーンによりティラノサウルス・レックスとして記載された。ディナモサウルスとティラノサウルスはオズボーンが1905年に発表した同じ論文の中で記載・命名された。翌1906年にオズボーンは両者が実は同種であったとしてティラノサウルス・レックスに統一したが、その際ディナモサウルスではなくティラノサウルスが有効名とされたのは、たまたま論文中で先に書かれていたのがティラノサウルスであったためである。1900年に発見された元ディナモサウルスはイギリスのロンドン自然史博物館に、1902年に発見されたティラノサウルスの模式標本は現在、米国はペンシルベニア州ピッツバーグにあるカーネギー自然史博物館にて保管されている。
1917年にオズボーンはマノスポンディルスとティラノサウルスに共通する特徴を見出し、それ以後は両者が同一視されるようになった。ただし発見されていたマノスポンディルスは一例のみで、標本はきわめて部分的であったため、オズボーン自身はそれらが同一種であると結論付けたわけではない(後述するように、この時点でもし同一種と認められていたならば「ティラノサウルス」の代わりに「マノスポンディルス」が有効な名前になっていたはずである)。
1990年8月12日、サウスダコタ州で非常に保存状態の良いティラノサウルスの全身骨格化石が発見された。この標本は発見者の)にちなんで「スー」(Sue)と名付けられた。しかしスーの標本は発掘者のピーター・ラーソン博士と地主との間で所有権を巡る裁判に発展し、連邦捜査局が強引にラーソン博士の保有していたスーを押収した。その後国が一時保管した後、スーはオークションにより日本円にして約10億円という高額で落札されたことでも話題を呼んだ。現在、米国イリノイ州のシカゴ市にあるフィールド自然史博物館にて展示されている(標本番号:FMNH PR2081)。
1996年、ティラノサウルス科の恐竜のものと考えられる歯の化石が日本で初めて福井県で発見された。これは白亜紀前期の地層からの発見であり、中国でも世界最古のティラノサウルス科の化石が産出していることから、ティラノサウルス科のアジア起源説も主張されている。
2000年6月、米国サウスダコタ州のかつてマノスポンディルスが発見された場所から、ティラノサウルスの化石が発掘された。この化石は1892年に発見された化石と同一個体のもの(掘り残し)と考えられ、マノスポンディルスとティラノサウルスが同一種であることが実際に確認されることとなったが、そこでコープの命名した「マノスポンディルス・ギガス」という名前の方に優先権があるのではないかという論争が生じた。しかし、2000年1月1日に発効された国際動物命名規約第4版に定められた規定により、動物命名法国際審議会が強権を発動して学名 Tyrannosaurus を「保全名」としたため、名称の交代が行われることはなかった。
2007年4月、ノースカロライナ州立大学などの研究チームは、ティラノサウルスの骨のタンパク質を分析した結果、アミノ酸配列的にニワトリに近いという結果を得たと発表した。
● 系統分類
◎ シノニム
本種のシノニム(異名)を記載年の古いものから記す。左から、学術名、仮名転写、特記事項。
・ Manospondylus マノスポンディルス
・ Dynamosaurus ディナモサウルス
・ ? Bakker, Williams et Currie, 1988 ナノティラヌス
::ティラノサウルス属の幼体とされているが、極めて近縁の別属である可能性が残る。
・ Dinotyrannus Olshevsky, 1995 ディノティラヌス
・ Stygivenator Olshevsky, 1995 スティギヴェナトル(スティギウェナトール)
◎ 分類学的位置付け
・恐竜類 dinosauria
・竜盤類
・獣脚類
・テタヌラ類
・
・コエルロサウルス類
・
・† ティラノサウルス上科
・
・† ティラノサウルス科
・
・† ティラノサウルス亜科
・
・
・† ティラノサウルス族
・
・
・† ティラノサウルス属
以下の系統図は、Vorisらによって実行された2020年の系統解析に基づく。
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label1=エウティラノサウルス類
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1=ドリプトサウルス
