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降旗 康男(ふるはた やすお、1934年8月19日 - 2019年5月20日)は、日本の映画監督。長野県松本市出身。
● 経歴
東筑摩郡本郷村の浅間温泉街に生まれる。地元の名士の家系であった。長野県松本深志高等学校時代からフランス映画やシャンソンに熱中し始め、フランス語を独習。『失われた時を求めて』を原文で読む輪読会に参加した。東京大学へ進学し、1957年文学部フランス文学科を卒業。同級生には安藤元雄がいた。
住友銀行副頭取だった叔父の降旗英弥を頼り、1957年に東映に入社。東映東京撮影所(以下、東映東京)の中でもさらに傍流であった歌謡映画に携わり、特定の監督には就かず、レッドパージで松竹を逐われた家城巳代治や田坂具隆、佐伯清らの助監督を務めた。東宝争議の主導者であったことで知られるカメラマンの宮島義勇と出会い、大きく影響を受けた。そうした環境もあり、降旗もまた東映の労働運動に熱中していった。1960年、ジャン=リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』を観て大きな衝撃を受け、もう自分の出る幕はない、いつ辞めることになっても悔いはないと思っていたところで監督デビューとなった。アカ嫌いの大川博東映社長は「組合を辞めないと監督にさせない」と言ったが、俊藤浩滋がプロデューサーとして東映任侠路線を仕切っていた、「成功者の映画は撮りたくない」などと断り、その後一時干され。東映の上層部と溝ができ、専属契約を解除して1974年フリー。以降、山口百恵主演の『赤いシリーズ』などテレビ映画の監督を多数務めた。本来は山下耕作が監督をする予定だったが、倉本と意見が合わずに降板したため、倉本の大学の先輩である降旗がピンチヒッターとして起用された。これ以降、「降旗&高倉」はゴールデンコンビとされるようになった。
1999年、やはり高倉健が主演を務めた『鉄道員』で日本アカデミー賞監督賞・脚本賞を受賞。2002年に紫綬褒章、2008年には旭日小綬章を受章した。。
● 人物
・降旗とのコンビで『地獄の掟に明日はない』『ホタル』など数々の作品を作り上げた高倉健は、寡黙で撮影現場ではほとんど声を張り上げて指示を出さない降旗に対し、コンビを組むことの多いカメラマンの木村大作が大変なおしゃべりで大声で現場を仕切るため、初めて呼ばれる役者は木村が監督だと勘違いすることもしばしばあると、自身のエッセイ「あなたに褒められたくて」でユーモラスに紹介していた。一見すると頼りないようにも思えるが、木村のような個性の強いカメラマンに撮影された作品でも、必ず降旗の個性の出た降旗作品に仕上がると語っている。
・ 木村自身も同様に「いくら撮影を頑張ってもやっぱり降旗映画」になると語っている。
・野村正昭は「任侠映画を手がけても降旗の映画には、フランス映画のようなどことなく垢抜け、洒落た雰囲気があった」と評している。
・ 1978年には、東映の吉川進プロデューサーから「『スパイダーマン』の監督をやってみないか?」と声をかけられたことがあり、しばらく後になって「いつになったら俺に『スパイダーマン』を監督させてくれるんだ」と意外な返答をしたこともあったという。
・ 保守政治家の家に生まれたが、東映時代の労働組合運動の影響もあり、日本共産党の支持者として知られていた。
● 監督作品
◎ 劇場作品
◎ テレビドラマ
・ 刑事さん
・ 泣いてたまるか
・ 水滸伝
・ 大盗賊
・ おんな浮世絵・紅之介参る
・ TOKYO DETECTIVE 二人の事件簿
・ 俺たちの勲章
・ 夜明けの刑事
・ 新・二人の事件簿 暁に駆ける
・ 赤い迷路
・ 大都会 闘いの日々
・ 赤い疑惑
・ 新・夜明けの刑事
・ 赤い運命
・ 赤い衝撃
・ 赤い絆
・ 大空港
・ 87分署シリーズ・裸の街
・ 噂の刑事トミーとマツ(第2シリーズ)
・ 牟田刑事官事件ファイルシリーズ
・ 雨の日の訪問者
・ 徳川家康
・ もう一つの旅路
・ 運命の銃口
・ 逃げたい女
・ 四匹の用心棒 (5) かかし半兵衛無頼旅
・ 刑事追う
・ 忍者返し水の城(朝日放送)
・ 家康が最も恐れた男 真田幸村
● 脚本
・ 1967年 懲役十八年 仮出獄 (東映東京)
・ 1971年 新網走番外地 吹雪の大脱走(東映東京)
・ 1999年 鉄道員(「鉄道員」製作委員会)
・ 2001年 ホタル(「ホタル」製作委員会)
・ 2004年 赤い月(「赤い月」製作委員会)
・ 2007年 憑神
「降旗康男」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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