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共和党(きょうわとう)は、アメリカ合衆国の政党。民主党と並んで、現代のアメリカの二大政党である。とも呼ばれる。党のイメージカラーは赤で、共和党が強い州を「赤い州」と呼ぶ。 南北戦争後には勝利者の党として絶対的な支持を集めて民主党を圧倒し、世界大恐慌までの第三政党制・第四政党制期(1860年-1932年)のほとんどの期間を共和党が政権を担当した。とりわけ北部の商工業者や農民、あるいは北部の福音主義・敬虔主義のプロテスタント(アメリカ生まれの市民の多数を占める)は、「改革」の党である共和党を支持し続けた。 南北戦争後の共和党は資本家政党の性格を強めて大企業の利益を擁護し、外交面においては対外積極策を展開した。長期にわたって野党に沈むことになった共和党は、ルーズベルトへの対抗からとともに保守化を強めていった。

◎ 第二次世界大戦終結後
第二次世界大戦終結後はソ連の不穏な動き・北朝鮮による韓国侵略などで反共主義が高まった。特にウィスコンシン州選出の共和党のジョセフ・マッカーシー上院議員が「反共の英雄」として登場して赤狩りを主導し、民主党政権を共産主義と結び付けて批判してその信用を失墜させた。マッカーシーはエスカレートしすぎて「アメリカ軍全体が共産主義に同情的」など荒唐無稽な方向へ行ってしまったこともあって赤狩りはやがて下火に向かうが、アメリカ社会に根強い反共主義を残し、それが共和党にとって反転攻勢のきっかけとなった。 1952年アメリカ合衆国大統領選挙では民主党人気の凋落と当時NATO司令官だったドワイト・アイゼンハワーの担ぎ出しに成功したことが功を奏し、アイゼンハワーを当選させて20年ぶりの共和党政権を誕生させた。2期8年に渡って務めたアイゼンハワーはニューディール官僚の首をすべて飛ばし、実業家優先政治をすすめたが、議会を民主党に握られていたため、共和党が「忍び寄る社会主義」として目の敵にしていたテネシー川流域開発公社(TVA)の民営化や、国民年金制度の廃止には失敗した。 1960年から1968年にかけて民主党に政権を奪われたが、黒人の公民権運動の高まり以降共和党は「法と秩序の回復」をスローガンにしたり、黒人公民権に否定的な立場を取ることによって、長年民主党の地盤であった南部に本格的に進出するようなった。1968年アメリカ合衆国大統領選挙で当選したリチャード・ニクソン以降は南部を地盤に大統領を輩出するようになった。南部保守主義や軍需産業、キリスト教右派が共和党の支持基盤になっていき、ベトナム戦争後の1970年代には「強いアメリカ、小さな政府」を掲げて次第に勢力を回復していった。 さらに2020年アメリカ合衆国大統領選挙では再選を目指すトランプが党の大統領候補として出馬するも、オバマ政権の副大統領だった民主党の大統領候補であるジョー・バイデンに敗北して政権を失った。同日に行われた下院選挙と上院選挙でも共和党は過半数を取れなかった。