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1=アパラチオサウルス
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1=ビスタヒエヴェルソル
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label1=ティラノサウルス科
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label1=アルバートサウルス亜科
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label2=ティラノサウルス亜科
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label1=アリオラムス族
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1=ナヌークサウルス
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◎ ティラノサウルスの類縁種
ティラノサウルス属として現時点で広く認められているのは rex 種のみである。ただし、タルボサウルスをティラノサウルス・バタール(T. bataar)として、また、ダスプレトサウルスをティラノサウルス・トロスス(T. torosus)としてティラノサウルス属に含める主張もある。特にモンゴルで発見されたタルボサウルスはその大きさと形態がティラノサウルスによく似ているため、ティラノサウルスそのものではないかとも言われるが、実際にはタルボサウルスのほうが前肢の比率が小さい。古生物学関連の科学雑誌『』の記事(外部リンク参照)によれば、フィリップ・カリー、ジュン・フルム(Jřrn H. Hurum)、は、系統解析をもとにタルボサウルスとティラノサウルスは別属と考えるべきであるとしている。ただし、この差異は生息していた環境の違いによるものであって両者は同属であるという説も根強く、決着は未だ付いていない。現在のところ、ダスプレトサウルスとタルボサウルスは比較的近年発見されたナノティラヌスとともにティラノサウルス亜科に分類されている。なお、ティラノサウルス科には他にアルバートサウルスやゴルゴサウルスが属している。
● 古生物学
直立から水平型への変遷については、恐竜姿勢・歩行も参照。
◎ 感覚
ティラノサウルスの五感は判明している限りではどれも非常に発達していた。ウィットマーらは、視覚・聴覚・嗅覚など神経系の証拠からティラノサウルス科恐竜には獲物を素早く追うポテンシャルがあったと指摘し、目・頭・首を活用して獲物を捕らえる動物として復元している。視物質を3〜4種持っていたと考えられ、色を見分ける能力が高かったとされる。
◇ 聴覚
: 脳と内耳の研究からは、ティラノサウルス科恐竜は現在のワニ類のように低周波音を聴き取ることに長けていたことが示されており、聴力はティラノサウルス科恐竜に取って並外れて重要な感覚であった。
◇ 嗅覚
: ディロングからティラノサウルスに至るまで大小様々なティラノサウルス上科の脳を調べたところ、基盤的なティラノサウルス上科は嗅覚が比較的発達していなかった一方、派生的なティラノサウルス科は頭抜けて嗅覚が鋭かったことが分かっている。また、コエルロサウルス類において比較したところ、ティラノサウルス科恐竜は原始的な鳥類やドロマエオサウルス科と同様に優れた嗅覚を持っていたことが判明しており、一方でトロオドン科や派生的な鳥類は嗅覚の面で前者3グループに劣っていた。この事は彼らの生態の違いを色濃く示唆していると言える。
◇ 触覚
: 近縁のダスプレトサウルス・ホルネリ(以下D. horneri)の研究によると、ティラノサウルス科には現生のクロコダイルが顎に備えるものに似た圧力センサーがあった可能性が高い。この圧力センサーについて考えうる用途として、攻撃時の微調整や巣作り、子育てなどがD. horneriの研究では提示されている。
◇ 味覚
: 他の4つと違って化石証拠の残りにくい味覚だが、タルボサウルスの脳の研究からは発達した味覚を持っていたことが示されている。なお、同研究ではティラノサウルスとタルボサウルスの属差についても言及がある。
◎ 体温・体表
◇ 体温
