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拡張周期表(かくちょうしゅうきひょう)とは、ドミトリ・メンデレーエフの周期表を未知の超重元素の領域まで論理的に発展させた周期表である。未知の元素についてはIUPACの元素の系統名に準じて表記される。原子番号119(ウンウンエンニウム)以降の元素は全て未発見である(発見報告無し)。
現在発見されているよりも大きい原子番号の元素が発見された場合には、既存の周期と同様に、その元素の性質が周期的に繰り返される傾向を示すようにレイアウトされた、追加の周期に置かれることになるだろう。追加される周期は、第7周期よりも多くの元素を含むことが予想される。これは、いわゆるgブロックが追加され、g軌道の一部が満たされた少なくとも18個の元素が含まれると計算されるからである。gブロックと第8周期を含む周期表は、1969年にグレン・シーボーグによって提案された。 gブロックの最初の元素は原子番号121である可能性があり、その場合ウンビウニウムという系統名を持つことになる。この領域の元素は、多くの探索にもかかわらず、合成されたり自然界で発見されたりしていない。
原子構造の量子力学的記述における軌道近似計算によれば、gブロックは部分的にg軌道が充填された元素に対応するが、スピン軌道相互作用により、原子番号の高い元素では軌道近似計算の有効性が大幅に低下する。シーボーグの拡張周期表では相対論的効果を考慮していなかったため、重い元素が軽い元素のパターンに従っていたが、相対論効果を考慮したモデルでは異なる。ペッカ・ピューッコとブルクハルト・フリッケはコンピュータモデルを用いてZ = 172までの元素の配置を計算し、いくつかの元素が構造原理からずれていることを発見した。 原子番号120を超える元素の化学的・物理的性質の予測には不確実性とばらつきがあるため、現在のところ拡張周期表における元素の配置についてはコンセンサスが得られていない。
この領域の元素は、放射性崩壊に対して非常に不安定であり、半減期が極めて短いアルファ崩壊や自発核分裂を起こす可能性が高いが、126番元素は自発核分裂には耐性があるがアルファ崩壊を起こす安定の島にあると考えられている。既知の元素以降にも安定の島が存在する可能性があり、その中には164番元素を中心に理論化されたものも含まれるが、閉じた核の殻による安定化効果がどの程度あるかは不明である。予測される安定の島を超えて元素が物理的にどのくらい存在可能なのか、第8周期に終わりがあるのか、第9周期があるのかは明らかではない。国際純正・応用化学連合(IUPAC)では、原子核が電子雲を形成する時間である10-14秒(0.01ピコ秒、10フェムト秒)よりも寿命が長い元素を存在の定義としている。
1940年には、相対論的なディラック方程式を単純に解釈すると、Z > 1/α ≈ 137の電子軌道が問題となることが指摘されていた。137番元素より先には中性原子が存在できず、電子軌道に基づく元素周期表はこの時点で破綻することが示唆されていた。 一方、より厳密な分析では、類似の限界をZ ≈ 168から172までと計算し、ここで1s電子軌道がディラックの海に飛び込むとした。ただし、これを超えて存在できないのは中性原子ではなく裸の原子核であり、周期系のさらなる拡張を妨げるものではないとしている。この臨界原子番号を超える原子を「超臨界原子」と呼ぶ。
● 歴史
アクチノイドより重い元素の存在は既に1895年には提案されており、デンマークの化学者ユリウス・トムセンが、ウランやトリウムを含む32元素の周期(第7周期)は、化学的に不活性な原子量292の元素で終わることを予測していた。これは、オガネソンで現在唯一発見されている同位体の原子量294に近い。1913年、スウェーデンの物理学者ヨハネス・リュードベリは、ラドンの次の貴ガスは原子番号118であると同様に予測し、ラドンより重い同族体は Z = 168, 218, 290, 362, 460 であることを、純粋に構造原理より導き出した。ニールス・ボーアは1922年に、ラドンの次となる貴ガスの電子構造を Z = 118 と予測し、また自然界でウランより原子番号が大きい元素が見られないのは、あまりにも不安定だからであると指摘した。ドイツの物理学者で技術者でもあるRichard Swinneは、1926年に超ウラン元素についての予測を含むレビュー論文を発表し、安定の島という現代の予測を先取りしていた。彼は1914年より、半減期は厳密には原子番号とともに減少しないという仮説を立て、Z = 98–102 と Z = 108–110 に長寿命の元素があるかもしれないと示唆し、こうした元素は地球の核、鉄隕石、あるいは宇宙起源の物質がグリーンランド氷床(:en:Greenland ice sheet)の中に閉じ込められて存在しているのではないかと推測していた。1955年には、これらの元素は超重元素と呼ばれるようになった。
