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鷲羽岳(わしばだけ)は、長野県大町市と富山県富山市にまたがる、北アルプスの標高2,924 mの山である。1934年(昭和9年)12月4日に中部山岳国立公園に指定され、山域はその特別保護地区になっている。また日本百名山にも選定されている。
北アルプスのほぼ中央部、黒部川の源流に位置する。「裏銀座」と呼ばれる飛騨山脈主稜線の縦走路上にあり、山の奥深い位置にあるため、登山道を利用して複数日かけて登頂されることが多い。山頂は森林限界のハイマツ帯で見晴らしが良く、飛騨山脈の大部分の山々を見渡すことができる。山の北側はデイサイト、南側は花崗閃緑岩から成る。
● 山名の歴史
現在の鷲羽岳は明治の登山黎明期までは東鷲羽岳あるいは龍池ヶ岳と呼ばれていて、現在の三俣蓮華岳 (2,841 m) が鷲羽岳であった。 特にこの現在の三俣蓮華岳付近は、加賀藩政時代は三国境としての重要さから詳細に調査されていた。
鷲羽池について、1810年(文化7年)の山廻り日記『文化七年 上奥山御境目廻リ 桐沢半六』には、「八月二日晴天(中略)鷲羽嶽江登、鷲ノ羽嶽頭 ニ而 方角(中略)鷲羽嶽ノ巳ノ方池有ル 此ノ池甚タ減水 ニ而 、水三分程有ル」と記されている。
1910年(明治43年)、日本山岳会の小島烏水と高頭仁兵衛が、上高地の上條嘉門次を案内人として信州方面から登山したとき、彼らにとってはこの山域は処女地であった。このとき三俣蓮華岳について越中側での呼び名を知らなかった案内人の嘉門次に、「飛騨の猟師が、この山で熊を射止めた。そうして熊の膽(キモ)のつもりで俗称蓮華膽(肝臓)を腹から引き出して喰ったので信州の猟師達が嘲笑って蓮華喰みの岳と言ったのを略して蓮華と呼んでいる」と説明されたのである。
当時の参謀本部陸地測量部の5万分の1地形図では、従来の越中側の山名を踏襲して現在の三俣蓮華岳が鷲羽岳と記されていた。そこで日本山岳会の面々は、陸地測量部に調査不十分であると地図の訂正を強く求めた。その結果、1930年(昭和5年)の修正版で改訂されて現在に至っている。
山名の由来は、三俣蓮華岳から眺めた鷲が羽ばたいている山容からきているとされている。
● 登山
1907年(明治40年)夏、志村烏嶺は飛騨山脈の最奥地、黒部川源流域の人跡未踏の深山を求め、高瀬渓谷から烏帽子岳に登り、現在のいわゆる裏銀座コースを縦走して鷲羽岳に初登頂を行った明治後半頃の『山岳』に載せられた紀行文には、随所に人跡未踏の山の初登頂や初縦走の話題で盛り上がっていた。
◎ 登山ルート
烏帽子岳から槍ヶ岳への裏銀座のルート上にあり、多数のルートがある。以下がその一例である。
・ 裏銀座(北方から):高瀬ダム - (ブナ立尾根) - 烏帽子岳 - 野口五郎岳 - 水晶小屋 - ワリモ岳 - 鷲羽岳
・ 読売新道:黒部ダム - 平ノ渡場 - (読売新道) - 赤牛岳 - 水晶岳 - 水晶小屋 - ワリモ岳 - 鷲羽岳
・ 折立より:折立 - 太郎平小屋 - 北ノ俣岳 - 黒部五郎小舎 - 黒部五郎岳 - 三俣蓮華岳 - 三俣山荘 - 鷲羽岳(三俣蓮華岳の北側山腹を巻くルートもある。太郎平小屋から薬師沢小屋と雲ノ平を経由するルートもある)
・ 新穂高岳温泉より:新穂高温泉 - (笠新道) - 双六小屋 - 双六岳 - 三俣蓮華岳 - 三俣山荘 - 鷲羽岳(笠新道の代わりに小池新道のルートもある。双六岳の東側山腹を巻くルートもある)
・ 裏銀座(南方から):槍ヶ岳 - (西鎌尾根) - 樅沢岳 - 双六小屋 - 双六岳 - 三俣蓮華岳 - 三俣山荘 - 鷲羽岳(槍ヶ岳へは、中房温泉からの表銀座、上高地や新穂高温泉などからの入山経路がある)
・三俣蓮華岳との鞍部にある三俣山荘と湯俣温泉を結ぶ伊藤新道は廃道になっている。
その後の調査で、紀元前2300年ごろに硫黄沢で、西暦紀元ごろに鷲羽池で、それぞれ大規模な水蒸気噴火が発生していたことが明らかとなった。
◎ 周辺の山
山容
名称
標高
(m)
三角点
等級
鷲羽岳との
距離 (km)
備考
水晶岳
2,986
(三等)
2977. 86
2.7
別名は黒岳
日本百名山
祖父岳
2,825
1.6
雲ノ平
ワリモ岳
2,888
0.6
鷲羽岳
2,924. 35
三等
0
鷲羽池
日本百名山
三俣蓮華岳
2,841. 37
三等
2.1
三県境(富山・岐阜・長野)
日本三百名山
双六岳
2,860. 42
二等
3.8
黒部五郎岳
2,839. 67
三等
6.0
別名は中ノ俣岳
日本百名山
槍ヶ岳
3,180
7.8
日本百名山
◎ 源流の河川
以下の源流となる河川は日本海へ流れる。鷲羽岳と三俣蓮華岳との鞍部が黒部川と高瀬川との分水嶺となっている。
・ 黒部川の源流部
・ 湯俣川とワリモ沢(高瀬川の支流)
● 山容と風景
「鷲羽岳」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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