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営団02系電車(えいだん02けいでんしゃ)は、1988年(昭和63年)10月17日に営業運転を開始した、帝都高速度交通営団(営団)の通勤形電車である。2004年(平成16年)4月の営団民営化にともない、東京地下鉄(東京メトロ)に継承された。
● 概要
丸ノ内線で開業以来使用していた300形・500形等が車両更新時期の目安である30年が経過したこと 。これは検査業務を担当する中野車両基地での取り扱いを考慮したものである 。丸ノ内線においても本系列への統一後(本線は1995年2月、方南町支線は1996年7月に統一)の1998年(平成10年)3月には保安装置の新CS-ATC化が実施され、最高速度が従来の65 km/hから75 km/hに引き上げられた。
● 外観
以下の項目は本線用車両の落成当時の仕様について述べ、方南町支線用車両(80番台)については別途記述する。
本系列のデザインを検討するにあたっては、ベースとなった01系との違いを外観デザインで表現するため。しかし、無塗装のアルミ車体に300形のイメージを残すことには苦労があり 81 - 86
運用線区
本線(池袋 - 荻窪)
支線(中野坂上 - 方南町)
支線のみ
(中野坂上 - 方南町)
冷房装置
非冷房車として登場
新製時より冷房を搭載
行先表示器
字幕式
LED式
字幕式
制御方式
高周波分巻チョッパ
IGBT素子VVVFインバータ
起動加速度
3.0 km/h/s
3.2 km/h/s
台車
緩衝ゴム式
ボルスタ付台車
モノリンク式
ボルスタレス台車
基礎ブレーキ装置
シングルブレーキ
ユニットブレーキ
主電動機出力
120 kW
車椅子スペース
なし
あり
◎ 冷房装置について
丸ノ内線ではかつて駅冷房に加えトンネル冷房を実施していたため、初期に落成した2次車までは01系初期編成と同様に非冷房車として落成したが、1990年(平成2年)夏より銀座線と並行して丸ノ内線も車両冷房を導入することが決定され、3次車からは新製時より薄型集約分散式冷房装置を搭載している。非冷房車である2次車までも1990年(平成2年)7月 - 1996年(平成8年)6月までに冷房装置搭載改造を実施した。冷房改造車は側面上部に通風口を塞いだ跡があり、新製冷房車とは判別は容易である。
冷房装置は三菱電機製のCU-766形で、1基当たりの能力は16.3 kW (14,000 kcal/h) であり、これを車端部の屋根に埋め込む形で1両あたり2基を設置している。非冷房車は落成当初の車内の天井が高く、外気循環形の軸流送風機「ファンデリア」が各車6台設けられていた。冷房車として落成した3次車からは平天井構造とされ、天井に冷房用ダクト・吹き出し口・補助送風機としてはラインデリアが設けられた。非冷房車も後の冷房改造時に同様の構造へと改造された。
なお、本系列は丸ノ内線としては初めての暖房装置搭載車両でもあるほか、袖仕切上部のパイプにモケットが巻かれたものとなった。優先席部は同柄で、青色の表地である。なお、当初の1 - 5次車は赤色の区分柄入りで非バケットタイプ(3次車からバケットタイプ)であったが、後年に前述した6次車以降と同じものへ交換された。
客用ドアは在来車両より100 mm広い1,400 mmに拡大し、ラッシュ時の乗降をスムーズにするようにしている。
座席端の袖仕切りは荷棚の端と一体になったもので、形状は01系のものに似ているがそれよりも丸みを帯びている。荷棚はステンレス線を格子状にスポット溶接したものである。つり革は白色の三角形であり、線路方向は全長に渡って、枕木方向はドア付近上部に設置している。2006年(平成18年)初頭頃からは優先席部分のつり革がオレンジ色のものに交換されている。
車椅子スペースは5次車から設置が開始され、車内に2か所ずつ設けた。さらに非常通報器は警報式から乗務員との相互通話可能な対話式のものへ変更された。元々、01系新製時に採用した分巻チョッパ装置は、近い将来丸ノ内線においても新車を導入することが想定されていたため、より路線条件の厳しい丸ノ内線に使用できるものとして製作されていた。このため、銀座線ではやや過剰性能となっていた、従来の緩衝ゴム式との比較を行った。同様の例は東西線用の05系第07編成においても見られる。チョッパ制御装置は三菱電機製・日立製作所製がほとんどだが、第04編成のみ東芝製を搭載する。
