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バレーボールは、ネット越しにボールを打ち合うチームスポーツである。3回以内で相手コートに返球しあうことで点数を競う。大抵は1チーム6人で行われる。略称はバレー。
● 概要
バレーボールは、1895年に子供、女性、高齢者でも楽しめるスポーツとして、アメリカの体育教師であるウィリアム・G・モーガンによって考案されたとされている。
試合では9メートルと18メートルのエリアを、中央をネットで分けたコートを使う。ネットの高さは年齢や性別などによって異なるが、大体2メートルから2.43メートルの間で設定される。このネットには試合中いかなる部分も触れてはならない。チームの人数は6人制や9人制があるが、6人制が主流である。
バレーボールは球技で唯一ボールを落としてはならないスポーツであり、またボールを持つことや同一プレイヤーが2回連続で触ることはできない(ブロックを除く)。これらの基本的なルールのもとラリーは行われる。ラリーはボールを打つこと(サーブまたはサービス)から始まり、サーブを受けるチームが3回以内に相手コート内に返球し、以後コート内に落ちるかコート外に落ちる、もしくはいずれかのチームが反則を犯すまでラリーは続く。ラリーが終わるとラリーを制したチームに1点が加算され、ほとんどの場合25点を先に得たチームがセットを取る。先に3セット先取したチームがその試合に勝つ。(5セットマッチの場合)
● 歴史
バレーボールは、1895年、子供、女性、高齢者も気軽に楽しめる室内スポーツとして、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ホルヨークのYMCAで当時25歳のアスレティックディレクター、ウィリアム・G・モーガンによって考案された。
発祥の日は特定されていないが、元になった「ミントン」が1895年の夏にYMCAキャンプ研修会で初めて紹介されていること、モーガンのホルヨーク着任が長男ルフス誕生(8月29日)より後とされていること、モーガンのホルヨークへの転任が報じられているのが1895年10月のYMCA会報であること、10月23日の地元紙「ホルヨーク・デイリー・エクスプレス」にはモーガンの活動のことが掲載されていること、積雪により屋外で野球やアメリカンフットボールがプレーできない「冬季向け」のゲームとして考案されたことから、秋から冬と考えられる。
当初の名称はMintonette(ミントネット)。これは1895年、インドに派遣されていたマッコノーイによって紹介された「ミントン」(羽毛球を使った5人制のバドミントン)に由来する。バスケットボールはモーガンをYMCAに誘ったジェームズ・ネイスミスが1891年に冬期の屋内スポーツとして考案し、ラグビーなどで見られるタックルなどのラフプレーを防ぐためボールを保持したまま走れないようにするなどレクリエーション要素を考慮していた。しかしバスケットボールは主に男子学生向けの競技であり、身体的な接触による激しいプレーが好まれる風潮もあって、モーガンが受け持っていたホルヨークYMCAビジネスマンクラス(25歳から40歳)には不向きな競技となっていた。YMCAでは大人数で気軽に楽しむことができ、身体接触がない安全なゲームを必要としていた。モーガンは学生がバスケットボール用のボールの中にある軽量なチューブで遊んでいる姿をヒントに、バドミントンのほか、テニスなどネットで対戦相手と区切られているスポーツのルールを参考にしたスポーツを考案した。このころのルールは非常に単純で、試合に集まった人たちを同じ数の2チームに分けて、相手コートに返す際の回数は決まっておらず、ボールを打ち合い、ボールを落としたほうが負けというものであった。しかしながら、当初から得点が入るのはサーブ権があるときのみ(サイドアウト制)であり、バドミントンの影響が大きい。この時点では、「味方にパスが可能、素手、ポールを使う」というミントン系のスポーツだった。
1896年7月、モーガンはこの新ゲームをスプリングフィールドで開催されたYMCA体育指導者会議の際に公開した。モーガンは当初このゲームをミントネット(Mintonette、ミントンもどき)と名付けたが、YMCAトレーニングスクール教官であるハルステッド博士の提案を受け、名称をバレー・ボール(ボレー・ボール、volley ball)に改めた。バレーボールのバレーというのは、テニスのボレー(ボールを地面につく前に打ち返すこと)からきている。相手のブロックを欺くためのフェイント動作、ブロックに止められることを想定し落下地点に移動するなど、攻撃に参加していない選手も考えながら常に動き続ける競技になっている。また故意にブロック当てブロックアウトを狙うスパイクに対し、ブロック中に指を伸ばさずに通過させアウトにするなど、空中にいる僅かな時間での心理戦も展開されている。