● 党の思想や傾向と民主党との差異
当初の共和党は南部保守主義の影響を受ける民主党に相対する存在として、北部進歩主義の影響を受けて古典的自由主義を支持し、奴隷制の拡大に反対し、経済改革を支持した。しかし1912年以降、党はイデオロギー的に右にシフトした。特に世界恐慌後に民主党がフランクリン・ルーズベルトと彼のニューディール政策によって左傾化すると、ルーズベルトへの対抗から保守化を強めていった。 1964年公民権法と1965年投票権法の後に党の中核的な基盤はシフトし、南部の州は大統領政治においてより確実に共和党州となった。21世紀の党の支持基盤には、農村部に住む人々、サイレント・ジェネレーション、白人男性、福音派キリスト教徒などが含まれている。人種的マイノリティーの大半は民主党支持の傾向があるが、ヒスパニックのうちキューバ系のみはキューバで共産革命が起きた際に亡命してきた人やその子孫が多いので、反共主義の感情が根強く、共和党支持者が多い。 ルーズベルト以降の民主党が経済・社会政策において「大きな政府」を志向するのに対し、共和党は「小さな政府」志向がより強く、自由市場や資本主義の擁護、民営化や規制緩和の推進、減税といった路線を取ることが多い。減税は特に法人税と相続税(相続税廃止を唱える者もある)について主張し、累進課税に反対する。福祉(公的扶助)は可能な限り縮小を目指し、公的扶助を受ける者には勤労論理教育や労働の義務を課すことを主張する。元来アメリカは実業家や個人の自由競争の努力で強大になった国家なのだから、20世紀以降民主党政権によって肥大化させられた政府の役割は縮小させ、商売の自由競争を妨げる規制を撤廃していくべきだというのが共和党の基本的な考え方である。これについて共和党大統領アイゼンハワーは次のように述べている。 武器保有権を定めたアメリカ合衆国憲法修正第2条を「個人の権利」と理解することで銃規制には反対の立場を取る。対して民主党は「州の権利」と理解することで銃規制に比較的前向きとされる。 移民の制限・軍事費の増加・中絶の制限・労働組合の制限などの傾向も持つ。1973年のロー対ウェイド訴訟での最高裁判決後に共和党は党綱領で中絶に反対し、福音主義者の間で支持を伸ばした。 共和党は健康保険制度について全国民がもれなく加入する公的な保険制度を作ることには一貫して反対している。膨大な費用がかかって国庫の負担が大きい・保険運用のため政府組織が肥大化する・健康問題という極めて個人的な問題に政府が介入することは個人の自由の侵害であり違憲である・政府が管理する体制ができれば医療関係者に無責任が広がって医療技術の低下につながる・不必要な医療行為が行わわれるようになる・中絶などの医療行為や避妊薬の提供などが宗教病院に行われるようになることなどを問題点として指摘している。 ビル・クリントンの民主党政権でファースト・レディのヒラリー・クリントンの提唱による国民皆保険の公的健康保険制度(ユニバーサルヘルスケア)の創設案が1994年後半の議会にかけられた際、共和党が猛反対して計画は潰されている。またバラク・オバマ民主党政権下で発効された民間保険会社が販売する健康保険の購入を公的補助のもと国民に義務付けた医療保険制度改革(オバマケア)にも共和党が強く反対し、2017年にトランプ共和党政権に政権交代した後にはオバマケアの廃止が目指され、個人の自由を侵害する違憲立法として提訴し、裁判で係争中となっている。 環境問題については国内環境の保全に積極的に取り組む議員もいるが、地球温暖化問題には懐疑的な議員が多く、省エネルギーよりも短期的な経済効率を優先する傾向が目立つ。内外の批判を浴びる中で、2001年3月にはジョージ・W・ブッシュ政権が京都議定書から、2020年11月にはトランプ政権がパリ協定から それぞれ離脱している。 通商政策については、共和党は初期には保護主義と関税に強くコミットしていたが、20世紀中期以降に保守政党化してからは北米自由貿易協定(NAFTA)などの自由貿易協定を積極的に支持する立場であった。民主党内は自由貿易について意見が分かれているため、一般に共和党の方が自由貿易に積極的であると言われていた。しかしトランプ政権下ではTPPに強く反発し、特定国家の輸入品への関税を課すなど再び保護主義的な貿易を志向するようになった。 外交政策は単独行動主義の傾向が強いとされ、国際協調を重視するとされる民主党との対比で「タカ派」とされることが多い。子ブッシュ政権期のイラク戦争は民主主義国家内でもフランスやドイツなどの反対があった中で行われたため、単独行動主義の典型とされた。ドナルド・トランプ政権も「アメリカ第一主義」をスローガンに同盟国と足並みを合わせようとしない単独行動主義外交が目立ち、アメリカの孤立をもたらした。軍縮条約からも一方的に離脱する傾向があり、子ブッシュ政権は2002年に弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)から、トランプ政権は2018年にイラン核合意、2019年に中距離核戦力全廃条約(INF廃棄条約)から それぞれ離脱している。 イスラエル支援を信仰の柱とする福音派から強い支持を受けている共和党の中東政策は、民主党以上に親イスラエル外交が顕著である。とりわけ2017年1月から2021年1月まで政権を担当したトランプ共和党政権はエルサレムをイスラエルの首都として承認したり、ゴラン高原の主権をイスラエルに認めるなど親イスラエル外交を強力に推し進めた。 台湾については2016年の政策綱領で「我々は台湾海峡の将来に関する全ての問題は対話を通じて解決され、台湾の人々に同意されなければならないという原則に基づき、台湾海峡の現状を変える一方的な措置に反対する。もし中国がこれらの原則に違反するなら、アメリカは台湾関係法に従って、台湾が自国を防衛するのを援助するであろう」としている。

