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尾瀬


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尾瀬(おぜ)は、福島県(南会津郡檜枝岐村)、群馬県(利根郡片品村)、新潟県(魚沼市)の3県にまたがる高地にある盆地状の高原。日本最大の山地湿原である尾瀬ヶ原や火山堰止湖である尾瀬沼、その周囲の山稜などで構成される。尾瀬沼は燧ヶ岳の噴火で沼尻川が堰き止められてできた堰止湖と考えられており、周囲には浅湖湿原や大江湿原等があり、沼から湿原への遷移の過程が見られる。また、世界的にも珍しい、ナガバノモウセンゴケの大群落を中心とする、尾瀬・食虫植物大群落もある。 尾瀬は阿賀野川水系最大の支流只見川の源流域にあり、平滑ノ滝や三条ノ滝などの瀑布景観を形成している。
・ 1903年 尾瀬原ダム計画が明らかになると、平野は沼尻の小屋に定住を始める。
・ 1908年(1910年説あり) 平野が尾瀬沼西端の沼尻に尾瀬で最初の山小屋「長蔵小屋」を建設。その後、平野は尾瀬沼の漁業権を取得し、ヒメマスなどの養殖を試みるが失敗した。なお、長蔵小屋は1915年に尾瀬沼東岸に移動した。
・ 1920年 長蔵小屋が尾瀬沼一帯を風致保護林へ指定するように陳情活動を行う。後に840haが指定。
・ 1922年(大正11年) 関東水電(後の東京電力、現:東京電力ホールディングス)が水利権を取得。尾瀬原ダム建設が計画される。
・ 1934年(昭和9年) 日光とともに日光国立公園に指定。
・ 1938年 国立公園特別地域に指定。
・ 1944年 取水工事開始(1949年竣工)。尾瀬沼から片品側の三平峠に向けて水力発電用の水を通すトンネルが完成する。
・ 1949年 NHKが、ラジオ歌謡として作詞家江間章子・作曲家中田喜直に制作依頼して作られた尾瀬の自然を歌った曲『夏の思い出』を発表し放送。この曲のヒットにより尾瀬は一躍有名になり、多くの観光客が訪れるようになる。
・ 1952年 福島県側で木道の整備が始まる。
・ 1953年 国立公園特別保護地区に指定。
・ 1956年 天然記念物(天然保護区域)に指定。
・ 1960年 特別天然記念物に指定。
・ 1967年 尾瀬沼でのボート、釣りが禁止される。
・ 1970年 尾瀬沼東岸を通り、片品村から檜枝岐村を結ぶ県道沼田只見線(現・群馬県道・福島県道1号沼田檜枝岐線)の建設が開始されるが、自然保護運動により翌年、計画は中断される。
・ 1971年 尾瀬周辺を通過する奥鬼怒スーパー林道が着工される。なおこの林道は、のちに尾瀬周辺を通らないよう設計変更されて竣工した。
・ 1972年 ゴミ持ち帰り運動開始。翌年までに尾瀬のゴミ箱が全て撤去される。撤去されたゴミ箱の数は、東京電力関連会社の尾瀬林業が管理していたものだけで1400個。
・ 1974年 沼山峠、鳩待峠のマイカー規制開始。
・ 1981年 国道401号が制定施行。
・ 1989年(平成元年) 尾瀬西端の至仏山登山道のうちの一つが、自然保護を理由に閉鎖される。なおこの登山道は、1997年に供用が再開された。JTBが雑誌『旅』1989年9月号の誌上において「尾瀬」を日本の秘境100選の一つとして福島県、新潟県、群馬県に亘る地域を選定。
・ 1996年 東京電力が尾瀬ケ原水利権更新を断念し、尾瀬原ダム計画は正式に消滅。尾瀬沼の水利権は2011年1月時点も保持し、取水トンネルにより利根川水系片品川に導水したものを水力発電に利用している。これにより尾瀬沼の水位は低下したままである。一部に尾瀬沼の水利権放棄との情報もあるが、間違いである。
・ 1999年 沼山峠側で乗り合い自動車以外の自動車の乗り入れが通年通行禁止。
・ 2005年10月21日に、日本政府は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)が指定する湿地の候補として国内での登録を終え、11月8日の同第9回会議において正式に決定された。 また、ニホンジカが増加し、ニッコウキスゲなどの花芽が食べ尽くされ、極端に開花が少なくなる場所が増えるなどの影響が起こり始めている。1995年頃から尾瀬に現れたニホンジカは2008年には約300頭にまで増加し、頭数の調整のため環境省は特別保護地域内での捕獲を認める方針を示している。2009年には4月から11月にかけて、福島県内の特別保護区域などで駆除に乗り出したが、捕獲数は16頭にとどまった。これは面積が広いことと、現地におけるシカの処理、搬出などが重労働であるため効率があがらないためという。

