ランキング24位
獲得票なし
ランキング13位
獲得票なし
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは、スコットランド原産の一犬種。白一色の被毛を持つ小型のテリアで、ウェスティ(Westie)という愛称で呼ばれている。
19世紀にスコットランドで飼育されていた白い被毛の犬同士を掛け合わせて作出された犬種の子孫である。ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアという名前が与えられたのは1908年のことで、各国のケネルクラブもその後まもなくこの犬種を公認した。現在でもイギリスでは人気が高い犬種であり、アメリカでも1960年代以降つねに上位3分の1に入る登録犬数となっており、日本での登録件数は1999年以降20位から30位程度である。BBC スコットランド制作のテレビドラマ『』などテレビ作品や映画作品に出演することも多く、宣伝広告としてもマース社のドッグフードブランドであるシーザーのパッケージや、スコッチ・ウイスキーの銘柄のラベルなどに使用されている。
● 歴史
イングランド王ジェームズ1世(在位1567年 - 1625年)の治世最初期の、白い被毛を持つスコットランドの犬に関する記録が残っている。フランス王への贈り物とするために、ジェームズ1世が12頭のテリアをアーガイルで産ませるように命じた記録である。当時はサンド(砂色)とブリンドル(虎毛)の被毛の犬が丈夫で、白い被毛の犬は虚弱だと考えられていた。ウェスティの作出には、スコティッシュ・テリアやケアーン・テリアの白い被毛の犬が大きな役割を果たしたと考えられている。また、白い被毛を持つ別系統のスコティッシュ・テリアとして、ファイフ出身のドクター・アメリック・エドウィン・フラクスマンが維持していたピトンウィーム・テリアの系統がある。
現在のウェスティの血統にもっとも大きな貢献を果たしたのは、ポルタロックの領主エドワード・ドナルド・マルコムである。マルコムは狩猟用にテリアを飼育していたが、あるときキツネと間違えて赤茶色のテリアを撃ってしまった。そしてこの過ちを悔いたマルコムは白い被毛を持つテリアの作出を決心したという言い伝えがある。そしてマルコムが作出した白色のテリアが領地にちなんでポルタロック・テリアと呼ばれるようになっていった。最初期のポルタロック・テリアの被毛の色はサンドで、すでに現在のウェスティの特徴といえる立ち耳を持っていた。ウェスティの愛好クラブが最初に設立されたのは1904年で、初代の代表者には第10代アーガイル公ナイアル・キャンベルが就任した。続いて設立された二番目のクラブの代表者にはアバディーン伯爵夫人が選ばれ、後にエドワード・マルコムが2代目の代表者となっている。イギリスのザ・ケネルクラブがウェスティを独立犬種として承認したのは1907年で、同年にザ・ケネルクラブが主催したドッグショーのクラフツにも最初のウェスティが出陳された。さらにカナダのも、1909年にウェスティを公認している、輸入されて間もないアメリカでも人気を博した。1962年にも同じ賞を、バーバラ・ウスターが出陳したエルフィンブルック・サイモンという名前のウェスティが受賞している。ウェスティがイギリスの主要なドッグショーで最優秀犬(ベスト・イン・ショー)となったのはキャス・ニューステッドとドロシー・テイラーが出陳したダイアンザス・ボタンズで、1976年に開催されたクラフツでのことだった。その後、1990年開催のクラフツでもデレク・タッターサルが出陳したウェスティのオラク・ムーン・パイロットがベスト・イン・ショーを受賞している。
20世紀初頭のウェスティの人気は高く、数百ギニーという高額で取引されていた。2010年のイギリスでは5,361頭のウェスティの仔犬がザ・ケネルクラブに新しく登録されており、これはテリアとしては第3位の登録件数である。しかしながらテリア中第1位を記録した2001年の11,019頭からみると、ウェスティの登録件数は減少している。アメリカではウェスティの登録件数は1960年ごろ以来、登録犬全体の上位3分の1で安定している。日本のジャパンケネルクラブの登録件数は1999年が20位で、以降徐々に順位は下がっており2011年時点では31位となっている。
● 外観
一般的に、ウェスティは窪んだアーモンド形をした暗色の眼を持ち、小さく尖った立ち耳をしている、およそ5cm程度まで伸びる。頭部にも密生する被毛が丸顔の犬種であるという印象を与えている。いずれにせよ、加減を知らない子供がウェスティの耳を引っ張ったり、ウェスティの食べ物やおもちゃの取り合いをするなど、手荒に扱うことはことは好ましくない。概して独立心が高く毅然としているため、番犬としても優秀である。一方で飼い主に対しては親密で忠実な犬種であるが、そのためには十分なしつけ、訓練が要求される。ウェスティは非常に社交的な性質で、スコットランド原産のテリアのなかではもっとも友好的かつ明るい性質の犬種といえる。
頑固で、ときにしつけが入りにくい面もあり、その生涯を通じて訓練が必要とされる場合もある。多くのテリアと同様に獲物を追跡する本能が高く、ボール投げなどの遊びに強い興味を示す。好奇心が強く、アナグマやネズミの巣穴を探す猟犬として使役されていたころの習性も見られ。
