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仙台弁(せんだいべん)は、宮城県で話される日本語の方言である。
● 方言研究における分析
宮城県の方言は、東日本方言、東北方言、南奥羽方言の中に属する。宮城県の全域は江戸時代には仙台藩の領内だった。このため、県内の方言の差はあまりないとされる。かつて仙台藩領だった現在の岩手県南部、福島県の新地地域の方言も宮城県の方言とあまり変わらない。また、国替え以前の伊達氏の領地だった福島県の信達地方や山形県の米沢地方の方言と類似している面がある。
しかしより詳細を見るならば、宮城県北部の三陸地域、県北部の内陸部地域、仙台市とその周辺地域、県南部地域でそれぞれ方言の差異がある。三陸地方には特殊な語彙があり、これは岩手県の三陸地方へ連続している。
また、黒川郡付近を境として、県の南北でアクセントの違いがある。宮城郡北部や黒川郡付近は曖昧アクセント地帯であり、それより北部は特殊アクセント地帯、仙台市より南側は一型アクセント(無アクセント)地帯である。
◎ 特徴
仙台弁には、東北地方の他の方言に広く見られるような次の特徴がある。
・ 有声音に挟まれた無声破裂音の有声化。すなわち、語頭以外の 、 がそれぞれ、 となる。
・ 、 の後ろの が中舌音化する。
・ 「…だろう」「…しよう」を意味する「べ」が用言の後ろに付けられる。
・ 格助詞の「さ」(方向や授受の対象を表す)。
ただし、仙台市を中心とした地域では、上の二つ目の「の中舌化」は、近年の若年層ではあまり聞かれなくなっている。
この他、他の東北方言にはない仙台弁の特徴としては以下のものがある。
・ いわゆる文節の後ろに「やー」が付せられる。これは概ね標準語の「さー」に似た意味を持つ。
: 例 「今日やー、朝からやー、すげー暑かったやー。」(今日さあ、朝からさあ、すごく暑かったよ)
・ 疑問詞のある疑問文の文末に付けられる「や」。
: 例 「どうや?」(どうなの?) 「誰や?」(誰だ?)
・ 標準語の「〜んだよ」が「〜のや」になる。
: 例 「つまんねーのや」(つまらないんだよ) 「さみぃのや」(寒いんだよ)
・ 用言の後ろの「っちゃ」、「だっちゃ」、「ださ」(「…だよね」「…だよな」を意味する。英語の付加疑問文と同じように用いられる)。
・ 「しなければならない」を意味する「しなきゃない」 (同義 : 「しねげね」)。
: 例 「行かなきゃない」(行かなければならない) 「食べなきゃない」(食べなければならない)
・ 動詞の未然形+「い」(五段活用)または「らい」(上一段活用と下一段活用) で命令の意味を表す。命令形による命令よりぞんざいでないニュアンスがある。また、同様に連用形に「さい」を付けてつくるさらに柔らかな命令の表現がある。
: 例 「行がい」「行きさい」(行きなさい) 「食べらい」「食べさい」(食べなさい)
上記のうち最後の命令の表現は、若年層ではあまり使われなくなっている。一方「しなきゃない」は、仙台出身の者も方言だと気づきにくい表現の一つである。
◎ 成立
成立は藩成立以前から存在する百姓言葉(土着語)、侍言葉(共通語)、町人言葉が、江戸文化や藩領内各地の文化を吸収し、一体となって成立したと考えられている。また交通の発達により近隣地域の言葉の影響を受け今日に至ると考えられている。
旧仙台藩領は関東系民族文化の北限であり、方言もその影響を強く受けている。特に関東系の音韻、語法、語彙が一様に支配しており、文化的言語的地盤は仙台藩成立以前の蝦夷討伐の時代に関東地方の移民がもたらしたものであると考えられている。井上ひさしは山形県で生まれたが、幼少期から仙台市のラ・サール・ホームで育ち、自身の小説の中で仙台弁(旧仙台弁)を多用している。
つまり、「ラム語」は、『作者の高橋留美子による「人工言語」であるが、有名になった語尾の「〜だっちゃ」は旧仙台弁由来』 ということになる。旧仙台弁の語尾の「〜だっちゃ」が、前述の核家族二世型仙台弁にも受け継がれて多用されている上、イントネーションが共通語・標準語化した現在の新仙台弁は、人工言語であるラムの言葉と結果として似てしまった。そのため、男性が新仙台弁を他の地方で話すと、「ラムと同じ言葉を使っている」とか「女言葉みたい」と言われることがある。
なお、語尾に「〜だっちゃ」・「〜っちゃ」をつけるのは、仙台弁の他に新潟県の佐渡弁、鳥取県の因州弁でもみられる。語尾に 「〜ちゃ」("だ" が入らず促音化しない)を付ける方言には、富山弁、山口弁、北九州弁および九州東部の豊日方言(宮崎弁など)がある。