未発見の超重元素の性質について最初の予測がなされたのは1957年のことで、殻模型の概念が初めて検討され、126番元素近辺に安定の島が存在することが理論的に示された。1967年にはより厳密な計算が行われ、安定の島は当時未発見のフレロビウム(114番元素)を中心にしていることが理論づけられた。この研究やその後の研究により、多くの研究者が自然界での超重元素の探索や、加速器での合成を試みるようになった
、合成に成功した最も重い元素は2002年のオガネソン、最も新しい元素の発見は2010年のテネシンである。重い元素ほどより不安定になると予測されているため、周期表が既知の118元素を超えてどこまで拡張されるかは未知数である。グレン・シーボーグは、実際には核の不安定性のために、早ければ Z = 120 付近で周期表の終わりが来るのではないかと示唆している。
● 拡張周期表の予想される構造
周期表における原子番号120を超える元素の配置については、現在合意が得られていない。
すべての仮説上の元素には、国際純正・応用化学連合(IUPAC)の体系的な元素名が与えられる。それらの元素が発見および確認され、正式名称が承認されるまで使用される。これらの名前は通常、文献では使用されず、元素は原子番号で参照される。したがって、164番元素は、「ウンヘキサクアジウム」または「Uhq」(体系名と記号))ではなく「164番元素」、または記号で「164」、「(164)」、または「E164」と呼ばれる、Frickeらによる化学的類似性と一致している。彼の2番目の提案(2016年)では、121番元素から142番元素まではgブロックを形成し(5g活性があるため)、元素143から156はアクチニウムからノーベリウムの下に配置されたfブロックを形成する。したがって、第8周期には54の元素が現れ、118番元素の次の貴ガス(液体または固体と予想。
◎ Smitsらの拡張周期表
2023年、Smits、Düllmann、Indelicato、Nazarewicz、Schwerdtfegerは、電子配置に基づいて周期表の119番から170番までの元素を配置する試みを行った。いくつかの元素(121番から124番までと、168番)は、明確に配置できなかった。145番元素は2回出現し、いくつかの場所は二重に占有され、他の場所は空である。
Fr
Ra
119
120
125
126
127
128/129
130
131
132
133/134
135
136
137
138
139
140
141
142/143
144
145
165
166
Ac
Th
Pa
U
Np
Pu
Am
Cm
Bk
Cf
Es
Fm
Md
No
Lr
Rf
Db
Sg
Bh
Hs
Mt
Ds
Rg
Cn
Nh
Fl
Mc
Lv
Ts
Og
145
146
147
148/149
150
151
152
153
154
155
156
157
158/159
160
161
162
163
164
167
169
170
● 未発見の元素の探索
◎ 合成の試み
ウンビセプチウムまでの第8周期元素は、ウンビトリウムを除いて合成が試みられているが、成功していない。
○ ウンウンエンニウム
ウンウンエンニウムの合成が初めて試みられたのは、1985年にカリフォルニア州バークレーにあるsuperHILAC加速器で、アインスタイニウム254の標的にカルシウム48イオンを衝突させて行われた。
: + →
・ → no atoms
原子は確認されず,断面積(核反応を起こす割合を表す尺度)の限界は300nbとされた。後の計算では、299Uueと3個の中性子を生成物とする3n反応の断面積は、実際にはこの上限の60万分の1の0.5pbになるとされている。
