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アリオラムス


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アリオラムス(学名:)は、中生代白亜紀後期(後期白亜紀)の末期にあたるマーストリヒチアン期に、当時のアジア大陸の中核地域に棲息していた、竜盤目獣脚亜目ティラノサウルス科に分類される肉食恐竜である。化石はモンゴルのゴビ砂漠から産出している。 模式種アリオラムス・レモトゥスは、約7000万年前に湿潤な氾濫原に堆積したモンゴルの流送土砂から発見された部分的な頭骨と3本の中足骨で知られる。標本はソビエト連邦の古生物学者によって1976年に命名・記載された。第2の種であるアリオラムス・アルタイはさらに完全な骨格で知られ、2009年にスティーブン・ルイス・ブルサッテにより記載・命名された。他のティラノサウルス科恐竜との関係性は定かではないが、同時期のタルボサウルスと最も近縁とする仮説を支持する証拠がある。 アリオラムスは既知の全ての獣脚類と同じく二足歩行の動物であり、鋭利な歯から肉食性であったことが示されている。アリオラムスの種はいずれもタルボサウルスやティラノサウルスといった他のティラノサウルス科よりも小型であり、面長であることから幼体や亜成体と考えられていたが、キアンゾウサウルスの発見により成体であること考えられるようになった。鼻先の最上部に沿って存在する骨質の5つの突起、他のティラノサウルス科よりも本数の多い歯や縦に薄い頭骨が特徴である。

● 発見と命名
アリオラムスのホロタイプ標本 PIN 3141/1 は、部分的な頭骨と3本の中足骨である。1970年代前半に行われたゴビ砂漠へのソビエト - モンゴル国境調査において、モンゴル国バヤンホンゴル県 Nogon-Tsav で発見された。アリオラムスはソ連の古生物学者セルゲイ・クルザーノフが1976年に命名・記載した。突起と細い頭骨の輪郭が他のティラノサウルス科から程遠かったため、ティラノサウルス科の他の属から遠く除外された属であるとクルザーノフは確信した。属名はラテン語で「他の」を意味する alius と「枝」を意味する ramus に由来し、アリオラムス・レモトゥスの種小名はラテン語で「取り除かれた」を意味する。アリオラムス属はアリオラムス・レモトゥスのホロタイプ。 アリオラムス・レモトゥスの頭骨は約45センチメートルである。一般に頭骨は長く縦に薄く、巨大なティラノサウルス科の幼体や基盤的ティラノサウルス上科に典型的である。アリオラムス・レモトゥスの鼻先先端の前上顎骨は発見されていないが、前上顎骨が発見されているティラノサウルス上科では縦よりも横に広がっている。他のティラノサウルス科では前上顎骨の左右両側に断面がD字型の歯が4本存在する。アリオラムス上顎骨にはそれぞれ16本あるいは17本、歯骨にはそれぞれ18本が並び、アリオラムスは他のティラノサウルス科を上回る76 - 78本の歯を持っていた。アリオラムスの頭蓋は基盤的獣脚類と鳥群の中間型である。 アリオラムス・レモトゥスの骨格の残りの部位は中足骨を除いて完全に知られていないが、実質的により完全に知られているアリオラムス・アルタイの発見により、本属の解剖学に光が当たっている。

● 分類
古生物学者は長い間アリオラムスをティラノサウルス上科に分類していたが、何年もの間化石が乏しかったため、正確な分類はアリオラムス・アルタイが発見されるまで行われなかった。2004年の研究でもこの結果は支持されたが、幼体の特徴がティラノサウルス上科の基盤的な位置を示唆しているとして、アリオラムスがティラノサウルス科の外に位置付けられる可能性も同様に指摘された。アリオラムス・アルタイが2009年に発見され、ティラノサウルス亜科への位置づけが確定した。 歯骨と角骨の固定構造、ダスプレトサウルス以外のティラノサウルス科では失われた涙骨と繋がる鼻骨の突起を含め、アリオラムスとタルボサウルスは頭骨の特徴を複数共有している。2属は近縁であり、アジアにおけるティラノサウルス科の枝を代表する。 2013年に Loewen が発表したクラドグラムでは、アリオラムスはティラノサウルス科のすぐ外に位置付けられている。 {{clade  style=font-size:100%
◇ line-height:100%  1={{clade  1=ディロング  2={{clade  1=エオティラヌス  2={{clade  1=バガラアタン  2={{clade  1=ラプトレックス  2={{clade  1=ドリプトサウルス  2={{clade  1=  2= }} }} }} }} }} }} }} しかし、2014年にアリオラムスとよく類似したキアンゾウサウルスの化石が発見されると、アリオラムスの分類に大きな一石が投じられた。キアンゾウサウルスはアリオラムスと似た性質を持ちつつ、年齢は成体にあたることが判明した。このことからアリオラムスもキアンゾウサウルス同様に成体であると考えられ、両者は共にアリオラムス族に分類された。アリオラムス属の分類学上の位置は定かではなく、ティラノサウルス亜科に置く意見とティラノサウルス亜科の姉妹群とする意見がある。 以下はキアンゾウサウルス記載論文執筆者による最初の分析に基づくクラドグラム。

● 古環境
Nogon-Tsav の単層はネメグト層と同一のものと考えられている。この層で放射年代測定が行われたことはないが、化石証拠に存在する動物相から白亜紀末のマーストリヒチアンの間に堆積したと推測されている。 モンゴルにおけるマーストリヒト階はネメグト層と Nogon-Tsav に保存され、より早い時代を代表しその下を走る Barun Goyot 層およびジャドクタ層に保存された半乾燥環境と比較して湿潤な環境であった。ネメグト層には氾濫原と巨大な河道および土壌堆積物が保存されているが、周期的な干ばつの発生がカリーチ堆積物により示唆されている。この環境で、前の時代よりも多様で一般に巨大な恐竜の動物相が育まれた。化石の詳細は報告されなかったものの、クルザーノフは同じ地域で発見されたタルボサウルスやオルニトミモサウルス類およびテリジノサウルス類を報告した。Nogon Tsav の動物相がネメグト層の動物相と類似していれば、トロオドン科獣脚類や堅頭竜類・アンキロサウルス科・ハドロサウルス科も生息していたと推測される。ティタノサウルス科の竜脚類もまた、ネメグト層の捕食動物の獲物であった可能性がある。

● 論文


◎ 記載論文

・ Kurzanov, 1976
 ・
・ Brusatte et al., 2009
 ・

「アリオラムス」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
2024年11月11日12時(日本時間)現在での最新版を取得

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