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ゴマ


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ゴマ(胡麻、学名: Sesamum indicum)は、ゴマ科ゴマ属の一年草。アフリカ大陸に野生種のゴマ科植物が多く自生しているが、考古学の発掘調査から、紀元前3500年頃のインドが栽培ゴマの発祥地であるとされている。主に種子が食材や食用油などの油製品の材料とされ、古代から今日まで世界中で利用される植物である。 リンネの『植物の種』(1753年) で記載された植物の一つである。

● 名称
中国名は、「芝麻」「胡麻」。平安時代の『延喜式』では、ゴマの菓子や薬用利用について記されている。国内有数の産地である鹿児島県喜界島では、8-9月頃の収穫時期には、集落内、周辺にゴマの天日干しの「セサミストリート」(ゴマ道路)が出現する。西日本の暖地の場合、5月から6月頃、畦に二条まきする。発芽適温は20度から30度で、適当な水分と温度とがあれば容易に発芽する。本葉が二枚になり草丈が成長してきたら、2回程度間引きを行い、株間を開ける。収穫は9月ごろ。

◎ 品種
白ゴマ、黒ゴマ、黄ゴマ(または金ゴマ、茶ゴマ)など、種子の外皮の色によって分類される。欧米では白ゴマしか流通しておらず、アジアは半々。金ゴマは主にトルコでの栽培である。 農薬や肥料なしでもそれなりの収穫が可能という、自然まかせで栽培できる作物であるため、後述のような品種改良はあまり行われてこなかった歴史がある。
◇ 日本の品種 : 農研機構作物研究所において育成された「ごまぞう」(種苗登録2006年)は、ゴマでは初めての登録品種であり、種子中のリグナンであるセサミン、セサモリン含有量が既存在来種と比較して高いことが特徴である。2009年には同じくリグナン含有量が高い黒ゴマ新品種「ごまえもん」と白ゴマ新品種「ごまひめ」が育成され、品種登録出願された。その後両品種はそれぞれ「まるえもん」と「まるひめ」に名称変更されている。

◎ 生産

 2010年のゴマの生産量上位10カ国。 ゴマは2010年には世界の農場で780万ヘクタールを超える面積で栽培されるまでになった。 

● 食材としてのゴマ
鞘の中に入った種子を食用し、古くから世界各地で食され、香辛料や食用油としても利用されてきた。鞘から取り出し、洗って乾燥させた状態(洗いごま)で食用となるが、生のままでは種皮が固く香りも良くないので、通常は炒ったもの(炒りごま)を食べる。また、剥く、切る(切りごま)、指先でひねり潰す(ひねりごま)、すり鉢で擂り潰す(擂りごま・下記参照)などして、料理の材料や薬味として用いられる。また、伝統的にふりかけに用いられることが多い。味の特徴としては、白ごまはほのかな甘みがあり、黒ごまは香りが強く、コクがある。黄ごま(金ごま、茶ごまとも)は香りがよく、味が濃厚である。炒ると香りがよく引き立ち、料理や菓子の風味付けに使われる。
・ 白ごま - 種皮が白いタイプで、風味がおだやかでクセがなく、最も多く食べられている。ごま和えやごま豆腐、練りゴマまど、様々な料理に使われる。脂質が多いため、ごま油の原料にもなっている。
・ 黒ごま - 種皮が黒いタイプで、黒い皮にはアントシアニンや鉄分が含まれている。香りが良く、ごま和えのほか、赤飯やおはぎなどに使われる。皮の割合が多く、すって使うことが多い。
・ 黄ごま(金ごま) - 種皮が明るい茶色のタイプ。香りが良く、脂質が多いためコクが強い。生産量が少なく、希少価値が高い。
◇炒りごま :ごまを炒ったもの。炒ることによって香ばしさが出るだけでなく、消化吸収を高められる。炒るときにごまが跳ねるため、ふたをして、焦げないように鍋を動かしながら炒る。
◇ 擂りごま : すり鉢を使ってごまを擂り潰したもの。また、少量の擂りごまを得るには「卓上ごま擦り器」のような道具が便利である。ごまが半ば粉砕され、含まれていた油分が滲出してきて、ややしっとりとした感じになる。とくに和食において、白和えをはじめとしてさまざまなレシピで活躍する食材である。
◇ ごまダレ : タレの一種で、擂りごまなどを材料に用いたもの。サラダなどに用いる「ごまドレッシング」も類似のものである。
◇ 練りごま : ごまを完全に粉砕し、ピーナッツバターのように油分を含んだままペースト状にしたもの。これに植物油や調味料を入れると芝麻醤になる。
◇ ごま油 : 含油率が約50%以上あるため、搾ってごま油として用いられる。煎りごまを材料に独特の香りを出した焙煎ごま油と、ごまを煎ることなく精製し、ごま本来の旨みを出した太白油・白ごま油(未焙煎ごま油)とに分かれる。調理油・調味料として用いる他、未焙煎のごま油は製菓用油やマッサージオイルなどにも使用する。 葉は青汁の材料として利用されている。ミネラル、ビタミン、食物繊維のほか、抗酸化作用のあるアクテオシドが含まれている。

