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荒野の果てに(あらののはてに、,)とは、クリスマス・キャロルの一つで、キリスト教の教会においては、聖歌・讃美歌でもある。
● 概説
フランス語の原曲は文献上1842年の賛美歌集に初めて現れる。しかしオランダの学者 Jan Reinier Hendrik de Smidt によると、このキャロルは18世紀にさかのぼるとされる。
英語で一般に使われる歌詞は、はじめ1860年にジェイムズ・チャドウィックが翻訳したものを1862年に誰かが改訂したものである。
フランス語での原題である「(レ・ザンジュ・ダン・ノ・カンパーニュ)」とは、「我らが牧場(野辺)にて天使が」の意味である。(フランス語の は、「田舎・田園地帯・地方」や、「戦場」というような意味であるが、ラテン語を起源としており、古い用法としては、「平野・平地・野辺」という意味がある)。英語では、「 (いと高き処に我らは聞きたり、御使いたちが)」と訳されている。
英語の翻訳の場合も、元のフランス語の歌の場合も、最初の「御使い(天使)たち」は、二行目に続く歌詞の主語となっている。フランス語の場合、「 」と続き、「我らが牧場にて、御使いたちが、天より聖歌を歌い始めり」という意味になる。チャドウィックによる英語の翻訳の歌詞では、「 」となり、「いと高き処に我らは聞きたり、御使いたちが、牧場を越えて甘美なる歌をうたいし(ことを)」という意味である。
英語では、アメリカ合衆国のの編曲した版が普及している。この編曲はポリフォニー的で、とくに「グローリア」の部分においてそうである。
◎ 曲の特徴
ラテン語で歌われる「 」の歌い方に特徴があり、メリスマを使った、長く続く旋律の高低移行が独特で印象的である。
◎ 日本語訳
日本語訳では、カトリック教会の『カトリック聖歌集(1966年版)』にある「あめ(天)のみつかいの」が有名である。クリスマス(降誕)ミサでの司祭退堂(閉祭)の歌としてよく歌われている。『カトリック聖歌集』以前の『公教聖歌集(1933年版)』では「あふげやあふげ」というタイトルであった。
第二バチカン公会議(1962~65年)後に発行され、現在のミサで主流となっている『典礼聖歌集』もしくは『カトリック典礼聖歌集』では、日本人作曲のものという編集方針のため、この曲は含まれていない。しかしながら、クリスマス・キャロルの日本語聖歌が大変少ないため、よく親しまれているこの聖歌が用いられている。
また、プロテスタント系である日本基督教団の『讃美歌 (1954年版)』などでは、「荒野の果てに」というタイトルになっている。このタイトルは、『讃美歌21』でも継承されている。他方、『聖歌』と『聖歌 (総合版)』では、「君なるイェスは 今生(あ)れ坐(ま)しぬ」というタイトルとなっている。なお、『カトリック聖歌集(1966年版)』『公教聖歌集(1933年版)』『賛美歌(1954年版)』、いずれも最初の行から歌のタイトルが取られている。
『カトリック聖歌集(1966年版)』では121番、『公教聖歌集(1933年版)』では36番、また、『讃美歌 (1954年版)』では106番で、同じ日本基督教団の『讃美歌21』では263番、そして日本福音連盟の『聖歌』では138番、聖歌の友社の『聖歌 (総合版)』では86番、『日本聖公会聖歌集』では91番に割り当てられている。
● フランス語の歌詞
◎ フランス語原歌詞
◎ 歌詞大意
天使たちが、野辺にて
天より聖歌をうたい始めたまえり
山々は木霊によって
いと甘美なるうたを繰り返す
いと高き処、神に栄光あれ(ルフラン(繰り返し))
羊飼いよ、汝らの喜びは誰が為か?
かの甘美なる歌は何のためか?
いかなる者が、勝利と征服で
かの凱歌に満ちた声に相応しいのか
いと高き処、神に栄光あれ(ルフラン)
天使たちは告げたまう
イスラエルの救い主の誕生を
感謝の思いに満ちて
いと厳粛なこの日を歌いたまう
いと高き処、神に栄光あれ(ルフラン)
幸いなる村を捜し求めん
そが家にて、かの方の誕生を見し村を
かの方に心より敬意を奉らん
我らが心と声にて献げものを奉らん
いと高き処、神に栄光あれ(ルフラン)
羊飼いたちよ、身を隠すのをやめよ
天使たちの合唱に加われ
汝らの優しき風笛もって
天の歌が終わることなく続くように
いと高き処、神に栄光あれ(ルフラン)
● 英語の歌詞
◎ 英語歌詞
◎ 歌詞大意
いと高き天より我らは聞きたり
天使たちの甘美な歌が野辺に満ちるのを
山々は歌声に答え
喜びに満ちし旋律が木霊せり
(斉唱):
いと高き処、神に栄光あれ
いと高き処、神に栄光あれ
羊飼いよ、この祝祭は何の故か?
汝らの喜びに満ちし旋律は何故続くのか?
いかなる喜びの便りもて
この神々しい歌を汝らは歌うのか?
(斉唱)
ベツレヘムに来たりて見よ
天使が歌にて誕生を知らせしキリストを
来たりて、跪いて拝め
主キリスト、新たな王の誕生を
(斉唱)
● 収録讃美歌
◇讃美歌(1954年版) 106番
◇讃美歌第二編 243番
◇讃美歌21 263番
◇聖歌 138番
◇聖歌 (総合版) 86番 (中田羽後訳)
◇新聖歌 78番
◇教会福音讃美歌 87番
◇新生讃美歌 165番
◇教会讃美歌 33番
◇希望の讃美歌 46番
◇日本聖公会聖歌集 91番
◇カトリック聖歌集 121番
「荒野の果てに」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年10月11日21時(日本時間)現在での最新版を取得
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