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『シャンペン・シャワー』は、かわみなみによる日本のサッカー漫画作品。『LaLa』(白泉社)にて1983年10月号から1986年9月号まで連載された。単行本は、同社の花とゆめコミックスから全6巻。
● 概要
南米の架空の国エスペランサの首都ヴィトーリオ市のサッカークラブ「FCヴィトーリオ」に入団した若いアドルがチームメイトのジョゼ、ライバルクラブ「サルバドールFC」のマルロ、アンドレらとの交流のなかで成長していく過程が描かれている。タイトル名は勝利の美酒(シャンパンファイト)の意。
作者のかわみなみ自身がサッカーファンで日本国外のサッカー事情に詳しく、登場人物の多くは当時の実在の選手をモデルにしたものである。たとえばヴィトーリオは当時のブラジル代表がモデルであり、主将のディッコはジーコがモデルである、またサルバドールFCはイタリア代表、FCジェロムは西ドイツ代表の選手達がモデルとなっている。ただし人物の性格は独自の味付けが行われている。なお、作者は少女誌という媒体で当時の日本国内にはないプロサッカーリーグを舞台にした作品が連載ができた理由について「これといった理由が思い浮かばない」とした上で、「(自身が)何かに付けてサッカーの話題をしていた」ことや、「『キャプテン翼』の影響」などを挙げている。
サッカー界のシリアスな側面が描かれているが、その一方でサッカーやワールドカップに関心の無かった当時の読者に合わせるために。同時期に少年誌で連載されていた『キャプテン翼』の影響でサッカー人気が拡大していたものの。
● ストーリー
南米の国・エスペランサのサッカーリーグに所属するヴィトーリオは、新戦力としてジャングルの奥地からアドルをスカウト。当初は馴れないプロ選手としての生活に戸惑うこともあったアドルだが、持ち前の素直さで素早くチームに馴染んでいく。中堅選手の負傷を原因とする混乱で最下位に低迷していたヴィトーリオは、アドル加入の刺激とゲームメーカーのディッコ、変人ジョゼら主力選手との相乗効果により、連戦連勝の快進撃を始める。
サルバドールはヴィトーリオと入れ替わりで最下位となり、マルロはどんな手を使ってでも2部落ちを逃れようと、アンドレを巻き込んで謎のスパイ活動に奔走するが、アドルの父ダヴィッドの姿を見て我に返り、断念。優勝のかかったアイアス戦を控えて負けられないヴィトーリオと、リーグでの生き残りがかかっているサルバドール、ライバル同士の伝統の一戦は、激闘の末にヴィトーリオが制した。
リーグ戦最終節、ヴィトーリオはアイアスとの直接対決に挑むが、同点引き分けでも優勝という条件が油断につながり敗北。一方、サルバドールは多数の負傷者を出しながらも3位のジェロムを相手に大勝し、かろうじて1部リーグ残留を果たす。
シーズンを終えるとワールドカップ南米予選へ参加するためナショナルチームが招集されることになり、ヴィトーリオからはアドルやジョゼやディッコ、サルバドールからはマルロやアンドレらが選ばれる。ライフ監督の指揮の下、個性豊かな選手達は相手チームの仕掛けてくるさまざまな罠を奇想天外な秘技と機転でかわして勝利を収め、代表合宿ではスポンサーから課せられたサバイバル特訓を乗り越えて、徐々にチームワークが芽生えていく。予選終盤、欧州で活躍する名選手のゴードンを擁するポルトフィーネ代表との対決となり、相手に秘技をことごとく封じられ苦戦するが、マルロやアドルの捨て身のプレーもあり、ワールドカップ出場権を獲得する。
クラブでの2年目のシーズンを迎え、後輩もできて新人を脱したアドルはプロとしての自覚を新たにする。一方、マルロは怪我や新戦力の加入により戦力外通告を受ける。サルバドールから2部リーグのクラブへの移籍を打診されたマルロだが、首脳陣との交渉の末、あえて不慣れなポジションにコンバートされた上で出場し、チームの優勝に貢献するという条件を受け入れ、残留に望みをつなぐ。