● 組織
制度的な組織は共和党も民主党も同じである。アメリカの二大政党は西欧や日本の政党とは異なり、党全体の意思決定を行う機関も、党の最高責任者の党首も、党の基本理念を定めた綱領も存在しない。政党の組織についても、政党の公式な組織である「政党組織」(party organization)と、政党に所属する公職者(大統領や連邦議会議員)からなる「国家組織の中の政党」(party in gonvernment)では基本的に分離して存在しており、競合・対立することすらある。ここでは政党組織について触れるものとし、連邦議会における党については下記を参照。 全国委員会(National Committee)が党の最高機関と位置付けられており、この全国委員会が四年に一度全国大会を組織し、その大会において大統領候補と副大統領候補が選出される。また全国委員会は一年に二度会合を開くが、委員に就任するのは地方政治などで活躍した著名な党員が多い。全国委員会本部は首都ワシントンD.C.に置かれ、委員長は常勤で務める。委員長は党首ではなく、事務局長的な役割を果たすにとどまる(党首のような物は共和党にも民主党にも存在しない)。委員長には将来性のある若手政治家が付くことが多い。大物政治家が形式的に就任するようなことはなく、委員長は実際に総務の一切を引き受け、そのポストは若手政治家のトレーニングの場になっていると見られる。本部には広報担当など様々な部局が存在し、専門職としての背景を備えた人間たちが務めている。 全国委員会の下にあるのが州委員会(State Committee)である。州委員会の形は州ごとに様々であるが、州内の郡(county)や選挙区(district)から選出された委員がメンバーになっている。州委員にそれほど権限があるわけではないが、全国大会の州代表になることが多いので実力者が就任することが多い。 州委員会の下に郡委員会(County Committee)や選挙区委員会(District Committee)がある。実際の党活動は郡や市の委員会の単位で行われる。選挙区とは連邦下院議員を選出する目的で作られた区割りであり下院議員選挙において重要な意味を持つため、地元の有力者が就任することが多く、彼の周りに側近の活動家たちが控えていて、いざという時には側近たちがさらにその側近たちを駆り出すという出動態勢を整えていることが多い。共和党と民主党はこのような有力者を全米にそれぞれ3000人持っているといわれる。 選挙区はさらにプレシンクト(precinct)という住民数百人規模の小さな地区で分割されており、そこの統括者をキャプテンと呼ぶ。キャプテンは共和党・民主党それぞれ10万人持っていると言われ、その中で頭角を現した者が選挙区の指導者になり、その中でさらに指導力を発揮した者は州委員会のメンバーになり、全国大会に出席できる名誉を得られる。 予備選挙が普及する以前は地方党組織は「マシーン」と呼ばれ、地方党幹部は各種選挙での党の候補者の指名権を握ったので大きな権限を持ち、「ボス」と呼ばれた。ボスが行う任用は猟官制といわれる情実任用制度であり、選挙や党活動で貢献することが採用や昇進に有利になることが多かった。しかしこのやり方だと党や幹部への忠誠心が重視されがちで、しばしば不適切な人物の採用や昇進が行われる原因になったことから、しだいに能力主義や試験による採用・昇進に移っていった。さらに政党民主化の流れの中で党の候補者は予備選挙で決めるやり方が普及していった。 ただし共和党も民主党も強固な組織政党というわけではない点に注意を要する。党上部組織や党幹部の指示に従わないと処罰されるような文化はアメリカの二大政党には存在しない。党員たちは党の組織系統に注意を払うことなどほとんどないので、不明確な責任体制の中で物事を進めるのが一般的である。その実態は各地方の有力者の緩やかな連合体にすぎず、政党運営方法には地元特有の事情が大きく働き、地方ごとに様々である。上部組織のいうことなど全く意に介さないキャプテンも珍しくはないし、党内での対立や派閥争いなどは頻繁である。入党や離党も全くの自由であり、有権者登録や予備選挙登録の際に党名を記入する欄があり、そこに記入するとその党の党員として扱われ、それ以外の入党手続きは一切ない。党費納入義務も党活動への参加義務もほとんどないと言ってよい。