ウンウンエンニウムは未発見の最軽量元素であり、ドイツとロシアによって合成実験の対象となった。 ロシアの実験は2011年に行われたが、結果は公表されず、ウンウンエンニウム原子が確認されなかったのではないかと考えられている。2012年4月から9月にかけて、ドイツのダルムシュタットにある重イオン研究所(GSI)で、バークリウム249を標的にチタン50を衝突させて295Uueと296Uueの同位体を合成する試みが行われた。 理論的に予測される断面積から、実験開始から5ヶ月以内にウンウンエンニウム原子が合成されると予想されていた。さらに、バークリウム 249は327日という短い半減期でカリフォルニウム249(次の元素)に崩壊するため、これにより119番元素と120番元素を同時に探索することが可能であった。
: + →
・ → + 3 n
: + →
・ → + 4 n
当初、実験は2012年11月まで行われる予定であったが、テネシンの合成を確認するために249Bkのターゲットを利用するため(衝突させるイオンをチタン50からカルシウム48に変更)、早期に中止された。より重いバークリウムやカリホルニウムではなくキュリウムが選ばれたのは、これらのより重い元素は用意が難しいためである。248Cmはオークリッジ国立研究所から提供された。理研は高強度バナジウムビームを開発した。実験はサイクロトロンで始まり、その間に理研は線形加速器をアップグレードし、アップグレードは2020年に完了した。最初の元素合成が観測されるまで、両方の機器で照射を続けることができる。実験は現在、少なくとも年間100日間断続的に実行されている。
○ ウンビニリウム
2006年に、249Cfと48Caの反応でオガネソンを得ることに成功したドゥブナ合同原子核研究所(JINR)のチームは、58Feと244Puの原子核からウンビニリウム(120番元素)を作ることを目指して、2007年3月から4月にかけて同様の実験を開始した。ウンビニリウムの同位体は、アルファ崩壊の半減期がマイクロ秒のオーダーであると予想されている。初期の分析ではウンビニリウムの原子は生成されず、エネルギーの限界断面積は400fbという結果であった。
: + →
・ → no atoms
ロシアのチームは、この反応に再挑戦する前に設備を更新することを計画していた。
: + →
・ → no atoms
原子は検出されず、このエネルギーでの断面積は1.6pbであった。GSIは、2007年4月から5月、2008年1月から3月、2008年9月から10月の3回にわたり、より高い感度で実験を繰り返したが、いずれも否定的な結果となり、断面積の限界値は90fbであった。 その結果、299Ubnとその娘核295Ogの予測されるアルファ崩壊のエネルギーと、そのまた娘核である291Lvの実験的に知られている崩壊エネルギーに一致する3つの相関信号が観測されたが、これらの可能性のある崩壊の寿命が予想よりもずっと長く、結果を確認することはできなかった。
2011年8月から10月にかけて、GSIの別チームがTASCA施設を使って、さらに非対称な新しい反応を試みた、ウンビニリウムの合成に最も適した実用的な反応であると予測されていたが、やや冷たい合成反応でもある。ウンビニリウムの原子は確認されず、限界断面積は200fbであることが示唆された。Jens Volker Kratzは、これらのどの反応によってもウンビニリウムを生成できる実際の最大断面積は0.1fb程度であると予測した。しかし、249Cfの標的は米国のオークリッジ国立研究所によって作成される必要があり、2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まった後は、制裁のためJINRと他の研究所との協力は完全に停止した。その結果、JINRは現在、代わりに248Cm+54Crの反応を試みることを計画している。 54Cr発射体を使用するための準備実験が2023年末に実施され、238U+54Cr反応で288Lvの合成に成功した。120番元素を合成する実験が2025年に開始されることが期待されている。
2022年から。
○ ウンビウニウム
ウンビウニウムの合成は、1977年にドイツのダルムシュタットにある重イオン研究所(GSI)で、ウラン238を標的にして銅65イオンを照射することで初めて試みられた。
: + →
・ → no atoms
