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ヒルガオ(昼顔・旋花、学名: 〈狭義: f. 〉)は、ヒルガオ科のつる性植物。夏にアサガオに似た桃色の花を咲かせ、昼になっても花がしぼまないことからこの名がある。薬用植物であり、民間では利尿薬として利用した。
● 名称
和名ヒルガオの由来は、「昼の顔」の意味するところから名付けられたものである。花が咲いている時間帯は、朝から花を咲かせて夕方にしぼむまで昼間も咲き続けているため、ヒルガオと呼ばれている。日本には古くから自生しており、奈良時代末期に成立したとされる『万葉集』では、美しいという意味を表す「容」の語を当てて、容花(かおばな)として記載が見られる。奈良時代に朝廷が派遣した遣唐使が、中国(唐)よりアサガオ(朝顔)が持ち帰られたときに、アサガオに対する呼び名としてヒルガオと呼ばれるようになったといわれている。
別名、オオヒルガオ。
● 利用
ヒルガオは薬用植物でもあり、全草を乾燥したものは旋花(せんか)という生薬になる。中国ではヒロハヒルガオ(旋花)が同じ薬用に使われる。若葉・つる先・地下茎・花は食用にできる。花や蕾は食用に適しており、アクも少ないため生食も可能な野草として知られている。
◎ 薬用
生薬である旋花は、夏期(開花期)の茎葉がよく伸びたものを刈り取り、水洗いして2 - 3 cmほどに刻んで、天日干しまたは陰干しして調製される。利尿、強精強壮、疲労回復、糖尿病、高血圧予防に役立つとされ、旋花1日量5 - 15グラムを、水500 - 600 ccで半量になるまで煎じ、3回に分けて服用する用法が知られている。神経痛には50グラムほどを浴湯料として用いる。天日干しした葉を煮出してお茶代わりに飲むと、疲労回復に役立つとされている。虫刺されには、生の葉の汁をつけるとよいとされる。
◎ 食用
葉・花・茎・地下茎、すべて食べられ、クセのない味で青葉のように利用できる。葉や花がより小さなコヒルガオも、同様に利用できる。採取時期は、暖地で3 - 8月ごろ、寒冷地で5 - 8月ごろが適期とされ、若葉とつる先はつめで軽くちぎれる硬さのところで摘み取り、花は開いたものと蕾を摘み取る。根は引っ張って抜き取るように採取する。
若いつるや葉は灰汁があまりなく、軽く茹でて水にさらしてから、おひたしや和え物、磯辺巻き、汁の実などにして食べられる。また、生の葉は天ぷらや油炒めに出来る。花は苞を取り除き、酢を落とした熱湯にくぐらせる程度にして、サラダ、酢の物、椀だね、寒天寄せ、天ぷら、汁の実にする。よく洗った根(地下茎)は、適当に切って天ぷらやかき揚げ、佃煮にする。
● 類似種
近縁種にコヒルガオ、ヒロハヒルガオ、ハマヒルガオなどがあり、ヒルガオ同様の薬効がある薬用植物として用いられている。
同じく昼に花を咲かせるものとしてモミジヒルガオがあるがこれはサツマイモ属である。
◎ コヒルガオ
類似種のコヒルガオ(小昼顔、学名: Calystegia hederacea)はヒルガオ科ヒルガオ属のつる性植物である。コヒルガオの名は、ヒルガオよりも花が小さいことに由来する。日本の本州・四国・九州から沖縄まで、東南アジアに広く分布する。草地などでよく見られる。
ヒルガオと似ているが、花弁が直径3 - 4 cmとヒルガオより小さいこと、花柄上部に縮れた翼があること、葉の形などの差異がある。葉は三角状で矛形、葉身の基部の左右張り出した裂片は、浅く切れ込んで2つに分裂する。地下に横走する地下茎がある。花期は6 - 8月、葉腋から葉柄を出して1個の花をつける。大抵は雑草として扱われるが、八重咲の園芸種が栽培されることもある。ヒルガオ同様に食用になる。
◎ ハマヒルガオ
ハマヒルガオ(浜昼顔、学名: Calystegia soldanella)はヒルガオ科ヒルガオ属。海岸の砂地に群生し、日本全土、および世界に広く分布する。つる性多年草。ハマヒルガオの名は、海岸に生えることに由来する。
茎は蔓性となり、地下茎は砂中をはう。葉は長柄があり互生し、緑色のハート型ないし腎臓形で、厚く、光沢がある。5~6月には淡紅色で直径4~5cmのヒルガオに似た花を開く。果実は球形で、種子は黒い。
◎ セイヨウヒルガオ
セイヨウヒルガオ(西洋昼顔、学名: Convolvulus arvensis)は、ヒルガオ科セイヨウヒルガオ属の植物。ヒルガオに姿が似た外来種で、苞が花柄の中間あたりにつく。
● 文化
ヒルガオは6月5日の誕生花とされ、花言葉は「絆」、「優しい愛情」、「情事」、「友達のよしみ」、「和やかさ」と言われている。
「ヒルガオ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年10月14日20時(日本時間)現在での最新版を取得
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