: ティラノサウルスが鳥類のような恒温動物であったか、一般的な爬虫類と同じく変温動物であったかについて、決定的な結論は出ていないが(恐竜恒温説も参照)、彼らは羽毛恐竜として知られるコエルロサウルス類の一種で、鳥類とも比較的近縁であることや活動的と思われる骨格構造などから、ある程度の体温を維持できる中温性であった可能性は高い。こちらの説では、体の大きさで体温を保てるようになる成体は羽毛を持たないとされており、実際ワイレックスなどの研究から、成体のティラノサウルスの体表は(少なくとも部分的には)粒の細かい鱗で覆われていたことが判明している。このように、幼少期は羽毛を持ち成長に伴って鱗肌になっていくと描写されることがあるが、この変化は化石証拠があるものではなく未だ想像の域を出ない。また、かつては皮膚をなめらかにするため、或いは共喰いを防ぐために強い臭いを発する体脂を分泌していたともされていた。
◎ 成長
ティラノサウルスを代表とするティラノサウルス科は成体と幼体〜亜成体における身体的特徴の差異が大きかったことで知られている。また、時には大型のハドロサウルス科も狩りの対象になっていたとされ、とあるハドロサウルス科の化石には亜成体の歯型が明確に残されていた。このことは、傍目から見れば貧弱そうな顎と歯を持つ亜成体であっても、見かけ以上の咬合力を持っていた事を示している。
7体のティラノサウルスを対象とした2004年の研究によると、ティラノサウルスの成長速度は10代で加速し、平均して1日あたり2キログラム強。また、完全に成長した後で長生きすることはなく、同研究のティラノサウルス個体のうち3体は成長が停止した2,3年後に死亡していた。2019年2月時点で研究されたティラノサウルス個体のうち最高齢個体は28 - 29歳と推定されている。
◎ 走行速度
ティラノサウルスの歩行・走行速度については未だ論争中である。その最大の原因は、彼らの速さを示す足跡化石が見つかっていないことにある。足跡化石そのものは発見されてはいるが、歩幅が分からないのである。加えて、走るのには不利な巨体を持ちながら、足の速い恐竜の特徴であるアークトメタターサルを併せ持っていることが挙げられる。なお、ティラノサウルスのアークトメタターサルを研究し、その論文の執筆を行ったエリック・スニベリー(Eric Snively)とアンソニー・ラッセル(Anthony P. Russell)は、ティラノサウルスがアークトメタターサルを持たない大型獣脚類と比べて遥かに機敏であることを立証しないが、ほのめかしている。このような事情があるため、下は15km/hから上は70km/hまで実に様々な走行速度説が提示されており、とりわけ約20 - 40km/hの間に収まる値が多い。以下に現在の代表的な説を紹介する。
◇速度15 - 20km/h説
:1982年提唱。主に哺乳類における速度・歩幅・体格の関係から、足跡と比較解剖学の知見に基づいて51属の恐竜の走行速度が求められている。ティラノサウルスを含む大型の二足歩行の獣脚類は15 - 20km/hが最高速度であったとされる。
◇速度36km/h説
:1995年提唱。MOR 555(「ワンケル・レックス」)と呼ばれる体重6トンとされる個体を用いた研究が行われた。その結果、成体のティラノサウルスが20m/s(72km/h)で走った場合に転倒すると命に関わる大怪我をすることが示された。そのため最高10m/s(36km/h)で走っていたと推測されている。また、神奈川大学の宇佐見義之は、ティラノサウルスの腰から下の筋骨格モデルを作製して仮想空間で数千万回の走行シミュレーションと衝撃耐久シミュレーションを行い、約51km/hを超えると衝撃に脚が耐えられないと判明したことから、現実的には時速36km/h程度で走ることができたであろうと主張した。
◇速度30km/h前後説
:2007年提唱。マンチェスター大学のビル・セラースはティラノサウルスの筋骨格のコンピュータ・モデルを作成し、走行のシミュレーションを行った。その結果、体重6トンのティラノサウルスは28km/hで速度で走行できるという結果を得たとした(セラースは2007年の論文発表前にシミュレーション結果をWEB上に公開している)。また、ティラノサウルス以外にも3種類の現生動物とアロサウルス、ディロフォサウルス、ヴェロキラプトル、コンプソグナトゥスの最高速度を算定したが、現生種の算定速度は実際のものと一致した。アロサウルスのモデルでも発見された足跡化石に一致する歩幅と速度が算定されている。これは現在最も中立的な説の一つであり、筋肉量、速筋・遅筋の割合、筋力などのパラメータはどれも推測される範囲の中間値を使っている。なお、2002年にハッチンソンらが発表した鈍足説と違い、筋肉の弾性要素や収縮速度及び速筋や遅筋などがモデルとして考慮されている。算定された速度は29km/hであるが、前述のようにパラメータが中間的であるため、これより速い可能性も遅い可能性もありえる。論文中には、速筋の割合や筋肉量によってどのように最高速度が変化するかのグラフが記載されており、それによると最低値で20km/h、最高値で50km/hである。
