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土佐闘犬(とさとうけん)は、犬の品種の1つ。四国犬をルーツに持ち、近代日本で闘犬用に獰猛な大型洋犬と交配改良されて作られた。一般的には土佐犬(とさけん)と称されることが多いが、これは元々四国犬を指す名称であり、土佐闘犬が正式名称である。
● 歴史
鎌倉時代あるいは室町時代から闘犬は行われており、藩士の士気を高めるため土佐藩で四国犬を使った闘犬が幕末の頃から盛んになった。
嘉永から安政年間(1848年~1860年)にかけては庶民の間にも流行し、度々禁止令が出されたが、密かに飼育する愛犬家が後を絶たないため、武士の名義を借りた『預かり犬』として飼育する苦肉の策が採られた。
明治維新後、明治4年(1871年)の廃藩置県の年に庶民に対する畜犬禁止令が解禁されたが、解禁の反動による闘犬の急拡大を懸念した高知県は闘犬取締令を出し、土佐闘犬は順次捕獲されて撲殺による駆除が行われる。この方針に愛好家などから批判が高まり、自由党総理を辞任して帰県した板垣退助の尽力もあり、1897年9月に闘犬取締り規則(高知県令第七十三号)が発布され、課税による許可制に移行し、高知で闘犬が解禁される。
1907年には山内家下屋敷で皇太子時代の大正天皇を招き、闘犬大会が催される。1935年に品種を固定し血統書を発行した。
1937年の支那事変の際は土佐犬普及会が闘犬による慰問を行った、いずれも四国犬の特徴はほぼ排除されている。
◇ 体格
: 筋肉質で頭は大きく、マズルはマスティフそのもの。皮膚は咬まれても大丈夫なように弛んでいる。長いたれ尾に、耳はたれ耳だが稀に笹耳もいる。体重は30キロ台から100キロ超まで様々。闘犬の愛好団体によって異なる基準を持っているが、およそ55キロから上の犬を大型犬と呼んでいる。
◇ 毛色
: 赤、淡赤、黒、虎など。
◇ 性格
闘犬用として作られた犬なので、闘争本能が強く成犬雄同士は近づけない方が良い。
◇ 寿命
: 10 - 12年ほど。
◇ 使用用途
: 闘犬
● 土佐闘犬の管理
◎ 危険犬種(特定犬)への指定
イギリスやフランス、ドイツなどの国では、土佐闘犬などの闘犬を『危険犬種』としてペット飼育の規制対象に指定されていたり、飼育が可能な場合であっても、口輪の装着など厳重な管理が義務付けられていたりする。日本においては、飼主のずさんな管理による咬傷事故が絶えないが、特に規制はされておらず、一部自治体にて規制されているのみである。以上の理由から、日本国内で土佐犬を飼育する場合は鋼鉄製の檻に入れ、建物の外周や出入口を鉄柵で囲い、猛犬注意のステッカーを貼るなどして厳重な管理をすることが望ましい。
◎ 土佐闘犬による死傷事故・事件
・ 1975年3月、大阪府にて闘犬大会に備えた特別な訓練により普段より興奮状態にあった土佐闘犬に襲われて2歳男児が死亡。男性Aが飼い主に依頼されて飼育場所の提供や飼育管理の手伝いをしており、飼い主と男性Aが留守中に、飼い主の雇い主Bが酒に酔った状態で犬を連れ出した際の事故であったが、同犬による被害はそれまでに10件を超えており、事故が予期できたにもかかわらず犬舎を簡易な施錠に留めた責任が問われて男性Aにも有罪判決が下された。
・ 2008年10月、大阪府にて放し飼いの土佐闘犬が小学生と郵便配達員を襲い、重傷を負わせる事件が発生。飼い主は重過失傷害容疑で逮捕された。
・ 2009年2月、愛知県稲沢市にて土佐闘犬が通行人や飼い犬を襲い、重傷を負わせる事件が発生。現場に駆けつけた警察官に軽傷を負わせ、拳銃で射殺された。また、警察官を襲った際、ミニパトカーの中にも侵入した。
・ 2014年2月、北海道にて放し飼いかつ未登録、狂犬病予防未注射の土佐闘犬2匹が女性を水死させる事件が発生。飼い主は救護もせずその場から逃走したため、重過失致死容疑と狂犬病予防法違反で逮捕された。同年7月、札幌地方裁判所苫小牧支部にて飼い主に懲役2年6月、罰金20万円の実刑判決が下された。
・ 2016年4月、神奈川県横須賀市で稲川会系暴力団組長が飼育していた狂犬病予防未注射の土佐闘犬が散歩中のプードルに噛みつき、さらに引き離そうとした女性の手を噛んだ。この犬は2014年10月にミニチュアダックスフントを噛み殺し、2015年10月に柴犬に噛みついた前歴もあった。飼い主は土佐闘犬とピットブルの飼育を2016年4月まで横須賀市に登録しておらず、犬の世話をしていた暴力団幹部とともに狂犬病予防法違反の疑いで書類送検された。
・ 2016年9月25日、青森県八戸市で飼育されていた土佐闘犬2頭が逃げ出し、そのうちの1頭が路上にいた8歳男児の腕と尻を噛んだ。2頭はいずれもすぐに捕獲された。
・2019年4月、韓国京畿道安城市で特別養護老人ホームで飼育されていた土佐闘犬2頭のうち1頭が犬舎清掃中に近くにいた院長と60代の入居女性を襲い、女性が死亡。
・2019年5月26日、兵庫県南あわじ市で80代の男性が、自宅の犬舎の中で背中を噛まれ死亡する事故が発生した。男性は20代の孫が飼っている土佐犬3匹と、知人男性から預かっている土佐犬1匹を犬舎に入れて飼育していた。
・2023年7月27日、神奈川県横須賀市で男性が散歩させていた土佐犬が、ミニチュアダックスフントと散歩していた女性を襲った。女性は腕などをかまれ、ダックスフントは死んだ。神奈川県警は過失傷害の疑いで男性を在宅で調べている。また神奈川県動物愛護管理条例(第18条)は人の生命や財産に害を加えた犬の飼い主に対し、獣医師に検診させる・口輪をかける・おりに入れるなどの措置を勧告できることから、横須賀市動物愛護センターの担当者が「犬に口輪を付け、人がいないところで散歩する」などの指導を行った。
● 観光資源
土佐闘犬の産地では闘犬の興行場が観光名所となっている。
高知県では1964年に弘瀬勝により土佐闘犬センターが創業し、1973年からは高知市の桂浜の近くに毎日見物ができる闘犬場が設けられた。弘瀬によれば、観光増進の他に動物愛護の高まりを受けての闘犬廃止を想定した資料館としての側面もあったとされる。
「土佐闘犬」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年9月8日12時(日本時間)現在での最新版を取得
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