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ユキノシタ(雪の下・雪下・虎耳草・鴨脚草・鴨足草・金糸荷、学名: Saxifraga stolonifera)はユキノシタ科ユキノシタ属の植物、白い花を雪(雪虫)に見立て、その下に緑の葉があることからとする説がある。このほか、葉の白い斑を雪に見立てたとする説。ドイツ名のユーデンバールト(ユダヤ人のひげの意)、英名のマザー・オブ・サウザンス(子宝草)は、同様に糸状に伸びる走出枝に由来する。中国植物名にもなっている虎耳草(こじそう)とは、葉の丸い形や模様がトラの耳を連想させるから名付けられたと言われている。
日本の地方により、イドグサ、イトバス。花言葉は、「情愛」「切実な愛情」である。
● 分布・生育地
日本と中国の原産。日本の北海道、本州、四国、九州および、国外では中国に分布する。平地から山地まで分布し、谷川べりなど低地の湿った場所や、雑木林や山地の半日陰地で岩場や沢沿いの石垣などに群落をつくって自生する。本種の変種または品種とされるホシザキユキノシタには、こうした特徴は現れず、下2枚の長さは上3枚と同じくらいとなる。ユキノシタの雄しべの数は10本、雌しべの数が1本で、雌しべに花柱が2本あり基部は黄色い花盤に取り囲まれている。雄しべは雌しべよりも先に熟して花粉を放出してしまう雌雄異熟のため、雌しべに自花の花粉がつくことを避けている。花柄と萼片には、紅紫色の腺毛がある。
開花後、長さ約4 mmほどの卵形の蒴果(さくか)を実らせ、先端は2個のくちばし状。種子は、極小さな0.5 mmに満たないサイズで、全体に焦げ茶色あるいは黒色であり、全体にほぼ楕円形の不定形をしていて、表面には縦筋がありコブ状突起が多数備えられている。
◎ APG植物分類体系での分類
古い分類のクロンキスト体系では、バラ目となっていたが、APG植物分類体系第2版ではユキノシタ目となり、ユキノシタ科のユキノシタ属となる。
:被子植物 angiosperms
::真正双子葉類 eudicots
:::コア真正双子葉類 core eudicots
::::ユキノシタ目 Saxifragales
:::::ユキノシタ科 Saxifragaceae
● 利用
山野草としての人気が高く、観賞用で人家の庭に植えられるほか、薬草や山菜などとしても利用される。食用する葉はクセのない味で、葉に粗い毛があるが、揚げたり、茹でたりすることで気にならなくなる。栽培では、湿った半日陰を好むので、池畔の岩の上などに植えると趣が出る。斑入りの葉の品種が普及している。
◎ 生薬
漢方薬の薬味として用いられることはなく、民間薬として用いられた。葉には硝酸カリウム、塩化カリウム、ベルゲニン、タンニン質などを含んでいる。硝酸カリウム、塩化カリウムには利尿作用があり、ナトリウム(塩)と結びつきやすいため、摂り過ぎた塩分を体外に排出させる効果がある。ペルゲニンは、健胃、下痢止めに役立つとされている。
年間を通して葉は採取できるが、特に5 - 7月ごろの開花期によく成育した葉を採集して日干ししたものが生薬になり、虎耳草(こじそう)とよんでいる。民間療法として、からだのむくみ、胃もたれ、下痢のときに、虎耳草1日量5 - 10グラムを約400 - 600 cc(コップ3杯ほど)の水で半量になるまでとろ火で煮つめた煎じ液を、食間3回に分けて服用する用法が知られている。また民間では生葉を用いており、葉を火であぶって軟らかくしたものが、腫れものなどの消炎に用いられ。小児のひきつけ(痙攣)には、生葉を少量の食塩で塩もみして絞った小さじ5杯ほどのしぼり汁を飲ませると、応急措置として一時的に効くとされる)
:山間の渓流に生える。下側2枚の花びらが長い花形を、大の字の形に見立てた名である。北海道から屋久島まで分布があるが、各地で変異が多く、多くの変種が報告されている。同様に食用に利用できる。
・ ハルユキノシタ
:本種と異なり4~5月頃に咲くことからこの名がある。山間部に咲き、葉は黄緑色で模様がなく光沢があり、花びらの斑点が黄色い):茨城県の筑波山にある品種で、5枚の花弁が全部短く、星形に開く。
・ アオユキノシタ(f.):葉面に斑が入らない園芸品種。
「ユキノシタ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年10月14日19時(日本時間)現在での最新版を取得
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