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岩手山(いわてさん)は、岩手県の北西部にある、二つの外輪山からなる標高2,038mの成層火山。南部富士などの異称をもつ。日本百名山に選定されている。
● 概要
東西約13kmにわたる25個の小火山の総称で「岩手火山群」と呼ばれる。代表的な山に小畚山、大松倉山、姥倉山、黒倉山、鬼ヶ城、薬師岳、鞍掛山などがある。山頂には一等三角点『岩手山』(重点整備点)が設置されている。人工地震による観測の結果、山頂下と三ッ石山の下にはマグマ溜まりが存在していると考えられる。約30万年前以降現在までに大規模な山体崩壊を7回発生させており、その都度1-2万年ほどの噴火活動が継続することによって円錐状の山体を再生させ、休止期に入るという活動サイクルを繰り返していると考えられている。最新の山体崩壊は、大規模なものでは約7千年前の平笠岩屑なだれ、小規模なものでは13-16世紀ごろに発生したと推定される一本木原岩屑なだれとなっている。
◎ 焼走り熔岩流
国の特別天然記念物・焼走り熔岩流があり、周辺には国有林の焼走り自然観察教育林がある。
◎ 火山活動史
・ 1686年(貞享3年) - 噴火により溶岩流や泥流が発生する。家屋破損等の被害。
● 観測と防災
火山噴火予知連絡会によって火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山に選定されている。1998年に、活動が活発化し気象庁が臨時火山情報を出したことから、火山活動の災害対策が一斉に進められた。国、県、地元自治体が連携して、ハザードマップや防災ガイドラインを取りまとめている。
● 文学
◎ 古典文学
ものを伝えられない思いに「言わで」を掛けて、「いはての山」が使われた。
・ 思へともいはての山に年をへて くちやはてなん谷のうもれ木 (千載和歌集)
・ 人しれぬ涙の川のみなかみは いはての山のたにのしたみづ (千載和歌集)
・ 知られじな 絶えず心に かかるとも 岩手の山の 峰の白雪 (続古今和歌集)
◎ 近代文学
・ ふるさとの山に向ひて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな (石川啄木)
・ 岩手山 秋はふもとの三方の 野に満つる虫を何と聴くらむ (石川啄木)
・ 神無月岩手の山の初雪の 眉に迫りし朝を思ひぬ (石川啄木)
・ 風さむき岩手の山にわれらいま校歌をうたふ先生もうたふ (宮沢賢治)
・ ここにして岩鷲山のひむかしの岩手の国は傾きて見ゆ (平福百穂)
・ 岩手山 空の散乱反射のなかに 古ぼけて黒くえぐるもの ひしめく微塵の深みの底に きたなくしろく澱むもの(宮沢賢治)
・ 『岩手山の肩』(高村光太郎)
● 登山
八幡平市、滝沢市、雫石町からの登山ルートが存在する。火山活動の活発化に伴い長らく入山規制が行われてきたが、2004年7月1日に解除された。その後、2024年10月2日に岩手山の噴火警戒レベルがレベル2に引き上げられたことで、岩手山の全登山道で入山規制が行われている。
● 周辺
・ 岩手山の東部には盛岡市が広がる。人口密度は高く、高速道路、新幹線などの交通機関も密集する。
・ 岩手山の西部には、地熱発電所が2ヶ所(松川地熱発電所、葛根田地熱発電所)立地している。
● 関連画像
「岩手山」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年10月12日15時(日本時間)現在での最新版を取得
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