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皮革(ひかく)は、動物の皮膚を剥いだと、皮から毛を除いて得られる「革」の総称である。毛皮は毛をつけたままなめしたもので、広義には皮革に含まれる。動物の皮膚をそのまま剥ぎ、製品として使用したものを皮という。皮は乾燥させると硬くなるが、乾燥中に繰り返し揉んだりほぐしたりして加工すると柔らかさを保つ性質がある。
例として、約5300年前のミイラであるアイスマンは革のコート、革のレギンス、毛皮の帽子、干し草を詰めた靴がある。これらは用途によって意識的に選ばれていたパッチワークで、コートは家畜化されたヒツジ革4頭分、家畜化されたヤギの革などで作られ、腰布はヒツジ革、レギンスはヤギ革、靴ひもは牛革、帽子はクマの毛皮であった。また、これらのなめしの加工としては、動物性脂肪に漬けたあとに意図的に土に埋める方法が採用されており、撥水性に優れた性能を持っていたと試料を分析したグループは述べている。
皮革は硬質の樹脂であるプラスチックが発明されるまで人類が入手できる最も強靭な素材だったを第二次世界大戦後の経済的な混乱期まで使用することとなった。
● 原料皮と種類
なめして革に加工できる皮を原皮というが、原皮になりうるものは脊椎動物の皮に限られている。また、実用的な皮革に加工するにはコラーゲン線維が十分に絡んでいて一定の厚みや硬さが必要である(皮下に十分に脂肪を蓄えて食用に適するよう品種改良されてきたニワトリなどは不向きとされている)。小型のポニー種の革も同様にポニーと呼ばれる。稀少な牛革の「ハラコ」の代替品としても利用される。
・ ホースフロント (horse front) - 首の部分に当たる革。キメ細かいが、摩擦抵抗が弱い。
○ 羊
・ シープスキン - 柔らかいのが特徴。脂肪の穴が多いので、なめしても革に空隙(くうげき)が多く残り、断熱効果が高いので、防寒着にも多く使用される。
・ - 羊の毛がそのまま残っている毛皮。第二次世界大戦時、フライトジャケットの極寒冷地用に使用され、防寒性が非常に高い。
○ 山羊
・ ゴートレザー - 羊皮より充実した繊維組織を持ち、強くやや硬い。銀面は特有の凹凸をもち耐摩耗性に優れている。ヤンピーとも呼ばれ古典的なカメラの蛇腹に用いられる。
○ カンガルー
近年特に使用が増えた皮革である。軽くて丈夫なのが特徴で、サッカー選手や陸上選手のスパイクシューズやオートバイ用ライディングスーツ(革ツナギ)などにも使用される。世界的に肉牛の需要が減少し、副産物としての牛革が減少するに伴い、徐々に採用された。基本部位は肉牛と同じく背中から脇であるが、カンガルーは二足歩行するため、革の形状も三角形に近い形を成しており、製造過程で若干の技術的困難が見られた。外見上は牛革と大差なく、見分けはつきにくい。
○ その他の哺乳類
・ ゾウ - 傷に強く頑丈な革である。ワシントン条約で輸入が規制されている。
・ ウサギ - 毛皮
・ シカ - 繊維は細いが、からみ合いが粗く、非常に柔らかい革である。鹿革では、印伝が有名で、特殊ななめしをしたうえに、漆で模様をつけたものである。
・ クマ - 毛皮。かつて革としても使われていた。
・ 水牛 -バッファローという商品名で流通している革で独特のしぼ感と柔らかさがある。水にいる生物なので革も水に強い特徴がある。
・ ネコ - 腹側は三味線に用いられる。
・ イヌ - 毛皮。毛皮の中で最も保温性が高いと言われている。
・ トラ - 毛皮
・ オオカミ - 毛皮
・ ヒョウ - 毛皮
・ タヌキ - 毛皮
・ キツネ - 毛皮
・ イタチ - 毛皮。ミンク、テンなど。
・ センザンコウ - ひし形模様の鱗跡が珍重される革。
・ ビーバー - 毛皮。赤い色が特徴。現在は保護動物のため採取は禁止されている。
・ ラッコ - 毛皮。現在は保護動物のため採取は禁止されている。
・ ニホンカモシカ - 毛皮。現在は保護動物のため採取は禁止されている。
・ オットセイ
・ アザラシ - 厚みがあり丈夫。革の表面の特徴は頭部から尾部に向け、独特の波状の畝(ウネ)模様がある。腸は薄く柔軟で防水性が高いため、イヌイットの防水着として用いられる。パルカと呼ばれパーカーやアノラックの原型となった。
・ ラクダ - 砂漠地帯の昼夜の激しい温度差により、ラクダの革は一般的に厚く頑丈になる。但し1頭から取れる皮のうち皮革素材として使用できる面積は少ないと言われる。生皮を透明に加工したラクダのランプが有名。
・ トナカイ - ダイヤ柄の型押し模様が施された高級皮革のロシアンカーフ (Russian calf) が有名。
・ カピバラ
・ ヒト - 人間の皮膚は比較的大きいものの、他の動物に比べ柔弱で実用性は劣るが、宗教、シャーマニズム、死後に肉体の一部を残す希望、猟奇趣味など、主に精神的理由から人皮は世界各所で用いられてきた(人皮装丁本、エド・ゲイン、アイスランドのネクロパンツ)。
◎ 爬虫類