● 仙台弁を話す著名人
常時仙台弁を話す著名人はまれであり、基本的に標準語・共通語を話していて、方言の話題になったり素に戻ったりすると仙台弁になる者が多い。また、宮城県内の民放テレビ4局のアナウンサー53人の内、宮城県出身者は6人、地元率11%(2006年)であるため、宮城県のローカル番組で仙台弁を聞く機会も限られる。
・ さとう宗幸:ミヤギテレビ『OHバンデス』で、コメントがしばしば仙台弁になる。ただし、さとうは岐阜県出身かつ古川市(現在の大崎市)育ちのため、本来の仙台弁話者から発音が不自然と指摘されることもある(いわゆる『北部方言』という宮城県北部・岩手県南部の広義の仙台弁)。
・ 庄司恵子:宮城県の民謡歌手。TBCラジオ『恵子のいーぐする民謡』などでは、ほぼ仙台弁で話す。
・ 白鳥百合子:仙台放送『mashup音王MUSIO』で「白鳥百合子の宮城弁講座」というミニコーナーがあった。MBS『ジャイケルマクソン』でも度々仙台弁を披露していた。
・ 本間秋彦:仙台弁の使用頻度が大きい。東日本放送『突撃ナマイキTV』では、視聴者から寄せられた仙台弁の川柳を解説している。
・ 森公美子:出演するどの番組でも、トークがのってくると仙台弁になる。
・ 山寺宏一:塩竈市出身でプロフィールに「特技:仙台弁」と載せている。
・ 仙台貨物:仙台弁を駆使するコミックバンド。
・ カズシック:仙台で活躍するラッパー、タレント、仙台を売りにした最初のミュージシャンとも言われている。ラジオ等で普通に仙台弁が混じる。
・ 吉川団十郎:増田町(現:名取市)出身のシンガーソングライター・ラジオパーソナリティ。TBCラジオの『ジャンボリクエストAMO』『葵と団十郎のサンデーAMO』等において生粋の仙台弁で話していた。
● 仙台弁の地名・固有名詞
仙台弁での発音が地名・固有名詞に影響を与えているものを以下に示す。ただし現在は、仙台弁の読みを正式としているのは定義如来や新伝馬町くらいで、それら以外は標準語・共通語の発音の方を正式な読みとしている。仙台弁の読みが正式ではなくなった時期は不明であるが、例えば、1896年(明治29年)に仙台に住んでいた島崎藤村が、「市井にありて」で名掛丁を『名影町』と記していることから、この頃はまだ濁音化した仙台弁地名がまかり通っていたと推定出来る。
現時点で優勢な読みの方を黄色地で示すが、両者の間に大差がない場合は両者とも黄色地とする。東北方言(南奥羽方言)でよく見られる変化のほか、仙台弁特有の読み方も見られる。
共通語
標準語仙台弁備考
鳴子温泉 なるこおんせん
(naruko-onsen) なるごおんせん
(narugo-onsen) 濁音化(軟口蓋破裂音の変化:k → g)
名掛丁 なかけちょう
(nakakechō) なかげちょう
(nakagechō) 濁音化(軟口蓋破裂音の変化:k → g)
定義如来 じょうぎにょらい じょうげにょらい 「イ」と「エ」の曖昧さ
仙台弁の方が現在も正式
新伝馬町 しんてんままち
(shintemmmachi) しんてんまち
(shintemmmachi) の有無
仙台弁の方が現在も正式
北目町 きためまち
(kitammachi) きたんまち
(kitammachi) の有無
(撥音便)
南町 みなみまち
(minammachi) みなんまち
(minammachi) の有無
(撥音便)
土樋 つちとい
(tuttoi) つっとい
(tuttoi) の有無
(促音便類似)
国分町 こくぶんちょう - 現在は「こくぶんまち」とは読まない。
こくぶんまち
(kokuummachi) こっぽんまち
こっぷんまち
(kopummachi) 促音化
両唇破裂音の変化(b → p)
勾当台 こうとうだい - 現在は「こうとうのだい」とは読まない。
こうとうのだい こどのでえ 「勾当台通」参照
大河原町 おおがわらまち おがらまち
御鍛冶屋前 おかじやまえ おがんちゃめ
霊屋下 おたまやした おだまやんた
片平丁 かたひらちょう かだっしゃちょ
米ヶ袋 こめがふくろ こめやふくろ
清水小路 しみずこうじ すずこうじ 「シ」と「ス」の統合
遺水丁 やりみずちょう やりみんちょう
松島 まつしま まづすま 濁音化
「シ」と「ス」の統合
:※大阪府岸和田市(泉州弁地域)には、「北町」と書いて『きたんまち』、「南町」と書いて『みなんまち』と読む地名が存在する。
● よく用いられる仙台弁の語彙
※「旧仙台弁」、仙台都市圏の「新仙台弁」の別なく記載。
◎ あ行
・ あばいん (おいで)
: 例 「おらいさあばいん!」(私のうちにおいで!)
