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ミョウガ(茗荷、蘘荷、学名: Zingiber mioga)はショウガ科ショウガ属の宿根性の多年草。ミョウガの英名にJapanese Gingerがあり食用で栽培されているのは日本だけとされる。)
「みょうが」に転訛した理由に就いては、和語内部の変遷と捉えるならば「めのか/めが」>「めんが」>「めうが」>「みょうが」といった推定をおこなうことになるが、中古の資料では「みゃうが」と記されているため考えにくい。漢語「蘘荷」の呉音「にゃうが」の干渉と考えるのが妥当である
。
加えて、下記の俗説もある。
釈迦の弟子の中に、周利槃特という、特に頭の弱い者がいた。彼は自分の名前すら忘れてしまうため、釈迦が「槃特」と書いた旗を作らせ、背中に背負わせてやった。しかし旗を背負ったことさえも忘れてしまい、とうとう死ぬまで名前を覚えることができなかった。周梨槃特の死後、墓から見慣れない草が生えていた。そこで「名」を「荷う」ことから、この草を「茗荷」と名付けたという。
英語名は、和名そのままに Myoga(ミヨガ)とよばれるほか、Japanese Ginger(ジャパニーズ・ジンジャー:直訳すると「日本のショウガ」の意味)の異名もある。
● 特徴
日本を含む東アジア原産といわれ、各地に自生している。日本以外では台湾や韓国の一部にもみられる。葉は茎の両側に3 - 4枚ずつ互生してつき、長さ20 - 30 cmの細長い楕円形で先端は尖っている。
花は淡黄色の一日花で、株元の地面近くに長さ10 cmほどのタケノコ状の蕾をつけて数個咲く。ごく稀に夏から秋にかけて温度が高い時に実を結ぶことがあるといわれている。
花穂および若芽の茎が食用とされ、一般的には花穂の「花みょうが」を単にミョウガというが、幼茎を遮光して軟白栽培した「みょうがたけ」もある。次いで、秋田県、奈良県などが続き、露地栽培を行っている。一部地方では、みょうがぼち(岐阜県)、みょうが饅頭(熊本県)、釜焼き餅(鳥取県東部)といった、みょうがの葉を使った菓子が食べられている。
可食部100グラム (g) あたりの熱量は12キロカロリー (kcal) ほどである。栄養価として特に目立つものは含まれていないが、ミネラルの一種であるマンガンがわずかに多く含まれる。マンガンはカルシウムやリン、ビタミンDとともに骨の形成に寄与するといわれている。無機成分では窒素とカリウムが多く含まれ、食物繊維(粗繊維)が多い。独特の香り成分はα-ピネンという成分で、紅色の成分は水溶性植物色素アントシアニンの一種、マルビジンである。植物体内ではグルコース1分子と結合し、マルビジンモノグリコシドとして存在する。α-ピネンには、頭をスッキリさせたり、食欲増進、血液の循環をよくするなどの作用があるといわれている。食欲がない夏場の夏バテ予防にも利用されている。
収穫したミョウガを保存するときは、ラップなどに包んで乾燥を防ぎ、冷蔵保存すれば1週間ほど日持ちする。
◎ 俗信
俗に「食べると物忘れがひどくなる」と言われており、落語にも宿屋の夫婦が預かった金のことを忘れさせようと飛脚にミョウガを食べさせる『茗荷宿』という噺がある。また、『本草綱目』によれば、陶弘景が「生薑は久しく服すると志を少くし智を少くし心氣を傷つける」と記していたとされる。
釈迦の弟子の周梨槃特の故事(名称)から、俗信「物忘れがひどくなる」が派生した。上述の落語や類似の民話『みょうが宿』が知れ渡ったことで一般化した。
● 薬用
ミョウガには、消化促進、利尿の効果があるといわれている。一般には、蕾を刻んで味と香りを楽しむ薬味として利用されるが、薬用的な使い方としては、根茎をすり下ろした汁を湿布材として凍傷の患部に貼る用法があり、ミョウガの煮汁はしもやけ治療の民間療法に用いられた。また、茎や葉を乾燥させたものを浴湯料として疲労回復に役立てる方法が知られている。
● 文化
・ 領地のために命を張った戦国武士などは、戦闘で命が残る「冥加」にかけて、茗荷紋を好んで使用した。事例として「影茗荷」「鍋島茗荷」などがある。一般的に広まっている家紋として十大家紋に挙げられている。
・ 俳句では夏の季語で、素麺の薬味などとして食される。
・ 上方落語の「八五郎坊主」で、出家得度をした八五郎が住職に付けてもらった出家名を覚えることが出来ず、住職は周利槃特の話をしたついでに「茗荷」の名の謂れも教える、という場面がある。
・ 「仕様が(生姜)なければ茗荷がある」という言葉遊びがある。
「ミョウガ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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