その後の第20 - 53編成と方南町支線用の第81 - 86編成ではIGBT素子による3レベルVVVFインバータ制御に変更された。制御方式は前者が1C2M2群制御。台車はモノリンク式軸箱支持方式のボルスタレス台車(SS-130・SS-030形台車)に変更したと支線用が三菱電機製、第43 - 49編成が日立製作所製、第50 - 53編成が東芝製である。
空気圧縮機 (CP) は、第19編成までのチョッパ車では直流駆動のC-2000LA形を、第20編成以降のVVVF車(方南町支線用車含む)では交流駆動で、容量増を図ったC-2500LB形を搭載する。さらに02-300形(T車)には冷房電源用として三菱電機または東芝製の110 kVA出力SIVを搭載する。方南町支線用では02-180形に東洋電機製造製のIGBT素子を使用した75 kVA出力SIVを1台搭載する。
ブレーキ装置は01系と同様の回生ブレーキ併用の全電気指令式だが、01系の均一ブレーキ制御に対し、本系列では遅れ込め制御を併用している。なお、当初の保安装置として全車両が打子式ATS装置を搭載していたが、ATC切り換え後は撤去された。
先頭車の連結器はトムリンソン式であり、当初は500形の救援のために電気連結器を搭載していたが、500形全廃後は電気連結器が撤去された。なお、分岐線用の80番代は当初から電気連結器は搭載していなかったが、電気連結器を取り付けるためのボルトの穴だけが突出して存在した。
なお、2009年から2014年まで全19編成の改修工事に伴い、同年3月をもって落成時からのオリジナルの高周波分巻チョッパ制御を備える制御装置の車両は消滅した(更新後は後述)。
● 旅客への情報提供
◎ 車外向け
1 - 4次車と方南町支線用は字幕式、5 - 7次車はLED式の行先表示器を先頭車前面に設置している。なお、当初の1次車は終点ではなく、進行方向の現在駅からその列車の終着駅までの開くドア方向を表示をしていたが、冷房搭載改造時に現行の終点表示タイプに改修した。
西新宿駅開業時には1 - 6次車が対応品へ交換されたが、7次車は製造当初から対応しており、同駅開業時に駅名を表記した透明ステッカーを貼り付けした。
後述のワンマン運転改造に合わせて全編成が千鳥配置となり、路線図は駅ナンバリングに対応したものに交換されている。なお、駅ナンバリング開始当初は上から駅ナンバリングが印刷されたステッカーが貼り付けされていたが、ワンマン運転改造時に駅ナンバリングに対応した正規の路線図タイプに交換した。なお、チョッパ制御車は後述の改修工事に合わせてLED式の旅客案内表示器とともに撤去された。路線図式の案内表示器は丸ノ内線本線と方南町支線の全駅が横並びに表示され、「この電車の行先はで示します」(赤ランプが点灯する)と隅の方に表記されている。
なお、後述のB修工事の対象外となっている第20編成以降は、2014年より第47編成を皮切りに路線図式・LED式の旅客案内表示器をコイト電工の「パッとビジョン」へと交換する工事が行われている。
● 80番台
1996年(平成8年)に登場した方南町支線用の80番台(3両編成)は、本線用と比較して一部仕様が異なっている。
車体はアルミニウム合金の材質統一を図り、廃車時におけるリサイクルを考慮したものとした。
● ワンマン運転への対応
◎ 方南町支線用
前述したが、方南町支線用の80番台編成は落成時よりワンマン運転を想定しており、運転台にはワンハンドル式マスコンを採用していた。
2004年夏のワンマン運転開始時には、先頭車は正面フロントガラスの右上と側面乗務員室扉の上部に、中間車は区間行先シールの右側にそれぞれ「ワンマン」ステッカーを貼り付けした。また、ホームドアの設置により車体側面下部の車両番号表記が見えなくなるため、車体側面上部にも車両番号が表記された。
運転台はメインハンドルにデッドマン装置を設置したほか、ドア開閉スイッチ、2画面式車上CCTV(Closed Circuit Television、ホーム監視用モニター)とミリ波画像受信器、ホームドア表示灯や右端に運転士操作器(車内/車外放送用マイク)を新設した。
客室との仕切扉を電磁鎖錠付扉へ交換し、前灯点滅制御器を新設した。この他、各ドア上部にLED文字スクロール式の案内表示器と自動放送装置を設置した。
機器面ではTASC装置の設置・誘導無線装置は防護発報機能付へ変更し、非常通報装置の運転指令所との対話機能の追加などが実施された。
