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バドミントン


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バドミントンは、ネットを隔てて二つに分けられたコートの両側にプレーヤーが位置し、シャトル(シャトルコック)をラケットを使って打ち合い、得点を競うネット形のスポーツである。誤って「バトミントン」と呼ばれることが多いが、正しくは「バドミントン (badminton)」である。また、打球は最速初速565km/hであり、最速のスポーツとしてギネスブックに認定されている。羽球(うきゅう)と称する場合もある。「バドミントン」の名前はイギリスの貴族ボーフォート公爵サマセット家の邸宅に由来する。 競技には球は使われないが、球技に分類される。また、シャトルコックのことを「球」と呼ぶ。

● 特徴

・ 半球状のコルクに水鳥等の羽を接着剤などで固定した『シャトル(シャトルコック)』を打ち合う。近年は、プラスチック製やナイロンの合成球を使うこともあるが、大会などの公式戦では使われない。
・ 球技の中で打球の初速がもっとも速いことで、ギネスブックに認定されている。スマッシュの初速は、最速で時速493kmに達する。また打球が相手コートに届くまでに空気抵抗を受けて急激に速度が低下するため、初速と終速の差が著しいことも特徴である。
・ 身体的にはシャトルやラケットが軽量であるためテニスに比べ筋力の影響は少ないが、相手との距離が近く球速も速いため、フットワークと動体視力が重要となる。また、緩急を使い分けるさまざまなショットの技術も必要である。距離は短いが素早く動き続けることから持久力も必要となる。
・ 心理的には対戦相手との駆け引き、ダブルスの場合はペアとのコンビネーションなどの要素が絡むが、球速と距離により判断のための時間が短いため、状況を素早く判断する必要がある。
・ 風の影響を非常に受けやすい、強風時のプレーは非常に困難である。公式試合では建物を締め切り、空調を停止させる。
・ レクリエーションとしては、スマッシュを使わなければ球速が遅く羽により滞空時間も長いため、瞬発力や動体視力はさほど必要とされず、気軽に楽しむことができる。テニスと比べると球が軽いため筋力も必要とされず、卓球と比べても球の挙動が安定している。

● ルール


◎ 試合の進行

・ プレーが始まる前に「サービスをするかレシーブをするか」または「コートのどちらのエンドを選ぶか」の選択権をトスによって決める。トスに勝ったサイドが先にどちらかを選び、負けたサイドは、残りから選択する。国際大会ではコイントスを行うが、日本では、一般にじゃんけん等で決められる場合がある。
・ 試合は、シングルス、ダブルスともに、2ゲーム先取の3ゲームマッチ。それぞれラリーポイントの21点先取した側が1ゲームを得る。ただし20-20になった場合は延長となり、以降どちらかが2点差をつけるか、もしくは30点に達するまで行われる。即ち、29-29となった場合は次に得点した側がそのゲームを得ることになる。
・ すべてのラリーはサービスから始める。サービスは、トスの直後を除いて1つ前のラリーに勝ったサイドが行う。よって、第2ゲームと第3ゲームの初めは、直前のゲームの勝者サイドが行う。
・ シングルス、ダブルスともに、1ゲーム終了ごとにチェンジエンド(プレイするコートのエンド交換)を行う。3ゲーム目まで試合が続いた場合、2ゲーム目終了直後のチェンジエンドに加え、どちらかが11点先取した時に、チェンジエンドを行う。
・ 決められた相手コート内にシャトルを落とすか、相手がフォルト(反則)を取られた場合、1点を得る。
・主審の判定は、最終的なもので、質問は許されても抗議は認められない。

◎ サービス

・ サービスでは、シャトルの台を打たなければならない。
・ ラケットで打たれる瞬間、シャトル全体が115cm以下で打たなければならない。
・ サービスを行うときに両足を地面から離してはならない。
・ サーバーは、コートのライン内でサービスを行う。
・ 意図的にサービスを遅らせてはならない。
・ 空振りをしてはならない。

◎ コート

・ シングルスでは内側のサイドラインを使用し、ダブルスでは外側のサイドラインを使用する。
・ サービスは、サーバーから見て対角線側のコートに打つ。このとき、シングルスではショートサービスラインからバックバウンダリーライン、ダブルスではショートサービスラインからダブルス用のロングサービスラインの間にシャトルが落下するよう、それぞれ打たなければならない。

