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談山神社(たんざんじんじゃ)は、奈良県桜井市多武峰(とうのみね)にある神社。旧社格は別格官幣社で、現在は神社本庁の別表神社。 神仏分離以前は多武峯妙楽寺(とうのみねみょうらくじ)という有力な寺院であった。なお、桜井市歴史文化構想では拝所としてつくられた講堂を妙楽寺とし、歴史的記述では「多武峯」を用いている。この多武峯は鎌足が生前に「撥乱反正之謀」(乱れた世を治めて正しい世にかえす)を談じた「談岑」の故地にあたる。 1869年(明治2年)2月に神仏分離令により僧達は還俗して神職となり、廃仏毀釈が行われて妙楽寺は廃された。神仏分離により妙楽寺境内にあった仏堂等は改称あるいは破却されたという。 1874年(明治7年)12月22日に近代社格制度のもと別格官幣社に列せられた。 本尊であった阿弥陀三尊像は1883年(明治16年)に安倍文殊院に移されてなぜか釈迦三尊像とされてしまった。当社には今も残る唯一の仏像として如意輪観音像が所蔵されている(通常は非公開の秘仏)。 拝殿や十三重塔は戦前に何度か日本銀行券の図案に採用されたことがある(乙20円券など)。 1948年(昭和23年)に神社本庁の別表神社に加列されている。

● 境内


◎ 主要社殿

・ 本殿(旧聖霊院、重要文化財) - 嘉永3年(1850年)造替。大織冠社や多武峰社とも呼ばれた。三間社隅木入春日造は珍しい作りである。日光東照宮造営の手本とされたという。
・ 拝殿(旧護国院(聖霊院の拝所)、重要文化財) - 永正17年(1520年)再建。
・ 東透廊(重要文化財) - 永正17年(1520年)再建。
・ 西透廊(重要文化財) - 永正17年(1520年)再建。
・ 楼門(重要文化財) - 永正17年(1520年)再建。
・ 東宝庫(重要文化財) - 元和5年(1619年)再建。
・ 西宝庫(重要文化財) - 元和5年(1619年)再建。
・ 十三重塔(神廟、重要文化財) - 享禄5年(1532年)再建。現存する世界唯一の木造十三重塔。
・ 権殿(旧常行堂、重要文化財) - 永正年間(1504年 - 1521年)再建。
・ 神廟拝所(旧講堂、重要文化財) - 寛文8年(1668年)再建。本尊であった阿弥陀三尊像は明治時代の神仏分離によって安倍文殊院に移され、現在は釈迦三尊像(奈良市指定有形文化財)となっている。

