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査証(さしょう)または ビザとは、国家が自国民以外に対して、その人物の所持する旅券が有効であり、かつその人物が入国しても差し支えないと示す証書である。
査証が発行国の入国を保証するものではなく、入国許可(上陸許可)申請に必要な書類の一部となっている。大多数の国家が同様の制度を運用しているが、同時に一定の条件内で査証免除が行われている場合が多い。
● 概要
査証の主目的は、外国人が入国するにふさわしいかを事前判断する身元審査である。犯罪歴があるなど身元審査で不適格と判断された者には査証が発行されない。
査証は主に各国に駐在する領事機関(総領事館、領事館、大使館領事部など)が発行し、入国審査は出入国管理当局が行う。したがって渡航前に領事館等へ出頭し、申請・取得するのが原則である。旅行代理店などによる代理申請を認めるケースもある。
査証の発給を受けた者は入国したい国の政府から入国してもかまわないと推薦を受けた状態であり、実際の入国・滞在までは保証されない。いわば「入国審査の予備審査を通過した証明書」とも換言できる。したがって査証を持っていても入国審査において追加の身分証明が必要になったり。国家の経済水準や治安、対外政策・政治体制による差が大きい。
・ 滞在国の永住権を持っている場合。この場合は、母国の旅券と永住権を付与された国家の許可証を提示することになり、出入国管理上はそれぞれの国への“帰国”。
・ 欧州連合(EU)加盟国(未加盟国のスイスやノルウェーも含む)の国民は、査証申請をせずに別の欧州連合加盟国に居住し、就労することが可能である。
・ 当該国間で密接な友好関係がある場合。当該国間で渡航者が非常に多く、大きなトラブルを起こさず、商業上重要な関係を持っている場合、短期の渡航については、相互主義により査証取得が免除される。
・ 例 : 日本とアメリカ合衆国・シェンゲン協定締結各国間の査証相互免除。
・ 例:アジア太平洋経済協力参加各国による「APECビジネストラベルカード」保持者への査証相互免除。発給申請の際には全ての国が承認・不承認の意思表示を行なう。
・ 滞在国が特定国に対して、観光客や投資の誘致を目的とした、一方的に優遇政策を取っている場合。条件によっては更に、第三国行きの航空券を入国審査時に所持している場合。
・ 例 : 中華人民共和国の日本国旅券保持者に対する査証免除。逆に、中華人民共和国旅券保持者に対しては、短期観光目的でも日本国への査証免除はない。
・ 特殊な政治的理由に起因する場合。
・ 例 : 日本の北方領土旧住民に対するロシア連邦(旧ソビエト社会主義共和国連邦)当局の査証免除、いわゆる「ビザなし渡航」。北方領土への渡航に際し、ロシア連邦政府より査証の交付を受けたならば、当該土地がロシア連邦の領土であることを認めたものと解釈されるため。
・ 国際博覧会、FIFAワールドカップ、オリンピックなどといった、世界的な大イベントが開催される場合、開催期間中に限り査証なしでの入国を可能とする措置が取られることが多い。この場合は母国の選手証や選手団員証・職員証、アクレディテーションカード(資格認定証)が、査証として扱われる。
・ 日本が中華人民共和国からの30日以内滞在予定の修学旅行生(中国国内の小中高校に相当する学校の生徒が対象)のみ短期滞在査証を免除している例など、特別な条件の団体のみ査証免除を行う場合がある。
・ 地域を限定して、その地域(周辺地域も含む)にのみ滞在する場合、査証免除にしている場合がある。
・ 例 : 中国の上海市、北京市、海南島、珠江デルタを訪問する場合。ただし、指定の空港から出入国する必要がある。
・ 大韓民国の済州島を観光目的で訪問する場合。この場合、韓国本土へ行くことはできず、通過のための120時間以内の本土滞在のみが認められる。
◎ 査証が発行されない場合
特定の国家が、特定の国家に対して査証の発行を行わない、またはその条件が厳しいことがある。
