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パレスチナ国(パレスチナこく、 Dawlat Filasṭīn, ダウラト・フィラスティーン)は、地中海東部のパレスチナに位置する共和制国家。国際連合(UN)には未加盟であるが、2024年6月3日時点で、193の国連加盟国の内、145か国が国家として承認している。
領土は自治政府(ファタハ政権)が実効支配するヨルダン川西岸地区およびガザ政府(ハマス政権)が実効支配するガザ地区(パレスチナ領域)から成り、東エルサレムを首都として定めている、パレスチナ自治政府により実際に支配されているのは西岸地区の一部にとどまり、首都機能はラマッラーが担っている。
● 歴史
1988年11月15日に初代大統領のヤーセル・アラファートがパレスチナの独立宣言を発表し、パレスチナ国を国号として定めた。1993年にパレスチナ自治政府が発足して、長らくイスラエルに占拠されていたパレスチナでパレスチナ人による自治が始まった。2012年11月にはそれまでの組織としてではなく、国家として国際連合総会オブザーバーとして承認された。
● 政治
◎ 地方行政区画
パレスチナ国はヨルダン川西岸地区とガザ地区から成る。ガザ地区の面積は365km²で全体の6%程度しかないが、人口は全体の38%を占める。ヨルダン川西岸地区はパレスチナ自治政府の様々な機関が置かれており、首都がある。
西岸地区の総面積は5,660km²であり、以下に区分けされている。
・ A地区
・ パレスチナ政府が行政権など全てを握っている。面積は西岸地区のうち18%の約1,018km²である。
・ B地区
・ イスラエル軍が警察権を握っているが行政権はパレスチナ政府にある。面積は西岸地区の21%の約1,188km²である。
・ C地区
・ イスラエル軍が行政権など全てを握っている。面積は西岸地区の61%で約3,452km²である。
また、イスラエルは、西岸地区をユダヤ・サマリア地区と呼んでいる。
パレスチナ国は領有を主張する国土に16の県(ガザ地区に5、ヨルダン川西岸地区に11)を設置している。ただしイスラエルの実効支配下にある地域を含んでいるため、ヨルダン川西岸地区の県の多くの地域が統治下にはない。
○ 主要都市
● 国際関係
2024年6月3日時点で、193の国際連合加盟国中、145か国が国家承認しているであるイスラエルはパレスチナの国家としての地位を承認していない。
また、パレスチナを国家として承認していない国の中にも、2012年の国連総会でのパレスチナをオブザーバー国家に格上げする決議(A/RES/67/19)については、賛成した国もある。日本もそのひとつで、「将来の承認を予定した自治区」としてパレスチナ国を扱っており、経済支援や議員外交などを行っている。
◎ 2024年国家承認の加速
2023年10月7日にガザ地区を実効支配するハマースなどの武装組織が、イスラエル領において治安部隊要員(イスラエル国防軍兵、警察職員、シンベト要員など)と民間人を合わせて1,163人殺害し、245人以上を人質に取った。イスラエルはその報復として空爆と地上侵攻を行い、5月12日までにガザ地区では3万5千人以上が殺害され、推計1万人が瓦礫に埋もれたままとなった。そして、中東の和平における二国家解決の重要性が再認識され始めた。
2024年に入ると、カリブ海諸国のバルバドスとジャマイカが4月に、トリニダード・トバゴバハマ。
アイルランドのサイモン・ハリス首相は、パレスチナ国の国家承認が二国家解決へ道筋の重要なそして歴史的な一歩となるとし、正しいことをするのに間違ったタイミングはないと述べた。また、ハリス首相は、アイルランドは占領国イギリスのもとでパレスチナと似た歴史を経ていることからアイルランドとパレスチナ国を重ね合わせ、アイルランドの独立の際に、同国の国家としての特有のアイデンティティ、独立への困難な闘い、自決権、そして正義を自由主義諸国へ訴えたように、パレスチナの国家承認に際して同じ言葉を自由主義諸国へ訴えるとした。そして、「アイルランドはイスラエル国とその平和で安全に生存する権利を認めている。そして、パレスチナの人々も同等の権利を持たなければならない」と話し、「IRAがアイルランドの人々ではないことと同じように、ハマスはパレスチナの人々ではない」と注釈をつけた。また、3カ国以外のEU諸国と連絡と協議を続けている事も明かし、その他のEU諸国が3か国を追随することに「自信がある」とも述べた。一方で同様に承認予定と伝えられていたベルギーは、選挙が3週間後に控えている事もあり、今回の発表に加わらなかった。