:また2015年には、やはり30km/hほどの走行が可能であったとする論文が発表されている。
◇長距離歩行適性説(速度15 - 34km/h)
:2020年提唱。四肢骨の長さの比率を分析した結果、ティラノサウルスの後肢は高速疾走に向いた形態からエネルギー効率を重視した長距離歩行に適した形態へ進化する傾向があり、あまり速くはなかったという説がある。歩幅と体軸の回転性を追求した疾走型生物の場合、四肢骨は大腿部(もも)に対して下腿部(脛から足先)の方が圧倒的に長い。しかしティラノサウルスは、大腿と膝下の差が縮まりつつあった(成体の比率は約1:1.2)。そうした変化は大型化するに従って脛の成長が鈍化する事で発生したらしい。この事実から、ティラノサウルスは疾走型から長距離歩行型に移行していったと説明される。その推定速度は15 - 34km/hであるが、それでもトリケラトプスやトロサウルス等の角竜を追いかけるのには十分であったのではないかと論じられている。また、近年の研究では角竜の前足は走行に適していないことが判明している。
:一方でティラノサウルスは中足骨が他の大型肉食恐竜よりずっと長いため、大型恐竜の中では下腿部の比率が大きい恐竜の一つでもあり、現生するいくつかの捕食動物よりも大きい。なお、生物は進化の過程で大型化するにつれ異形生長するため、必ずしも四肢骨の比率変化が疾走型から長距離歩行型への移行と結び付くわけではない。
◎ 食性
白亜紀後期マーストリヒチアン最末期の数百万年に生息したティラノサウルスは、当時の陸上生態系の頂点捕食者であった。2010年にデビッド・ホーンと渡部真人が発表した論文によると、ティラノサウルスは食事の際にも骨を噛み砕きながら肉を飲み込んでいたのではなく、肉を骨から剥ぎ取って摂食していたという。また、飲み込む際には現生鳥類やワニも採用している慣性摂食法を用い、剥ぎ取った肉を空中に放り投げて咥え直していた。2007年の研究では50キログラムの肉塊を首の筋肉を使って約4.5メートル以上投げることができたとされている。最近では米国人古生物学者ジャック・ホーナーのスカベンジャー説が有名であるが、この説は一般向けの出版物やテレビ番組などでよく取り上げられるものの、ホーナー自身一報たりと論文にしておらず、学説としてティラノサウルス腐肉専門説なるものは存在しない。
以下、ティラノサウルス腐肉食説とその反論を記す。
腐肉食派の意見 それに対する反論
獣脚類の歯に摩耗があまり確認されていない。 ・新鮮な肉を探す際にこそ鋭い嗅覚が必要であった。 ティラノサウルスの巨体および10代の頃の急激な成長期を腐肉のみで賄えるとは考えにくい。
歯の形状がハイエナのように骨を噛み砕くのに適しており、骨の中に残った骨髄を摂取することも可能であった。 そもそもハイエナはライオンよりも優秀なハンターであり、骨を噛み砕くことのできる歯はスカベンジャーに限ったものではない。 実際には絶対的なサイズも相対的なサイズも共に大きかった。眼球の直径は陸上動物では最大の13センチメートル程度で、ヒトはおろか猛禽類を超える視力があった。また、他の肉食恐竜よりも両眼球の視野の重複が大きく、立体視により獲物との距離を推し量ることができた。また、とあるハドロサウルス科の椎骨にはティラノサウルスの折れた歯が食い込んで発見されており、これはティラノサウルスが生きた獲物を襲って交戦した直接の証拠の1つでもある。なお、捕食対象は植物食恐竜のみに留まらなかった可能性があり、本種同士が共食いをしていた痕跡を残す化石も発見されている。
それと本種は、当時の食物連鎖における頂点捕食者を担っていたが、決して天下無敵の存在ではなく、Lee rexと呼ばれる個体からは、獲物のトリケラトプスの角によって反撃を受けたと思しき外傷の痕跡が報告されている。
さらに本種が残した思しき巨大な糞化石(コプロライト)が見つかっており、内部には餌食になった植物食恐竜の骨片が大量に含まれていた。これは本種の顎の力が強大であることを示すと共に、消化にかける時間がワニのような爬虫類よりも短く、むしろ哺乳類や鳥類に近い消化器官を持っていた事を示唆している。