その他、方南町支線にホームドアとともに可動式ステップが設置されたためにステップ収納前の誤発車防止のため、ATC表示が停止になる連動が行われている。この機能はホームドア設置後の本線においても実施している。
2022年8月下旬、本線・支線の全列車の6両編成への統一に伴い、方南町支線で運行されていた3両編成は廃止され、80番台は運行を終了した。
◎ 本線用
本線用の編成は、ワンマン運転およびホームドア設置準備工事のため、2005年(平成17年)3月から順次ワンマン運転に対応した改造が進められ、2007年(平成19年)8月までに全編成の改造が完了した。その後、同年11月からATO装置設置のための改造工事が開始され、2009年(平成21年)1月までに全編成の改造工事が完了した 。
○ 運転台関連
ワンマン化改造された編成は運転台のマスコンハンドル・ブレーキ設定器をデッドマン付T字型ワンハンドル式マスコン(三菱電機製)に改造し、さらに故障表示灯を液晶式のモニター画面(表示操作器)に変更した。これにより行先表示の設定機能・放送装置の制御機能も内蔵され、従来の車内放送に加えて優先席や携帯電話などのマナー放送が放送可能となった。この表示操作器は1分間何も操作しないと自動的に表示内容が消えるようになっている。また、計器台周囲を改造し、ドア開閉スイッチ、勾配起動スイッチ、ホームドア表示灯の新設やATC保安表示灯の改修などを実施した。
さらに防護発報付誘導無線を搭載し、操作器は運転士操作器(車内/車外放送マイク)と一体化させた。さらに客室の非常通報装置は乗務員との対話式化(未設置車のみ)し、非常通報受報器は運転席背面から運転台右下にを移設した(未設置車は新設)。
誘導無線については運転指令所からの一斉放送機能や非常通報装置と運転指令所との通話機能も追加した。ほかには運客室仕切部の仕切扉を電磁鎖錠付へ交換を実施した 。このため、2009年度よりチョッパ制御車(第01 - 19編成)を対象としたB修工事が実施された 。報道向け公開の時点では年間3 - 4編成程度を施工する方針としており2013年度末までに対象の全19編成の改修工事を完了する予定としており 、2012年3月末時点では計9編成に施工が完了していた。
初期には中野工場において改修工事を施工したが、本系列の大規模改修工事に対応するために小石川CRは施設の改修工事が実施され、工事完成後の2010年9月以降の入場車両は全て小石川CRにおいて施工されている。
◎ 改修内容
○ 改修前後の仕様の比較
第01 - 12編成
(B修前)
第13 - 19編成
(B修前)
第01 - 19編成
(B修後)
第20 - 53編成
第81 - 86編成
制御方式
高周波分巻チョッパ
IGBT素子VVVFインバータ
起動加速度
3.0 km/h/s
3.2 km/h/s
主電動機出力
120 kW
行先表示器
字幕式
LED式
字幕式
運用線区
本線(池袋 - 荻窪)
支線(中野坂上 - 方南町)
支線のみ
(中野坂上 - 方南町)
○ 外観
丸ノ内線の旧型車(300・500形など)の特徴の一つに、側面帯にあしらわれたサインウェーブがあった。
なお、前面のラインカラーは当初赤帯のみであったが、3番目の施工となる第10編成からはラインカラー上にホワイトのラインとサインウェーブを模したカラーリングを追加し、改修工事車であることをアピールするものへ変更している、床敷物は緑色を採用したものに一新し、座席端の袖仕切板は、車椅子スペース以外の個所を全て大形の仕切板に交換をした 。
従来、車椅子スペースを設置していなかった編成は2・5号車に車椅子スペースを新設し、丸ノ内線全車両への設置を図る。この永久磁石同期電動機を用いた制御方式は東日本旅客鉄道(JR東日本)E331系で営業運転に使用されているが、同車のDDMに対し、試験車を除いた通常の歯車減速駆動方式の車両としては日本の鉄道車両で初めての本格採用となる。
制御装置は東芝製のIGBT素子を使用した2レベル方式のVVVFインバータ制御装置を採用した。各軸個別制御(1C1M)となるが、2台のインバータを1台の冷却フィンに集約した2in1形インバータユニットを採用、これを2群搭載として装置の大形化を抑えている。
この装置は従来の16.3 kW (14,000 kcal/h) から23.3 kW (20,000 kcal/h) と現行の冷房装置と同一形状としながら能力を40 %向上させている