リーグ戦最終節、優勝の行方はヴィトーリオとサルバドールとの直接対決となるが、ヴィトーリオが秘技の応酬を制して、アドルが決勝点を決め優勝を果たし、勝利の美酒(シャンペン・シャワー)を味わう。敗れたサルバドールはマルロの放出を決定するが、シーズンを通じた活躍により、マルロは自身の市場価値を高めることに成功。シーズンオフ、2部リーグには高価な買い物となった彼を巡って勃発した争奪戦を制したのはヴィトーリオだった。
それから15年後、ジョゼ、マルロ、アンドレはすでに引退し新たな人生を送っていた。そして33歳となったアドルが、ベテランの現役選手として活躍を続ける姿を描きつつ、物語は終わる。
● 登場人物
◎ FCヴィトーリオ
◇ アドリアン・アレクシス
: この物語の主人公。通称アドル。ポジションはフォワード(左ウィング)。5月25日生まれの18歳。身長176cm体重70kg。
: ジャングルの奥地からやってきた少年。シーズン途中にFCヴィトーリオに入団するとゴールを量産し、下位を争っていたクラブを優勝争いへと導き、この活躍によりエスペランサ代表に選出される。
: 性格は明るく素直で、顔だけ見ると女の子の様に可愛いらしいが喧嘩早い面もある。バナナが主食。
◇ ジョゼ・オスカル・ベルナルド
: 通称ジョゼ。ポジションはディフェンダー(センターバック)。6月20日生まれの28歳。身長185cm体重78kg。エスペランサ代表
: 普段は無表情かつ無口。容姿は誰もが認める美形だが、性格は天然を通り越してかなりの変人で奇行が目立つ。本人は何も考えていない。
: 暴走すると、周りの人間を踏みつける傾向があり、犠牲者が耐えない(「ジョゼの麦踏み」「踏み踏み地獄」と称される)。ルームメイトで後輩のアドルを可愛がっているのか、寝ている隙にコスプレや女装をさせて喜んでいる。
: 奇行癖の持ち主にも関わらず既婚者であり、妻は挨拶されたマルロが思わず叫ぶほどの美女。容姿のよく似た兄弟が大勢おり、ヴィトーリオ市の郊外にある大農場でクローンが大量生産されている。
: 引退後はヴィトーリオ市長に就任、秘書やボディガードを務める兄弟たちに囲まれ、エネルギッシュに活動中。
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◇ ディッコ
: ポジションはミッドフィールダー。3月3日生まれの28歳。身長172cm体重69kg。既婚。
: FCヴィトーリオとエスペランサ代表では主将を務める。
: カリスマ性が高く、技術、サッカーセンス共に優れ選手の信頼も厚いが、右膝の怪我に苦しみ控えに回ることもある。
: 優しく丁寧な性格と優れた指導力により、たびたび小学校の先生に向いていると評されている。
: モデルはジーコ。
◇ ジョー・ハンク・ライフ
: エスペランサ代表監督。4月25日生まれの37歳。身長175cm体重67kg。選手時代は天才と呼ばれた名選手だった。
: 監督としては仕事上の筋を通すことを重視し、選手たちの個性を尊重するスタイルで、体調の調整法などもそれぞれに任せるなど自由度の高い裁量をとるが、悪意なくルール違反を犯したアドルをスタメンから外すなど厳しさを併せ持つ。代表選手達の現実離れした秘技の応酬、珍プレーの数々に頭を悩ませつつも、チームをワールドカップへと導いた。モデルはヨハン・クライフ。園部和範が作詞、田中公平が作曲と編曲を担当。
KICK OFF BOY(歌:佐久間レイ)
告白〜愛しのジョゼ(歌:笠原弘子)
タンゴ・デ・グレタマルロ(歌:戸田恵子)
ファイター
スーパー・エスペランサ・ブラザーズ〜魔境の激闘
背中が泣いている(歌:戸田恵子)
組曲“大特訓”
My Honesty Love(歌:佐久間レイ)
BIG GAME〜ゴールをめざせ
BANZAI シャンペン・シャワー〜We Are The Kick off Boys(歌:六本木これっきりコーラス隊)
「シャンペン・シャワー」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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