◎ ゴマの料理、菓子

・ 胡麻豆腐 - 精進料理のひとつ。
・ おひたし
・ 胡麻鯖
・ 味醂干し
・ 焼餅 - 中国のゴマをまぶしたパン
・ ごまだしうどん - 大分県佐伯市の郷土料理
・ 担担麺 - 中国四川省成都市の麺料理
・ 胡麻団子 - 中国では中空に揚げるものなど。日本では胡麻だれをかけた米の団子など。
・ 芝麻糊 - 黒ごま、砂糖、デンプンを湯で溶いた中国、香港などの食品。
・ ハルヴァ - 中東の菓子
・ ごま菓子 - 鹿児島県喜界島で作られている花良治ゴマを黒砂糖で固めた菓子。

◎ 栄養
昔からゴマは栄養価の高い食品として知られ、生薬としても用いられた。 種皮の色によって黒ゴマ、白ゴマ、黄褐色のものは金ゴマなどの品種に分けられるが、栄養的にはほとんど差がない。黒ゴマの皮の部分にはタンニン系ポリフェノール色素を多く含んでいる。すりゴマや切りゴマにすることでかたい種皮が破られ、より風味が出て美味しく味わえるほかに、栄養の吸収効果を高めるメリットもある。 カルシウム、マグネシウム、鉄、リン、亜鉛等のミネラルが多く含まれ、骨粗しょう症の予防や貧血の改善に効果がある。タンパク質、食物繊維、ナイアシン、ビタミンA・B1・B2・B6・Eや葉酸が豊富に含まれている。ゴマには抗酸化物質として働くリグナンが含まれており、ゴマの代表的なリグナンはセサミンである。ゴマ自体も抗酸化作用を持ち、活性酸素が体内で生成されるのを抑え、肝臓機能を強化し細胞の老化やガン化を抑制する作用がある。種子にはオレイン酸、リノール酸、パルミチン酸などの脂肪油45 - 50%、蛋白質約20%、含水炭素10%、アデニン、コリンなどを含んでいる。 リノール酸は必須脂肪酸の1種で、コレステロールの血管への沈着を抑制し、動脈硬化の予防に役立つと言われている。ただし、搾油したものは、そのまま空気に触れさせて放置すると過酸化脂質化して、癌や肝炎、動脈硬化の発病に関与してしまうとも言われている。セサミンは、抗酸化作用によって動脈硬化予防、老化防止や肝機能にもよいといわれている。

◎ ごまアレルギー
栄養価が高く健康に良いとされているゴマではあるが、子供を中心にごまアレルギーの調査が報告されている。アトピー性皮膚炎の子供126名を対象に行なった例では、1歳未満の乳児が21%、1歳から1歳6ヶ月未満では44%、2歳・3歳以上では約50%が、ゴマに対して陽性を示す結果となった。
 ・ 「胡麻の油と百姓は絞れば絞るほど出るものなり」 - 徳川幕府が農民に課した重税を象徴する言葉。享保の改革終期の勘定奉行・神尾春央の言葉とされている。
・ その他
 ・ 「誤魔化す(ごまかす)」の語源に関わっているとする説がある。

「ゴマ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
2024年12月14日9時(日本時間)現在での最新版を取得

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