◎ サービス時の位置

◇シングルス :
・サービス側の点数が偶数(0点を含む)のときは、右側から対角線側へサービスを行う。サービス側の点数が奇数のときは、左側から対角線側へサービスを行う。 :
・以降、得点した側がサービスを行う(点数が偶数のときは右側から、奇数のときは左側から)。
◇ダブルス :
・ゲーム開始(0点)時は、右側の選手が右側から対角線側へサービスを行う。 :
・サービス側が得点した場合、同じ選手が左右を変えて、対角線側へサービスを行う。 :
・レシーブ側が得点した場合、レシーブ側が新たにサービスを行う。自ペアの点数が偶数のときはレシーブ時に右側にいた選手が右側から対角線側へサービスを行い、自ペアの点数が奇数のときは左側にいた選手が左側から対角線側へサービスを行う。 :以上をまとめると、点数が偶数のときは右側の選手が、奇数のときは左側の選手がサービスを行い、連続してサービスを行うことになった場合は左右を入れ替え同じ選手がサービスを行う。

◎ インターバル

・ 各ゲームどちらかの点数が11点に達したときは60秒以内、ゲームとゲームの間には120秒以内のインターバルをとることができる。
・ 各インターバル以外でコート外に出ることは、故障等のやむを得ない場合を除き、基本的に認められない。ただし手の汗を拭いたり、破損したラケットを交換することは認められる。

◎ 審判

○ 主審

・線審がジャッジできなかった場合にインかアウトの判断をする。
・サービスの場合「サービスオーバー」とコールする。
・「サービスオーバー」とは、サーブが変わるという意味を表す。
○ 線審

・インかアウトの判断をする。
・インの場合は真っ直ぐ手をあげるが、アウトの場合は手を両手に広げて大きい声で「アウト」と言う。
○ 得点

・0は、「ラブ」と言い表す。たとえば、1点どちらかが入り、0対1になったら「ワンラブ」と言う(1以降は英語で言う)。
・3対1から3対2になった場合は、大きい方の数字ではなく「トゥースリー」と、得点が入った方を先に言う。
・1対1と同点になった場合は、「ワンオール」と、2回目に言う数字を「オール」と言う。
・サーブ権が変わった場合は「サービスオーバー」という言葉の後に得点を言う。

● 用具
バドミントンで使用される用具は以下の通りである。特に断りがない限り、競技用のものについて述べる。

◎ シャトル(シャトルコック)
「羽(羽根)」または「シャトル」と呼ばれることが多い。シャトルコックという名前は以前鶏(コック)の羽で作られていたころの名残である。現在は試合球、練習球においても鶏の羽根のシャトルはほとんど使われていない。競技規則には、シャトルコックではなく、シャトルと記載されている。
・ 競技用に主として使用されている物は、主に食用のガチョウの羽(羽軸が強く、丈夫。中でも次列風切という部位が最適)とコルクから作られていて、各羽は樹脂で固められている。安価なシャトルはアヒルの羽によって作られている物もある。卓球、テニスボールのように羽根を蛍光色に着色したものもナイロン製では古くからあったが、最近では鳥の羽製のものでも存在する。また動体視力を鍛える練習球として、黒ガチョウの羽根を使用したシャトルも一部メーカーが販売している。
・ コルク部分に羽根を埋め込み、軸を糸で留めたあと、接着剤で固定する。
・ 1本でも羽が折れれば正しい軌道で飛ばなくなる。最近では、練習用に羽だけ部分的に交換できるものも販売されている。一般に壊れたシャトルは、ノック練習等でボロボロになるまで再利用されたあと、廃棄される。かつて、経済的に苦しいチームは、ニカワ・木工用ボンドなどで補強再生して使用していた。
・ 気温や湿度の変化による空気抵抗の差により、飛距離が変化しやすい。具体的には、気温が高く湿度が低いときはよく飛び、逆に気温が低く湿度が高いときは飛ばなくなる。バドミントンの試合前に温度などを測り、常に同じ飛びのシャトルでプレーできるように、同じ銘柄のシャトルでも飛距離の違うものが数種類ずつ製造されている。
・ かつては、選手が羽の内側にラケットのグリップエンドや自分の肘を押し込み、羽を外側に広げ、改造する行為の場面が見られた。これは、シャトルが飛び過ぎる場合、空気抵抗を故意に上げ、標準のフライトに近づけるためである。
・ 価格は、安価なもので1球数十円ほど、最高級品では1球400円近いものもある。1ダース単位で筒状のケースに入った状態で売られている。多くのメーカーでは、使用する羽の種類や、質などにより、細かく等級を定めており、大きな価格差がある。当時のバドミントンは、バックバウンダリーラインから、ネットに向けて狭くなっていく、バスケットボールのフリースローレーンのような形のコートを2つ合わせたような形であった。これは、バドミントン荘がそのような形状であったから、というのが定説である。 1899年にはロンドンで第一回全英オープンが行われ、1921年にカナダ、1930年にデンマーク、オランダ、フランスにバドミントン協会が設立され、そして1934年に世界バドミントン連盟が誕生した。 1972年のミュンヘンオリンピックにて公開競技として行われた後、その次のモントリオールオリンピックから正式競技になるとの観測があったが、中国が脱退するなどして国際バドミントン連盟が分裂する事態が起こり、立ち消えとなったことがある。 オリンピックの方が注目されがちだが、オリンピックや世界選手権よりも上記の全英オープン、国別対抗団体戦のトマス杯、ユーバー杯の方が長い歴史と伝統を誇る。

