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「winter fall」(ウィンター・フォール)は、日本のロックバンド、L'Arc〜en〜Cielの8作目のシングル。1998年1月28日発売。発売元はKi/oon Sony Records。
● 解説
前作「虹」以来約3ヶ月ぶりとなるシングル。1998年2月に発売された5thアルバム『HEART』の先行シングルとなっている。また、本作はL'Arc〜en〜Cielにyukihiroが正式加入してから発表した初のシングルでもある。
本作の表題曲「winter fall」は、管楽器や弦楽器が大々的にフィーチャーされたウィンターソングとなっている。なお、この曲にはyukihiroが手掛けたブレイクビーツが採り入れられている。yukihiroは後年に受けたインタビューで、この曲のリズムアプローチについて「ちょうどエヴリシング・バット・ザ・ガールとかがちょっとドラムンベースっぽいアプローチしてて、"ああ、こういうふうにアプローチしたらハマるかな"と思ってやったのが"winter fall"なんですよ」と述べている。ちなみに「winter fall」というタイトルは、作詞者のhydeが考えた造語で、「winter(冬)」と「curtain fall(閉幕)」を組み合わせた、「冬の終わり」を意味するワードとなっている。そのため歌詞は、冬から春にかけての時期が舞台となっている。また、歌詞は、曲名の「冬の終わり」と「恋の終わり」がリンクしたシアトリカルなリリックに仕上げられており、ひとつの恋が冬とともに終わりを迎え、新しい季節を前に、主人公の心だけが冬に取り残されてしまうストーリーになっている。ちなみにこの曲は、前作「虹」や次作「DIVE TO BLUE」と合わせ、本作発売前の1997年に東京ドームで開催したライヴ「1997 REINCARNATION」で先行演奏されている。なお、この曲のプロデュースおよびアレンジには岡野ハジメ(ex.PINK)が参加している。岡野は『True』に収録された楽曲「Caress of Venus」と「"good-morning Hide"」で共同プロデュースおよび共同アレンジを担当しているが、L'Arc〜en〜Cielのシングル作品に関わるのは本作が初となった。そして本作以降、岡野は長きに渡りL'Arc〜en〜Cielの作品の制作に関わることとなり、hydeが岡野を指して「ラルクのもう1人のメンバー」と表現するほど、バンドに欠かせないプロデューサーになっている。(詳細は楽曲解説の項目を参照)
また、表題曲は後年に発表した「snow drop」とならび、L'Arc〜en〜Cielの楽曲の中で知名度の高いウィンターソングとなっており、本作発売から約12年後となる2010年12月24日にはテレビ朝日系列で放送された音楽番組『ミュージックステーション スーパーライブ 2010』において久々にテレビで披露されている。さらに、2021年12月24日にも同番組でこの曲を披露している。ちなみに、L'Arc〜en〜Cielが主催するライヴでは、ヒット作ということもあってか開催季節に関わらず頻繁に演奏されている。余談だが、2024年2月4日に放送されたTOKYO FM系ラジオ番組『SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記』において、パーソナリティーの草野マサムネ(スピッツ)が「冬の歌」という選曲テーマの中で「winter fall」を選曲している。草野は同番組において、「winter fall」を選んだ理由について「個人的に日本のロックの冬ソングで、パッってこう浮かんだ曲というのが、ラルクの「winter fall」という曲なんですけども。これ聴いてるとねなんか、90年代の冬の空気がね、蘇りますよね。なんかハイテクスニーカー履いた若者がちょっとこう、冬の街を歩いてるような光景が蘇るというかね。
また、カップリング曲には、新曲として「metropolis」が収められている。さらに、前々作「Lies and Truth」以来2作ぶりに、表題曲からhydeのボーカルトラックを抜き取ったインストバージョン「hydeless version」が収録されている。
なお、L'Arc〜en〜Cielはこのシングルの発売直後にアルバム『HEART』をリリースしているが、その後立て続けにシングルを発表している。結果的にL'Arc〜en〜Cielは、1998年の1年間で7作のシングルをリリースすることになる。このリリースラッシュについて、後年tetsuyaは「sakuraとの時代に4枚のアルバムを出してるんで、早く、1曲でも多く、yukihiroとの曲を増やしたいなっていう気持ちがどこかにあったと思うんですよね。『HEART』を出したあとに「Tour '98 ハートに火をつけろ」っていうツアーをやったんですけど、いまだにラルクの最大規模のツアーなんですよ。1回でも多くファンの前に出て新しい4人の印象を植え付けたかったし、3枚同時シングルを出したりして、早くこの4人が馴染むようにって」と述懐している。