◎ その他

・ 藤原鎌足の墓 - 当社の背後にある御破裂山の山頂にある。
・ 磐座
・ 如意輪観音堂
・ けまりの庭 - 惣社拝殿の正面にある平地をいう。
・ 閼伽井屋(重要文化財) - 元和5年(1619年)建立。
・ 社務所
・ 旧真法院 - 旧妙楽寺子院真法院が神仏分離後に社家・西宮家の住宅となったもの。
 ・ 客殿及び庫裏(住宅主屋、国登録有形文化財) - 嘉永3年(1850年)築。主屋の内拝所はもと仏間で、本尊厨子は小屋裏に据えており、密かに拝んだと伝わる。 子院建築の好例。
 ・ 塀重門(国登録有形文化財) - 嘉永3年(1850年)築。1985年(昭和60年)頃改修。土塀に開く腕木門で、檜皮葺きの軒付けを残す軽快な印象の門。
 ・ 表門(国登録有形文化財) - 嘉永2年(1849年)築。1985年(昭和60年)頃改修。棟門で木柄が太く、一軒疎垂木の深い軒は力感ある外観を持つ。
・ 旧常住院表門(長屋門、桜井市指定有形文化財) - 旧妙楽寺の子院・常住院は現在第5駐車場となっており、長屋門のみが旧地に残されている。
・ 峯の塔 - 永仁6年(1298年)造。十三重石塔。淡海公(藤原不比等)の墓とされている。
・ 旧慈門院 - 旧妙楽寺子院慈門院が神仏分離後に社家・陶原家の住宅となったもの。
 ・ 客殿及び庫裏(住宅主屋、国登録有形文化財) - 襖絵も良く残り、1974年(昭和49年)に41面の襖絵、板絵が重要文化財に指定され、現在は奈良国立博物館に寄託されている。近世の妙楽寺子院の様相を伝える。
 ・ 持仏堂(国登録有形文化財) - 畳敷き1室の内部、中央北寄りに厨子を据える丁寧な造作のお堂。
 ・ 小座敷及び土蔵(国登録有形文化財) - 東の入母屋造りの小座敷と西の切妻造り置き屋根の土蔵により構成する。
 ・ 庭園 - 池泉回遊式庭園。
 ・ 塀重門(国登録有形文化財) - 腕木門で、桟唐戸の扉を花格子で飾るなど庭からの景色を華やかに整える。
 ・ 表門(国登録有形文化財) - 敷地南側の石垣上に建つ長屋門で敷地正面を印象付けている。
・ 摩尼輪塔(重要文化財)
・ 東大門(奈良県指定有形文化財) - 享和3年(1803年)再建。元は妙楽寺子院護国院の山門。
・ 大鳥居(奈良県指定有形文化財) - 一の鳥居。享保9年(1724年)造立。高さ約8.5メートル、長さ約11.5メートル。西側の端が1948年(昭和23年)頃の火災で欠けてしまっている。
・ 鏡王女の墓 - 鏡女王忍坂墓とも呼ばれる。藤原鎌足の正妻。桜井市忍坂にある。

● 摂末社
摂社
・ 東殿(恋神社、旧本願堂、重要文化財) - 祭神:鏡女王、定慧和尚、藤原不比等。元和5年(1619年)に造替された本殿を寛文8年(1668年)に現在地に移築したもの。 末社
・ 惣杜 - 延長4年(926年)建立。国内最古の総社といわれる。
 ・ 本殿(重要文化財) - 祭神:天神地祇、八百万神。寛文8年(1668年)に造替された本殿を寛保2年(1742年)に現在地に移築したもの。
 ・ 拝殿(重要文化財) - 寛文8年(1668年)建立。内部・外部小壁には狩野永納筆の壁画が残る。護国院(現・拝殿)の規模を縮小し、簡略化したもの。
・ 神明神社 - 祭神:天照皇大御神
・ 杉山神社
・ 山神神社
・ 比叡神社(重要文化財) - 祭神:大山咋神。元は明日香村の大原にあった大原宮で寛永4年(1627年)建立。その後、現在地に移築して明治時代まで山王宮と呼ばれた。
・ 稲荷神社 - 祭神:宇迦之御魂神
・ 龍神社(龗神社)
・ 春日神社
・ 三天稲荷神社 - 第一殿祭神:宇賀魂命、第二殿祭神:菅原道真、第三殿祭神:市杵島姫命。かつては三天社として十三重塔の背後に鎮座していたが、明治時代初期に現在地に移転される。
 ・ 拝殿
・ 祓戸社

● 文化財


◎ 国宝

・ 粟原寺三重塔伏鉢(おおばらでらさんじゅうのとうふくばち)(考古資料)
 ・ 桜井市粟原(談山神社の北東方向)の山中に跡が残る粟原寺の遺物である。「伏鉢」とは、三重塔、五重塔などの最上部の「相輪」の部材の一つ。銅製で、和銅8年(715年)の年号を含む刻銘があり、中臣朝臣大嶋(なかとみのあそんおおしま)が草壁皇子のために発願したという粟原寺の由緒が書かれている。奈良国立博物館寄託。

