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神の御子は今宵しも (かみのみこはこよいしもラテン語:Adeste Fideles、英語:O Come, All Ye Faithful) は、イングランド人のジョン・フランシス・ウェードの作曲とされる讃美歌である。しかし、はっきりした作曲者はわかっておらず、今も論争が続いている。歌詞も、誰の手になるものかがはっきりしないが、13世紀にジョン・オブ・レディングによって書かれていたのではないかと言われている。幾度となく様々な言語に翻訳されたが、イングランドカトリック教会の聖職者であるフレデリック・オークリーによる英語訳が特に広まって行った。
● 概要
ウェードが出現する前には、この讃美歌の作曲者は、ジョン・オブ・レディングとその息子、ヘンデル、またポルトガルの作曲家であるマルコス・アントニオ・ダ・フォネスカも名を連ねていた。しかし一般には、シトー会の修道士たち、あるいは、ドイツやポルトガル、スペインの修道士会により書かれたという説が信じられていた。
現存する最古の原稿は、歌詞と譜面が一緒に書かれている。ウェードは、1751年に刊行した Cantus Diversi と、1760年に刊行された Evening Offices of the Church にこの曲を取り入れている。
● ジョアン4世とポルトガル発祥説
ポルトガル人の作者として、最もよく知られているのは、国王ジョアン4世である。「音楽王」ジョアン4世は音楽と絵画のパトロンであり、自らもかなり洗練された音楽家であり、作曲家でもあった。在位中に、世界でも有数の図書館を作った(1755年リスボン地震により崩壊)。
ジョアン4世による初めての作品は1649年に初刊行された。国王はまたVila Viçosaの宮殿に音楽学校を作り、スペインやイタリアに音楽家を「輸出」しようとした。この学校は『神の御子は今宵しも』が、ポルトガルのものであるという事実が発見された、まさにその場所でもあった。発見された原稿は、ウェードが18世紀に書いたものよりも以前のもので、国王の著作Defense of Modern Music (Lisbon, 1649) 中にも見受けられる。
同じ1649年に、ジョアン4世は、カトリック教会に器楽曲を許可してもらうべく、教皇庁に相当の働きかけをした。
ジョアン4世は、グレゴリオ聖歌のCrux fidelisに曲をつけたことでも有名である。これは、レントに聖歌隊が歌う曲として大変よく知られたものである。
ポルトガルの讃美歌とされる理由は、他にも、リーズ公が1795年にロンドンのポルトガル大使館で、この曲が歌われたのを耳にして、ポルトガルで作られたものと決め込んだという説がある。
1740年代から1770年代にかけて、初期のこの曲が、イングランドのカトリック教会の典礼書にひろく記載されたため、典礼書は、国を追われたチャールズ王への祈祷のようになってしまった。ウェードの手になる典礼書では、この曲は往々にしてジャコバイトのバラの意匠で飾られていたが、他の著者の典礼書では、暗号化された詩が何を意味するが、曲とともに記載されていた。スチュアート王朝の終焉とともに、多くのカトリック信者がフランスのドウェーに亡命し、ウェードもその一人であったため、ドウェーでこの曲は書かれたと言われている。
● 演奏
演奏では、何節かが省略されることがよくある。すべてを演奏するには讃美歌が長すぎるのと、歌詞が、日中に歌う讃美歌として適していないためである。例えば、作者不明の第8節は、せいぜい公現節に歌われるくらいであり、ラテン語オリジナルでの最後の節も、通常クリスマスの真夜中のミサ、夜明けのミサ、日中のミサのためのものである。
英国やアメリカ合衆国では、今日ではサー・デビッド・ウィルコックスによるアレンジのものが歌われる。これは、1961年に、オックスフォード大学出版局から発行されたCarols for Choirsの初版に納められているものである。このアレンジはThe English Hymnalの基本的な和声を用いているが、第6節(オリジナルの第3節)で、オルガン伴奏によるソプラノのデスカント唱法を加えており、最終節はラスト・バース・ハーモナイゼーションでの斉唱となっている。
この讃美歌はケンブリッジ大学キングス・カレッジのA Festival of Nine Lessons and Carolsでも、最後から二番目の讃美歌として、ヨハネによる福音書第一章の朗読の後に歌われる。
● カバーバージョン
多くのカバーバージョンが、下記のアーティストをはじめ、世界中のアーティストによってレコード化されている。
・アンドレア・ボチェッリ
・ビング・クロスビー
・エルヴィス・プレスリー
・セリーヌ・ディオン
・ジョシュ・グローバン
・トゥイステッド・シスター
・ブライアン・マックナイト
・マライア・キャリー
・クリスティアン・バウティスタ
・エンヤ
・TAKE 6
・バッド・レリジョン
・山下達郎
・ボブ・ディラン
・アース・ウィンド・アンド・ファイアー
「神の御子は今宵しも」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年10月11日21時(日本時間)現在での最新版を取得
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