原子は確認されなかった。 超重元素の合成に関する最近の研究では、この2つの結論が正しいことが示唆されている。ウンビビウムを合成する1970年代の2つの試みは両方とも、超重元素が潜在的に自然に存在する可能性があるかどうかを調査する研究によって推進された。
○ ウンビクアジウム
フランスのカーンにあるGANIL(Grand Accélérateur National d'Ions Lourds、国立重イオン大型加速器)の科学者たちは、この領域での殻模型効果を探り、次の球状陽子殻を突き止めるために、Z = 114、120、124の元素の複合核の直接核分裂と遅延核分裂を測定しようとした。これは、原子核の殻が完全であれば(あるいは陽子や中性子が魔法数であれば)、超重元素の原子核の安定性が高まり、安定の島に近づくことになるからである。2006年には、天然のゲルマニウムにウランイオンを衝突させた反応の結果が発表され、2008年には完全な結果が発表された。
: + →
・ → fission
研究チームは、半減期が10-18秒以上の複合核の核分裂を確認できたことを報告した。この結果は、Z = 124で強い安定化効果があることを示唆しており、次の陽子殻が、従来考えられていたZ = 114ではなく、Z > 120であることを示している。複合核とは、まだ核の殻に収まっていない核子のゆるやかな組み合わせである。内部構造を持たず、標的核と発射核の衝突力のみで結合している。核子が核の殻に収まるまでには約10-14秒かかると言われており、その時点で複合核は核子となる。IUPACではこの数字を、発見された同位体と認められるために必要な最小半減期としている。そのため、GANILの実験は124番元素の発見にはならない。
: + →
・ → fission
ドゥブナ合同原子核研究所(JINR)で行われた過去の実験と同様に、核分裂片は132Sn(Z = 50、N = 82)のような二重魔法数の周りに集まっており、超重核が核分裂でこのような二重魔法数の核子を排出する傾向があることが明らかになった。 他の人々は、何も検出されなかったと主張し、原初の超重原子核の提案された特徴に疑問を呈した。 また超重元素は、天然のセリウムの核変換によって引き起こされたとも提案されており、超重元素の観測と主張していたものの、さらに曖昧さを増していた。ウンビビウム292原子は超変形または過変形された核異性体であり、半減期は少なくとも1億年であると主張していた、この技術に対する批判が掲載された。掲載されたコメントの後に、Marinovらによる反論がフィジカル・レビューC誌に掲載された。
加速器質量分析(AMS)の優れた方法を使用したトリウムの繰り返し実験では、感度が100倍優れているにもかかわらず、結果を確認できなかった。この結果は、Marinovらが主張するトリウム、ウンビビウムの長寿命同位体に関する結果に大きな疑問を投げかけるものであった。ウンビビウムの痕跡が一部のトリウム試料にのみ存在する可能性はあるが、見込みは薄い。そのような超重元素の原子核が自然に生成されるかどうかも不確かである。というのも、自発核分裂によって、質量数270から290の間で重元素生成の原因となるr過程を終了させると予想されており、ウンビニリウムよりも重い元素が生成されるずっと前に終了するからである。
最近の仮説では、プシビルスキ星のスペクトルを用いて、フレロビウム、ウンビニリウム、ウンビヘキシウムの天然での存在を説明しようとしている。
● 第8周期元素の予想される性質
118番元素のオガネソンは、これまでに合成された元素の中で最も重い元素である。次の2つの元素、119番元素と120番元素はそれぞれアルカリ金属とアルカリ土類金属の8s元素になると思われる。120番元素を超えると超アクチノイド系列が始まると予想されており、8s電子と8p1/2、7d3/2、6f、5gの各電子殻の充填によって、これらの元素の化学的性質が決定される。122番より大きい元素については状態が非常に複雑であるため、完全で正確なCCSD計算はできない。5g、6fおよび7d軌道はほぼ同じエネルギー準位を持ち、160番元素の領域では、9s、8p3/2、9p1/2の各軌道もほぼ同じエネルギーになると考えられる。これにより電子殻が混ざり合い、ブロックの概念がうまく適用されなくなる。また、一部の元素を周期表に配置するのが非常に困難になる新しい化学的性質が生じると予想される。