● リリース
◎ リリース形態
本作は、通常盤(CD)の1形態でリリースされている。ちなみにフィジカルは、当時8cmシングルとして発表されていたが、2006年のシングル14作品再発企画において12cmシングルで再発売されている。
◎ チャート
発売初週となる1998年2月9日付のオリコン週間シングルチャートでは、L'Arc〜en〜Cielとして初の首位を獲得している。また、前作「虹」のヒットからの流れでのリリースということもあってか、初動・累計ともに前作を上回る売上枚数を記録している。
そして本作のフィジカルの売上枚数と、表題曲のダウンロード数を合わせると100万ポイント以上を売り上げており、ストリングスやブラスのサウンドを導入し華やかなアレンジを施した楽曲となっている。作曲を担当したken曰く、この曲を作り始めた時期が冬だったこともあり、「冬の海」「砂浜に打ち寄せる波、そんな雰囲気をイメージして書いた」と、この曲の印象について述べている。
:この曲の編曲作業には、アルバム『True』に収録された「Caress of Venus」と「"good-morning Hide"」で共同プロデュースおよび共同アレンジを担当した岡野ハジメ(ex.PINK)が参加している。この曲が岡野が共同プロデュースを手掛けた、最初のL'Arc〜en〜Cielのシングル表題曲となっている。また、ストリングスおよびホーンアレンジ作業には、ピチカートファイヴやMONDO GROSSOの作品制作に携わった村山達哉に加え、作曲者であるkenが参加している。
:この曲のアレンジ作業について、岡野ハジメは「"winter fall"は8割ぐらいkenちゃんのプリプロ段階で完成していたと思います。コードの感じやメロディ、ストリングス、ブラスの基礎構造はkenちゃんデモの段階で出来上がっていたので、"これは凄いな"と思いました。そう、俺はこの曲にリズム・アンド・ブルースを感じるんですよ。黒人音楽的な躍動感というか…。(中略)当時kenちゃんはまだプロ・ツールスを持っていなかったので、シーケンサーとかを使った打ち込みによるデモだったと思いますけど、俺はそれをさらにメジャー感が出るようにブラッシュ・アップしただけで、基礎構造はkenちゃんが作ったままです。単にロック・バンドのギタリストというだけじゃなくて、アレンジとかもできる素晴らしいミュージシャンだなと思いました」と語っている。また、kenの楽曲制作について、岡野は「kenちゃんはアレンジができて、譜面の読み書きもできる人です。彼と仕事をしていて、凄く勉強になったのは…(中略)kenちゃんは内声に凄くこだわるんですよね。ギタリストだからでしょうけど、ミッドのところをどうするか、歌と他の楽器の音が当たっていないか、ストリングスの中でビオラの帯域をどうするか?といった、内声の動きにこだわるんです」「kenちゃんはたまに、リズム・テイクだけだと、最終的にどういう音楽になるかわからないようなギターを弾くことがあるんです。1音だけピーンという音を弾いて、この音は何で鳴ってるのかなと思っていたら、あとでストリングスやいろいろな音が出揃った時に、"このピーンはトップ・ノートだったんだ。やっと分かった"なんていうこともありました。最初から、重ねた末にそういうハーモニーになることをちゃんと検証できて弾いているんです」と評している。さらにyukihiroは、この曲の印象について「kenのこだわりを感じた曲ですね。ストリングス・アレンジとか、そういう音の積み重ね方とか。まず、この曲ではフェンダー・カスタム・ショップ製のストラトキャスターを使い、ピックアップをフロントにセットしたうえで弾いた音を、3つのラインに分けている」と語っており、kenの意を汲んだうえでベース録りが行われている。ちなみに、この曲のレコーディングでtetsuyaは珍しく1971年製のギブソン・EB-3(SGベース)を使用しており」と語っている。ちなみに、hydeはこの曲の作詞作業にはかなり苦労したといい、本作発売当時のインタビューにおいて「(作詞は)すっごい煮詰まりました。曲を貰った時は色恋沙汰めいた雰囲気を感じたんですけど、僕の精神状態が全然そういうものじゃなかったっていうのが大きいですね。だから、そういう雰囲気に自分を持って行くのがいちばん難しかった。でもアルバム(『HEART』)のバリエーションを考えた時に、これはこれで突き詰めた方がいいんじゃないかと思った。yukihiroは、高い音色にした経緯について「ピッコロ・スネアをパンパンにチューニングして出した音です。スネアの音色を高くするとキックとの間に大きな音程差が生まれる。そのカンジが好きなんです。ただ、サンバ調にする案は、制作途中で白紙化されることになった、音源のイメージについて「ダウナーな、朝方かかるような。踊り疲れたあとにどうぞっていう感じ」と語っている。また、エロティックなイメージで原曲の歌詞が手掛けられていることもあってか、yukihiroは「もうちょっとエッチな感じにしたかった。ちなみに、yukihiroが2014年8月21日にacid android名義で企画・開催したDJ&ライヴイベント「acid android in an alcove vol.7」において、DJとして出演したyukihiroはリミックスアルバムに収録されたバージョンをフロアでかけている。