・ あべ・あんべ (行こう、おいで)
: 例 「ちょっとこっちさあべ!」(ちょっとこっちに来いよ!)
・ あっぺとっぺ・あぺとぺ (1.でたらめ 2.正反対)
: 例 「あんだあっぺとっぺなことばりかだってんな。」(あなたいつもでたらめなことをいってますよね。)
・ あるく (移動の行為を表す。標準語の「歩く」とはニュアンスが異なる。)
: 例 「車であるく」(車で出かける)
: 「特に目的もなく周囲をふらつく」などという古語の「ありく」の名残という説があり、北海道方言でも同様の使われ方がある。
・ あんだい (あなたの家) 対 おらい
・ あんだほ (あなたたち) 対 おらほ
・ あんべぇ (体調) 「おめぇ、とくとうがおってやぁ、あんべぇ大丈夫か?」(お前、ものすごく疲れて、体調は大丈夫か?)
・ あんやほに (なんてこった・全くもう英語でいう「OH MY GOD」に相当)
・ いきなり・いぎなり・いきなし (1.急に、突然 2.とても、超)
: 例1 「いきなり殴らったのやー」(突然殴られたよ) 「先生さいきなり怒らった」(先生に突然怒られた)
: 例2 「イキナリ殴らったのやー」(沢山殴られたよ) 「先生さイキナシ怒らった」(先生にすごく怒られた) 「イキナリうめぇ」(とてもおいしい) 「イキナリすげぇ」(とてもすごい)
:: ※番組やイベント等の名称に、1と2の両方の意味をかける例が見られる(→TBCラジオ「イキナリ」、仙台放送「mashup音王MUSIO」の活き話5、お笑い集団ティーライズ「IGINARI LIVE」)
・ いしけん、ぎっ (じゃんけん、ぽんっ)
・ いずい・いづい (不快感があり、その場に居続けられない様子をソフトに表す言葉。具体的には「散髪の後でシャツの襟首に刺さった髪の毛で時々チクチクする違和感」、「初めての場所に通されてどうにも落ち着かない雰囲気」等、はっきり拒絶できない割りに鬱屈する東北人の感性を代表する言葉。uncomfortableとirritableを混ぜた感じ。語源は「身の毛がよだつほど恐ろしい」という意味の古語「えずい」と考えられ、「恐ろしい」という意味が無くなって、「肌や身体の表面で感じる違和感」のみが意味として残り、その感覚が精神的な居心地の悪さにまで適用を広げたと考えられる。なお、土佐弁と博多弁では、「えずい」との発音で古語の意味のまま方言に取り込まれている。小笠原方言にも「気持ち悪い」の意味で残っている。
・ いづぬさんすごぅろぐ すづはづくぅづ (1,2,3,4,5,6,7,8,9,10。6と7の間で息をつぐ。"n"を入れて「すんづはんづくぅづ」という場合もある)
・ いったりかったり (突然、自分勝手に)
・ 居娘 (「いむすめ」。婿養子をとった娘)
・ いや (話し始めに付く感動詞。北関東から東北にかけて分布する。東北地方では「いやいやいや」と連続させる用法がある。)
・ うるかす (水に浸す)
: 例 「飯食った茶碗、後で洗うから、うるかしといて。」
・ うんだでば (そうですよ)相槌的な感じで使う
・ おがす (大きくさせる、育てる。「おがる」参照)
・ おがすい、おがしい (変だ)
: 例 「このふぐでおがすぐねが?」(この服装で変じゃないかな?)
