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蒲鉾(かまぼこ)は、魚肉のすり身を成形して加熱した魚肉練り製品の一種。広義の蒲鉾には、蒸しかまぼこ、焼抜きかまぼこ、ちくわ、風味かまぼこ、ゆでかまぼこ(はんぺんや鳴門巻きなど)、揚げかまぼこ(薩摩揚げなど)がある。製法により、杉などの小板に半円筒形に、いわゆる蒲鉾型に盛り付けた「板蒲鉾」、麦わらなどに巻き付けた「(簀)巻蒲鉾」、薄く削った蒲鉾を乾燥させた「削り蒲鉾」などがある。
原料魚は主にスケトウダラ(スケソウダラ)、イワシ、イトヨリダイ、イシモチ(グチ)、タチウオ、ハモ、エソ、ヨシキリザメなどで蒲鉾の種類により原料魚も多少異なる。地域性のある食材で各地で地魚の特性を利用した蒲鉾製品が作られてきた。蒲鉾の歯応えは「足(あし)」と呼ばれ、蒲鉾の商品価値を左右する。この「足」は、魚肉の筋原繊維を構成するミオシンのS-S結合(ジスルフィド結合)が関与している。また歯ごたえを出すために、多くの蒲鉾では澱粉などの添加も行われる。
かまぼこの種類やパッケージ(包装)の種類にもよるが、一般に、魚肉練り製品は細菌、カビなどで腐敗しやすい。たいてい冷蔵保存が指定されていて、表示されている保存期間は1~2週間程度のものが多く、長くてもせいぜい3週間で。この最初期の蒲鉾は現在のような海水魚ではなく、主に淡水魚のナマズを原料としていた。竹を抜き去ると現在の竹輪の形になる。後に板の上に成形した「板蒲鉾」が登場し、区別のために「竹輪蒲鉾」と呼び分けていたが、元祖の方は「蒲鉾」が脱落して単に「ちくわ」となり、板蒲鉾の方は逆に板が外れて「蒲鉾」になった。平安時代の『類聚雑要抄』には、藤原忠実が永久3年(1115年)に転居祝いに宴会を開いた時の串を刺した蒲鉾が載っている。これを確認できる最古の文献上の蒲鉾であるとして、業界団体がその数字をとって11月15日を蒲鉾の日としている。
白身の魚は高価であり、蒲鉾もご馳走と考えられた。時に贈答品として用いられ、御節料理にも利用される。豊臣秀頼の大好物であったと伝えられ、本能寺での織田信長の最後の晩餐にも供された。なお、蒲鉾が商品として販売されるようになったのは江戸時代以降、食品工業的な生産が行われるのは明治以降とされる。なお、日本農林規格には「特殊包装かまぼこ類」(1974年(昭和49年)10月〜2005年(平成17年)5月)と「風味かまぼこ」(1990年(平成2年)5月〜2005年(平成17年)5月)の規格もあったが、これらの日本農林規格は廃止されており、その後品質表示基準についても見直しが行われた。
蒸しかまぼこ類:練りつぶし魚肉又はこれに種ものを加えた物を成形し、蒸煮してたんぱくを凝固させた製品を言う。さらに蒸しかまぼこ、板付きかまぼこ(小田原かまぼこなど)、蒸焼きかまぼこ(焼板かまぼこなど)、蒸しちくわに分類される。
● 製法
いずれの水産練り製品も「魚肉を塩とともにすり潰して成形し加熱する」という基本工程は、ほぼ同じである。
◇ 簀巻き蒲鉾
: 中国・四国地方に多く見られる、すり身を麦わらで巻き付けて蒸して作った板無しの蒲鉾。製法は、笹形の木枠あるいは鉄製枠にすり身を入れておおよそを成型し、贈答品などではその後手で細かな成形をする工程を入れて、竹串に刺して焼いて作られる。
: 現在みられる笹蒲鉾の起源は、はっきりとはわかっていない。一説では、明治時代に仙台湾でヒラメの大漁が続いた。しかし当時の輸送力、保存設備は不十分であり、大量のヒラメは持て余された。そこで味も良く保存の利く調理法として、ヒラメのすり身を平らにしそれを串に刺して焼くという方法が考案されたという。当時、これは「手のひらかまぼこ」「木の葉かまぼこ」「べろかまぼこ」などと呼ばれた。戦後になって、蒲鉾の形が笹の葉に似ていることや、仙台藩主だった伊達氏の家紋「竹に雀」に笹が描かれていることから、「笹かまぼこ」の名称が使われるようになった。1972年(昭和47年)に「笹かま」は商標登録され、宮城県内のかまぼこ業者がこれを使えるとされた。
: 特定第3種漁港(全国的重要漁港)を擁する気仙沼市・石巻市・塩竈市を始め、宮城県には高政や鐘崎など笹蒲鉾を主力とする水産物加工会社が軒を連ねており、蒲鉾の消費量・生産量共に日本一となっている。
◎ 風味かまぼこ
練りつぶし魚肉を細断して繊維状にした物。又はこれを棒状等に成形し、加熱してたんぱくを凝固させた物。その形状・香味及び食感がかに肉、ほたて貝柱等に類似した物を言う。
◎ 特殊包装かまぼこ
練りつぶし魚肉またはこれに種ものを加えたものをケーシングに充填し、またはフィルムで包装した後、加熱してたんぱくを凝固させた製品を言う。
・ ケーシング詰かまぼこ - 練りつぶし魚肉をケーシング(肉をつめる袋)に充填し、密封した後、加熱した製品。
紅白の蒲鉾を「紅白は縁起が良い」とか「見栄えがする」としておせちに入れることも多い。ただし、おせちに入れる食品というのは一般に味を濃くしたり酢を加えるなどして「日もち」のする状態にしたもの(保存性が良いもの)が選ばれ、数日に分けて食べられることがしばしばなので、そこに蒲鉾を開封して切ってしまった状態で入れると、例外的にとびぬけて「日もちのしないもの」になってしまうので、他の食品と同じように見なすのではなく、蒲鉾だけは別扱いして、1日目(元日)に食べきることが勧められる。
近年では、すり身を加工した、テリーヌ風の蒲鉾が存在する。
● 各地の蒲鉾
・ 北海道
・ たつのかまぼこ(たちのかまぼこ) - タラの白子を使用した蒲鉾
・ 福島県 - 県内ではいわき市が蒲鉾の生産量が盛ん
・ 神奈川県
・小田原蒲鉾 -->、祝儀用細工蒲鉾
・ 福井県
・ 味醂焼き蒲鉾。
・ 大相撲の隠語における「蒲鉾」とは、稽古をさぼること、1件の相撲部屋に原則1つしかない土俵での稽古に名乗り出ることを積極的にしないことを意味する。土俵に上がらず稽古場の板塀にもたれたまま休んでいる様子を、「背中が板に張り付いている」蒲鉾に例えている。
・ 俗に言う「かまとと(カマトト)」または「かまとと振り」とは「蒲鉾のことを『これは魚(とと)か』と聞く」ということから、無知・世間知らずを装ってかわいらしく見せる人(特に女性)を指す。江戸時代に遊女が世間知らずを装うため、蒲鉾を指して「これが魚なのか」と問うたことに由来するとされる。
● 参考画像
「蒲鉾」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年11月9日21時(日本時間)現在での最新版を取得
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