・ 敵対している国家に対しての場合
・ 例 : イスラエル国民や、過去のイスラエル訪問の記録が、旅券に残されている第三国の国民に対するイスラム国家の、またイスラム国家の国民や過去のイスラム国家訪問の記録が、旅券に残されている第三国の国民に対する、イスラエルの査証却下(イスラエルと対立国家を同時期に訪問するときには、旅券の二重取得が認められている国が多い)。
・ 政治上の理由(情報統制や国家体制維持など)による場合
・ 例:中国共産党や中国政府に対して、批判的な報道、中国共産党に対して不利な報道・国家転覆行為などをした国外のメディア人物に対して、中華人民共和国が意図的に査証を発行しない例。
・ 社会主義人民リビア・アラブ国は2007年11月11日以降、旅券にアラビア語併記がされていない人物については、通過さえも認められていなかったが、カダフィ政権が崩壊し、リビア国となってからは、旅券のアラビア語併記は不要となった。
・ 宗教上の理由による場合
・ 例 : サウジアラビアは非ムスリムの個人訪問に対して、2019年9月までは観光ビザを発行していなかった。
・ 犯罪抑止対策の理由による場合
・ 渡航元からの不法就労・不法滞在・退去強制・フーリガン・渡航元から自国で犯罪を犯す人物が多い等、渡航元から自国での法令違反行為が多い場合には、査証発行のための審査や調査や財産証明調査が、通常の審査よりも厳格化されることがあり、措置を不当と見なした相手国からも、報復措置として査証の審査が厳格化されることがある。
◎ 国家元首
外国の国家元首やそれに準ずる人物は、国際慣例によりパスポートなしで入国を認めるため査証は不要。事務手続きなどは外務省などの機関が行う。
● 査証の種類
◎ 日本
在留資格については報道や教育、スポーツ関係など個々のケース毎に細かく規定されているため、詳細は後述の外務省サイトを参照のこと。
・ 就労が認められる在留資格
・ 外交査証
・ 公用査証
・ 高度専門職査証
・ 就業査証
・ 起業(スタートアップ)査証
・ 留学査証(学業が本来の目的なので、1週間28時間迄の労働制限時間が付く)
・ 特定査証(日本人の配偶者、日本人の実子、永住者の配偶者、報酬を伴うインターンシップ、ワーキングホリデー入国者など)
・ 就労が認められない在留資格
・ 観光査証
・ 一般査証
・ 短期滞在査証
・ 通過査証
・ 医療滞在査証
・ 特定査証(観光・保養を目的とするロングステイなど)
◎ アメリカ合衆国
・ 外交官等 (A)
・ 外交官・領事またはその直近家族 (A-1)
・ 外国政府関係機関職員またはその直近家族 (A-2)米国のESTAや、カナダのeTA、オーストラリアのETAなどがある。
2020年現在、オーストラリアが「ETA(Electronic Travel Authorization)」として短期滞在者などを対象に採用したのを皮切りに、世界各国で徐々に広がりつつある。申請者は予めウェブから必要事項を入力し、クレジットカードで料金を支払う。入国審査時は読取機械に旅券をかざすと同時に顔写真を比較される。なお、国によっては入国時に当局より発行された(通常、本人宛てにメール、もしくはビザ申請サイトなどで電子的に発行される)ビザ発行済み証を印刷して持参する必要がある。また、必要時にはビザ申請サイトにログインすることで、いつでもビザステータスを確認することができる。
インターネット上を中心に、IC旅券に査証が書き込まれるとの説明しているものもあるが、これは完全なデマである。IC旅券のメモリは旅券記載事項のテキストと顔写真画像データだけの読出専用で、偽造防止の観点からも、旅券発行後に外部からデータを書き込んだり改変する事は一切できない。
「査証」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年12月6日23時(日本時間)現在での最新版を取得
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