● 大統領候補と副大統領候補


◎ 選出方法
党の大統領候補・副大統領候補は、共和党でも民主党でも党全国大会に出席する代議員の投票によって選出される。1972年以前の全国大会の代議員は、州レベルの地方党幹部の影響下にある者がほとんどであり、実質的に地方党組織を取り仕切る「マシーン」政治を行う「ボス」たちの間で決められていた。大統領選に向けた予備選も一応存在したが、参考程度でしかなかった。予備選挙の費用は州が負担する。党員集会は限られた場所でしか行われないため、一般的に予備選挙より参加人数が少なくなり、熱狂的な支持者が付きやすい極端な候補や活動家が大きな影響力を持つ傾向がある。 どちらを行うかは、州ごとに様々である(両方行う州もある)。 予備選挙や党員集会で多数の支持を得た候補が党の正式候補として選出されるのが、7月以降に実施される全国大会である。ここでは各州の代議員に加え、特別代議員と呼ばれる人々も選出に関与する。共和党の場合だと党の全国委員会の構成員が特別代議員となる。しかし実質的には候補はそれまでの各州での予備選挙や党員集会で決している場合が大半なので、全国大会は党の大統領候補と副大統領候補をメディアにアピールするためのセレモニーの場となっている。 副大統領候補は大統領候補により指名され、大統領候補とともに党全国大会で選出される。副大統領候補の人選は大統領候補とのバランスが意識されることが多い。例えば大統領候補がイデオロギー的に中立な人なら、副大統領候補はイデオロギー色の強い人にしたり、大統領候補が都市部出身者なら、副大統領候補は農村地帯出身者にするなどして、党員の一部が他党の候補に投票するのを防ぐ。

