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天城山(あまぎさん)は、静岡県の伊豆半島中央部の東西に広がる山。天城山は連山の総称で、天城連山や天城山脈と称されることもある。日本百名山の一つ。
伊豆半島最高峰の万三郎岳(ばんざぶろうだけ 1,406m)、万二郎岳(ばんじろうだけ 1,299m)、遠笠山(とおがさやま 1,197m)等の山々から構成される。東西の山稜部は富士箱根伊豆国立公園に指定されている。
● 概要
天城山は第四紀の成層火山。80万〜20万年前の噴火で形成され、火山活動を終え浸食が進み現在の形になった。かつての山頂は浸食が深い南側にあったと考えられている。遠笠山も含めて天城山とすることが多いが、火山学上では伊豆東部火山群に属し、天城山が活動を終えてからできた火山地形である。また、万三郎岳の西に位置する皮子平火口がおよそ3200年前に噴火し、北麓にかけてなだらかな斜面が形成されているが、これも伊豆東部火山群の活動に分類される。
● 山名の由来
気候の節で述べたように天城山は多雨地帯であり、「雨木」という語が由来であるとする説がある。また、
葉に多くの糖分が含まれているアマギアマチャ(天城甘茶 学名: Hydrangea macrophylla var.amagiana)という、ヤマアジサイに近い種類の植物があり、日本国内にはこの葉を乾燥して甘茶をつくり薬用や仏事に用いる風習が残る地方がある。そのアマギアマチャが伊豆の山地に多く自生しており、かつて天城山周辺の住民にも同様の風習があったために天城山の名になったのではないかという説もある。アメダス地点の平年値(1991年-2020年)は4,552.mmであり、気象庁の観測地点としては屋久島(鹿児島県)4,651.mm、えびの(宮崎県)4,625mmに次ぎ、国内第3位の降水量である。また、冬季には積雪することも珍しくない。
● 歴史
近世には徳川幕府の天領として天城山を韮山代官が管理してきた。山中のヒノキ・スギ・アカマツ・サワラ・クス・ケヤキ・カシ・モミ・ツガの9種は制木とされ(天城の九制木)、公用以外は伐採が禁じられていた。
静岡県の安倍川上流の有東木地区よりワサビ栽培が伝えられ、茶、シイタケと並ぶ豆駿遠三国の主要な特産物として、江戸でも流通し17世紀後半代には年貢としても納入されていた。明治期には畳石栽培が生まれ、現在では一大産地となり天城のワサビは最高級ブランドとなっている。また、これも明治期に天城湯ヶ島地区にてシイタケの栽培法が確立し、一帯では現在でもシイタケの栽培が盛んである。
・ 1907年(明治40年)、天城山の西側には下田街道が通り、天城峠は伊豆半島の交通の難所であったため、天城トンネルが掘られた。後に川端康成などの有名な小説に登場したためにトンネルは観光スポットとなっている。1970年(昭和45年)には自動車時代に適応した新天城トンネルが完成した。
・ 1955年(昭和30年)3月15日、富士箱根国立公園に、天城山を含む伊豆半島地域が編入され、現在の富士箱根伊豆国立公園に名称が変更された。
・ 1957年(昭和32年)12月10日、学習院大学の男子学生である大久保武道と、同級生女子の愛新覚羅慧生の2名が、大久保の所持していたピストルで頭部を撃ち抜いた状態の死体で発見された。女性が満州国皇帝の親族であることから、当時のマスコミ等で大きく報道された。この事件を天城山心中という。
・ 1958年(昭和33年)9月27日、狩野川台風が伊豆半島を襲い、天城山に猛烈な豪雨をもたらし、多くのがけ崩れや狩野川の氾濫を起こし多数の死者を出した。
・ 2012年(平成24年)5月3日、4時10分までの24時間に観測史上最大の649ミリの降水量を記録した。4月30日の降り始めから5月3日11時までの総雨量は789.0ミリだった。
● 主な地形と峠
とおかさやま 伊豆東部火山群のスコリア丘。
三等三角点 基準点名は、遠笠野。
山名は山容に由来する。
はんしろうたけ
うまのせ アセビが群生し、トンネル状になっている。
はなたて 万三郎岳との間にシャクナゲ群生地がある。
はんさふろうたけ 天城山の最高峰。一等三角点 基準点名は、万城岳。
かたせとうけ
こたけ
とつかとうけ 皮子平へ下る登山道。
かわこたいら 伊豆東部火山群の火口。
しらたとうけ 三等三角点 基準点名は、白田峠。
はつちよういけ
あまきとうけ 天城トンネルがある。
● 自然
◎ 植生
天城山の稜線にはブナ林があり、中にはブナの巨木もみられる。5月にはアマギシャクナゲ、6月にはアマギツツジの花が見頃になる
◇常緑広葉樹を主とする暖温帯林
・ カシ類
・ タブノキ
・ ヤブニッケイ
・ スダジイ
・ カゴノキ
・ イヌガシ
○ 標高600m以上の地帯
◇落葉広葉樹を主とする冷温帯林
・ ブナ。老木には珍しく幼木をそのまま巨大にしたような整った樹型が特徴。
:推定樹齢450年以上。
● 関連作品
・ 天城越え:石川さゆりの代表曲
・ 天城越え:松本清張の小説
・ 伊豆の踊子:川端康成の小説
・ 猟銃:井上靖の小説
・ ドラゴンヘッド:望月峯太郎の漫画
「天城山」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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