・ おがっつね (おかしい)
: 例 「だれっおがっつね顔してんだおん、しゃっぷりしてや。」 (だって気持ち悪い顔しているから、知らんぷりしてたよ。)
・ おがる (大きくなる、育つ、威張る。「おがす」参照)
: 例 「おがっだごだ」(大きくなったなぁ) 「キノコおがった」(キノコが育った)
・ おしょすい (恥ずかしい。他の方言で使用される「お笑止い(おしょしい)」が訛ったもの)
・ おだつ・おだづ (調子に乗る、いきがる。「おだづな」と否定形で使用される場合が多い。ときに,肯定的な意味でも用いられる。)
: 例 「おだつなよっ この」(ふざけんな てめぇ) 「おなごにモテっからって、おだってんのや、だーれ」(女性にモテるから調子にのっているんだよ、奴は)「さいきん,おだってかぁ」(最近,なにかおもしろいこととか,熱中していることとかやっているかい?,肯定的な例)
・ おだづもっこ (いたずら小僧、悪ガキ)
・ おないん・おんないん (〜(して)下さい)
・おはよう靴下(爪先など穴が空いた靴下)
・ おどけでない (1.ふざけない。2.ものすごい)
: 例1 「おどけでねぇで、はやぐやれ」(ふざけてないで、早くやりなさい)
: 例2 「昨日や〜、釣りッコしたらや〜、おどけでねぇ数釣れたのや」(昨日、釣りをしたらものすごい数釣れたんだよ)
・ おはよござりす (おはようございます.近隣に「おはいでがす」を使う地域もある)
・ おばんです・おばんでがす (夕方以降の挨拶「今晩は」の意味で使う.OHバンデスというTV番組も存在する)
・ おっぴさん (曽祖父・曾祖母・ひいお爺さん・ひいお婆さん)
: 例1 「おらいのおっぴばんつぁん、とくとう体あんべぇいくて、来月で90歳なっとわ。」(うちのひいお婆さん、ものすごく体調良くて、来月で90歳になります。)
・ おみょうにち【お明日】 (またあした、さようなら、の意。わりとフォーマルな席で用いられる。)
: 例 「おみょうにち おしずかに」(明日もよい日でありますように)
・ おらい (うちの家) 対 あんだい あんだらい
: 例 「お茶っこでも出すがら、おらいさ来てけろ」(お茶でも出すから、うちの家に来て下さい)
・ おらほ (俺たち、私たち) 対 あんだほ
: 例 「おらほの学校」(私たちの学校)
・ おれ (私。男性のみならず、女性も使う)
・ おれさま (雷様)
・ おっかない (こわい、おそろしい)
例 「ここ、おっかねえなや」
◎ か行
・ がおる (気分が滅入る。(肉体的・精神的に)疲れる。精根尽きる)→英語の "exhausted" や "weary" にあたる。類語の「こわい」は "tired" や "fatigued" の意味。物がダメになる様子を示す「くたびれる」も疲れたときに使う。
: 例 「ま〜だ先生さごしゃかったや〜。いぎなりがおった。」(また先生に怒られた。とても気が滅入った) 「今日はいきなりがおったや〜」(今日はとても疲れたよ...) 「この薔薇がおってるよわ」(この薔薇しおれているよ)
・ がが (母・お母さん) 自分の母をいう言葉ではあるが、多くの女性は言われること嫌ってるため、普段の会話ではあまり使われず、喧嘩やイヤミを言うときに使う侮辱語的な意味合いもある。
: 例 「田舎のがが達やぁ、なんぼまてに顔さ塗ったてやぁ、レディ・ガガみてぃになんねぇべぇ!!」 (田舎のお母さん達が、いくら上手に化粧しても、レディ・ガガみたいにならないだろう)
・ がす (です)(丁寧の意味の助詞)
・ がした (でした)(丁寧の意味の助詞)
・ かせる (食わせる、食べさせる)
・ かつける (失敗や嘘をついたことを、他人のせいにする・なすりつける。責任のがれの意味)
: 例 「おめぇ、てほすたごどや、人にかつけるんでねぇ!!」 (お前、デタラメしたことを、人のせいにするな!!)