◎ 歴代候補

肖像 大統領 肖像 副大統領 代 任期
  1856年    落       ジョン・フレモント                
  1860年    当           エイブラハム・リンカーン       ハンニバル・ハムリン      16代      1861年
- 1865年
  1864年    当      (アンドリュー・ジョンソン)
  1868年    当           ユリシーズ・グラント       スカイラー・コルファクス      18代      1869年
- 1877年
  1872年    当       ヘンリー・ウィルソン
  1876年    当       ラザフォード・ヘイズ       ウィリアム・ウィーラー    19代    1877年
- 1881年
  1880年    当       ジェームズ・ガーフィールド       チェスター・アーサー    20代    1881年
    暗殺昇格       チェスター・アーサー      不在    21代    1881年
- 1885年
  1884年    落       ジェイムズ・G・ブレイン       ジョン・ローガン          
  1888年    当       ベンジャミン・ハリソン       リーヴァイ・モートン    23代    1889年
- 1893年
  1892年    落       ベンジャミン・ハリソン                
  1896年    当           ウィリアム・マッキンリー       ギャレット・ホーバート      25代      1897年
- 1901年
  1900年    当       セオドア・ルーズベルト
    暗殺昇格           セオドア・ルーズベルト      不在      26代      1901年
- 1909年
  1904年    当       チャールズ・フェアバンクス
  1908年    当       ウィリアム・タフト       ジェームズ・シャーマン    27代    1909年
- 1913年
  1912年    落       ウィリアム・タフト       ニコラス・バトラー            
  1916年    落       チャールズ・ヒューズ       チャールズ・フェアバンクス     
  1920年    当       ウォレン・ハーディング       カルビン・クーリッジ    29代    1921年
- 1923年
    病死昇格           カルビン・クーリッジ      不在      30代      1923年
- 1929年
  1924年    当       チャールズ・ドーズ
  1928年    当       ハーバート・フーヴァー       チャールズ・カーティス    31代    1929年
- 1933年
  1932年    落       ハーバート・フーヴァー       チャールズ・カーティス            
  1936年    落       アルフ・ランドン       フランク・ノックス     
  1940年    落       ウェンデル・ウィルキー           
  1944年    落          トーマス・デューイ           
  1948年    落       アール・ウォーレン     
  1952年    当           ドワイト・アイゼンハワー           リチャード・ニクソン      34代      1953年
- 1961年
  1956年    当
  1960年    落       リチャード・ニクソン       ヘンリー・ロッジ            
  1964年    落       バリー・ゴールドウォーター       ウィリアム・ミラー     
  1968年    当           リチャード・ニクソン           スピロ・アグニュー      37代      1969年
- 1974年
  1972年    当
    辞任交替       ジェラルド・フォード
    辞任昇格       ジェラルド・フォード       ネルソン・ロックフェラー    38代    1974年
- 1977年
  1976年    落       ジェラルド・フォード       ボブ・ドール          
  1980年    当           ロナルド・レーガン           ジョージ・H・W・ブッシュ      40代      1981年
- 1989年
  1984年    当
  1988年    当       ジョージ・H・W・ブッシュ       ダン・クエール    41代    1989年
- 1993年
  1992年    落       ジョージ・H・W・ブッシュ       ダン・クエール            
  1996年    落       ボブ・ドール       ジャック・ケンプ     
  2000年    当          ジョージ・W・ブッシュ           ディック・チェイニー      43代      2001年
- 2009年
  2004年    当
  2008年    落       ジョン・マケイン       サラ・ペイリン            
  2012年    落       ミット・ロムニー       ポール・ライアン   

  2016年    当       ドナルド・トランプ       マイク・ペンス   45代  2017年
- 2021年
  2020年    落       ドナルド・トランプ       マイク・ペンス       
暗殺 リンカーンは民主党員のアンドリュー・ジョンソンを副大統領候補として1864年の選挙に出馬 在任中に死去 病死 辞任 得票数では負けたものの、選挙人団を過半数確保し勝利した

● 連邦議会における党


◎ 連邦議会における党指導部
連邦議会内においては共和党・民主党ともに下院の院内総務とその補佐役のを中心とする党指導部が意見集約を図るのが一般的となっている。 ただし議会内の党の規律はさほど強固ではない。議員には議院内閣制の国におけるような党議拘束が課されることはなく議会内の党指導部の方針に逆らったとしても党を除籍されたり、再選や議会内での出世に致命的な悪影響が及ぶようなことはない。むしろ委員会や本会議における議案の採決ではそれぞれの党の議員が自由に賛成票や反対票を投じる「交差投票」(cross voting)になることが多く下院議長を選出する場合などを除いては多数党も少数党も離反者が出るのが一般的となっている。 歴史的には連邦政府がさほど重要な役割を果たさず議員のポストがパトロネージに基づいて配分された19世紀から20世紀への世紀転換期には連邦議会議員の行動はほぼ党派に分かれて行われるものだったが、20世紀以降は議会政党の規律は弱まった。「皇帝」と称された下院議長が失脚(1910年)したことや、20世紀初頭から大統領権限が強化されるようになったことがこの傾向を強めたとされる。 ただし1960年代以降には党派対立が深まったり、大統領の果たす役割が大きくなってコートテイル現象(連邦議会選挙の結果が大統領選挙の結果と連動する現象)が発生しやすくなったことがあって、とりわけ下院の重要法案採決について政党規律が強まっているとの指摘がある。特に近年は選挙資金が増大傾向にあるため、各候補たちは政党から支給される資金への依存度を高めており、結果、党の政治活動委員会(PAC)の資金配分に関わる政党指導部が議員たちへの影響力を強めているのではないかと考えられている。 加えて、各議員の委員会への配属や、議会での発言の機会、その時間の決定などに政党が大きな役割を果たすようになったことも議員の党指導部への忠誠が強くなる傾向に拍車をかけている。また自らの再選のため重要な法案を通す場合には他の候補との協力が必要であり(ログ・ローリングと呼ばれる)、その取引コストを低下させるためにも政党を意識した行動をする議員が増えてきている。