2024年5月28日、スペイン、アイルランド、ノルウェーは、和平を促すことを狙い正式にパレスチナ国を国家として承認したことを発表した。
同年5月30日、EU加盟国でNATO加盟国であるスロベニア政府もパレスチナ国を正式承認する方針であると発表した。まだ国内での議会承認が必要だが、ロベルト・ゴロブ首相「これは平和のメッセージだ」と述べ、ガザ地区での戦闘の即時停止と人質全員の解放を訴えた。そして同年6月4日、臨時議会でパレスチナ国家を承認する動議について採決が行われ、90議席中52人の賛成により動議は可決された。ただし野党は現時点での承認は反対するとし投票をボイコットしたため、反対票はゼロだった、代理徴収していたパレスチナ国の税収のノルウェーを介した送金の停止、軍占領地の実権の多くを民間移譲することによる事実上の領土化、前哨地(イスラエル国内法でも違法な入植地)の公認、パレスチナ国政府職員のイスラエル通行ビザの剥奪、パレスチナ人私有地・未登記地の国有化宣言による没収など、かえって「パレスチナ国家の樹立を阻止するため」(スモトリッチ・イスラエル財務相兼国防省付大臣)の行動を加速させている。
ノルウェーは1993年に中立の立場でオスロ合意を手伝い、パレスチナ(PLO・パレスチナ自治政府・State of Palestine)とイスラエルの双方から信頼され、その後も税金の受け渡しの橋渡し役やパレスチナ支援調整委員会(AHLC)の議長を任されていたが、ノルウェーがパレスチナ国家を承認したことで、イスラエルはノルウェーを信頼しなくなった。
パレスチナからの働きかけに応えて国際社会がイスラエルに圧力をかけていることについて、イスラエルの国会(クネセト)は、ヨルダン川から西にあるすべての土地でのパレスチナ国家のいかなる形の樹立にも(イスラエル政府がパレスチナと取引した結果でも)反対する決議の中で「ヨルダン川より西にある土地にパレスチナ国家が樹立されると、すぐにハマスがパレスチナ国家を乗っ取るだろう。そして、このタイミングでパレスチナ国家を推進することは、テロリズムにテロの褒美を与えるようなものだ」と主張している。
◎ 国家承認している国
○ 国連加盟国
一覧は承認順に並んでいる。
・ ●NATO加盟国
・ ◎EU加盟国
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●◎
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●◎
●◎の活動に参加している。
1974年、パレスチナ解放機構(PLO)が国際連合総会オブザーバーの団体として認めれられ、国連での活動を開始。第1次インティファーダの最中だった1988年に。また、1988年の国連総会の決議A/RES/43/177で、国連の中ではPLOを「パレスチナ(Palestine)」と呼ぶことが決められた。
その後、2012年には、国連総会決議の採択により「パレスチナ国」としてオブザーバー国家に格上げされ、国連非加盟国として、国連総会から国家としての地位を事実上承認された。決議の採決では、193の加盟国中、日本を含む138か国が賛成し、反対は9か国、棄権は41か国、無投票は5か国だった。反対したのは、カナダ、チェコ、イスラエル、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、ナウル、パラオ、パナマ、アメリカ合衆国だった。反対はイスラエル、ミクロネシア連邦、ナウル、アメリカ合衆国の4か国で、棄権はカメルーンなど10か国、無投票はアフガニスタンなど7か国であった。賛成は101か国、反対は5か国、21カ国は棄権した。15の理事国のうち、日本を含む12か国が賛成し、反対はアメリカ合衆国の1か国、棄権はイギリスとスイスの2か国だった。
