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英彦山(ひこさん)は、旧豊前国である福岡県田川郡添田町と大分県中津市山国町にまたがる標高1,199mの山である。耶馬日田英彦山国定公園の一部をなす。日本百景・日本二百名山の一つ。また、弥彦山(新潟県)・雪彦山(兵庫県)とともに日本三彦山に数えられる。国の史跡に指定されている。「日本三大修験山」のひとつと言われ、英彦山神宮の神体山。
● 概要
北岳・中岳・南岳の3つの峰があり、最高点は南岳 (1,199m) にある。
福岡県内では、大分県日田市との境にある釈迦岳 (1,230m) 、八女市にある御前岳 (1,209m) に次いで3番目に標高が高い。山域は福岡県と大分県の県境未確定地域となっている。
もとは「彦山」との表記であったが、1729年(享保14年)、霊元法皇の院宣により「英」の字をつけたという。
山の中腹720m近辺に英彦山神宮奉幣殿があり、多くの参拝客が訪れる。中岳山頂には上津宮がある。2005年(平成17年)10月には、英彦山神宮へ続く参道沿いに、参道起点の銅の鳥居横から英彦山花公園を経由して参道終点の英彦山神宮奉幣殿へ至る全長849mのスロープカーが完成し、英彦山神宮奉幣殿まで約15分で行けるようになった。
北岳の北東にある、石段と鎖付き岩壁で辿り着く「望雲台」と呼ばれる切り立った足場30cmの岩壁は、下界に広がる森林から突き出た鷹ノ巣山が望めるなど眺望が素晴らしく、自己責任で登るロッククライミングの名所となっている。本来山伏の修行場であった。
麓にある深倉峡は紅葉の名所である。深倉峡の奥の深倉園地にある奇岩「男魂岩(おとこいわ)」と、谷を隔てて対峙する「女岩」とは巨大なしめ縄で結ばれており、毎年11月に「男魂祭」が催される。
旧亀石坊庭園など「英彦山庭園群」の一部は国指定名勝に指定されている。
● 歴史
山麓にある今川源流部では、縄文時代前期から後期にかけての狩猟用落とし穴遺構や集落跡が存在する など、英彦山における人間の定住の歴史は古い。福岡県下では珍しく、直線距離にして1500km程度離れている新潟県糸魚川から持ち込まれた、縄文時代後期に属する硬玉製大珠も見つかっており。その説によれば、巌流島の決闘自体が、宮本武蔵を利用して当主である小次郎を殺害させることによる、細川氏の豊前佐々木氏弱体化工作であったという。
山伏集落についての詳細は不明であったが平成27年、添田町が行ったレーザー測量によって集落跡地とみられる場所を複数個所、確認した。「英彦山三千 八百坊」と言われていたが測量結果から800箇所・三千人規模の集落があったと推測される。
● 逸話
・彦山豊前坊という天狗が住むという伝承がある。豊前坊大天狗は九州の天狗の頭領であり、信仰心篤い者を助け、不心得者には罰を下すと言われている。
・英彦山豊前坊の伝説をもとに、近隣の航空自衛隊築城基地で編成された第304飛行隊の機体マークとして天狗がデザインされた。「天狗の如く山河を超え、鎮西の空を飛翔することの象徴」として、当時の基地司令のアイデアによるものとされている。
・英彦山北東に建てられている高住神社には御神木・天狗杉が祀られている。また古くからの修験道の霊地で、全盛期には多くの山伏が修行に明け暮れた。
・2014年6月30日、数日前に英彦山を研修で訪れていた柳川高等学校の女子生徒計26人が、校内で集団パニックに陥り、霊に取り付かれたのではないかとの噂がインターネットで流れた。
「英彦山」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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