◎ 自然保護運動
尾瀬では自然保護運動が盛んであり、これらの運動の一部は尾瀬の後に他地域で実践されるようになったものも多い。このため、これらの活動について列挙する。なお、自然保護を目的として1972年には群馬県尾瀬憲章が制定。1996年には尾瀬保護財団が設立されている。
○ 反ダム運動
最初期の自然保護運動は、尾瀬原ダム計画の反対運動であった。尾瀬沼のほとりに住んでいた平野長蔵は、一人でこれに反対。発電所の建設に反対するために、尾瀬への定住を始めたという。実際には、発電用施設は尾瀬沼南岸に取水口が一つ建設されたのみで、それ以外は建設されなかった。1956年に尾瀬地域が天然記念物に、1960年には特別天然記念物に指定され、その時点で発電所計画は事実上不可能になっていたものの、東京電力は1966年まではこの地に発電所建設計画を持っていた。また、それ以降も太平洋側への分水路建設計画は残されていた。東京電力が発電所建設や分水路建設計画を正式に断念するのは1996年になってのことである。 ただし現在でも尾瀬地域の群馬県側は全てが東京電力ホールディングス(HD)の所有地である。現在、東京電力HDから保護活動を継承した東京電力リニューアブルパワー、また東京電力HD子会社の東京パワーテクノロジー(旧尾瀬林業)は、木道の建設や浄化槽式トイレの建設、湿原の復元など、環境省や各自治体と並び尾瀬を守る活動の主体の一つとなっており、東京パワーテクノロジーは尾瀬地域の5つの山小屋の経営母体でもある。
○ 道路建設反対運動
尾瀬が有名な観光地になると、自動車で乗り入れができる観光ルートの建設が開始された。1960年代当時、自動車で入山できる場所は富士見峠しかなかったが、この後、鳩待峠、沼山峠が整備され、峠の頂上付近まで自動車で乗り入れることができるようになった。この後、三平峠と沼山峠を結ぶ自動車道の建設が始まるが、建設開始直後の1971年7月25日、平野長蔵の子孫の平野長靖が当時の環境庁長官大石武一に建設中止を直訴。5日後、大石が平野とともに現地を視察すると、直後に建設は中止された。竣工した道路の一部は1998年までに廃道になった。
○ ごみ持ち帰り運動
ごみ持ち帰り運動も、尾瀬が元祖であるとされる。それまで尾瀬には多くのゴミ箱が設置されていたが、ごみの処理に苦労していたうえ、ごみ箱はすぐに溢れたため、入りきらなかったごみはごみ箱周辺に散乱し、風などで周囲に飛散していた。ごみ持ち帰り運動は「逆転の発想」として1972年に開始され、翌年までには全てのごみ箱が撤去された。この運動はその後他の地域にも広まっていった。また、それまでは不燃ごみは穴を掘って埋めることが多かったが、それらの「過去のごみ」も順次発掘のうえ上尾瀬の外に搬出する作業が、ボランティアも交えて行われている。だが埋められたごみが膨大なうえ樹木の根に絡みついて倒壊を招きかねないため完全には撤去しきれておらず、後述する屎尿を処理した汚泥とともに尾瀬の外への搬出はヘリコプターが使われているが整備され、木道以外の場所を歩けないようにして、湿原保護を図っているのも尾瀬の特徴である。長さ4メートル、幅50センチメートルほどの木板をつなげ、湿原に降りなくてもすれ違えるよう複線になっている。

● 観光・登山


◎ 登山道
尾瀬沼や尾瀬ヶ原の周辺には木道が整備されている。湿原保護のため、木道から外れて湿原に立ち入ったり、湿原に撮影用の三脚を立てたり、木道や休憩所に座って足を湿原に置かないよう呼び掛けられている。入山口には種子を落とすためのマットが用意されており、移入植物の侵入を防ぐ努力がなされている。 携帯電話は従来はほとんどの場所でサービスエリア圏外となっていた。これは「尾瀬で携帯電話ができると雰囲気が悪くなる」との意見があったため、あえて基地局の設置を行っていなかったためであるが、その後の情勢の変化により、2017年9月にまずKDDIが尾瀬ヶ原の山小屋周辺で「4G LTE」の電波の受信ができる携帯電話を使えるように工事を行った。2018年以降、順次尾瀬沼など周辺地域にも拡大し、21の山小屋全てで携帯通話・通信が可能になる予定である。このほかに山小屋や休憩所では公衆無線LANサービスも提供されている。公衆電話は多くの山小屋等にあるものの、衛星公衆電話なので通常の公衆電話よりも通話料が高額となる。