・ ワニ - 数ある皮革の中でも最高級とされる。クロコダイル種とアリゲーター種がある。最上級のクロコダイル(東南アジア産のイリエワニ)や、アリゲーター、カイマン等が有名。鱗の模様によって玉符(柔らかめ)と竹符(硬め)がある。
・ ヘビ - 美しい鱗が特徴だが、あまり丈夫ではない。ニシキヘビが有名。パイソン。
・ トカゲ - 丸斑模様のリング縞斑のオーバルなど様々なものがあり、ジャワのリザードが有名。また、リングマークトカゲが最も高級。
◎ 鳥類
・ ダチョウ - 牛革より4倍ほど丈夫で特に一般に流通している革の中で最も摩擦に強い革であり長持ちするとされている。羽毛を抜いた跡のクイルマーク(表面のボツボツした多数の突起)が特徴。ワニ革についで高価な素材。オーストリッチ。
・ エミュー - オーストリッチに似ているが突起が小さいのが特徴。
◎ 魚類
・ サメ - ナイフで突き刺しても貫通しないと言われるほど頑丈で、水に強い性質がある。鮫肌と言われるウロコ部分は加工で除去される。ワサビ用おろし器にも用いられる。シャークスキン。
・ エイ - 鮫の近縁であるため皮膚もサメに近く、皮革として丈夫で水に強いため、エイの皮も鮫皮と呼ばれることがある。炭酸カルシウムでできた、ラインストーンのような細かい突起が、独特の模様を成す。ガルーシャともいう。光を感知する第三の目の部分はスティングレイハートと呼ばれる。また、日本刀の柄の部分やおろし器としても利用される。表面を削る加工は非常に高度な技術が必要なためオーストリッチについで高価になる。
・ サケ - 北海道の特産品としてわずかに流通する程度である。アイヌやナナイほかユーラシア北部の少数民族の間では、サケの皮をなめして作った魚皮衣が作られていた。
・ コイ - 模様は美しいが、革の大きさが小さいため実用性は低い。
・ ヌタウナギ - 現在は韓国の特産品となっていて滑らかでやわらかく、革特有の臭いも無いので注目されている。イールスキン。
● 皮革の加工
製革の作業には、大きく分けて準備工程、鞣し工程、再鞣・染色・加脂工程、仕上げ工程がある。
◎ 準備工程
鞣し(なめし)の前に皮をコラーゲン線維だけに精練する工程であり、英語ではBeamhouse Workという、水分がない状態でもコラーゲン繊維が癒着せず、らせん構造を維持する状態に変化させることをいう。鞣し(なめし)のプロセスが理論的に解明されたのは18世紀のことである。持続可能性の観点から、近年では、動物の皮を使用するよりも環境負荷の低い、合成皮革の研究開発が活発化している。Apple社は2023年、「すべての製品で皮革の使用をやめる」と宣言。車や飛行機でも、合成皮革を使う動きが広まっており、世界の合成皮革市場は2030年までに672億ドル規模に達すると予想される。
1トンの皮を製品に仕上げるまで、20‐80立方メートル(20-80万リットル)の排水が出る。この水には、クロム、硫化物、窒化物などが大量に含まれる。また輸送中の皮革には、保存用の薬剤や病原菌が付着している。中国では、動物愛護の観点から動物由来の製品を避ける消費者の増加とともに、電気自動車のシートや内装に人工皮革を使う動きが広がっている。
牛の飼育のためにアマゾンでは6年間で8億本の木が伐採されており、牛革は森林破壊の要因にもなっている。森林破壊を伴わない持続可能な牛革の調達が近年求められており、アディダスやプーマ、マークス&スペンサーのように認証を受けた業者からの牛革調達を行っている企業が増加している。
● 合成皮革
合成皮革(ごうせいひかく)、フェイクレザーとは、基布に樹脂等を付着させて、天然皮革類似の風合いとしたものをいう。天然皮革と異なり、水に濡れたりしても手入れが簡便であり、安価で品質も均一であることなどから普及している。単に「レザー」と言う場合、合成皮革を示す場合もあるが、レザーの意味は天然皮革である。
なお、広義の合成皮革は、狭義の合成皮革と人工皮革とに分類される。
ものによるが、天然皮革に比して劣化が早い傾向があり、天然皮革の靴や服のように自分の体に合ってくるということは少ない。例えば、ポリウレタン製のフェイクレザーなどは、使用状況、保管方法等にも依るが、約5年程度で劣化し使えなくなることが多い。
化学繊維で毛皮を模したものをフェイクファー、エコファーと呼ぶのに関連して、エコレザーが合成皮革のことだと勘違いされることがあるが、エコレザーは天然皮革である。オーガニックコットンなどと似たようなもので、環境に配慮して製品化された天然皮革をエコレザーと呼ぶ。
● 培養皮革
生体細胞を細胞培養して、生物を犠牲にすることなく工業的に皮革を生産する研究が行われ、一部の企業は商業生産を始めている。
● 皮革関連施設
・ ウォルソールの皮革博物館
「皮革」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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