日本政府は、「パレスチナが国連加盟に係る要件を満たしているとの認識の下、中東和平の実現に向けて、和平交渉を通じた国家の樹立を促進する等の観点を含め、総合的に判断し、決議案に賛成した」と説明した。また、安保理における賛成と、日本国がパレスチナを国家として承認することは「別個の問題」であり、当事者間の交渉を通じた「二国家解決」を支持する日本の立場は変わっていないことを確認した。
○ パレスチナの国連加盟勧告案に反対しないよう安保理に要求する国連総会決議の採択
2024年5月10日、アラブ首長国連邦 (UAE) が、パレスチナ国の国連正式加盟を支持し安保理に加盟勧告決議案に賛成するよう再考を促す決議案を緊急特別総会において提出し、193加盟国のうち、賛成143か国、反対9か国の圧倒的多数で採択された。棄権は25か国だった。決議案にはパレスチナが国連憲章の定める加盟資格を満たしていると明記されており、パレスチナ国を国家承認していない、日本、フランス、韓国、スペイン、オーストラリア、エストニア、そしてノルウェー。アルゼンチン、ハンガリー、パプアニューギニアは、パレスチナを国家承認しているにもかかわらず、反対にまわった。それらの加盟国のうちチェコは、パレスチナの国連正式加盟や国連内での権利強化では平和と繁栄をもたらすことはできないと述べ、その前に2国間での協議などによる環境の下地整備の必要があると訴え、また安保理の加盟勧告の無いまま国連の手続きを「迂回して」総会の採決を行ったことに懸念を示し、反対票を投じたと説明した。
G7国においては、前述の通り日本とフランスが賛成にまわったほか、イギリス、ドイツ、カナダ、イタリアが棄権し、アメリカ合衆国の孤立が一層顕著になる形になった。国連総会は、パレスチナの国家としての存在を長らく支持して来たが、実際に正式加盟の是非について採決が取られたのはこれが初めてであった。
国連総会での拒否権を持っている国はなく、国連安保理での拒否権を持つアメリカ合衆国などの国が国連総会で反対票を投じても、それだけで否決されることはない。他の国連加盟国と同じ1票の価値があるだけだ。国連憲章の第4条にある通り、国連の正式加盟には、安保理による加盟勧告と、総会において投票国の3分の2以上の賛成が必要となるが、4月18日にアメリカ合衆国の拒否権行使によって加盟勧告案を否決した安保理に、協議を「差し戻す」形となった。また、この地域の持続的な平和はイスラエルの安全が保証された上での二国家解決によってのみ達成できると強調し、「我々のこの投票は、パレスチナの国家としての地位に反対していることを示しているわけではない」と話し、従来通りのアメリカ合衆国の立場である、「(パレスチナの)国家としての地位の承認は、当事者(イスラエルとパレスチナ)間の直接交渉によってのみもたらされる」と主張した。一方ロシアは、パレスチナは、今回国連で正式加盟することによって、75年前に既に正式加盟を果たしているイスラエルと同等の立場のもとに交渉の場に立てるとアメリカ合衆国の見解に反する意見を述べた、国連最大の分担金及び拠出金提供国であるアメリカ合衆国のその法を発動させないよう、決議案は細心の注意を払って文面が練られた。
◎ 日本との関係
● 国民
◎ 人口構成
2024年推計で約561万人(西岸地区:約333万人、ガザ地区:約223万人)であり、アラブ系のパレスチナ人が大半を占める。また、国連パレスチナ難民救済事業機関 (UNRWA) によると2021年時点でパレスチナ難民が約639万人(西岸108万人、ガザ164万人、ヨルダン246万人、シリア65万人、レバノン54万人)となる。
◎ 言語
アラビア語が公用語である。
◎ 宗教
イスラム教徒が9割以上(約92%)と多数を占める。次いでキリスト教が約7%で続く。
● 経済
パレスチナ中央統計局(PCBC)によると、主要産業はサービス業(20.4%)、小売業・貿易(18.3%)、公共・防衛(12.4%)、鉱工業・電気・水(12.1%)、農・漁業(6.5%)などで、輸出品はセメント、石灰岩、オリーブなど、輸入品は石油・石油製品、穀物、非金属鉱物製品などとなる。輸入先・輸出先はともにイスラエルが最大となるが、2021年度は約30億ドルの貿易赤字となっている。