戦略面でも、プロや国の代表チームには技術スタッフとして専門のアナリストが帯同し、対戦相手に合わせた作戦を考案するなど高度化している。従来はオリンピックのたびに4年ごとのルール変更だったが、1994年からは変更頻度が上がった。
・ 1965年 ブロックのオーバーネットの許容。
・ 1967年 サーブ5秒以内(1999年に8秒以内に変更)。
・ 1969年 アンテナをサイドラインから20センチメートル外側に取りつけ。ボール重量270グラム±10グラム。
・ 1973年 パッシング・ザ・センターラインの緩和。
・ 1977年 ブロックのワンタッチをカウントしない。アンテナはサイドバンド上に取りつけ。スリーボールシステム(1試合に3つのボールを使用しデッドタイムをなくす)の導入。
・ 1984年 サーブに対するブロックの禁止(FIVBロサンゼルス五輪総会にて)。ファーストコンタクト(1回目のレシーブのこと)における、ドリブル(現在のダブルコンタクト)を許容(アンダーハンドのみ)。
・ 1989年 5セット目のみをラリーポイント制に。セット間2分間。プレー中にベンチからの指示を許可。
・ 1994年 サービスゾーンが、従来の右隅から3メートルの範囲から、エンドラインいっぱい(9メートル)に広がる(FIVBアテネ世界選手権総会にて)。
・ 1995年 膝から下での打球も反則ではなくなる。ファーストコンタクトではオーバーハンドも含め、ダブルコンタクト・ホールディング(現在のキャッチ)をとらないことになる。
・ 1998年 リベロ制の正式導入(低身長の選手にも活躍の可能性を与えることが目的)。ボールの内気圧の低減(最大値を0.425kgf/cmから0.325kgf/cmへ)。カラーボールの使用許可。
・ 1999年 サーブのネットインを認める。5セットマッチの全ラリーポイント制の導入(サーブ権ポイント制では試合時間が一定せず、テレビ放映権が売りにくかったことによる変更)。デュースの際の勝敗は、2点差がつくまで無制限になる。サーブ8秒以内。
・ 2007年 ネット上で両チームの選手がボールを押し合った場合も、プレー続行となる(以前はプレーを止めノーカウントとした)。
・ 2009年
・ 両足より上部の身体のいかなる部分が、相手コートに触れても、相手のプレーを妨害しない限り許される(以前は両手などがセンター・ラインを超えて相手コートに触れると反則であった)。
・ 競技者がネット(上部の白帯とアンテナ以外)に触れても、相手のプレーを妨害しない限り許される(以前はネットのいかなる部分も触ると反則であった。ネットに触れてもいいものの、わざとネットを引き下げアタックを打つなどの行為をすると、スポーツマンシップに反する行為として、罰則が与えられる可能性がある)。この変更は2014年に撤回された。
・ 2011年 第1リベロと第2リベロ同士の交代制限撤廃。
・ 2013年 前年の総会で承認された、指を用いたオーバーハンドサーブレシーブにおけるダブルコンタクト・キャッチの厳罰化適用を、実施延期と発表。
・ 2013年
・ チャレンジシステム(ビデオ判定)の試験導入。各チームごと、1セット2回失敗するまで要求可能。
・ 10月に開催するU-23世界選手権で次の2つの特別ルールを試行。
・現行の25点制を21点制に変更、これによりテクニカルタイムアウトは8点・16点から、12点に。
・主審の吹笛後にサーブを打つまでの時間を、現行の8秒から15秒に変更。
・ 2014年 ボールをプレーする動作中の選手による両アンテナ間のネットへの接触は反則とし、2009年の緩和が撤回となった。2015年度から適用。
・ 2015年 この年のW杯など、勝ち点よりも勝数が順位決定方法で優先されるようになった。
・ 2016年 チャレンジシステムは当該プレー後5秒以内の申請となり、ラリー中にも適用されることとなった。
● 用語
◎ 技術に関するもの