○ 超アクチノイド元素
ロシアの化学者Nefedov (ロシア語版) らによると、超アクチノイド元素は121番元素から157番元素までと考えられており、第8周期の5g、6f元素と一部の7d元素に分類される。主な酸化状態は+3であるが、価電子殻のエネルギー準位が近いため、119番元素や120番元素のように、より高い酸化数を取る可能性がある。第一イオン化エネルギーは429.4 kJ/molと予想され、アルカリ金属のカリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムを除くすべての既知の元素よりも低く、この値は第8周期のアルカリ金属であるウンウンエンニウム(463.1 kJ/mol)よりもさらに低い。同様に、次の超アクチノイド元素であるウンビビウム(122番元素)は、セリウムやトリウムと似ており、主な酸化数は+4と予想される。基底状態では7d18s28p1か8s28p2の価電子配置を持ち、トリウムの6d27s2配置とは異なると考えられる。したがって、第一イオン化エネルギーはトリウムよりも小さくなる(Th: 6.3 eV
◇ Ubb: 5.6 eV)。これは、ウンビビウムの8p1/2電子がトリウムの6d電子よりもイオン化しやすいことによる。 その他の予測される酸化数には+2、+4、+6などがあり、+4はウンビヘキシウムにおける最も普通の酸化数であると予想されている。 結合解離エネルギーは127番元素で大きく増加し、129番元素ではさらに増加すると予測されている。このことは、125番元素フッ化物の強いイオン性から、129番元素フッ化物における8p軌道を含んだ共有結合性への移行を示唆している。これら超アクチノイド元素六フッ化物における結合のほとんどは、六フッ化ウランのようにウランが5fと6dの軌道を使って結合するのではなく、超アクチノイド元素で最もエネルギー準位の高い8p電子殻とフッ素の2p電子殻の間で行われる。
後半の超アクチノイド元素の例として、156番元素は主に+2の酸化数を示すと予想されるが、これは安定した[Og5g186f148s28p電子配置の上に電離しやすい7d2電子があるためである。これはノーベリウムのより重い同族体と考えることができ、安定した[Rn5f14電子配置の上に電離しやすい7s2電子のペアを持つため、通常は+2価であるのと同様である(+3価のノーベリウムを得るためには強力な酸化剤が必要である)。
計算上、164番元素(ウンヘキサクアジウム)の7d電子は化学反応に対して非常に関与しやすいと予測されるため、ウンヘキサクアジウムは通常の+2価に加えて、強い配位子を持つ水溶液中で安定した+6および+4の酸化数を示すと予想される。このため、ウンヘキサクアジウムは、Uhq(CO)4、Uhq(PF3)4(いずれも対応するパラジウム化合物と同様に四面体)、(直線形分子構造)のような化合物を形成することができると考えられ、これは鉛の挙動とは非常に異なる。もし相対論的な影響がなければ、ウンヘキサクアジウムはより重い鉛の同族体となっていたであろう。とはいえ、水溶液中では2価の状態が主であり(ただし、より強い配位子を用いれば、+4や+6の状態も可能である)、ウンヘキサクアジウム(II)はウンヘキサクアジウム(IV)やウンヘキサクアジウム(VI)よりも鉛に近い挙動を示すと考えられる。
:
原子量
[485
[489
[493
[496
[500
[504
族
13
14
15
16
17
18
価電子配置
9s2 9p1
9s2 9p2
9s2 9p2 8p1
9s2 9p2 8p2
9s2 9p2 8p3
9s2 9p2 8p4
安定した酸化数
3
4
5
6
−1, 3, 7
0, 4, 6, 8
第一イオン化エネルギー
620 kJ/mol
720 kJ/mol
800 kJ/mol
890 kJ/mol
984 kJ/mol
1090 kJ/mol
金属半径または共有結合半径
190 pm
180 pm
175 pm
170 pm
165 pm
220 pm
密度
17 g/cm3
19 g/cm3
18 g/cm3
17 g/cm3
16 g/cm3
9 g/cm3
○ 172番より大きい元素