機器配置
MG
CP
BT
CHP
SIV2
CHP
CHP
MG
CP
BT
車両番号
消滅
VVVFインバータ車
(B修工事前はチョッパ車)
機器配置
MG
CP
BT
VVVF
SIV4
VVVF
VVVF
MG
CP
BT
車両番号
02-101
:
02-119 02-201
:
02-219 02-301
:
02-319
02-401
:
02-419 02-501
:
02-519 02-601
:
02-619
VVVFインバータ車
機器配置
SIV1
CP
BT
VVVF
SIV2
VVVF
VVVF
SIV1
CP
BT
車両番号
02-120
:
02-153 02-220
:
02-253 02-320
:
02-353
02-420
:
02-453 02-520
:
02-553 02-620
:
02-653
◇凡例
◇備考
・ CHP: チョッパ制御装置
・ VVVF: VVVFインバータ装置
・ CP: 空気圧縮機
・ BT: 蓄電池
・ MG: 15 kVA電動発電機
・ SIV1: 40 kVA静止形インバータ
・ SIV2: 110 kVA静止形インバータ
・ SIV4: 160 kVA静止形インバータ
・ 前述のように分巻チョッパ車はVVVFインバータ制御に改修中で、
改修を終えた編成はM車の制御装置がVVVFインバータ装置に、
02-300形の補助電源が160 kVA静止形インバータに交換されている。
・ 第16編成および第50編成は1995年3月20日に発生した地下鉄サリン事件で被害を受けた編成
● 受賞・ラッピング車両など
・ 1989年(平成元年)12月20日、鉄道友の会の1989年グローリア賞を受賞したの広告のみとなっている。
● 置き換え
東京メトロでは営団時代より、経年12年目でC修工事と称する簡易な改修工事(ゴム材や床関係の改修)、3回目の全般検査になる24年目でB修工事と称する大規模な改修工事(内装取り替えと電気品の更新)、36年目でC修工事、6回目の全般検査になる48年目で廃車となるライフサイクルを見込んでいるが、これはモデルケースであり、必ずしもこの時期に改修工事や廃車が実施されるとは限らず、東京メトロでは01系や一部の03系のようにB修工事を施工することなく置き換えられている事例もある。
本系列の一部車両に見劣りが目立ってきたことと、丸ノ内線に導入予定のCBTC(無線式列車制御システム)に02系が対応できないため、東京メトロの中期経営計画で、2018年度から2022年度にかけて6両編成の新型車両を53編成投入すると発表した。2018年3月に詳細が公表され、形式も2000系に決定した。ただし前述のように、当初は全53編成に大規模改修工事を施工する予定であったが、CBTC導入決定により第20編成以降の改修を中止し、新型車両導入に変更された。
その後2019年1月26日のダイヤ改正で方南町駅のホーム延伸工事が完成し、2000系を含めて支線の6連入線が可能となったが、この時点では3連の運用は未定となっていた。後年の利用状況の変化もあり、2022年7月7日のプレスリリースにて同年8月27日のダイヤ改正をもって3連の運用が取りやめられ丸ノ内線全列車を6両編成に統一する事が発表された。これにより、3両編成である02系80番台は運用を離脱し、全車廃車となった。
東京メトロでは、国際協力機構発注の「フィリピン国フィリピン鉄道訓練センター設立・運営能力強化支援プロジェクト」に参加し、フィリピンでの鉄道人材育成に携わっており、FEATI大学(ファーッティ大学)ともプロジェクトを通し関係を築き、FEATI大学は同国の私立大学では初めて鉄道関係学科を新設することとなった。今回FEATI大学からの鉄道関係設備寄贈依頼に応え、02系2両(02-151・02-251)の無償譲渡を決定した。2020年2月に同大学へ設置され、教材として活用される。東京メトロは、引き続きフィリピンにおける鉄道人材の育成への支援を行い、フィリピンの都市交通機能向上、日比両国の友好関係の強化につながるよう努めるとしている。
「営団02系電車」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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