◎ 連邦議会選挙結果

選挙年 獲得議席 増減 獲得議席 増減 選挙年
         フランクリン・ピアース      
      45    ジェームズ・ブキャナン       7
      23       5
      10    エイブラハム・リンカーン       3
      21       1
      40       2
      23    アンドリュー・ジョンソン       2
      4    ユリシーズ・グラント       0
      33       4
      61       2
      92       10
      33    ラザフォード・ヘイズ       6
      4       7
      19    ジェームズ・ガーフィールド       5
      34    チェスター・A・アーサー       0
      24    グロバー・クリーブランド       1
      11       2
      27    ベンジャミン・ハリソン       0
      93       4
      38    グロバー・クリーブランド       9
      110       2
      48    ウィリアム・マッキンリー       2
      19       6
      13       3
      6    セオドア・ルーズベルト       0
      45       1
      28       3
      5    ウィリアム・タフト       2
      57       9
     28    ウッドロウ・ウィルソン      7
     62      3
     19      2
     24      6
     63    ウォレン・ハーディング      10
     77      7
     22    カルビン・クーリッジ      3
     9      7
     32    ハーバート・フーバー      6
     52      8
     101    フランクリン・ルーズベルト      11
     14      10
     15      5
     81      8
     7      4
     47      9
     18      1
     55    ハリー・S・トルーマン      12
     75      9
     28      5
     22    ドワイト・D・アイゼンハワー      2
     18      2
     2      0
     48      13
     22    ジョン・F・ケネディ      1
     1      3
     36    リンドン・ジョンソン      2
     47      3
     5    リチャード・ニクソン      5
     12      2
     12      2
     48   ジェラルド・フォード      3
     1    ジミー・カーター      1
     15      3
     34    ロナルド・レーガン      12
     26      0
     16      2
     5      8
     2    ジョージ・H・W・ブッシュ      1
     8      1
     9    ビル・クリントン      0
     54      8
     3      2
     4      0
     2    ジョージ・W・ブッシュ      4
     8      2
     3      4
     30      6
     21    バラク・オバマ      8
     63      6
     8      2
     13      9
2016年      6    ドナルド・トランプ      2
     41      2
     11    ジョー・バイデン      3
     9      1

獲得議席の欄の色は多数派を占めた政党色。大統領の欄の色は大統領の所属党派。 選挙の直前と直後の比較 共和党議席数にはの3議員含む 共和党議席数には独立共和党派の1議員含む 1931年12月の議会開会式までに共和党217、民主党218になり、民主党のジョン・N・ガーナーが下院議長に選出された 副大統領ディック・チェイニーは2001年ブッシュ大統領就任式以来、2001年6月6日に共和党上院議員が共和党を離党して民主党へ移るまで議長決裁で共和党に上院の過半数を与えていた。 副大統領カマラ・ハリスは2021年バイデン大統領就任式以来、議長決裁で民主党に上院の過半数を与えている。

「共和党 (アメリカ)」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
2024年7月26日2時(日本時間)現在での最新版を取得

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