:::さらに、2011年にはパートチェンジバンド、P'UNK〜EN〜CIELとして、tetsuyaのディレクションのもとリアレンジしたうえで、この曲をセルフカバーしている。このセルフカバーは、37thシングル「GOOD LUCK MY WAY」に「metropolis –2011–」として収録されている。このセルフカバーでは、tetsuyaの意向によりサイモン&ガーファンクル風にアレンジされており、同アーティストの代表曲のひとつである「冬の散歩道」を彷彿とさせるギターリフのループが印象的なカバーに仕上げられている。
● タイアップ
winter fall
・テレビ朝日系列放送・アメリカCBS製作ドラマ『シカゴ・ホープ』第2シーズンイメージソング
● 参加ミュージシャン
・ hyde:Vocal
・ ken:Guitars
・ tetsu:Bass
・ yukihiro:Drums
・ winter fall
・ ken:Strings & Horns Arrangement, Keyboard Programming
・ 村山達哉:Strings & Horns Arrangement
・ 佐々木真理:Piano
・ 金原千恵子ストリングス:Strings
・ 佐々木史郎セッション:Horns
・ Chinpaul Gorichie:Female Chorus
・ yukihiro:Beat Programming
・ 斎藤仁:Manipulate
● カバー・サンプリング
(※)音源がフィジカル・デジタルで販売されているものに限り記載する。
・laica breeze (2004年、サンプリング、シングル「STANDING STILL (winter fall Re-calling)」に収録)
・SATOMI' (2007年、カバー、カバーミニアルバム『SINGS 〜Winter, and Luv〜』に収録)
・玉置成実 (2007年、カバー、シングル「Winter Ballades」に収録)
・moumoon (2013年、カバー、配信楽曲「winter fall」)
・天才凡人 (2021年、カバー、アルバム『10才凡人』に収録)
● 収録アルバム
◇ オリジナルアルバム
・『HEART』 (1)
◇ ベストアルバム
・『Clicked Singles Best 13』 (1)
・『The Best of L'Arc〜en〜Ciel 1994-1998』 (1)
・『The Best of L'Arc〜en〜Ciel c/w』 (2)
・『TWENITY 1997-1999』 (1)
● 参考文献
・『WHAT's IN?』、ソニー・マガジンズ、1998年2月号
・『B=PASS』、シンコー・ミュージック、1998年2月号
・『PATi PATi』、ソニー・マガジンズ、1998年3月号
・『uv vol.27』、ソニー・マガジンズ、1998年
・『uv vol.28』、ソニー・マガジンズ、1998年
・『WHAT's IN? PICTORIAL Vol.6』、ソニー・マガジンズ、1998年
・『GiGS』、シンコー・ミュージック、1998年4月号
・『GiGS』、シンコー・ミュージック、1998年12月号
・『R&R NewsMaker』、ビクターエンタテインメント、1999年6月号No.129
・『R&R NewsMaker』、ビクターエンタテインメント、1999年7月号No.130
・『WHAT's IN?』、ソニー・マガジンズ、2000年7月号
・『WORDS L'Arc〜en〜Ciel』、角川書店、2005年、著者:鹿野淳
・『L'Arc〜en〜Ciel Box Set of The 15th anniversary in formation CHRONICLE of TEXT 02』、ソニー・マガジンズ、2006年
・『BASS MAGAZINE SPECIAL FEATURE SERIES/tetsuya L'Arc〜en〜Ciel』、リットーミュージック、2010年
・『音楽プロデューサー 岡野ハジメ エンサイクロペディア CATHARSIS OF MUSIC』、シンコーミュージック・エンタテイメント、2019年
「Winter fall」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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