原子番号が172を超えると、少なくとも6g、7f、8d、10s、10p1/2、そしておそらく6h11/2の電子殻が満たされる可能性がある。これらの電子は非常に緩く結合しており、非常に高い酸化数に到達できる可能性があるが、イオン価が増えると電子はより強固に結合することになる。したがって、非常に長い超アクチノイドのような遷移系列がおそらく存在するだろう。
◎ 周期表の終わり
物理的に可能な元素の数は明らかになっていない。低く見積もった場合、周期表は安定の島の後すぐに終わる可能性があり。Y.Gambhirらの計算では、様々な崩壊経路における核結合エネルギーと安定性を分析し、結合した原子核の存在はZ = 146が限界であることを示唆している。 ワルター・グライナーのように、周期表に終わりがないかもしれないと予測した人もいる。 周期表に終わりがあると予測した人には、Z = 128(John Emsley)やZ = 155(Albert Khazan)がいる。この近似式では、原子番号が137より大きい元素は、1s電子が光速であるcより速く移動する必要がある。したがって、非相対論的なボーアの原子模型をこのような元素に適用することは不正確である。
※ 相対論的ディラック方程式
相対論的なディラック方程式により、基底状態のエネルギーは次のように与えられる。
:
ここで、mは電子の静止質量である。Z > 137の場合、ディラック基底状態の波動関数は束縛ではなく振動的であり、クラインのパラドックスのように正負のエネルギースペクトルの間にギャップはない。 原子核の有限サイズの影響を考慮したより正確な計算では、結合エネルギーがZ > Zcrに対して初めて2mc2を超えるのは、168から172の間であることが示されている。 この1s電子殻における負の連続体への飛び込みは、しばしば周期表の「終わり」を意味すると考えられてきたが、そのような共鳴はガモフ状態として解釈できる。しかしながら、計算と周期表をZcr≈172を超えて拡張するために必要な、多電子系におけるこのような状態の正確な記述は、まだ未解決の問題である。
Zcrを過ぎても元素が存在できなくなるわけではないが、Zcrに近づくにつれて原子核近くの 1s密度の濃度が増加するため、これらの電子はK殻電子捕獲に対してより脆弱になる可能性がある。このような重い元素の場合、これらの1s電子は、かなりの時間を原子核の近くで過ごす可能性が高く、実際には原子核の内部に存在する。これは周期表に新たな限界をもたらす可能性がある。
ミュオニック原子は電子の約207倍の重さであるため、係数mによって、はるかに大きい原子番号約2200で超臨界状態となる。
2020年に発表された計算では、アップダウンクォークマター(udQM)ナゲットはA ~ 266を超えても従来の原子核に対して安定であることが示唆されており、また、udQMナゲットは従来の原子核(Zcr ~ 177、A ~ 480)よりも早く(Zcr ~ 163、A ~ 609)超臨界になることが示されている。
◎ 原子核の性質
○ 魔法数と安定の島
原子核の安定性は、96番元素のキュリウム以降原子番号が大きくなるにつれて急速に短くなるため、101番より大きい原子番号を持つ同位体は、半減期が1日以下で放射性崩壊をしてしまう。原子番号が82(鉛)より大きい元素には安定同位体が存在しない。しかし、まだあまりよくわかっていない理由で、原子番号110から114付近では核の安定性がわずかに増し、核物理学では「安定の島」と呼ばれるものが存在する。この概念はカリフォルニア大学バークレー校のグレン・シーボーグ教授が提唱したもので,超重元素が予測よりも長持ちする理由を説明している。
非相対論的なSkyrme相互作用を用いたハートリー=フォック方程式による計算では、Z = 126が陽子の閉殻として提案されている。周期表のこの領域では、中性子の閉殻としてN = 184、N = 196、N = 228が提案されている。したがって、最も関心のある同位体は310Ubh、322Ubh、354Ubhであり、これらは他の同位体よりもかなり長命である可能性がある。魔法数の陽子を持つ126番元素は、この領域の他の元素よりも安定していると予想され、半減期の非常に長い核異性体が存在する可能性がある。
