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サロベツ原野(サロベツげんや)は、北海道北部(道北)にある豊富町と幌延町の海岸線沿いに広がる湿原である。
● 概要
宗谷丘陵南西側に位置する湿原であり泥炭地。独特の植生が豊富に見られることから、一部の区域は特にサロベツ原生花園と呼ばれることもある。東西8km、南北27kmで、面積は216平方kmにも及ぶ広大な湿原である。
上サロベツ原野と下サロベツ原野に分かれ、後者は利尻礼文サロベツ国立公園の特別保護地区であり、ペンケ沼、パンケ沼といった沼地が点在する。泥炭性の低湿地であり、海岸砂丘とその背後にある宗谷丘陵によって阻まれた潟湖が、泥炭による長い堆積作用によって形成された。日本国内の泥炭地としては石狩平野や釧路平野に次ぐ広さである。
地元の主産業は酪農で昭和30年代に畑作からの転換が進んだ」もしくは「サ ラ オマッペッ(サロマペッ)」、「サ ラ ペッ」に由来し、いずれも「芦原・にある・川」の意である。
● 湖沼
・ 長沼
・ パンケ沼
・ ペンケ沼
・ 兜沼
● 植生・植物相
その種類は100種以上にも及び、以下の花が初夏〜初秋にかけて見られる。
・ 5月 ミズバショウ、エゾノリュウキンカ、ショウジョウバカマ、ハクサンチドリ、ミツガシワ、
・ 6月 クロユリ、ヒメシャクナゲ、ワタスゲ、カキツバタ、ヒオウギアヤメ、ツルコケモモ、エゾイソツツジ(イソツツジの仲間)
・ 7月 エゾカンゾウ、エゾスカシユリ、トキソウ、モウセンゴケ、エゾノヒツジグサ(ヒツジグサの亜種)
・ 8月 サワギキョウ、ジュンサイ、ネジバナ、エゾミソハギ、ノリウツギ
・ 9月 エゾリンドウ、ホロムイリンドウ、アキノキリンソウ
● 動物
以下のような動物が見られる。
・ 哺乳類 - エゾリス、エゾシマリス、エゾヤチネズミ、トウキョウトガリネズミ、エゾクロテン、エゾモモンガ、エゾユキウサギ、エゾシカ、キタキツネ、
・ 爬虫類・両生類 - コモチカナヘビ、エゾアカガエル
・ 鳥類 - オジロワシ、オオワシ、トビ、ハヤブサ、エゾフクロウ、オオヒシクイ、オナガガモ、ミコアイサ、オオハクチョウ、コハクチョウ、タンチョウ、アオサギ、キマユツメナガセキレイ、オオルリ、ノゴマ、ノビタキ、シマアオジ、カワセミ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、コガラ、アカゲラ、アカエリカイツブリ、ウグイス、スズメ、ハシブトガラス、ハシボソガラス
・ 魚類・水中生物 - イトウ、テツギョ、ヤマトシジミ
・ 昆虫 - 、
● 乾燥化の進行と自然保護
酪農の発展に伴う農地整備に伴い、乾燥化が進行し、クマザサなど乾燥性の植物が外部から侵入してきている。また、農地化に伴う泥炭地からの放水路の開削などに伴い、湿原の水位も低下してきている。
湿原保護の機運が高まり、放水路への地下水の流出を防ぐ取り組みが、地元や国の連携下、実施されるようになった。
自然再生事業が盛んに取り組まれているが、泥炭の形成は1年間に1mmという非常にゆっくりとしたものであり、湿原の再生には長期間を要する。
2020年には日本野鳥の会とNPO法人サロベツ・エコ・ネットワーク(豊富町)がシマアオジ保護地として原野のうち14.8ヘクタールを購入した。
● サロベツ原野に関連する名称
◎ 愛称
・サロベツ - JR北海道が宗谷本線で運行する特急列車。詳細は同項目を参照。
◎ ゆかりのある楽曲
・ サロベツ慕情(1977年) - 都はるみ
・ サロベツ絶唱(1985年) - 朝川ひろこ
・ サロベツ原野の子守唄(2003年) - 長谷川千恵
・ サロベツ原野(2006年) - 鳥羽一郎
・ サロベツの風に吹かれながら - みのや雅彦
● 交通アクセス
・ 鉄道…JR宗谷本線下沼駅、豊富駅、兜沼駅下車
・バス…豊富駅発の予約制乗合バスあり。サロベツ線の路線バス (サロベツ湿原センター) は、2021年3月31日廃止。。
・タクシー・ハイヤー…豊富駅前及び幌延町市街に営業所がある。
・自転車…豊富駅に隣接した豊富町観光協会で自転車を借りることができる(有料)。
「サロベツ原野」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年10月7日22時(日本時間)現在での最新版を取得
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