経済成長率は4%程度となるが、物価上昇率は5%超、失業率は25%を超えている(2022年)。また、独自の通貨がなく、イスラエルの通貨である新シェケルが使用されている。そして、1995年のオスロ2合意では、ヨルダン川西岸地区とガザ地区には、パレスチナ警察とイスラエル軍以外には、いかなる軍隊も設立・活動してはならないことになっている。
1995年の自治合意後にパレスチナ警察が設置されたが、2000年のイスラエルとの軍事衝突により壊滅的な打撃を受けた。2005年にファタハ出身で大統領に就任したマフムード・アッバースは、国内の治安機関を内務庁・総合諜報局・の3機関に統合した。一方で、2007年に成立したガザ政府では別に治安部隊が設置された。2017年10月、ガザ政府を率いるハマースは保有する行政権限をパレスチナ国政府に委譲することで合意した。
パレスチナ自治政府の治安機関はイスラエル政府に協力して、2007年まではパレスチナ(東エルサレムを含むヨルダン川西岸とガザ地区)のうちイスラエルから権限が移譲された地域で、それ以降はそのうちガザ地区を除く地域で、パレスチナ人の取り締まりを行ってきた。ファタハ以外の政党は、パレスチナ治安機関をイスラエルの手先とみなして非難している。イスラエルは、パレスチナ自治政府はテロリストを十分に取り締まっていないと認識していて、不満を持っている。
● 治安
◎ 人権
● 文化
パレスチナ人の文化は、パレスチナの歴史的地域に存在してきた多様な文化や宗教の影響を受けている。パレスチナの文化的および言語的遺産は、アラビアの要素と、何千年にもわたってこの土地とその人々を支配するようになった外国文化の両方が融合したものである。
芸術、文学、音楽、衣装、料理の分野への文化的貢献は、パレスチナ領土のパレスチナ人、イスラエルのパレスチナ国民、ディアスポラのパレスチナ人の間で地理的に分離しているにもかかわらず、パレスチナ人のアイデンティティを表現している。
パレスチナ文化は、食べ物、踊り、伝説、歴史、ことわざ、ジョーク、俗信、習慣で構成されており、パレスチナ文化の伝統(口頭伝承を含む)を構成している。2023年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、「パレスチナ住民にとって、アイデンティティーや自尊心の表現でもある」とされる、結婚式などで大勢で踊られるレバントの伝統舞踊「ダブケ」のパレスチナ流派を無形文化遺産に登録した。ニムル・シルハン、ムーサ・アルーシュ、サリム・ムバイイドなどのパレスチナ知識人の間での民俗学者の復活は、イスラム以前の文化的ルーツを強調した。
◎ 食文化
パレスチナの料理は、パレスチナ地域に定住した文明の文化の拡散であり、特にアラブのウマイヤ朝の征服に始まり、最終的にはペルシアの影響を受けたアッバース朝、そしてトルコ料理の強い影響で終わるイスラム時代中およびその後に、その結果として生まれた。オスマン帝国の到来。レバノン料理、シリア料理、ヨルダン料理など、レバント料理に似ている。キリスト教徒のパレスチナ人によって開業された醸造所も存在し、パレスチナの醸造所の先駆けとなったタイベ醸造所は、マイクロブルワリーとしてホップが効いた苦みの強いビールが定評を得ているほか、地元産のブドウから醸造されたワインも生産されている。
◎ 世界遺産
◎ 祝祭日
● スポーツ
◎ サッカー
パレスチナ国内ではサッカーが最も人気のスポーツとなっており、ヨルダン川西岸地区には、2010年にプロリーグのウェストバンク・プレミアリーグが創設された。ガザ地区には、ガザ地区リーグが存在する。パレスチナサッカー協会(PFA)によって構成されるサッカーパレスチナ代表は、これまでFIFAワールドカップには未出場であるが、AFCアジアカップには2015年大会、2019年大会、2023年大会と3度の出場歴がある。
● 著名な出身者
「パレスチナ国」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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