ランキング28位
獲得票なし
ランキング19位
獲得票なし
泉州弁(せんしゅうべん)または和泉方言(いずみほうげん)は、大阪府南西部の泉州地域(旧和泉国)で話されている日本語の方言で、近畿方言の一種。
● 方言区分
1962年(昭和37年)に山本俊治は泉州の方言を次のように区分している(自治体名は現行のものに改めた)。山本は、泉北はほとんど摂津方言(大阪弁)に近い一方、泉南には和歌山方言に連なる特徴や漁村特有の言葉があり、「和泉方言の本場」と述べている)
・ 泉南方言
・ 中和泉方言(岸和田市・貝塚市・泉佐野市・熊取町)
・ 南和泉方言(泉南市・阪南市・田尻町・岬町)
泉北方言は大阪市内の方言との同化が進んでおり、2009年(平成21年)、岸江信介は摂津・河内・泉北(特に堺市)の言語類似度がかなり高くなった一方、泉南は依然独自性を保っているとし、大阪府内の方言を「摂津・河内方言」(泉北含む)と「泉南方言」に二分することを提案している。
表現形式 摂津・河内・泉北 泉南 和歌山
してある したーる しちゃーる
してやる したる しちゃる
敬語「はる」 使用 不使用
あるじゃないか あるがな、あるやん あらし、あらして
● 発音
・ 紀州ほどではないが、特に泉南の海岸部で、 と (例:うどん→うろん、蓮根→でんこん)、 と (例:むかで→むかぜ、財産→だいさん)、 と (例:人力車→りんりきしゃ、両方→じょーほー)の混同が起こる(いわゆる「ざだら変換」)。
・ 「わしとこ(私の所)→わいそこ」のように、 の脱落とともにその後ろの が になることがある。
・ 伝統的な西日本方言の特徴のままに、「せ」が「しぇ」と発音される。人によっては「て」が「ちぇ」に近く発音されることもある。しかし、大体70歳を境としてこの発音は聞かれなくなっている。
・ 泉南では「えい」の発音が「えー」とならず、二重母音としてはっきり発音される。
● 表現
・ 泉南では「動詞の連用形+て」に「おる」「ある」「やる」など母音・半母音から始まる補助動詞が付くと拗音形になる。
・ 例:めしくちょる(飯を食っておる)
・ 進行態には「ている」が変化した「てる」を用いるが、有情物の存在動詞には「いる」よりも「いてる」を用いることが多く、「いてる」は「いちゃある」とも言う(岬町多奈川での調査による)。泉南でも若い世代は「ねん」を用いるが、過去形を作る際に「た」に直接「ねん」を付ける特徴がある(大阪市内では「てん」に変形させる)。
・ 泉南各地に「いまいたばかりやす」(今行ったばかりです)のような丁寧語「やす」がある。
・ 「皮ごと食べる」のような「ごと」に当たる接尾語に「ごし」を用いる(大阪市などでは「ぐち」)。1990-91年に改めて30歳未満の女性を対象に同様の調査をした際も、大阪市の女性は○○が目上の人の場合「きはる」、友人や目下の人の場合「きやる」、犬などの場合「きよる」または「くる」と使い分けると答えているが、岸和田市の女性は全て「くる」と答えている。
・ 例:[こーとかんし よ(買っておきなさいよ)。また、係助詞「は」と格助詞「が」の区別が曖昧で、共通語で「が」と言うところを「は」(もしくはそれが転訛した「や」)と言う。
・ 例:はら、まだとい(春はまだ遠い)
・ 例:めしゃまだか(飯はまだか)
・ 例:[りょーばっかり [ひてる ひと か[ず ありませ[な(漁ばかりしている人は多くはありませんわ)。
・ 例:いけるんけ?