◎ 各国での普及
イギリスから世界に広まった競技であるため旧植民地(イギリス連邦)で普及しており、コモンウェルスゲームズにも含まれている。このほかにもデンマークやオランダ、その旧植民地でも行われており、植民地が多い東南アジアでは人気が高い。特にオランダ領だったインドネシアでは国技であり、オリンピックで獲得したメダルの半分以上がバドミントンによるものである。日本、中国、韓国など1950年代から競技が本格化した国からもトップ選手が誕生しており、アジアでは人気スポーツとなっている。一方、イギリスを含む欧米ではデンマークとオランダ以外では人気が低迷し選手層が薄く、2016年リオデジャネイロオリンピック開幕時点での女子シングルス世界ランキングの上位25位以内に非アジア国籍の選手は4人(1人は香港出身)という状況であるなど、近年の国際大会ではイギリス、デンマーク、オランダ、スペイン以外はアジア勢が上位を占めている。
○ 日本
日本では1921年、横浜YMCAの体育主事をしていた広田兼敏が名誉主事のアメリカ人スネードから用具一式を寄贈されたことが始まりとされている。広田はその後、在日欧米人よりバドミントンについて学び、1933年に横浜YMCAの体育活動に取り入れ、1937年にはバドミントンクラブを設置したと言われる。 その後、第二次世界大戦のために普及活動は停滞するが、1946年、終戦後早々と各地のYMCAなどのクラブチームはバドミントンを再開した。同年、11月2日、日本バドミントン協会が設立される。1948年、第1回全日本総合バドミントン選手権大会開催、日本体育協会に参加。1949年、第4回国民体育大会の競技種目となり、1950年第一回全日本学生バドミントン選手権開催、1951年第1回全国高等学校体育大会バドミントン競技大会開催、第1回実業団バドミントン選手権開催、1952年国際バドミントン連盟加盟し、急速にバドミントンは普及する。 1954年、男子チームが初の国際大会となる第3回トマス杯大会アジア地区予選に出場した。女子チームは湯木博恵などを中心に1965年-1966年、1968年-1969年、1971年-1972年、1977年-1978年、1980年-1981年に、もっとも権威ある国際大会の一つであるユーバー杯で優勝するという快挙を成し遂げた。また、公開競技として行われた1972年のミュンヘンオリンピックにおいて女子シングルスに出場した中山紀子が金メダル、湯木博恵が銅メダルを獲得。さらに1988年のソウルオリンピックにおいて女子シングルスに出場した北田スミ子、男子ダブルスに出場した松野修二・松浦進二ペアが銅メダルを獲得している。 1992年のバルセロナオリンピックにて正式種目として採用されてからはしばらくメダルを獲得できなかったが、2008年の北京オリンピックで女子ダブルスに出場した末綱聡子・前田美順ペア(スエマエ)がベスト4入りを果たすと、2012年のロンドンオリンピックで同種目に出場した藤井瑞希・垣岩令佳ペア(フジカキ)が銀メダルを獲得。そして、2016年のリオデジャネイロオリンピックで高橋礼華・松友美佐紀ペア(タカマツ)がオリンピックで日本初の金メダルを獲得した。 社会人の大会としてはバドミントンS/Jリーグがある。