・ かっちゃく (引っかく)
: 例 「おらいのねこさかっちゃかったのっしゃ」(うちの猫に引っかかれたのですよ)
・ かっちゃき (鎌、草刈、三角鍬。かっちゃくの名詞形)
・ 〜がな (相当、分、こちらの提示に合わせて相手に数量調整してもらう場合)
: 例 「500円がな、あぶらいれでけさいん。」(500円分のガソリンを入れてください)
・ かばねやみ (本当はできるにもかかわらず、なんのかんのと理由をこじつけてなにもしないこと、またそういう人)
: 例 「あだらかばねやみさかだったって、なにもしないがらほっとがいんでば」
・ 〜っから(本来、「私が〜するから、あなたはしなくていいよ」というものの後ろの部分が省略された形だが、後ろの意味が関係ない使い方もある)
: 例 「おれすっから」(私がやるからしなくていい) 「これ、けっから」(これ、あげるよ)
・ かます (かき混ぜる、時にかき混ぜることで室温〜体温程度にする意味も含めて使う)
・ がめる (盗む)
・ きゃっぽりくう (溝にはまる)
・ きしゃず (おから)
・ くたびれる (ダメになる
◇ 疲れる)
・ 〜けらい(ん)、〜してけらい(ん)または、〜けさい(ん)、〜してけさい(ん) (〜下さい、〜して下さい)(お願い事や、頼み事をする場合に、丁寧に(またはやさしく)物を頼む場合に動詞につける。)
: 例 「このお菓子ば、そごのやろこさ、けでけらい(ん)。」(このお菓子を、そこの子供に、あげて下さい)
・ ける (物をあげる)
: 例 「これ、けっから」(これ、あげるよ) 「こだの、けでやれ」(こんなもの、くれてやれ)
・ けろ (物をくれ)
: 例 「お金けろ」(お金をくれ) 「いらねんだごっで、俺さけろ」(いらないんだったら、俺にくれ)
・ 〜けろ・〜してけろ (〜くれ、〜してくれ)(お願い事や、頼み事をする場合に動詞につける。)
: 例 「このお菓子ば、そごのやろこさ、けでけろ。」(このお菓子を、そこの子供に、あげてくれ)
・ ごしゃぐ (怒る。「ごしゃがれる」と受身形で用いられることが多い。類語 ごしゃっぱらたでる)
: 例 「まだ先生さごしゃがれだんだべ? 」
・ ごみょうにち (それではまた明日。 黄昏時にわかれるときに言う)
: 例 「んではまんず、ごみょうにち」(おみょうにち、とも言う。)
・ こっちゃ (こちら)
: 例 「こっちゃ来さいん」 (こちらへ来なさいな)
・ こわい (疲れる。→「がおる」参照)
: 例 「はぁ、こえぇ、こえぇ」(あぁ、疲れた、疲れた)
◎ さ行
・ 〜さ (格助詞。ほとんどの場合は『〜に』)
: 例 「俺さ任せろ」(俺に任せろ) 「べごさ餌かせでくる」(牛に餌を食べさせてくる)
・ さくず (米ぬか)
・ さっぱし (さっぱり)
・ 〜さる (〜できるの意味。書く+さる=書かさる)
: 例 「何だべ、このペン書かさらねっけよ!違うやつけらいん。」
・ ジャス (ジャージのこと。ジャージスーツの省略形かと思われる)
: 昭和30年代、仙台市北部近辺を起源とする説が有力。ただし,元はラグビー用語で,千葉,茨城など,関東,南東北の海岸ぞいに広く流布していたとも。体操着が一般的に普及したことに伴うものか。俗に名古屋のケッタマシン、鹿児島のラーフル、福井のジャミジャミと共に昭和四大方言とも言われる。
: 例 「イキナリいづいジャスだごだ、ほいなのしゃね」(まったく身体にフィットしていないジャージだ、こんな服着ていられない)
・ ししゃます (手に負えない、持て余す、大変だ)
・ しずね (1.落ち着きのない様子 2.うるさい 主に他人に対して使う。意味的には「うざい」に近い)
: 例 「そこのやろこしずねごだー」(そこのこどもは落ちつきがないなー)
・ したっけ (「そしたら・・・」=話の途中で次に続ける場合に使う。場合により「それなのに・・・」の用法もある。
・ しっぱたく (たたく、ひっぱたく)
: 例 「しっぱだぐどっこの!」 (ひっぱたくぞこの野郎!=強い意味でなく、例えばあんまり変なこと言うなよ!と軽くふざけて言う場合にも使う。)
・ 〜(の)しゃ? (「〜(の)ですか?」 丁寧の意味の疑問終助詞。「〜だっちゃ?」 には丁寧の意味はない)
: 例 「行がねのしゃ?」(行かないのですか?)
