ランキング21位
獲得票なし
ランキング4位
獲得票なし
白神山地(しらかみさんち)は、青森県から秋田県にまたがる山地帯の総称。
屋久島とならんで1993年(平成5年)12月、日本で初めてのユネスコ世界遺産(自然遺産)に登録された。その後、海底下にあった2000万年から1200万年前(新生代第三紀中新世)にかけ海底の火山活動があり、白神山地の大部分はそのときの堆積岩(凝灰岩、泥岩、砂岩)や貫入岩類(流紋岩、石英閃緑岩等)で構成されている。
自然保護のために、核心地域への立ち入りを全面的に禁止すべきかどうか、あるいはまた、かつてのマタギなどのように、そこで生活の糧を得ていた人たちまで規制する必要があるのかどうか、議論は進んでいない。
位置は青森県西津軽郡鰺ヶ沢町、深浦町、中津軽郡西目屋村、秋田県山本郡藤里町で標高300m - 1243mの向白神岳に及ぶ山岳地帯である。(N 40°22' - 32'、E 140°2' - 12')
・山地の山については白神山地の山の一覧参照。
● 名称
◎ 弘西山地
藩政時代、この地域は目屋野沢、大然山、追良瀬山と記された。
白神山地ビジターセンターによれば、世界遺産登録以前には地元や行政関係者の間では、「弘前」と「西浜(津軽西海岸)」から弘西山地(こうせいさんち)と呼ばれていたという。
1920年(大正9年)の『青森県地誌』に「泊岳連山」として記載され、その後は「白神山塊」など地理区分として出羽山地の青森・秋田県境に記載されるようになった。
白神山地の調査では、二ツ森・摩須賀岳一帯(通称泊の平)と青鹿岳の林相は大径木が多く原生林的相観がみられる。
◎ 動物
合計で4000種の生き物が棲息している。
・ 鳥類
・キツツキの種類の中でも一番多く、絶滅が心配されている天然記念物のクマゲラが穴をあけ巣造りをして生活している。その他、イヌワシ、クマタカ、シノリガモの生息が確認されている。林野庁は生息状況の把握と将来の駆除に向けた準備として、罠を設置してニホンジカ捕獲を試みている。
・昆虫類
・約2,300種以上の昆虫が確認されており、新種の昆虫も数種が発見されている。
● 世界遺産
◎ 登録基準
◎ 地球温暖化の影響
地球温暖化によって平均気温が産業革命期から2.9℃上昇 (2020年現在1.2℃上昇)すると、白神山地におけるブナの分布適域は白神岳と世界遺産地域外側の山頂部のみに限られ、自然遺産地域の大部分が分布適域を外れると予想される。ブナの寿命は200~400年あり、大きく育ったものに関してはある程度の気候変動に耐性を持つことから分布不適域となってすぐにブナ林が消滅するということはない。しかし、自然遺産地域の約8割が林齢150~200年生 (1996年時点)であるので、2100年には多くのブナが壮齢期から老齢期を迎える。温度上昇により、ブナ林下限域からブナの死亡後、新たに分布適域となったコナラやクリなどの落葉広葉樹が成長し、ブナの分布密度の低下が徐々に進行する可能性がある。
● 歴史
近世には目屋の沢のように津軽藩の薪炭材供給基地になっていた場所もあるが、津軽藩では厳しい林制による統制を行っていた。
1992年7月10日、自然環境保全法に基づく自然環境保全地域に指定された。
◎ 世界遺産登録後
1993年12月9日、ユネスコ世界遺産(自然遺産)登録
2013年 8月 秋田・岩手豪雨のため、青森県道・秋田県道317号西目屋二ツ井線が土砂崩れのため通行止めになる。激しい豪雨のため、道路はずたずたとなり通行できるまで数年間の工事が必要とされている。
2014年 7月 白神山地周辺で目撃情報があるニホンジカの生態や分布状況を把握し、食害防止につなげるため、林野庁は27日、秋田県側の白神山地の世界遺産地域などに監視カメラの設置を始めた。環境省も協力し、今年度中に秋田、青森県内に計64台を設置する。
2015年12月 環境省や県などでつくる「白神山地世界遺産地域連絡会議」は8日、白神山地の世界自然遺産地域内の西目屋村で10月13日にニホンジカを確認した、と発表した。自然遺産地域内でニホンジカの姿が確認されるのは初めてだ。同会議によると同13日午後1時20分頃、遺産地域内の「暗門の滝」上流付近で、自動撮影装置が歩いている雄のニホンジカを撮影した。これまで遺産地域周辺での撮影はあったが地域内での確認は初めてという。また遺産地域周辺の鰺ヶ沢町で今月3日、町職員が田んぼにいるニホンジカを撮影したことも発表した。
● 登山
白神山地には複数の散策コースと登山コースが設定されている。
白神山地の中で特に眺望がよい場所について、白神山地に詳しい登山家の根深誠は、順番に天狗岳、小岳、二ツ森、白神岳を挙げている。