◎ 山小屋などの施設
尾瀬沼の東端及び尾瀬ヶ原の西端には、ビジターセンターと国民宿舎がある。また、尾瀬には多くの山小屋があり、100kgを超す荷を背負って山小屋に食料などを運ぶ歩荷(ぼっか)の姿もみられる。 山の鼻と尾瀬沼畔にはビジターセンターが設置され、尾瀬の自然の紹介と、自然保護活動の啓蒙を行っている。スライドショーや観察会等も行われる。なお、山の鼻ビジターセンターは群馬県が、尾瀬沼ビジターセンターは環境省が設置しているが、両センターの運営管理とも現在は尾瀬関係3県によって設立された財団法人尾瀬保護財団が運営管理を行っている。
・ ビジターセンター
 ・ 尾瀬沼ビジターセンター
 ・ 尾瀬山の鼻ビジターセンター
・ 山小屋。これに関して公益財団法人尾瀬保護財団も抗議文を送付し、「セクシャルハラスメント、容姿による差別(ルッキズム)、女性差別、民族差別、人種差別など、看過することができない人権侵害であると同時に、ガイドの利用に当たって特定の方々に強い不安を与えてしまう」と指摘した。

● 交通・アクセス
現地には自動車道は通っていないため、登山口から徒歩でアクセスす ることになる。尾瀬ヶ原及び尾瀬沼周辺への主な入山口は6か所ある。主な登山口は群馬県側が鳩待峠、富士見峠、大清水(三平峠)の3箇所で、福島県側が御池・沼山峠の2箇所。このほか新潟県側からの入山口(越後口)がある。このうち鳩待峠からの入山者数が全入山者数の6割弱、沼山峠からの入山者数が2割弱、大清水からの入山者数が0.5割をそれぞれ占めている。 現地へのアクセスについては前記の通り、1974年(昭和49年)の「国立公園における自動車利用適正化要綱」で日光国立公園尾瀬地域がモデル地区となり、福島県尾瀬自動車利用適正化連絡協議会及び片品村尾瀬交通対策連絡協議会が設置され、マイカー等の交通規制と代替輸送が実施されている。
◇マイカー利用時 自家用車の場合、群馬県側は片品村戸倉の尾瀬第一駐車場(有料)、尾瀬第二駐車場(並木駐車場、有料)に駐車し、そこから路線バスもしくは乗合タクシーで登山口である鳩待峠に向かう。乗車券はバスと乗合タクシーは共通であり、頻発運転により利便性を確保している。福島県側からは御池駐車場(有料、規制期間によっては使用不可のことあり)、七入駐車場(無料)に駐車し、同様に路線バスなどを利用する。これらの駐車場のほか、大清水駐車場(有料)、鳩待峠駐車場(規制時は使用不可)、富士見下駐車場(無料)がある。このうち、鳩待峠駐車場は狭いため規制期間中は使用できず、また規制期間外でも満車の時が多い。さらに自然保護を理由として周辺よりも高い駐車料金となっている。
◇公共交通機関利用時 電車・バスを利用する場合、群馬県側は上越新幹線上毛高原駅または上越線沼田駅から鳩待峠行バス連絡所行きまたは大清水行きのバスを利用。福島県側からは、野岩鉄道・会津鉄道会津高原尾瀬口駅から沼山峠行きバスを利用する。なお、東武鉄道がシーズン中の週末を中心に浅草駅から会津高原尾瀬口駅まで夜行列車(尾瀬夜行)を走らせている(沼山峠行きの連絡バスに接続する)ほか、関越交通もバスタ新宿(新宿駅前)および東京駅前から大清水行き高速バスを走らせている(戸倉で鳩待峠行きのシャトルバスに乗り換えられる)。 このほか、上越線浦佐駅から奥只見ダム行きのバスに乗り、そこから定期船で尾瀬口、尾瀬口から定期バス(予約制)で小沢平・御池・沼山峠まで行く方法もあるが、本数は非常に少なく(1日2本、繁忙期のみ3本)、また積雪のために開通は6月上旬となる。 最も利便性の高い鳩待峠や沼山峠からでも、バスの終点から尾瀬の湿原までは徒歩で1時間ほどかかる。

● 関連画像

「尾瀬」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
2024年10月13日11時(日本時間)現在での最新版を取得

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