核変形と相対論的効果を考慮した超重核での単粒子の解析では、Z = 126、138、154、164とN = 228、308、318の新しい魔法数が予想されている。一方で同分析によると、354Ubhのようなケースでは、陽子殻の閉じ方が比較的弱いかまたは存在しない可能性がある。こうした原子核は二重魔法数ではないかもしれず、安定性は主に強い中性子殻の閉じ方によって決定されることになる、この領域周辺の原子核は共鳴としてしか存在せず、原子核を有意な時間で保つことができない可能性がある。また、これらの系列の間にある超アクチノイド元素のいくつかは、両方の島から離れすぎているために実際には存在しない可能性もあり、616210と798274の2つのベータ崩壊に安定な二重魔法核が発見されたが、同じ計算方法で298Flと472164も予測された(Z = 354で予測された二重魔法核はベータ崩壊に対し不安定で、998354は中性子不足、1126354は中性子過剰であった)。616210と798274にはアルファ崩壊や核分裂に対するさらなる安定性が予測されており、616210の半減期は数百マイクロ秒にも及ぶ。
核種の表の一部の領域では、球形核とは異なる魔法数を持つ非球形核によって、別の安定領域が存在することが予想される。卵形の原子核を持つ270Hs(Z = 108、N = 162)は、変形した二重魔法核の1つである。超重核領域では、ほとんどの小さな原子核の内部で陽子がほぼ均一に分布しているのとは異なり、オガネソン同位体を含む一部の核では陽子の強いクーロン反発により、基底状態で陽子の中心密度が低下した泡のような形状を取ることがある。ただし、このような形状では非常に自発核分裂が起こりやすい。342136や466156など、さらに重い一部の領域の原子核は、代わりにトーラス(いわゆる「ドーナツ型」)または赤血球のような形状になり独自の魔法数と安定の島を持つが、簡単に自発核分裂を起こすこともある。
○ 未発見元素の崩壊特性の予測
安定性の主要な島は291Cnと293Cnの周辺にあると考えられているため、オガネソンを超える未発見の元素は非常に不安定で、マイクロ秒以下でアルファ崩壊や自発核分裂を起こす可能性がある。半減期が1マイクロ秒を超える正確な領域は不明だが、利用可能なターゲットや発射体との核融合反応で生成される、ウンビニリウムより重い元素の同位体は、半減期が1マイクロ秒以下となり検出されない可能性があることを様々なモデルが示唆している。 これらの安定性が高まった領域の外側では、安定化効果が失われるために核分裂障壁が大幅に低下し核子の半減期は10−18秒未満になると予想される。特に、核子のペアによって障壁がさらに低くなる偶数-偶数の原子核では顕著である、これらの元素の同定にはさらに別のハードルがある。
◎ 電子配置
以下は、119番元素から174番元素まで、および184番元素の予想される電子配置である。記号[Ogは、現在知られている最後の元素であるオガネソン(Z = 118)の推定電子配置を示す。119番元素より前では、オガネソンが閉殻(不活性ガス)配置を持つ最後の元素であると予想されるため、表の元素の配置は[Ogで始まるように書かれている。[Ogは1s2 2s2 2p6 3s2 3p6 3d10 4s2 4p6 4d10 4f14 5s2 5p6 5d10 5f14 6s2 6p6 6d10 7s2 7p6である。同様に、173、174および184番元素の構成の[172は、172番元素の予想される閉殻構成を示す。
123番元素以降では完全なCCSD計算は利用できないため、この表のデータは暫定的なものとして考慮する必要がある。123番元素およびより重い元素の場合、いくつかの考えられる電子配置は非常に類似したエネルギーレベルを持つと予想されるため、基底状態を予測することは非常に困難である。下表には提案されているすべての構成が含まれる(マーデルング則がおそらくこれ以降機能しなくなると考えられているため)。
172番元素までの予測されたブロックはKulshaの提案であり、予想される利用可能な電子軌道に従う
[Og 6f1 7d1 8s2 8p
174 Usq ウンセプトクアジウム ? [172 8d1 10s1
... ... ... ... ...
184 Uoq ウンオクトクアジウム ? [172 6g5 7f4 8d3
「拡張周期表」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2025年2月2日12時(日本時間)現在での最新版を取得
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