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モルディブ共和国(モルディブきょうわこく、, )、通称モルディブは、インド洋上のモルディブ諸島を領土とする島国。インドとスリランカの南西に点在する1,192の島から構成される、2020年2月1日に再加盟した。
1988年11月3日、国内実業家の雇ったタミル・イーラム人民解放機構 (PLOTE) の傭兵部隊によるクーデターが勃発(1988年モルディブクーデター)。当時モルディブは軍を保有していなかったため、同日夜に輸送機によりインド軍が投入されて傭兵部隊は鎮圧された。
2004年、長期政権となっていたガユーム大統領と野党勢力の対立が続き、政治犯釈放を求めるデモが拡大し、非常事態宣言が出される。以後、政治の民主化改革が行われる。
同年12月26日、スマトラ島沖地震による津波の襲来を受け82名が死亡するなどの被害を受けた。
2007年9月29日、首都マーレで爆弾テロと見られる爆発があり、日本人2人を含む外国人観光客12人が負傷した。
2008年1月8日、北部のホアラフシ島で大統領暗殺未遂事件があり、15歳のボーイスカウトの少年が犯人を制止し、少年は腕を負傷した。
同年10月29日、民主化後初の大統領選挙が行われ、モハメド・ナシードが当選(11月11日就任)。ナシード大統領は2012年2月7日に辞任し、モハメド・ワヒード・ハサン副大統領が、大統領に昇格した。
2013年、大統領選挙により親中派のアブドゥラ・ヤミーン大統領が当選、ナシード前大統領は僅差で落選。ナシード前大統領は2015年2月に反テロ法違反の容疑で逮捕、懲役13年の判決を受ける。
同年9月28日、アブドゥラ・ヤミーン大統領暗殺未遂事件が発生した。
2018年9月23日、野党統一候補のイブラヒム・モハメド・ソリ(ソーリフ)が大統領選挙に勝利。その後もインドから橋や道路の建設費、2019新型コロナウイルスへの対策費などの支援を受けている。
2023年9月30日の大統領選挙では、モハメド・ムイズが当選し、ソリを破った。ムイズはヤミーン政権の住宅・インフラ担当閣僚やマレ市長を務め、汚職などの疑いで禁錮刑判決を受けて大統領選挙に出馬できなかったヤミーンの「代役」とする見方もある。
◎ ロシアへの半導体供給
2022年ロシアのウクライナ侵攻開始後、モルディブが対ロシア経済制裁の回避ルートとして使われており、ロシアにおける米国製半導体の輸入額はモルディブからが約75億円と香港を含む中国やトルコに次いで大きく、取引件数は2番目に多かったとの報道がなされた。
◎ 日本との関係
モルディブは独立の2年後、1967年に日本との国交を樹立している。その後長らく在スリランカ日本国大使館が在モルディブ日本国大使館としての業務を兼轄していたが、2016年にマーレに在モルディブ日本国大使館が開設され、同年7月には常駐としては初の在モルディブ日本国大使が着任した。一方、駐日モルディブ大使館は2007年に開設された。
1987年にはサイクロンによる高波でマーレの首都機能が麻痺したことから日本政府に緊急援助・災害対策支援の要請があり、これを受けて1987年から2002年までの15年間に計5回(1987年-1989年にかけて緊急事業としてマーレ島南部、1994年からは第1次:西岸、第2次:東岸、第3次:南岸、第4次:北岸)に分けて約75億円をかけてODAによる護岸堤建設が行われた。完成後の2004年にはスマトラ島沖地震による津波が襲来してマーレの約2/3が冠水したが、津波による死者は出なかった。
一方、2011年3月11日の東日本大震災に際しては、救援物資としてモルディブ政府からツナ缶8万6400個、市民が持ち寄った義援金700万ルフィア(約4,600万円)とツナ缶約60万個が送られている。市民が持ち寄った缶詰は、缶切りなしで開けられるよう同国内の加工業者がいったん引き取ってプルトップ缶に詰め替えた上で日本に送られた。
伝統的に政治的集団を結成する習慣が無かったため政党は存在しなかったが、アジア最長と呼ばれるガユーム政権の打倒のために2003年11月10日にモルディブ民主党(MDP)が結成された。これを契機にガユーム大統領が新党モルディブ人民党(DRP)を結成。その他にもモルディブ進歩党(PPM)や共和党といった中堅政党、更にはイスラム民主党や正義党といった小政党が続々と結成され、徐々に政党政治へと移行しつつある(政党の一覧は「モルディブの政党」を参照)。