◇サーブ(サービス):相手コートに向かってボールを打つことをいう。サーブには、手を下から振り出すアンダーハンドサーブ、ボールを高く上げてジャンプしながら強く打つスパイクサーブ(ジャンピングサーブ)、ジャンプしないでコントロール重視で打つフローターサーブ、助走をつけて軽くジャンプし、その後トスを上げて打つブロードサーブ、ジャンプしてフローターの動作で打つジャンプフローターサーブ、アンダーハンドで高く打ち上げる天井サーブなどの方法がある。
◇アンダーハンドパス
:相手からの強い返球を低い位置で受けるときに効果的なプレイ。そのためレシーブと呼ばれることもあり、大別してサービスレシーブとスパイクレシーブの2種類がある。とりわけスパイクレシーブをディグ(Dig)と呼ぶ。両腕を体の正面に伸ばして、片手でもう一方の手を軽く握り、手首の付近でボールを弾く動作がよく用いられる。低い位置のボールを受けるには都合がいい。その反面、ボールのコントロールは比較的難しい。また姿勢を低くするために構えるのに時間がかかり、走るために構えを止めるまでにも時間がかかる。また構えながらの素早い移動が難しいため、手が届かない僅かに離れた場所へボールが来ると取れないこともある。
◇オーバーハンドパス
:緩やかな速さのボールを、頭の上方で、両手でボールを軽く押し上げるような姿勢でボールを弾くプレイ。トスとも呼ばれる。コントロールを重視する次のアタックの前に行うことが多い。移動やジャンプ中にも出来るが、スパイクなど速く打ち下ろす球を処理するのは難しい。上を向くため視界が制限され周囲の状況を把握しにくくなる欠点もある。
◇スパイク(アタック)
:跳躍しながらネット越しにボールを打つ動作がスパイクである。相手コートに叩きつけるように下向きに打つことが基本だが、相手のブロックにボールを当ててコート外にボールを出す「ブロックアウト」や、タイミングをずらして相手のブロックを避ける「時間差」などの戦法もある。
◇ブロック
:相手のスパイクに対してタイミングよくジャンプし、両手を上に伸ばして自分のコートにボールが打ち込まれることを防ぐ、またはその威力を軽減させるプレイ。ブロックによるボールへの接触は、6人制では返球までの1回に数えないが、9人制では1回に数える。ブロックする人数は「枚」で数えることが多い。難易度は高いがブロックをかわしやすい。
◇バックアタック
:後衛のプレーヤーがアタックラインの後ろから行う攻撃。
◇パイプ攻撃
:バックアタックの中でも、短いトスで速攻気味に中央から行う攻撃。
◇時間差攻撃
:ボールに触れる予定のない「おとり」のプレーヤーがジャンプすることで、相手のブロックのタイミングを狂わせる戦術。
◇一人時間差
:スパイクを打つ選手が自らが本来のジャンプをする前にジャンプのフェイントを入れることで、相手のブロックのタイミングを狂わせる戦術。発案者は日本の森田淳悟。
◇移動攻撃(ブロード)
:センタープレイヤーが、Cクイック・Dクイック・ライト平行の位置に走り、片足で流れながら打つ。セッターは長く低いトスを上げる。
◇ツーアタック
:通常セッターがトスを上げるはずの2回目での攻撃プレイ。
◎ その他
◇チャンスボール
:ボールの操作が容易な返球のこと。
◇バレーボール3大大会
:オリンピック、世界選手権、ワールドカップのこと。
◇お見合い
:ボールを2人のプレーヤーが取りに行った結果、譲り合ってしまいボールを落としてしまうこと。
● 派生してできたスポーツ
◎ 屋外
◇ビーチバレーボール :砂浜でやるバレーボール。現在は、2人制が主流。4人制もある。
◇スノーバレー :雪上でやるバレーボール。現在は、3人制が主流。
◇泥んこバレーボール :田んぼで行うバレーボール。「泥田バレーボール」「パディバレーボール」などとも呼ぶ。
◇パークバレー :4人制。パーク(公園)で行う。
◇バルーンバレーボール :ビーチボールを使うバレーボール。
◇風船バレー :風船(使うのはゴム風船の方。風船玉を使う場合もある)を使うバレーボール。
◎ 軟式ボールを使用したバレーボール
◇ソフトバレーボール(ミニバレーボール) :ボールがゴム製でバレーボールよりやや大きい。4人制。
◇ミニバレー :4人制。
◇トリムバレーボール :バレーボールより一回り大きく、軟らかいボールを使用。
◎ ゆるスポーツ
◇手錠バレー :手錠を着けて両手を固定する。軟らかいボールを使用。
◎ パラバレーボール
◇シッティングバレーボール:座って行うバレーボール。パラリンピックの正式種目。
◇フロアバレーボール:視覚障害者にも対応したバレーボール。ボールをネットの下から通過させる。6人制。
◇ローリングバレーボール :フロアバレーボールをベースに考案された。6人制。