状況証拠としては、当時の北アメリカの生態系の構成が挙げられる。当時の北アメリカに存在した恐竜のうち角竜は全体の約8割を占めていたようで、生態系のバランスを保つためには相応の捕食動物がいたはずであると推論されるが、1トン以上の体重を持ち、トリケラトプスやエドモントサウルスのような大型植物食恐竜を襲撃することのできた恐竜は今のところティラノサウルスしか発見されていない。また、死亡した植物食恐竜だけを摂食するにしてはティラノサウルスの個体数が多すぎるという問題もある。発見されているティラノサウルスの化石はそれほど多くはなく、2001年の時点では20体程度であり、そのうち完全なものは3体のみである。
当時の北米生態系には、ティラノサウルスに並ぶ肉食性の大型獣脚類は存在していなかった。これはジュラ紀にアロサウルス、ケラトサウルス、トルボサウルスなどが共存したのとは対照的である。また、前述のようにティラノサウルスの亜成体は非常に敏捷であり、かつ寿命における亜成体の時期がかなり長いため、本種のみが当時の生態系の中〜大型肉食恐竜のニッチを占める、一種の寡占化が起きていた。
◎ 病理
◇病気
:多くのティラノサウルスの顎の化石には無数の病変の痕跡が残されている。当初この病変は別のティラノサウルスの個体に襲われた負傷と考えられていたが、「スー」の下顎の骨に開いた穴の研究から、トリコモナスに類縁の種が影響したと2009年に発表された。トリコモナス・ガナリエはニワトリ、ハト、シチメンチョウ、ハヤブサなどの多くの現生鳥類の顎に見られる寄生性原虫であり、寄生すると宿主の顎の骨を消費して変形や損傷をもたらし、餌の嚥下や呼吸までもを困難にする。「スー」の場合も同じような症状で餓死した可能性を研究チームは示唆している。同様の生態の生物にティラノサウルスが苦しめられていたことが示唆されている。また、この感染症の痕跡が同じティラノサウルス科のアルバートサウルスとダスプレトサウルスの化石からも発見されており、トリコモナスによる感染症がかなり昔から存在していたと考えられるとともに、鳥類が恐竜から進化したという可能性をさらに強める証拠となった。2022年には、トリコモナスの痕と解釈された穴は感染症ではなく外傷とみなすのが妥当ではないかという指摘がされた。
◇外傷
:スタンやペックズ・レックスなどの標本には同じティラノサウルスに噛まれたと見られる傷が見られる。ワイレックスは尾が欠損しているが、これは共食いによるものの可能性がある。
◎ 性差
かつては尻尾の付け根にある血道弓と呼ばれる骨の位置からオス・メスを判断できると考えられ、例えば「スー」はメスと判断されてきた。しかし、今では根拠とされていた血道弓の配置が全く異なることが判明し、「スー」をメスと断定する根拠は失われてしまった。
雌個体の方が全体的な体型ががっしりしているとする説があり、具体的にはバッキーと呼ばれる標本などが該当すると主張する研究者もいるが、万人に受け入れられている説とは言い難い。
Bレックスと呼ばれる標本の大腿骨から骨髄骨が発見されており、現生鳥類では産卵を控えた雌に見られる特徴であることからBレックスは雌個体であったと考えられている。
● 形態
◎ 頭部
頭部は大きく、頭骨長は胴長との比較で47%に達する。頭骨は筋肉がつくと500キログラムにもなった。
◇顎と歯
:多くの獣脚類は顎の関節が外れやすく、獲物を飲み込むのに都合良くなっていたが、ティラノサウルスにはこの構造は見られない。ティラノサウルスの上下の顎には鋭い歯が多数並んでいるが、他の肉食恐竜と比べると大きい上に分厚く、最大で30センチメートルにも達する。また、餌食となったとみられる恐竜の骨の多くが噛み砕かれていたことから、驚異的な咬合力を持っていたと考えられている。推定方法によって多少の誤差は見受けられるものの、グレゴリー・エリクソンらの研究によると約8500 - 35000ニュートン、カール・ベイツらの研究によると35000 - 57000ニュートンに達したとされた。この数値は現生の大型クロコダイルや他の獣脚類(ギガノトサウルスなど)を軽く凌駕していた。このような強力な咬合力では頭骨に莫大な負荷が掛かるが、ティラノサウルスの頭骨は40以上のパーツに分かれた上にそれぞれのパーツに数ミリメートルほどの間隙があり、この仕組みで負荷を分散させている。これらのことから、ティラノサウルスは獲物に対し、他の肉食恐竜のように獲物の皮膚を切り裂いて出血死を狙う方法は用いず、短時間で仕留めていたと考えられている。特に門歯は断面が特徴的なD字型をしており、ティラノサウルス類を見分ける上での指標になっている。前上顎歯数は4、上顎歯はティラノサウルス類ではティラノサウルス・レックスが最も少なく11本。下顎歯もT.rexが最少の11本である。
