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メノウ(瑪瑙、碼碯、アゲート、アゲット)は、縞状の玉髄の一種で、オパール(蛋白石)、石英、玉髄が、火成岩あるいは堆積岩の空洞中に層状に沈殿してできた、鉱物の変種である。

● 性質・特徴
主成分は SiO2(二酸化ケイ素)。比重は2.62-2.64、モース硬度は6.5-7。隠微晶質であるため、肉眼では結晶を認めることができず、非晶質のように見える。 しばしば中心部にすき間を残し、晶洞を形成していることがあり、またまれに液体・気体がそのすき間に存在することもある。

● 成分・種類

◇ 縞瑪瑙(しまめのう) :タマネギのように同心状に縞が成長したもの、平行に縞が成長したもの、レースのカーテンのように縞が成長したものなど、様々な縞瑪瑙が存在する。
◇ オニキス(、オニックス) : : 縞瑪瑙の中でも平行な縞状模様があるもの。蛋白石質と石英質の部分が交互に配列するため、縞状に見え、黒色と白色がきれいに層状になっているものは、古くからカメオ細工の材料として用いられている。縞を生かしたデザインにされる場合と、単色部分のみを用いたデザインにされる場合がある。単に縞瑪瑙とも呼ばれる。
◇ サードニクス(、サードニックス) : オニキスの一種で、縞目が紅色と白色に彩られていて美しいもの。紅縞瑪瑙とも呼ばれる。
◇ サンダーエッグ(雷の卵) : メノウや蛋白石、碧玉が満たされた、流紋岩等のノジュール(団塊)。アメリカのオレゴン州の先住民の伝説に由来している。アメリカのオレゴンとニューメキシコ州やドイツのザクセン州で産出したものが有名。
◇ 雨花石(うかせき、ユーファストーン) :南京近郊の川で採れるカラフルな模様石(主にメノウや碧玉)で、磨かなくともそのままの状態で美しい。かつて南京の雨花台で採れたことに由来している。乾燥時は白っぽいが、水に濡らすと透明感や色の鮮やかさが増す。
◇ 錦石(にしきいし) :青森県津軽地方で採れる、メノウや碧玉、珪化木などの磨くとツヤの出る美しい色彩の石。どのような石か、明確に定義されているわけではない。
◇ 苔瑪瑙(こけめのう、モスアゲート) : 緑泥石や鉄やマンガンの酸化物の内包により、緑や赤色等の苔状の模様が現れたもの。インドやハンガリーのマトラ山脈で産出したものが有名。
◇ 樹枝瑪瑙(、デンドリティックアゲート) : 鉄やマンガンの酸化物の内包により、黒や赤色等のシダ状の模様が現れたもの。石の中に0.何ミリという薄さで模様が入っているため、薄くカットされアクセサリー用に加工される。マダガスカルやインドのケン川で産出したものが有名。
◇ 羽毛瑪瑙(うもうめのう、プルームアゲート) : 鉄やマンガンの酸化物の内包により、黒や赤色等の羽毛や草花状の模様が現れたもの。樹枝瑪瑙とは異なり、模様にボリュームがある。アメリカのテキサス州、オレゴン州、カリフォルニア州で産出したものが有名。
◇ 針入り瑪瑙(はりいりめのう、セージナイトアゲート) :針鉄鉱や沸石、輝安鉱等の針状鉱物の内包により、針状の模様が現れたもの。模様だけを残し、メノウに置換しているもの(仮晶)も多い。アメリカのカリフォルニア州ニポモで産出したものが有名。
◇ チューブアゲート : 針状に伸びた針状鉱物や霰石、鉄やマンガンの酸化物を芯に、周囲を玉髄が覆い管状の模様が現れたもの。
◇ 虹瑪瑙(にじめのう、イリスアゲート) : 稀に透明度の高い縞瑪瑙の中に、薄くスライスして強い光を当てると虹が現れるものがある(細かい縞が回折格子の役割を果たすため) 。ギリシア神話に登場する虹の女神イリス(Iris)に由来している。ブラジル、アメリカ、アルゼンチンやメキシコでの産出が確認されている。
◇ ファイアーアゲート :葡萄状の玉髄を多層の薄膜状褐鉄鉱が覆うことにより、虹が現れたもの。メキシコとアメリカのアリゾナ州での産出が確認されている。人工的に処理された虹の無い赤いメノウ、クラブファイアーアゲート(スパイダーウェブ・カーネリアン)がよくファイアーアゲートの名で流通しているが、まったくの別物である。
◇ 水入りメノウ : 空洞中に液体の水が含まれるもの。中に含まれる水は、メノウが形成されたときの岩漿水であると言われることが多いが、必ずしもそうとは限らない。中の水は、多孔質の構造を通して蒸発しやすく、逆に長時間水中に浸けることで、人為的に水を入れることもできる。

● 産出地
メノウはありふれた鉱物で、世界各地で産する。特にメキシコ、アルゼンチンなどの南米や、ドイツ、オーストラリア、ボツワナ、ポーランド、チェコやイギリスのスコットランドのものはカラフルで、世界中のコレクターの間で人気がある。日本では青森県、石川県、群馬県、富山県、北海道などで産し、七宝のひとつに数えられている。

● 用途・加工法
メノウは、多孔質であるため、人工的に染色が可能であり、玉髄とともに、灰皿、置物、印鑑など、さまざまな工芸の彫刻材料として使われる。穴を開けた球状の縞瑪瑙に、ゴムや紐を通し、ジュエリーや数珠、ブレスレットやペンダントなどのアクセサリーとしても使われる。硬度が高いのを利用して、化学実験用の乳鉢などにも用いられている。また皮革の艶出し用のローラー素材として使われている。 国内における加工史としては、弥生時代後晩期の遺跡である平原遺跡において、瑪瑙製管玉が出土している(詳細は、「平原遺跡主な出土品」を参照)。

● 定義・由来
瑪瑙の名前は、石の外観が馬の脳に似ているためつけられた。事実、10世紀前半成立の『和名類聚抄』巻11「玉類」の項目では、メノウを「馬脳」と表記し、「俗音、女奈宇」と記述する。英語の は、ギリシャ語の に由来し、これはイタリア・シチリア島の同名の川(、現名はディリッロ川)でこの石がとられていたためである。 碧玉や玉髄などが層状になっているものがメノウであり、層状になっていない場合はメノウではない。例えばメノウの縞模様が見えない場合、メノウの一層だけを切り出した場合はすでにメノウではない。しかし宝飾業界ではあまり区別されず、碧玉や玉髄のことを「メノウ」と呼んだり、逆に例えば赤メノウを「カーネリアン」(紅玉髄)と呼んだりすることが多い(縞模様が見えないものがカーネリアンで、縞模様が見えるものは赤メノウである)。

● その他

・ 仏教の『無量寿経』では、七宝の一つとされる。
・ 中国人の好みであったためか、古墳時代後期の輸出品として、メノウの記録が残り、『新唐書』巻220の記述として、「永徽の初、孝徳が即位して白雉と年号を改めた。大きさ斗のような琥珀と五升の器のような瑪瑙(メノウ)を献じた」と記し、後代の『宋史』においても、「永徽5年(654年)、(日本が)使を遣して琥珀、瑪瑙を献ず」と再録している。
・ 島根県花仙山産のメノウを製作できるいずもまがたまの里 伝承館があったが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行にともない、2022年に閉館されている。

「メノウ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
2024年12月6日6時(日本時間)現在での最新版を取得

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