◎ 重要文化財
建造物
・ 談山神社十三重塔(附:棟札 2枚)
・ 談山神社権殿(附:棟札 1枚)
・ 談山神社摩尼輪塔
・ 談山神社 13棟
 ・ 本殿(附:瑞垣 1棟、彩色雛形 7枚、漆塗手板 8枚、棟札 4枚)
 ・ 拝殿
 ・ 東透廊
 ・ 西透廊
 ・ 楼門
 ・ 東宝庫
 ・ 西宝庫
 ・ 摂社東殿
 ・ 神廟拝所
 ・ 閼伽井屋
 ・ 末社惣杜本殿(附:瑞垣 1棟)
 ・ 末社惣社拝殿
 ・ 末社比叡神社本殿(附:棟札 4枚) 美術工芸品
・ 絹本著色大威徳明王像(絵画)
・ 紺紙金銀泥法華経宝塔曼荼羅図(開結共) 10幅(絵画) - 奈良国立博物館寄託。
・ 脇指 銘備州長船義景 応安七年二月日(工芸品) - 奈良国立博物館寄託。
・ 短刀 銘来国俊(工芸品) - 奈良国立博物館寄託。
・ 短刀 銘成縄(工芸品) - 奈良国立博物館寄託。
・ 短刀 銘備中国住平忠(以下切)(工芸品) - 奈良国立博物館寄託。
・ 太刀 銘吉平(工芸品) - 奈良国立博物館寄託。
・ 薙刀 銘一(工芸品) - 奈良国立博物館寄託。
・ 金沃懸地平文太刀(きんいかけじひょうもんたち)(石突欠)(工芸品)
・ 石燈籠 元徳三年銘(工芸品)
・ 談山神社本殿造営図並所用具図(永禄二年七月) 8鋪4枚(附:朱塗机)(歴史資料) 典拠:2000年(平成12年)までに指定の国宝・重要文化財の名称は、『国宝・重要文化財大全 別巻』(所有者別総合目録・名称総索引・統計資料)(毎日新聞社、2000)による。

◎ 国登録有形文化財

・ 旧慈門院客殿及び庫裏(陶原家住宅主屋)
・ 旧慈門院持仏堂(陶原家住宅持仏堂)
・ 旧慈門院小座敷及び土蔵(陶原家住宅小座敷及び土蔵)
・ 旧慈門院塀重門(陶原家住宅塀重門)
・ 旧慈門院表門(陶原家住宅表門)
・ 旧真法院客殿及び庫裏(西宮家住宅主屋)
・ 旧真法院塀重門(西宮家住宅塀重門)
・ 旧真法院表門(西宮家住宅表門)

◎ 奈良県指定文化財

・ 有形文化財
 ・ 談山神社東大門(建造物) - 1966年(昭和41年)1月13日指定。
 ・ 談山神社大鳥居(建造物) - 1966年(昭和41年)1月13日指定。
  ・ 笙(行円作)の附:紙本墨書寄進状 包紙添、紙本添状 包紙添、紙本墨書添状 包紙添、紙本墨書添状写 包紙添、紙本墨銘書付 二重包紙添、錦袋、浅葱包裂、藤文蒔絵箱(内箱)、木箱(中箱)、木箱(外箱)
  ・ 笙(頼尊作)の附:緋包裂、木箱
 ・ 談山神社文書 2867点(古文書) - 1996年(平成8年)3月22日指定。

● 関連図書

・ 安津素彦・梅田義彦 編・監修『神道辞典』神社新報社、1968年、38頁
・ 白井永二・土岐昌訓 編『神社辞典』東京堂出版、1979年、224-225頁
・ 菅田正昭『日本の神社を知る「事典」』日本文芸社、1989年、181-183頁
・ 上山春平 ほか『日本「神社」総覧』新人物往来社、1992年、218-219頁
・ 『談山神社―大化改新1350年』 新人物往来社:別冊神社シリーズ、1995年

「談山神社」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
2025年2月16日1時(日本時間)現在での最新版を取得

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