なお白神山地の世界遺産領域は青森側からの登山道しか整備されておらず、東北森林管理局は秋田側から登山目的での入山を自粛するよう求めている。
◎ 白神岳
標高1,231.9m。山頂では、白神山地核心地域の雄大な景色を見ることができる。
白神岳登山道として以下の登山コースが整備されている。
・ 白神岳登山道「マテ山コース」(中級コース)。
◎ 津軽峠
津軽峠から高倉森を通る登山道。この津軽峠までは弘前市からのバスが通っている。
なお、津軽峠付近には樹齢四百年ともいわれる巨木「マザーツリー」があったが、2018年9月6日に幹が折れているのが確認され台風21号による影響とみられている。
◎ 暗門滝
散策ルートの暗門渓谷ルート(旧暗門の滝歩道)が整備されている。
3つの滝からなる暗門滝(青森県中津軽郡西目屋村)は、駐車場やバス停から片道1時間(第三の滝のみならば片道30分)で行け、また、世界遺産緩衝地域内にあるため、観光地として人気がある。滝までの山道の脇には、上記のようなブナの原生林があり、観察のための道も整備されている。
◎ 二ッ森
世界遺産緩衝地域内にある山。国道101号から真瀬林道、青秋林道を通った終点にある二ツ森登山道入口(標高約920m、駐車場、公衆トイレあり)から約5分で世界遺産地域に入れるため、観光地として人気がある。登山道を約1時間弱歩くと標高1,086mの二ツ森山頂に着く。頂上からは、世界遺産登録地域が一望できる。詳細は二ツ森を参照。
◎ 釣瓶落峠
釣瓶落峠は青森県西目屋村と秋田県藤里町の境にある峠。紅葉時には、天然秋田杉の緑との紅葉との対比が美しい。青森県道・秋田県道317号西目屋二ツ井線は秋田県側は完全に舗装されている。青森県側は釣瓶落峠から5km程度が舗装道となっており、尾太岳の東麓の谷を抜けて尾太鉱山を経て美山湖に出る。
◎ 岳岱自然観察教育林
岳岱自然観察教育林は、樹齢400年とも言われる巨大なブナをシンボルとした保護林。以前は「風景林」であったが、1992年に自然観察教育林として指定された。詳細は岳岱を参照。
◎ 白神の森 遊山道
JR鰺ケ沢駅から車で30分。駐車場有り(30台)。藩政時代から田の水源を確保するための「田山」として300年以上地元の人の手により守られてきた。
およそ52haのエリアは人の手がほとんど加えられておらず、樹齢200年を超えるブナも見受けられ、白神山地核心部同様の森林景観を保っている。
全長2.8kmの遊歩道があり、外回り2.2km、内回り1.1kmのコースが選べる。コース上にはクマゲラの開けた穴や熊の爪痕のあるブナがある。外回り、内回りとも聴診器が置かれており、樹木の音を聴くことができる。
2014年4月より名称を「ミニ白神」から「白神の森 遊山道」に変更。
● トピック
◎ 悠久の森 白神フェスティバル
白神山地のふもと、秋田県山本郡八森町で、2001年より行われている野外コンサート。雄大な自然を讃える詩を、毎年全国から一般公募している。NHKのみんなのうたでKOKIAが歌う『悠久の杜』という曲は、第一回白神フェスティバルでの大賞作品に曲をつけた『悠久の森〜My Home Town』である。
◎ バイオビジネス
1997年、白神山地の秋田県側核心地区から新しい酵母菌「白神こだま酵母」が発見される。この酵母菌の特徴は耐冷性に優れ、パン生地を長期冷凍保存しても菌が生きている。したがってパン生地をより長期間冷凍保存できる。また、発酵力が極めて強い。この他、天然甘味料のトレハロースを大量に作ることによる独特の甘みや、焼いた時の香りの良さなど各種の優れた性質を持ち、現在、パン製造に幅広く活用されつつある。
白神山地は寒冷な気候で、ほとんど人が入り込まなかったため、独自の生態系を保ち、このような菌が生存競争を勝ち抜き生きてきたと思われる。白神山地からさらなる細菌を発見しようとする試みは続いていて、「白神こだま酵母」以外にも、低温に強く雑菌をなくす乳酸菌「作々楽(ささら)」など製品化にこぎつけた細菌も出てきている。
2010年7月、化粧品メーカーのアルビオンが白神山地の植物を活用した美容成分の研究開発を行う白神研究所を藤里町の旧米田保育園跡地に開設した。
「白神山地」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年12月14日10時(日本時間)現在での最新版を取得
好き嫌い決勝
好き嫌い準決勝
好き嫌い準々決勝
好き嫌い7位決定戦
好き嫌いTOP10圏内確定戦
景勝地の無作為ピックアップ
Powered by