● 健康面
ウェスティの寿命は、長生きする個体もいるが、およそ12年から16年くらいで、一度に出産する仔犬の数は3頭から5頭である。また、ウェスティの仔犬は「ライオンの顎」として知られるを発症することがある。これは劣性形質によるもので、親犬がどちらも劣性遺伝子を持っている場合に発症する。頭蓋骨下顎骨骨症自体は他のテリア犬種にも見られ、グレート・デーンなどテリアの血統とは直接関係のない犬種も発症する症例である。1歳未満の幼犬が発症することが多く、食物の咀嚼や嚥下不良の原因となることがある。顎周辺の骨の放射線透過検査によってこの症例を診断することができ、血液中のカルシウム量や酵素量からもある程度の診断は可能となっている。1歳を越える頃になると進行が止まることがほとんどで、症状も治まることがある。それまでは抗炎症薬の投与と柔らかい食餌による治療が行われるが、症状が悪化している場合にはチューブによる流動食が必要となることがある。しかしながら、自力での摂食が不可能で苦痛が抑えられないような場合には安楽死の処置がとられることも多い。
ほかに皮膚疾患も発病しやすい症例である。また、まれにではあるが、ウェスティ特有ともいえる増殖性皮膚症と呼ばれる、幼犬、成犬を問わず発症する重い皮膚疾患に罹患することがある。この疾患に罹病すると、皮膚に赤斑の沈着異常が見られるようになり、脱毛とを発症する。発症初期ではアレルギー性皮膚炎など軽症の皮膚疾患と間違えられやすい。
ウェスティに見られる遺伝性疾患としてはがあげられる。ただしウェスティ特有の疾患ではなく、ケアーン・テリア、ビーグル、ポメラニアンなどの犬種にも見られるもので、ガラクトセレブロシダーゼと呼ばれる酵素の欠損を原因とする神経系の疾患である。幼犬のころから兆候があり、生後30週程度でこの疾患に罹病しているかどうかが判断できる。症状としては全身の震えや、筋肉の発育不全、歩行困難などである。病状の進行は遅いが、最終的には脚部が麻痺する。遺伝性の疾患であるため、この疾患に罹病しているウェスティは繁殖に使用しないことが求められている。ほかの遺伝性疾患として、があげられる。これもウェスティだけでなくマルチーズにもよく見られる疾患で、以前は白い被毛を発現する遺伝子が関係していると考えられていたが、ヨークシャー・テリアやダックスフントといった白以外の被毛を持つ犬種にも発症することがわかっている。初期症状としては頭部や脚部の震え、運動失調、があげられる。この疾患には雌雄差があり、雌の場合であれば症状が4週間から6週間で収束するのに対し、雄の場合には死ぬまでこの症状がおさまることはない。そのほか、あまり見られない疾患としては、尿、血漿、髄液に含まれるα-ヒドロキシグルタル酸の異常亢進を伴うヒドロキシグルタル酸尿症がある。ヒドロキシグルタル酸尿症は発作、筋硬直、運動失調などの原因となるが、ウェスティよりもスタッフォードシャー・ブル・テリアに、より発症しやすい疾患となっている。股関節変性の一種であるレッグ・ペルテス病を発症することもある。しかしながらウェスティがこのレッグ・ペルテス病を発症する割合は他の犬種に比べて低く、オーストラリアン・シェパードやミニチュア・ピンシャーなどに、より見られる疾患となっている。また、小型犬によく見られる膝蓋骨脱臼は発症しにくい犬種でもある。
● 大衆文化
◎ 広告ブランド
・ スコッチ・ウィスキーの銘柄「ブラック・アンド・ホワイト」にはスコティッシュ・テリアとともにウェスティがラベルなどの広告に使用されている。
・ マース社が発売しているドッグフードの「シーザー (Cesar )」にはウェスティがマスコットとして使用されている。
◎ 映画作品
・ アメリカで2005年に、イギリスで2006年に公開された映画『』で、主役犬のボビー役にウェスティが使われた。しかしながら史実のボビーはウェスティではなくスカイ・テリアだったため、スカイ・テリアの愛好団体からの抗議を受けた。
◎ テレビ作品
・ BBC スコットランド制作のテレビドラマ『』の主役ヘイミッシュ・マクベスの愛犬ジョック。
・ イギリスのテレビコメディ『ジーヴス・アンド・ウースター』に、主人公バーティの伯母アガサの愛犬マッキントッシュ。
・ アメリカのテレビアニメ『キング・オブ・ザ・ヒル』に、主人公ハンクの隣人カーンの愛犬ドギー。
・ ブラジルのテレビアニメ『アズ・アヴェンテューラス・デ・グイ&エストパ』に、主人公グイ。
◎ その他
・ 歌手のジュディ・オングの愛犬「パール」がこの犬種である。
・「涼宮ハルヒの憤慨」の『ワンダリング・シャドウ』において、ハルヒとキョンの同級生・阪中の飼い犬「ルソー」として登場する。
・「キミノココロ ボクノココロ」第2話(コミックス1巻)において、ヒロインの里乃が里親サークルでウェスティの雌犬を譲り受け、「クオン(久遠)」と名付けた。
「ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年9月15日6時(日本時間)現在での最新版を取得
好き嫌い決勝
好き嫌い準決勝
好き嫌い準々決勝
好き嫌い7位決定戦
好き嫌いTOP10圏内確定戦
犬の無作為ピックアップ
Powered by