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馬術(ばじゅつ)は、馬を乗りこなす術。馬に乗り、馬を御(ぎょ)する技術。馬に乗ってそれをあやつる技術。
● 概説
◎ 歴史
もともとは、ユーラシア大陸の草原地帯の民族の間で発達したものと考えられる、古代ギリシアのクセノポンの馬術に関する著作があり。
第二次世界大戦の敗戦により、日本では兵科としての騎兵科は廃止され、馬術の拠点の一つが失われた。また、当時は既に世界中で騎兵そのものが廃れつつあり、それに代わって自動車化歩兵(機械化歩兵)や戦車が急速に台頭する時代に突入しており、国防組織として警察予備隊、保安隊、陸上自衛隊が発足しても、騎兵は復活しなかった。
馬術には、馬匹と馬場・厩舎等の設備が不可欠であり、戦後期には(乗馬クラブも平成時代以降ほどには普及していなかったので)学生馬術が馬術競技を行う主体として重要であった。現在でも日本では、乗馬、特に馬術競技を始めるきっかけとして、大学体育会馬術部の存在は大きい。大学体育会馬術部の競技会として、1928年(昭和3年)に第1回全日本学生馬術選手権大会が開催された。1957年(昭和32年)には、日本馬術連盟の傘下団体として、全日本学生馬術連盟が組織された。全日本学生馬術連盟は、全日本学生馬術大会(全日本学生賞典障害馬術競技大会・馬場馬術大会・総合馬術大会)および全日本学生馬術選手権大会・女子選手権大会を主催している。
日本中央競馬会は馬事振興の取組みの一環として、馬術にも深く関わってきた。事業支出の中に馬事等振興費を設け、馬事公苑など馬術競技の拠点の所有・運営、乗馬の購入補助、学生馬術部への資金補助など、馬術の全般にわたりサポートをしている。2024年パリオリンピックの総合馬術団体ではJRA職員の戸本一真が銅メダルを獲得、個人総合では5位入賞を果たした。また、総合馬術団体メンバーの使用する多くの乗馬はJRAの資金援助の元、購入されている。
学生馬術から競馬界に進むものも多く、戦後から現在に渡るまで数多くの調教師が学生馬術を経験している。高校卒業者が少ないため馬術競技経験のある騎手は少ないが、減量が難しくなり一度騎手を諦め馬術へ転向、全日本障害飛越選手権で優勝したのち騎手免許を取得した小牧加矢太、中学生当時の視力が受験資格を満たさず馬術へ転向、大学卒業後は競走馬の生産・育成に携わったのち、受験資格が緩和されたことにより騎手免許試験を受験し合格した坂口智康のような例がある。2名はともに障害競走専門の騎手免許である。
平成期以降の日本には乗馬クラブが多数あり、ブリティシュ馬術やウェスタン馬術を習得することが可能となっている。また、ほそぼそとではあるが流鏑馬や犬追物が伝統文化として継承されている
◎ 現代の馬術
現代における馬術を大きく分類すると「ブリティッシュ馬術」と「ウェスタン馬術」の2つに分類される。
なお、オリンピックでは、馬場馬術(Dressage ドレッサージュ)、障害飛越競技(jumping ジャンピング)、総合馬術(Eventing イベンティング)の3種目によって行われるが。
かつて、初めて競技として採用されたパリオリンピック(1900年)では「乗馬走り高跳び」「乗馬走り幅跳び」の2種目があったが、転倒・落馬の危険が高いため、この回のみで廃止された。アントワープオリンピック(1920年)では「乗馬フィギュア(個人・団体)」の種目があったが、この回のみで廃止された。
近代オリンピックにおいては、ヘルシンキオリンピック(1952年)にて騎兵将校以外の男子および女子の参加が認められるまでは、馬術は職業軍人だけが参加できる競技であった。
競技種目としては流鏑馬、笠懸、打毬などがある。
◎ 日本の馬術流派
・ 小笠原流
・ 大坪流
・ 大坪古流
・ 大坪本流
・ 大坪新流
・ 荒木流
・ 通明流
・ 上田流
・ 解龍流
・ 大泉流
・ 大熊流
・ 八条流(高麗流)
・ 新八条流
・ 二宮流
・ 八条当流
・ 山形流
・ 人見流
・ 一全流
・ 調息流
・ 悪馬新当流(神当流)
・ 徒鞍流
・ 常心流
・ 鎌倉流
・ 賀茂悪馬流
● 障害者と馬術の関わり
身体障害を持つ者にとっても馬術の歴史が積み重ねられており、「紀元前5世紀に、戦争で傷ついた兵士を馬に乗せることで治療していた」とされる文献があるという。障害者による競技は、「馬場馬術」が一般的になされ、FEIも「障害者馬場馬術競技(Para-Equestrian Dressage)」を管轄している。なお、限られた例ではあるが「障害飛越競技」に取り組んだ競技者も存在する。演目は規定演技を行う「チャンピオンシップテスト」と、各自で選んだ楽曲に合わせて演技を組み合わせていく「フリースタイルテスト」の2つがある。
なお、FEIでは「障害者馬車競技(Para-Equestrian Driving)」も管轄しており世界選手権大会も開催している。
落馬事故で障害を背負った元競馬騎手が馬術競技に転向する例もあり、日本の馬術選手では選手石山繁、選手常石勝義、選手高嶋活士がこれに当たる。
● 日本での馬術用語
明治以降、日本での馬術は、伝統の馬術を廃して西洋馬術を主に、大日本帝国陸軍(陸軍騎兵学校を参照)において導入し発達したという経緯がある。そのため、用語の多くは、軍隊用語の流れを汲むものとなっている。
・脚(きゃく)
・騎乗者のあし(下腿・脹脛)を意味する。馬のあしは肢(あし)と表現して区別する。脚の馬腹との接触は人馬のコミュニケーションにおいて重要で、馬を推進させる方向に働く。
● 関連組織
・ 国際馬術連盟
・ 日本馬術連盟
・ 日本社会人団体馬術連盟
・ 全国乗馬倶楽部振興協会
・ 全日本学生馬術連盟
「馬術」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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