・ 例:一緒に行かへんけ?や勧誘・提案表現に付ける終助詞「ら」。詳細は深日文化を参照。
● 語彙
・ おもしゃい。
:A「昨日のことなんやけどちょい聞いて」(昨日のことなんだけどちょっと聞いて)
:B「どないしたん?」(どうしたの)
:A「パッツンに追いかけられてん」(パトカーに追いかけられたんだ)
:B「ホンマかいな そらエグいな」(本当かい。それは大変だったね)
:A「ホンマやて バリエグかったし」(本当だよ。本当に大変だったよ)
:B「さよか。ほてどないなってん?」(そうなんだ。それでどうなったの)
:A「逃げたけど、ヤバかったわ」(逃げたけど、危なかったよ)
:B「おつかれやな」(大変だったね)
高石市の50歳以上(2006年時点)を想定した会話例。
:A「けや、ちみたいなあ」(今日は冷たいね/寒いね)
:B「せや、零下いたちゅてるで」(そうだね。零下行ったっていうね)
:A「そらさっぷいはずや」(それは寒いはずだ)
:B「早よ家もって風呂でつくもろ」(早く家に戻って風呂で暖まろう)
:A「しもた、家ちゃんとかいでこずや。ほな」(しまった、家、ちゃんと鍵かけてきてないぞ。じゃあね)
泉南地方の伝統的な方言形式を使用した会話例。
:母「○○、外出んやったらよー、ニンジンとタマネギ買うてきちゃって 買うてきてくれんやったらよー、かんご持って行きよー」
::(○○、外へ出かけるのなら、ニンジンとタマネギを買ってきて 買いに行ってくれるのなら、買い物籠を持って行くのよ)
:娘「うち、これからツレとこ行くよっていやじょォ。おかんいきよー」
::(私はこれから友達の家に行くから嫌だよ。お母さんが行きなよ)
:母「そーけェ、にくそい子ォやのー。晩ごはんカレー作っちゃろかおもちゃあったのに、もォええわ」
::(ああそう、かわいらしくない子ね。夕ご飯にカレーを作ってあげようかと思っていたのに、もう知らないわ)
:娘「あいしょ、ほんまけ? ほたら楽しみにしてるよってに、作っちゃっちょう」
::(ええっ本当? じゃあ楽しみにしているから、作ってあげてね(=作って頂戴ね))
:母「ほんま調子のええ子みぃ。うちでかしこいのは犬だけやしよー」
::(本当に調子のいい子ねえ。我が家で聞き分けのいいのは犬だけだわ)
1990年(平成2年)に泉南市岡田で記録された、1909年(明治42年)生まれの女性が語る「三日帰り」という結婚式3日後に里帰りする習慣の話。
:[さとがえりゃー ここ[らー [みっかがえりと こー あった[さかい [な。[みっかがえりって [な く[るまに のって [な もー [よめさんに きたら [はじめわ まー し[ろむく [きてー [ほいて まー あのー し[まだに [ゆーけろ [みっかがえりに [まるあげに ゆーて く[るまに のって [ほて みやげ もっ[て さとがえりに かいらひて もらいますって [いぬんやし [なー。[わかい よめさんらー [そんな こと [しぇーへん もー。
:(里帰りは、この辺りでは、三日帰りと、こうあったからね。三日帰りというのはね、人力車に乗ってね、もう嫁さんに来たら、はじめはまあ、白無垢を着て、そしてまあ、あのう、島田に結うけど、三日帰りには、丸髷に結って人力車に乗って、そして土産を持って、里帰りに帰らしてもらいますって、行くんだよ。若い嫁さんたちは、そんなことしない、もう)
● 泉州弁とマスメディア
マスコミによって、日本各地の方言が紹介され、方言の書物も出版されているが、泉州弁に関しては、マスコミで報道されたり、書物が出版されることは少ない。
2011年(平成23年)下半期のNHK連続テレビ小説『カーネーション』は岸和田市が舞台であるが、方言指導において「関西ことば指導」とは別に「岸和田ことば指導」(林英世)も設けられ、岸和田市の泉州弁を細かく再現している。また、このドラマの主要キャストには泉州弁話者が多数起用されている(堺市出身の黒谷友香、和泉市出身の田丸麻紀、阪南市出身の星田英利、岸和田市出身の川崎亜沙美など)。
また、嘗て南海電気鉄道の車内アナウンスに於いては「サザン」→「サダン」とアナウンスされている事があったが、関空の開港に伴い「空港連絡鉄道に於いて方言の有るアナウンスは相応しくない。」との指摘が乗客から有った為に撤廃された。(此の案件は、沖縄県に於ける方言札問題と共通している。)
● 泉州弁を話す有名人
・ 五十嵐サキ:お笑いタレント
・ 池田夢見:歌手
・ IKECHAN:歌手
・ 今井雅子:脚本家
・ 恵川守(ガードマン):YouTuber
・ 大上留利子:ゴスペルシンガー
・ 大野愛果:作曲家
・ かでなれおん:グラビアアイドル
・ 川崎亜沙美:プロレスラー、女優
・ 川田裕美:読売テレビアナウンサー
・ 清原和博:元プロ野球選手
・ 黒谷友香:女優
・ 神野美伽:演歌歌手
・ 沢口靖子:女優。「タンスにゴンゴン」のCMに出演する際、市川準監督に「泉州弁でやったら?」と言われた事が切っ掛けで、丸出しの泉州弁でCM出演した。
・ 文屋範奈:ゴスペルシンガー
・ 田丸麻紀:女優、タレント
・ 寺本勲:声優・ナレーター
・ 中原アヤ:漫画家
・ 夏目ナナ:女優、タレント
・ 久川綾:声優
・ 星田英利:お笑いタレント・俳優
・ 前田ちあき:声優
・ 町田康:作家
・ 萬田久子:女優
・ 宮本充:声優
・ 室谷信雄:元吉本新喜劇座員
・ 山田花子:吉本新喜劇座員
・ 若本規夫:声優
「泉州弁」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年10月4日15時(日本時間)現在での最新版を取得
好き嫌い決勝
好き嫌い準決勝
好き嫌い準々決勝
好き嫌い7位決定戦
好き嫌いTOP10圏内確定戦
方言の無作為ピックアップ
Powered by