生きている間、歯は何度でも生え変わった。
William L. Ablerの行ったティラノサウルスの歯で肉を切る実験では、鋸歯部分に肉の断片が引っかかる結果となっており、腐敗性細菌が繁殖することで、ティラノサウルスの噛みつきを受けた獲物に致命的な感染症を負わせたかもしれない。
下顎の神経血管系は非常に複雑で、優れた触覚感度を持つワニに匹敵する。
舌骨は短く、ワニ類と類似していることから舌は口底部に固定されていた可能性がある。
◇頭蓋と脳
:頭蓋は同じ大きさの他の獣脚類に比べて明らかに幅広であり、特に後眼窩部の張り出しが著しい。吻部も丸みを帯びた広い形になっている。背側側頭窓には血管と脂肪を含んだ組織があり、温度を調節し脳を守るのに役立ったと考えられている。ワニに基づく研究によれば、脳は頭蓋内体積の約30パーセントを占める。推定される脳の重量は424gで、既知の恐竜で最大の脳を持つ。脳の神経細胞の数はサルの仲間に匹敵していたとする説があるが、この数値は再検討では10分の1程度とされた。
:
◇眼
: 眼窩は他のどのティラノサウルス類よりも正面を向いている。鍵穴型の眼窩を持ち目は小さかった。この鍵穴型の眼窩は、咬合時に眼窩後の硬い部分へと圧力を分散させ頭蓋骨の受ける負荷を軽減する効果があった。眼球は鍵状の眼窩のうち、上側の窪みに収められていた。現生陸生脊椎動物の目の形態の傾向を適用すると、ティラノサウルスは円形の瞳孔を持っていたと考えられる。視野などは「視覚」の節を参照。
:
◇軟組織
:頭蓋骨に対する歯の長さや神経血管孔の形態を現生のワニやトカゲと比較した研究では、トカゲのものに似た唇が存在していた可能性が高いと結論づけられている。鼻から目にかけて、頭部の上部に角質の覆いがあったと考えられているが、喉袋と解釈される構造のある標本は一般的にはタルボサウルス属とされる種のものである。
◎ 胴体
胴体は頑丈なつくりをしている。
脊椎骨数は、頚椎:10、胴椎:13(ただし、第13胴椎は僅かに仙椎的に変化している)、仙椎:5、尾椎:35-44。頚椎、胴椎といくつかの仙椎は側腹腔(pleurocoel)を生じ、椎体にはcamellate構造がある。つまり、含気化が進んでいるのである。
首は短いが柔軟で、獲物の肉を捻り切ることに適している。頸椎の棘突起は頑丈で、靭帯の付着点であった。
肋骨は長大で、首を動かす筋肉が付着していた。
◎ 四肢
◇前肢
:体の大きさに比して前肢は異常に小さく(長さは人の腕と同程度)、用途は未だにはっきりとしていない。ただし、その大きさのわりにはかなり大きな力を出せたことがわかってきている。逆に頭部は非常に大きく、それを前肢の代わりに上手く活かしていたのではないかと考えられている。また、進化の過程で体の前方が重くなったため、前肢を短く軽くすることでバランスを取ったとする見解もある。近年では前肢の用途として攻撃に用いた、短い理由として集団で死骸を漁る際に噛まれない為などの説が出ているが、未だ結論は出ていない。
指は2本。幼体には第3指が存在するが、成長に伴って第3中手骨と癒合する。第3指は、付け根が前肢全体を横向きに回転させる筋肉の付着点となっていた。この前肢は、小さいながらものを掴むことのできる構造であった。
◇後肢
:体重を支えるために太く頑丈なつくりをしていたと共通の特徴であるアークトメタターサルを有していた。アークトメタターサルとは、第三中足骨が、第二・第四中足骨によって挟み込まれ、上端が押し潰される形態のことを指す。によると、第三指骨および中足骨に負荷が加わると靭帯の働きにより第二、第四中足骨が中央にまとめられ、負荷の方向を一直線にすることで俊敏性を増すのに役立っていたと考えられている。また、靭帯の損傷も防げたのではないかと推測される。このアークトメタターサルはオルニトミモサウルス類との共通先祖から受け継いだ形質と思われていたが、それを持たないティラノサウルスの先祖種の発見から、現在では収斂進化によるものとされている。
最重量級のティラノサウルスとされる「スコッティ」の推定体重は、大腿骨の周囲長から推定されている。周囲長は「スコッティ」が590ミリメートル、「スー」が580ミリメートル、「スタン」が505ミリメートルである。