◇デフバレーボール:聴覚障害者に対応したバレーボール。
◎ ローカルバレーボール
◇家庭バレーボール:宮城県生まれのバレーボール。家庭婦人バレーボールとは違う。
◇キャッチバレーボール :東京都練馬区で発祥。ボールを打つのではなく投げ、キャッチする。
◇スカッシュバレーボール :高知県で生まれたバレーボール。3人で行う。ボールはゴム製のものを使い、必ず3回で返球する。コートはバドミントン用。
◇ビーチボール :富山県朝日町発祥。ビニール製のビーチボールで行う。4人制でバドミントンコートを使う。
◎ 大人数
◇混合バレーボール :男女各3人ずつの6人制。ネットの高さは224センチメートル。
◇9人制バレーボール :9人で行うバレーボール。ネットの高さは最長2.38メートル。
● 類似スポーツ
◇ファウストボール :バレーボールの前身とも言われる。
◇キンボール :4人制。直径122センチメートル、重さ1キログラムの巨大なボールを使用。
◇ボサボール :3 - 5人制。トランポリンを使用。
ほかにもインディアカは、ネットを介したラリー競技で、素手で行うノーバウンドルールという共通点がある。羽根のついたボールを使用し、4人制など、相違点もある。
● バレーボールを題材とする漫画・アニメ・ドラマ
・ 転校少女y
・ 燃えろアタック
・ ハイキュー
・ High球いんぷれっしょん
・ アタックNo.1
・ アタック
・ アタック
・ アタッカーYOU
・ サインはV
・ ハリガネサービス
・ リベロ革命
・ 神様のバレー
・ 少女ファイト
・ てのひらにアイを
・ エース‼︎
・ 健太やります
・ はるかなレシーブ
・ 2.43 清陰高校男子バレー部
・ ヨリが跳ぶ
・ ハイキュー部
● バレーボールを題材とするビデオゲーム
◇ アタック・フォー :1986年、パックスソフトニカよりMSXで発売されたゲームソフト。下記ファミリーコンピュータ版バレーボールの元となったソフト。
◇ バレーボール :1986年、任天堂よりファミリーコンピュータ ディスクシステムで発売されたゲームソフト。
◇ スーパーバレーボール :1989年、ビデオシステムより発売されたアーケードゲーム。1990年にPCエンジンとメガドライブ、2005年にPlayStation 2に移植。
◇ スーパーバレー'91 :1991年、ビデオシステムより発売されたアーケードゲーム。
◇ スーパーバレーII :1992年、ビデオシステムよりスーパーファミコンで発売されたゲームソフト。
◇ バレーボールTwin :1992年、トンキンハウスよりスーパーファミコンで発売されたゲームソフト。
◇ マルチプレイバレーボール :1994年、パック・イン・ビデオよりスーパーファミコンで発売されたゲームソフト。
◇ バーチャルバレーボール :1995年、イマジニアよりセガサターンで発売されたゲームソフト。
◇ ヴィクトリー・スパイク :1996年、イマジニアよりPlayStationで発売されたゲームソフト。
◇ わくわくバレー :1998年、アテナよりPlayStationで発売されたゲームソフト。
◇ ブレイクバレー :1999年、アクアルージュよりPlayStationで発売されたゲームソフト。2001年にディースリー・パブリッシャーより「SIMPLE1500シリーズ Vol.54 THE バレーボール」のタイトルで発売された。
◇ SIMPLE2000シリーズ Vol.41 THE バレーボール :2003年、ディースリー・パブリッシャーよりPlayStation 2で発売されたゲームソフト。
◇ わくわくバレー2 :2003年、サクセスよりPlayStation 2で発売されたゲームソフト。
◇ バレーボール ワールドカップ ~ヴィーナス エボリューション~ :2007年10月、スパイクよりPlayStation 2で発売されたゲームソフト。
◇ スパイク バレーボール :2019年7月、オーイズミ・アミュージオよりPlayStation 4で発売されたゲームソフト。
● 専用体育館
2015年、岩手県紫波町に日本初のバレーボール専用体育館ができた。
「バレーボール」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年9月8日21時(日本時間)現在での最新版を取得
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