◎ 近年のバドミントン
1972年のミュンヘンオリンピック、1988年のソウルオリンピックでは、公開競技として行われた。1992年のバルセロナオリンピックより正式競技種目として採用された(混合ダブルスは1996年のアトランタ大会から)。国際バドミントン連盟(IBF)は、オリンピック種目として生き残ることを視野に、2000年から 7点5ゲーム・サイドアウト制の試行を始めた。この得点システムは2002年6月に見直され、元の15点(女子シングルスは11点)3ゲーム・サイドアウト制に戻された。2003年3月に、イングランドの呼びかけで開かれた IBF臨時総会では、9点5ゲーム制、女子種目と混合ダブルスの11点3ゲーム制(いずれもサイドアウト制)などが検討されたが、再び旧ルールに戻る結末を迎えた。2005年は、IBFの提案により、ラリーポイント制について、実験的採用が行われた年となった。2006年5月6日、トマス杯ユーバー杯開催中の日本の東京で開かれた IBF年次総会において、21点ラリーポイント制の得点システムが加盟各国理事に満場一致で支持され、IBFの世界ランキング大会は、これで行われることが正式に決定した。 2006年9月、国際バドミントン連盟は、世界選手権開催中のスペインのマドリードで開かれた臨時総会において、名称を「世界バドミントン連盟(Badminton World Federation)」に変更することを決め、発表した。 屋内競技ではあるがシャトルは非常に軽いため、バレーボールなどでは無視できる空調の弱い風や室温にも影響を受ける。このためプロ選手は競技会場の大きさや吹き出し口からの距離、設定温度による変化を把握するため、事前に入念なチェックを行うようになった。屋内の空気を効率的に調整でき、低コストなバドミントン用のエアドーム(air dome)も発明された。 障害者スポーツ(パラスポーツ)として、バドミントンから派生したパラバドミントンがある。パラバドミントンは、2020年東京パラリンピックからパラリンピックの正式種目に採用されることになった。

● 主要な大会


◎ 国際大会

・ 世界バドミントン選手権大会
・ 世界ジュニアバドミントン選手権大会
・ 世界学生バドミントン選手権大会
・ 世界シニアバドミントン選手権大会
・ トマス杯(男子国別対抗団体戦)
・ ユーバー杯(女子国別対抗団体戦)
・ スディルマンカップ(男女混合国別対抗団体戦)
・ BWFワールドツアー
 ・ 全英オープン
 ・ ワールドツアーファイナルズ
 ・ インドネシア・オープン
 ・ 中国オープン
 ・ 他
・ アジア大会
・ 東アジア大会
・ 大阪インターナショナルチャレンジ

◎ 全国大会

○ 日本全日本総合バドミントン選手権大会

・ 日本ランキングサーキット大会
・ 全日本社会人バドミントン選手権大会
・ 全日本シニアバドミントン選手権大会
・ 全日本ジュニアバドミントン選手権大会
・ 全日本実業団バドミントン選手権大会
・ 全日本教職員バドミントン選手権大会
・ 全日本学生バドミントン選手権大会
・ 全日本レディースバドミントン選手権大会
・ 日本バドミントンジュニアグランプリ
・ 全国高等学校バドミントン選手権大会
・ 全国高等学校選抜バドミントン大会
・ 全日本高等専門学校バドミントン選手権大会
・ 全国中学校バドミントン大会
・ 全日本中学生バドミントン選手権大会
・ 全国小学生ABCバドミントン大会
・ 全国小学生バドミントン選手権大会
・ 若葉カップ全国小学生バドミントン大会
・ バドミントンS/Jリーグ(実業団クラブ対抗・団体戦)
・ バドミントン日本リーグ(実業団対抗・団体戦)
・ 国民体育大会(県対抗・団体戦)
・ 日本スポーツマスターズ
・ 全国スポーツ・レクリエーション祭
・ 全国青年大会
・ 全国スポーツ祭典

「バドミントン」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
2024年10月4日15時(日本時間)現在での最新版を取得

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