この後肢を用いて、現生の猛禽類のように獲物を掴んだり引き裂いたりした、あるいは獲物を蹴転がしたなど、狩りの際積極的に攻撃に用いたとする意見も存在する。
◎ 尾椎
尻尾はテタヌラ類に共通した、内部の骨が絡み合った細長い構造をしていた。そのため、より基盤的な獣脚類であるケラトサウルスよりも柔軟性は失われていたが、それでも撓るような動きは可能であった。
ティラノサウルスは恐竜の中でも特に尾大腿筋肉が発達していた。尾大腿筋肉とは大腿骨から尻尾の付け根にかけて伸びる太い筋肉であり、ティラノサウルスが走る際の主電源、言わばエンジンのような役割を果たしていたと考えられている。そのためアロサウルスのような他の大型獣脚類に比べ、ティラノサウルスは強い脚力を持っていたと考えられている。
● 生態
先に述べておくが古生物の行動は実物を観察できないため、どうしても不確定な部分が発生する。そのため生態の項の多くは可能性の範疇であることを忘れてはならない。
◎ 狩り
ティラノサウルスの主要な獲物の一つであるトリケラトプスを襲うにあたり、もっとも合理的なのは相手の側面を攻撃することであるとする意見がある。事実、トリケラトプスの角は仲間内でさえ骨に少なからず傷を残す威力であり 、これを避けるためには側面を突くのが手っ取り早い。また、側面攻撃の利点は、その手早さだけでなく、短い前腕をも効果的に(補助的な役割で)使えたことにある。
群れを作って狩りをしていた可能性がある(生態>社会性も参照)が、本属を含め獣脚類が群れを作って狩りをした明確な証拠はなく、あくまで仮説である点に注意が必要である。
◎ 遊び
絶滅動物としては非常に珍しいことに、ティラノサウルスは時たま遊んでいた可能性が指摘されている。その根拠として、捕食されたと思われるケラトプス科の骨に不自然な噛み傷が多数残されていたからである。絶滅動物である以上ティラノサウルスが本当に遊んでいたのかは判断がつかないところではあるが、ティラノサウルスのような上位の捕食者には少なからず時間的な余裕があることや、ティラノサウルスの脳が大きいこと、現生の鳥類やワニが複雑な行動をする事から考えると、ティラノサウルスも日々の生活において何らかの娯楽を求めていたのかもしれない 。
◎ 食性(嗜好)
噛み跡の偏りから、ティラノサウルスがトリケラトプスの首の背側の筋肉を好んで食べていた可能性が指摘されている。その発達した頭部を支えるため、トリケラトプスの首には強健な筋肉を蓄えており、この「ネック」と呼ばれる部位は噛みごたえと味の濃さが魅力で、これが正しいとするなら、ティラノサウルスはかなりのグルメであったようである。また、1990年にアメリカで発掘された化石から骨が丸く溶けている箇所が確認されたことから、痛風を患っていたとみられているが、これは赤身肉と内臓肉を多く食していたためと考えられている。
◎ 水泳
体の大きさを有利に使うために浅瀬で狩りを行ったとする仮説に基づき生体力学モデルを用いて行われた推定では、成体のティラノサウルスは水中では小型の獲物より速く動くことができたとされている。
◎ 社会性
ティラノサウルスは以前はトラなどの現生肉食動物の様に単独で行動していたと考えられていた。しかし近年では、家族または同種族の様々な世代で集団を構成し、社会生活を営んでいたのではないかとする意見もある。この説は、アルバートサウルスなど大型獣脚類でも集団化石が見つかっていることや、後ろ脚の骨の歩行困難と思われるほどの骨折が治癒した形跡を示す個体が発見され、狩りができない期間に仲間が餌を運んでいた可能性があることに基づく推論である。DINO A LIVEなどではこの説に基づきティラノサウルスの親離れが描かれている。
ブラックヒルズ地質学研究所はスタン標本が生前、家族と共に過ごしていた可能性を示唆している。雌が雄よりも大きかったとする説に基づいて、家族内の雌が群れのリーダーであったとする説もある。
また、亜成体の頭蓋骨に残された「捕食や殺傷を目的としない攻撃によってつけられたと考えられる治癒した傷」の痕跡から、亜成体は成長段階の近い個体からなる階層を持つグループを形成しており、上位のものが下位のものに対して致死的ではない噛みつきを行うことで階層が維持されていたとする説もある。
◎ 産卵と子育て
硬い卵を産む現生鳥類同様に骨髄骨が見られるが、ティラノサウルスの卵が硬かったのか柔らかかったのかは未だ不明である。