・ 〜(っ)しゃ (丁寧な文章で使う)
: 例 「三丁目のっしゃ、愛ちゃん、大学さ入ったんでがす」(三丁目の愛ちゃんが大学に入ったんです)
・ しゃっこい ひゃっこい (冷たい)
・ しゃね (知らない。やってられないという意味が含まれることもある)
: 例 「ほいなごどしゃねっちゃ」(そんなことは知らない)
・ しゃねっぷり (知らないふり。)
・ じる (盗む)
・ じられる・じらる (盗まれる)
: 例 「俺のジャスじらったんだけっともしゃねが?」(俺のジャージ盗まれたんだけど知らないかい?)
・ すがり (蜂)
: 例 「すがりさつづがれっと?」(蜂に刺されるよ?)
・ すっぱね (泥はね)
・ 〜すぺ? (「でしょう?」 丁寧な意味の助詞「す」と同意の意味の助詞「ぺ」←「べし」)
: 例 「うめすぺ?」(美味しいでしょう?) 「やるすぺ?」(やりますよね?)
・ 〜すか? (丁寧な意味の助詞「す」と疑問の助詞「か」)
: 例 「弁当あっためるすか?」(弁当温めますか?) 「ダメすか?」(ダメですか?) 「やったすか?」(やりましたか?) 「夕べ、いるすか?」(夕方いますか?)
・ そればり・そればっこ (それだけ 提示された数量などが意外な場合)
: 例 「30坪? そればり?」(30坪? それだけしかないのですか?)
◎ た行
・ だ〜れ・だれー (漢字で書くと「誰」。人物が出てくる、または暗に出てくる文の文中・文末に間投詞的に用い、反語的な意味を付加したり、直前の文に出てくる人物を浮き立たせたりする役割を担う)
: 例 「おめだづ、どこの高校や?」「一高や だ〜れ」。「なんだかでっけぇやろっこだと思ってたら、だ〜れ、太郎でねぇか」
・ 〜だおん (〜だもん)
: 例 「いぎなり飛び出すんだおん、びっくったや〜」(急に飛び出すんだもん、びっくりしたよ〜)
・ たがぐ (担ぐ)
: 例 「その荷物たがいでけさいん」(その荷物担いでください)
・ だから (同意の意。ん行の「んだ」からの変化形。接続詞として使う「だから」とは発音が違う)
・ たごまる (布地などが寄り集まる。特に着用中の衣服について。糸や紐が絡まる)
・ 〜だっちゃ・〜っちゃ (仙台弁の特徴参照)
・ ~だじゃ (上記の~だっちゃが音便化したもので、主に県北から青森県にかけて使用される)
・ たばこ (一休みするしながら口にするおやつ、お茶等。休憩そのものにも使用)
: 例 「疲れだがらそろそろたばこにすっぺし〜」
・ たんぱら (癇癪を起す・腹を立てる。漢字で書くと「短腹」)
・ ちゃかす (壊す)
・ ちゃける (壊れる ちゃかすの自動詞。強調の意を表す接頭語「ぶっ」をつけ、「ぶっちゃける」とも言う。)
・ ちゃっこい (小さい。又はちゃち)
・ ちゃる (盗む)
・ ちょす (さわる。いじる。特に,自分に権限のないものをさわったり,いじったりすること。性的な意味を含むことも少なくない。また,しばしば否定形で用いられる)
: 例 「あんまチョすな〜。ちゃけっぺ〜」(そんなにいじるなよ。壊れちゃうだろ) 人に触られたときに「ちょすな!」(触るな! 触らないで!)
