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タカナ(高菜、大芥菜、学名: Brassica juncea var. integrifolia)とはアブラナ科アブラナ属の越年草で、カラシナの変種。葉が大きく、20 - 60センチメートル (cm) ほどの草丈に成長する。冬が旬の中国野菜で、近縁の野菜としてザーサイ、カツオナなどが知られる。原産地は中央アジア。平安時代の『和名抄』に「タカナ」の記述が見られ、この頃には既に日本に伝来していたとみられる。本格的な導入は明治時代で中国から奈良県農事試験場(奈良農試)に種子が入り、その後は特に福岡県瀬高町(元、みやま市瀬高町)、和歌山県新宮市、山形県内陸部の3ケ所で栽培されるようになった。
品種や栽培方法によって変化するが、葉や茎は柔らかく辛味がある。辛みの成分はマスタードなどと同じイソチオシアン酸アリル。主に漬け物の高菜漬けとして食用される。野沢菜、広島菜と共に日本三大漬け菜に数えられる。
● 栽培
晩夏にポットで育苗、または畑に直まきで栽培する。いずれも、初秋に播種し、晩秋から冬の間に収穫する。連作障害を受けやすく、輪作年限は1年とされる。
あらかじめ堆肥など元肥をすき込んだ畑に平畝を作り、畝の中央に約2 cm間隔で種を筋まきする。まだ暖かい時期に種まきをするため、アブラムシなどがつかないように種まき後は寒冷紗をかけるとよいといわれる。本葉が2、3枚出たころ最初の間引きを行って、株間10 cmにする。その後、本葉5 - 6枚でさらに間引きを行って、株間を35 cmにする。約2週間が経過して本葉が7 - 8枚になるころ、株間にぼかし肥や鶏糞などの追肥を行う。収穫期は12月ごろからで、株元から切り取って収穫する。年を越して大きくなった株は、大きな葉を掻き取って収穫してもよい。収穫をはじめる時期にトンネル掛けをすると防寒になり、春まで収穫できる。春に薹(とう)立ちした部分も、ナバナとして食べられる。
● 食用
葉を食用にし、食材としての旬は冬場の12月 - 3月ごろである。葉が肉厚でツヤと張りがあり、茎が太くしっかりしているものが市場価値の高い良品とされる。生産地では、下茹でして炒め物などに日常的に使われている。中でもよく知られているのは、漬物にして発酵させた高菜漬けで、九州の阿蘇地方の名産となっている。高菜漬けには伝統的な古漬けがあるほか、塩分を控えて調味液につけた新高菜もある。和歌山県では、高菜漬けの葉で握り飯を包んだ「めはりずし」も名物として知られる。
タカナの葉は、カラシナと同様な辛味が少しあり、食欲増進効果がある。栄養的にβ-カロテン、カルシウム、葉酸が多く含まれる。
保存するときは、湿らせたキッチンペーパーなどに包んで、ポリ袋にいれて冷蔵保存する。
◎ 高菜漬
タカナの美しい緑色を保つために袋詰めして冷凍加工している新高菜漬と、熟成中に乳酸発酵するべっ甲色で特有の香りのある古高菜漬に分けられる)。
福岡県瀬高町は三池高菜の産地で主に古高菜漬が作られている。
なお、久住高菜や阿蘇高菜などを利用した漬物はカラシナの一族として「カラシ菜漬」に分類されることがある。炒め物、汁物などにも利用できる。
● 品種
タカナは切り込みが少ない大きな葉が特徴である。品種のよっては、ダイコンのような細めの葉のものや、葉に赤味を帯びるもの、根元にこぶができるもの、葉が縮れるものなどがある。
◎ 山形青菜
山形県村山地方を中心に栽培されている。葉は大きく幅広で、一株が500グラム、丈が70~80センチとなる大型の品種。9月上旬に播種し、10月中旬~12月上旬に収穫する。
1908年に奈良県から種子を導入し農事試験場で試作。従来山形県内で漬け菜としていた体菜、山東菜、芭蕉菜(仙台芭蕉菜)などよりも品質が優れていることがわかり、栽培が始まった。大正初期から採種できるようになり、昭和に入ると栽培地域が村山地域から県内一円に広がった、塩で漬け、その後本漬けとして「青菜漬」に加工する。葉の部分を中心に「おみ漬け」の材料としても利用される。
◎ 三池高菜
主に福岡県の筑後地方南部で栽培されている品種。同県大牟田市の三池山で栽培されていたことからこの名がある。単に「こぶ高菜」ともよばれる。葉は広い楕円形で、半結球する茎の根元にこぶのような小さな突起があるのが特徴。
1947年ごろ、中国から引き揚げてきた同市出身の種苗店経営者・峰眞直が種を持ち帰り栽培を始めたのが始まりで、改良と選抜をして「雲仙こぶ高菜」として知られるようになった。いったんは雲仙から全国に広まったものの、三池高菜におされたことや、元々収穫量が少ないために次第に作られなくなっていった。収穫期は3月中旬から下旬の間で、機械を使わずに一本ずつ手で収穫する。その際に茎を手折って収穫する事から、阿蘇では収穫作業を「高菜折り」と呼ぶ。
阿蘇の高菜漬けには弱めの塩分で数日間漬けた「新漬け」と強めの塩分で1年ほどつけた「古漬け」があり。
減反政策の影響で余った農地で高菜を作り、高菜漬けを積極的に売り込んだことがきっかけで近年では「阿蘇の味」として定着し、現在では高菜漬けは海外にも出荷されている。宮城県を中心に東北地方で栽培されるナタネ類の仙台芭蕉菜と区別して「南部芭蕉菜」とも呼ばれる。
◇赤大葉高菜
:葉は幅広で縮れており、アントシアニンを含んでいるため赤紫色を帯びる品種。
◇大葉高菜
:高菜の中でも最も大きな品種。葉は切れ込みが少なく、かたくて肉厚である。生食には向いてないため、お浸しや漬物にする。
「タカナ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年9月21日8時(日本時間)現在での最新版を取得
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