2008年8月7日には基本的人権や言論の自由、複数政党制などを初めてうたった新憲法が制定された。そして10月8日、複数政党制の下での初めての大統領選挙が行われたが、過半数を得票した候補がおらず、1位のガユーム大統領と2位のモルディブ民主党のナシード元総裁で決選投票が行われることになった。10月29日に決選投票の結果が発表され、ナシードが当選した。また、2009年には国民議会議員選挙も行われ、モルディブ民主党が第1党となった。
2013年の大統領選挙では、前年に大統領を辞任したナシードがアブドゥラ・ヤミーンと争った。選挙はナシードが勝利するが最高裁判所の判断で選挙結果は無効とされ、再度行われた投票+では51.3%を獲得し、ヤミーンがナシードを破り大統領に当選した。ヤミーン就任直後からナシードやガユームなど野党有力者を相次いで逮捕するなど、強権的な手法で反対派を押さえ込んでいる。
ヤミーンは、歴代政権が採ってきた親インド政策から距離を置き、中国に接近。2015年には二国間で自由貿易協定を締結するなど経済関係を強化した。また、多額の資金供与を引き出してインフラ建設に乗り出した。
2018年2月1日、最高裁判所は政治犯9人の釈放と、議員資格が停止中の野党議員ら12人の復権命令を発令した。しかしこれをヤミーン大統領が拒否し、抗議活動が活発になったため2月5日には15日間の非常事態宣言を発令した。その後、6日に最高裁は命令を撤回した。
2018年9月23日、大統領選挙が行われ、ヤミーンは露骨に介入を行った。しかし、結果としては野党候補のイブラヒム・ソリが当選。24日にヤミーンが結果を受け入れる声明を発表したため、政権交代は平和裡に行われた。
海面上昇対策として、国土を盛り土して水没を防ぐ、移住先となる人工島の造成、海上都市の建設など様々なプランが検討されている。実際にフルレ島の北北東に人工島「フルマーレ」の造成が進んでおり、最終的に国民の40%が移住する予定である。
◎ 野生動物
● 経済
かつては後発開発途上国(いわゆる最貧国)の一つであった(2011年、経済成長により指定解除)。日本国外務省のウェブサイトによると、2016年のモルディブの名目GDPは42.24億ドル。一人当たりの名目GDP15,097ドル(2022年)はロシアやチリに近い値で、南アジアでは最も高い。
主産業は漁業と観光業。観光部門がGDPの約3分の1を占めており、最大の外貨獲得源でもある。
人口を上回る数の観光客が訪れており1999年には年間43万人、2019年には年間170万人を超えた。観光客は中国、インド、ヨーロッパ、北米など、全世界から訪れられている。またそれに伴い観光業は雇用も生み出しており1999年にはモルディブの就業人口の14%を占めている。
基本的に1つの島に1つのホテルが存在する形式で、ホテルによって滞在する島を選択することになる(リゾートアイランド)。各島への移動はドーニーと呼ばれる木製のボートが使用されるが、高速艇(いわゆるモーターボート)や水上機も使用される。
外国人は特別に許可された場合を除いて観光が許可されている島以外には入ることができない。
◎ 労働力
失業率4.9%(2020年)。
● 文化
旧国歌『ガオミィ サラーム』は『蛍の光』と同じ曲、つまり、スコットランド民謡『オールド・ラング・サイン』の旋律を用いた曲であった。
◎ 祝祭日
7月26日 独立記念日
11月11日 共和国記念日
ナショナルデー ヒジュラ暦第3月1日
ムハンマド生誕祭 ヒジュラ暦第3月12日
断食月明けの祭 ヒジュラ暦第10月1日より3日間
犠牲祭 ヒジュラ暦第12月10日より通常5日から7日間
● スポーツ
◎ サッカー
モルディブ国内ではサッカーが最も人気のスポーツとなっており、2014年にプロサッカーリーグのが創設された。また、モルディブサッカー協会(FAM)によって構成されるサッカーモルディブ代表もあり、首都・マレにあるガロル国立競技場をホームスタジアムとしている。
◎ クリケット
クリケットは他の南アジア諸国同様に高い人気がある。1880年頃にイギリス領セイロンからクリケットの一種が伝わり、1920年頃に正式なクリケットのルールが導入された。代表チームはとがある。
● 著名な出身者
「モルディブ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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