・ ちょんちょこ (男性器。ちんちん)
・ っこ・こ (接尾辞。指小辞。フランス語の "-ette"、スペイン語の "-ito" と同類)
: 例 「やろっこ」「わらすこ」「ブタっこ」「筆っこ」
・ っ、この (間投詞。怒りを表す)
: 例 「おだつなよっ、この」(調子に乗ってんじゃねーぞ、こらっ)
・ っぽ (接尾辞。上記の「っこ」と同義だがこちらは罵りに使うニュアンスが大きい)
・ でがさね (イマイチだ 格好悪い)
: 例 「なんだいまず、おめのかっこ、でがさねえごだ~」(どうしたの、あなたの格好、いまいちだなあ)
・ ですぅ (「です」。標準語教育の影響で使うようになった。女性が「です」と言う場合、語尾の「す」だけイントネーションが上がる。)
・ てほ (嘘・デタラメ) 「この、てほ語り野郎!!」 (この、嘘つき野郎!!)
・ どいなく (どのように)
: 例 「オレ帰った後、どいなくなったのや?」(私が帰った後、どうなったの?)
・ とくとう (非常に・ものすごく) 「野ろっ子どもしずねくてやぁ、とくとう頭にきておだずなぁてごっしゃいだやぁ!!」(ワルガキ達五月蝿くて、ものすごく頭にきてフザケルナて怒ってしまた!!)
・ とみぎ (トウモロコシのこと。唐麦「とうむぎ」)
・ トーホグズン (「東北人」を仙台弁で発音したもの)
・ とすけ (くじ、くじ引き)
・ どんぶく (布団生地で作られた冬用寝巻きの上着。どてら、半纏)
◎ な行
・ なまだら (だらだらとなまけていること、またそのさま)
: 例 「あのなまだら野郎め、ちっとも仕事をしない」
・ なげる (捨てる)
: 例 「そごのゴミ、なげでけろ。」(そこのゴミを捨ててちょうだい)
・ ねばす・ねっぱす (ものを貼り付けること)
: 例 「その紙を糊でねばしてけね」
・ ねばない (ねばならない)
・ ねっぺ (唾)
・ のっつぉこぐ (特に用があるわけでもないのに意味もなくぶらぶらし、体をもてあましていること。しかも当人は自分がのっつぉこいでいることを自覚している場合が多い。命令形はとらない) 名 のっつぉこぎ
: 例 「おんめ、のっつぉばりこがねでゴミでもなげてきてけさいん」
◎ は行
・ はっと (小麦粉を水で捏ねて茹でたもの。すいとんに似ている)
・ パッタ (めんこ)
・ はかはか (わくわく。気分が高揚すること
◇ 心臓がドキドキすること)
: 例 「朝おぎたら、なんだかほれ、ハカハカすんだっちゃ」(朝起きた時、心臓が不整脈を呈しました)
・ ばか (ものもらい。宮城県を中心に岩手・福島・山形の一部でも使用される。)
・ ばっこ・びゃっこ・ぺっこ (少し、だけ)
・ はっぱり (さっぱり、全く)
: 例 「陽子、ハッパリ帰って来ねな」(陽子遅いね。or 陽子は全然帰省して来ないね)
・ ほとんと、ほどんと (ほとんど)
・ ばり (ばかり)
: 例 「肉ばり食ってねで、ほれ、野菜もケ」(肉ばかり食べていないで、ほら、野菜も食べなさい)
・ べこ・べご (牛)
・ ぺろ (うどん、麺類。カップ麺を「カッペロ」と呼ぶ派生語も生まれている。主に鳴子こけしの「鳴子っつあん」と弥治郎こけしの「弥治郎ちゃん」による会話を用いて、仙台弁を解説している。2014年12月にLINEスタンプとTwitterでデビューし、2015年7月には河北新報PR大使、2016年3月には宮城県警採用広報キャラクターに採用されるなど多方面で活動中。公式グッズも多数発売されている。
◇ 佐々木眞奈美のあっぺとっぺファーマシー : TBCラジオのバラエティ番組(土曜 8:10 - 8:55)。宮城県本吉郡津山町(現:登米市)出身の佐々木眞奈美が出演。リスナーからの、宮城弁に関するお便りを紹介するコーナー「方言でござりす」や、歌詞を宮城弁で替え歌する「宮城弁だよ歌謡曲」のコーナーがある。
「仙台弁」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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