ティラノサウルス属を含むティラノサウルス類4種の生存曲線から、鳥のように熱心に子育てをするのではなく爬虫類のような様式であったと考えられている。
田中康平は、植物のマウントを作り発酵熱で卵を温めたという説を唱えている。
◎ 親子による狩り説
この説はフィリップ・カリーがティラノサウルスの生体的特徴や近縁種の集団化石から推測した話を元に、ティラノサウルスが親子で狩りをしていたとする説がある。なお、カリーの推測は、トーマス・ホルツの書いた『ホルツ博士の最新恐竜事典』でも確認でき、とりわけNHKが恐竜特番を組む際に採用することが多い。他にはディスカバリーチャンネルの『恐竜再生』でも取り上げられている。
この説は前述の鈍足説に基づく。ティラノサウルスの咬合力は非常に強力であるが、成体のティラノサウルスは鈍足であると考えられるため、簡単には獲物に接近できない。そこで、小型かつ軽量なため機敏な動作ができる子供が獲物を親の元まで追い立てたところで親が仕留めていたのではないか、との説明がなされている。
この仮説の問題点としては以下のような指摘がある。
・実際には獲物の大型植物食恐竜のほうが鈍足であったこと。なお、エドモントサウルスについては時速30km前後と成体のティラノサウルスと互角の敏捷性があったらしい。
・体重4-5トンを軽く超える大型恐竜を脅す役割を体重1トン程度の亜成体が担っていること。
・群れに子供がいて初めて成り立つ狩猟方法であること。
◎ その他の可能性
・狂乱索餌
:大量の獲物(もしくは死体)によって一帯の肉食動物が自然と集結し、貪るように獲物へ向かっていく行動(詳しくは狂乱索餌を参照)。これに近い行動ならば、群れの存在と集団での狩りを説明できるかもしれない。
● 化石の評価
1997年10月4日には、シカゴのフィールド自然史博物館に展示されているスーと呼称される個体が当時836万ドル(2020年現在の価値では1350万ドル、日本円で約14億円)もの高値で落札され、化石史上最も高額とされていた。2020年10月6日にはブラックヒルズ地質学研究所のスタンが3180万ドル(日本円で約33億円)で落札され、最高額を更新した。
2012年5月、アメリカのオークションにティラノサウルスの骨格化石が出品され105万ドルで落札されている。ただし、この標本はモンゴルから密輸されたことが明らかになり、後日差し押さえを受けている(この化石はティラノサウルスではなく、タルボサウルスとされることもある種のものである。記事ではティラノサウルスと紹介している)。
このようにティラノサウルスは商業的取引が盛んであるが、販売は科学の手を離れることを意味し批判も多い。トーマス・カーによれば、2020年10月時点で研究に利用可能な信頼できる標本が57体、商業的・私的に保存されている標本が43体であるという。
● T.rex のほかのティラノサウルス
これまでにティラノサウルスはT.rex一種しか認められていなかった。
2022年、アメリカのグレゴリー・ポール氏による37体の化石の分析によると、歯と大腿骨の違いなどから、T.regina(女王という意味)とT.imperator(皇帝という意味)の2種類を発見したと発表し、命名した 。
しかし、これくらいの違いは一つの種の中でも見ることができるという意見もある。カーセッジ大学の研究チームは、差は小さく、これらの種小名は無効でティラノサウルスにはT.rex一種のみとした。イタリアの古脊椎動物学者アンドレア・カウも自身のブログにおいて、骨が堅牢か虚弱か、切歯状の歯が1本か2本かの2つの解剖学的特徴のみに基づいていることを述べ、堅牢・虚弱の明確な区別がなく、恐竜の歯は成長によって変動しやすい点から種を区別するのに十分でないと指摘した。
2024年には、ニック・ロングリッチらによってT. mcraeensisが記載された。rexより古い時代から得られたもので、大きさは同程度とされる。T.mcraeensisはT.rexと比べて顎が細く、眼窩後の隆起が顕著でないとされる。記載時点で最もT. rexに近縁な種とされるが、T. rexの直接の祖先である可能性は低い、「ティラノサウルスの着ぐるみ着用の徒競走大会」(ティラノサウルスレース)が、日本各地でブームとなった。
「ティラノサウルス」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年10月13日6時(日本時間)現在での最新版を取得
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