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幌尻岳(ぽろしりだけ)は、北海道日高振興局の沙流郡平取町と新冠郡新冠町にまたがる標高2,052 mの山。日高山脈の主峰であるが、その主稜線からはやや西側に外れた位置にある。日高山脈襟裳十勝国立公園に含まれ、山頂には二等三角点(点名「幌尻」)がある。
深田久弥による『日本百名山』に選定されている。山名はアイヌ語で「Poro(大きい)sir(山)」を意味する。
● 概要
1300万年前の造山活動で生じた。山体上部には第四紀の氷期に形成されたカールが認められ、2007年、「幌尻岳の七つ沼カール」として日本の地質百選に選定された。ナキウサギ、クマゲラなどが生息している。
平取町の二風谷地域などでは遠くから目立つ道しるべ的役割を果たしていたため、古くからカムイとして祀られていた。
標高は従来2,052 mとされていたが、2008年(平成20年)、国土地理院により2,053 mに改定が最も一般的に利用されているが、多数の渡渉を繰り返す難易度の高いルートであるため、幌尻岳が「日本百名山の中で最難関の山」といわれることがある。平取町では、上級者以外の登山者も安全に通行できるルートを新たに開くことを検討していたが、2019年に調査を行った結果、渡渉を回避するルートの新設はきわめて困難であることが判明し、計画を断念している。
◎ 平取町側ルート(振内コース)
平取町豊糠地区にある町営宿泊施設「とよぬか山荘」より、同町が運行するシャトルバスを利用し、糠平・幌尻林道の第2ゲートまで移動する。同林道はかつては自家用車でも通行できたが、2010年(平成22年)、日高北部森林管理署が通行止めにしていたチロロ林道を無断通行してヌカビラ岳に入山した登山者が遭難した事故を契機に、糠平・幌尻林道では翌2011年よりシャトルバスの運行が開始され一般車両は乗り入れ不可となった。シャトルバスは予約が必要なほか、悪天候などの場合は運行を取り止めることがあるため、沢登りの装備が必要ほか、滑落・転倒して負傷した登山者、また道迷いや行方不明者も発生している。幌尻山荘から分岐して中戸蔦別岳・戸蔦別岳を経由するコースもある。
このルートは日帰りでの往復は困難なため、途中で幌尻山荘に宿泊することが一般的である。山荘は平取町の所有で、木造2階建て、収容人数約45人。
◎ 新冠町側ルート(幌尻岳新冠陽希コース)
新冠町の新冠林道奥にある山小屋「イドンナップ山荘」からスタートし、奥新冠発電所手前で分岐する林道を新冠川沿いに東進、奥新冠ダムを経由して、山小屋「新冠ポロシリ山荘」まで歩く。山荘から登山道に入り、新冠側支流の幌尻沢沿いに北上した後、尾根に取り付いて山頂に至る。イドンナップ山荘から山頂までの一般的な所要時間は9 - 10時間である。
平取町側と違い徒渉箇所が少なく、天候に左右されにくいルートであるが、登山道に入る前にイドンナップ山荘から新冠ポロシリ山荘までの林道を長時間(約19 km, 約5 - 6時間。本ルートは2017年7月8日にプロアドベンチャーレーサー田中陽希により「幌尻岳新冠陽希コース」と命名されたが、田中が2014年に日本百名山を人力で連続踏破した際にこのルートを通行していることから、他の登山者にも自転車などを使わず自分の足で歩くことを呼びかけることが命名の趣旨にある。
新冠ポロシリ山荘とイドンナップ山荘は地元の新冠ポロシリ山岳会が管理している。ともに避難小屋であり、管理人は常駐していない。食事や寝具などの提供もない。非常時以外の野営は不可。このルートの途中に山小屋はないため、途中で野営するのが一般的であるが、野営に適した場所は少ない。日帰りで登頂するトレイルランナーもいる。
「幌尻岳」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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