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ドラえもん のび太の恐竜2006


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『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』(ドラえもん のびたのきょうりゅうにいまるまるろく)は、2006年に公開された日本のアニメーション映画。監督は渡辺歩。1979年から連載された長編漫画『ドラえもん のび太の恐竜』の2度目のアニメ映画化作品。1980年に公開された1度目のアニメ映画化作品『ドラえもん のび太の恐竜』のリメイク。 シンエイ動画制作。まんがドラえもん誕生35周年記念作品。 キャッチコピーは「君がいるから、がんばれる。」、「うまれたて、映画ドラえもん。」

● 概要
2005年4月のTVアニメ大幅リニューアル(これ以降をアニメ第2作第2期と呼ぶ)後、初の映画作品。2006年3月4日に全国公開(映画としては2年ぶり)。興行収入は32億8000万円。 当時の最新の学説が取り入れられるなど、1度目のアニメ映画とは異なる点が幾つかある。

● ストーリー
スネ夫にティラノサウルスの爪の化石を自慢されたのび太は、悔し紛れに「自分の手で恐竜まるごと一匹の化石を発掘してみせる」「もし出来なかったら鼻からスパゲッティを食べてやる」と宣言してしまう。翌日、近所の崖で採掘作業を始めたのび太は、偶然にも恐竜らしき卵の化石を発掘する。タイムふろしきによって1億年前の姿に戻され、のび太の体温で温められた卵からは首長竜の一種フタバスズキリュウが孵った。のび太はそれをピー助と名付け、成長させてからスネ夫とジャイアンに見せて二人をギャフンと言わせようと決意する。しかし、ピー助は成長するごとに巨大になっていき、飼育場所を公園の池に移したものの目撃談が広がってしまう。やがてダイバーによる池の捜索活動が始まったうえ、未来からやってきた黒マスクの男にピー助を売り渡すよう脅迫されたのび太は、タイムマシンでピー助を白亜紀に返す事を決意する。黒マスクの追撃を振り切り、白亜紀の海に辿り着いたのび太はピー助を置き去りにして21世紀へ帰還した。 宣言を達成できなかったのび太はジャイアンとスネ夫に鼻からスパゲッティを食わされそうになり、しずかからも「嘘を吐いたのに認めないのは男らしくない」と非難されてしまう。やむなくタイムテレビで皆にピー助を見せようとしたものの、そこにはエラスモサウルスに包囲されたピー助の姿が映っていた。実は黒マスクの攻撃でタイムマシンの空間移動装置が損傷しており、日本近海ではなく北米大陸に置き去りにしてしまったのだ。居ても立ってもいられなくなったのび太はタイムマシンでピー助の下に向かおうとし、皆もそれに同行する。1億年前の北米大陸に辿り着き、ピー助との交流や恐竜時代の冒険を満喫した一同だが、その夜ドラえもんが絶望的な事実を語り始める。先の損傷に加えて定員オーバーで搭乗したせいでタイムマシンは完全に故障してしまい、一億年後にのび太の机が存在する座標(=超空間への出入り口)に置かなければ時間移動が不可能になってしまったのだ。 やむなく一同はスネ夫のアイデアに従い、1日4時間はタケコプターで、残りの時間は徒歩で移動することでバッテリー消耗を抑えながら、まだ水没していないベーリング海峡を経由して日本に向かう事を決意する。オルニトミムスやティラノサウルスを桃太郎印のきびだんごで手なずけるなどしながら過酷な旅を続ける一同だが、ケツァルコアトルスの襲撃で遂にタケコプターが故障してしまい、桃太郎印のきびだんごも谷に落として失われてしまう。そこに現れた黒マスク率いる恐竜ハンター達は「ピー助を渡せば、君たちを21世紀に送ってあげよう」と懐柔を図るが、のび太達は拒否する。前例がないほど人間に懐いた恐竜であるピー助を諦めきれない黒マスクは、雇い主のドルマンスタインにのび太達の捕獲、すなわち「人間狩り」を提案する。 ラジコンを利用した陽動作戦で逃亡時間を稼ごうとするドラえもん達だが、あえなく作戦は露見し、しずか、スネ夫、ジャイアンは恐竜ハンターのアジトに捕えられてしまう。彼らを助けるべくアジトへ侵入したドラえもんとのび太にはティラノサウルスがけしかけられ、絶体絶命の危機に陥る。だがそのティラノサウルスはかつて桃太郎印のきびだんごで手なずけた個体だった。一同が反撃を開始し、ティラノサウルスがドルマンスタインのペットであるスピノサウルスと対決する中、戦闘の余波でアジトは崩壊・水没していく。ドラえもんはのび太達と捕らえられた恐竜を四次元ポケットに収納し、懸命に泳ぐピー助に掴まる事でかろうじてアジトから脱出した。その後、事態を察知して現れたタイムパトロールの手で恐竜ハンター達は全員逮捕された。 全てのひみつ道具を失ったにもかかわらず、一同はタイムパトロールの手を借りずに成長したピー助の背中に乗る事で目的地を目指す。やがて辿り着いた小島には超空間への出入り口が開いており、近海にはフタバスズキリュウの群れが棲息していた。ピー助が還るべき場所に辿り着いたことを悟ったのび太は、泣きながら別れを告げて21世紀へ帰還した。その夜、のび太はかつてピー助と遊んだボールを卵を温めていた時のように抱きしめて、ピー助の幸せを願いながら眠りにつくのだった。

● 声の出演
※表記・順は本編クレジットに準じる。
・ ドラえもん - 水田わさび
・ のび太 - 大原めぐみ
・ ジャイアン - 木村昴
・ スネ夫 - 関智一
・ しずか- かかずゆみ
・ ピー助 - 神木隆之介
・ ママ - 三石琴乃
・ パパ - 松本保典
・ スネ夫のママ - 高山みなみ
・ 手下(A~D) - 楠見尚己、宇垣秀成、高戸靖広、木村雅史
・ ダイバー(A~C) - 後藤史彦、下和田裕貴、幸田昌明
・ 主婦B - まるたまり
・ 妊婦 - 倉田雅世
・ 女の子(A、B) - 桃森すもも、瀬那歩美
・ 男の子(A、B) - 福圓美里、山下亜矢香
・ タイムパトロール隊員(A、B) - スキマスイッチ
・ おやじ・主婦A・リサイクル業者・レポーター・タイムパトロール長官 - 劇団ひとり
・ ドルマンスタイン - 内海賢二
・ 黒マスク(恐竜ハンター) - 船越英一郎

● 登場する恐竜・古代生物

・ ティラノサウルス - オープニング前に、恐竜ハンターらしき人物に襲われた。だが1980年版と同じく、ドラえもん一行を何度も襲撃し、アラモサウルスの群れを襲撃時にドラえもんの手で"桃太郎印のキビダンゴ"を食べて、大人しくなる。その後恐竜ハンターに捕らえられるもドラえもん達の手で縦横無尽に暴れ回る。
・ フタバスズキリュウ
・ エラスモサウルス - 北米近海の大型の首長竜。異種のピー助を仲間とは認めず、群れで威嚇していた。
・ オルニトミムス
・ トリケラトプス
・ パラサウロロフス
・ アラモサウルス - 1980年版ではアパトサウルスが登場していたが、本作では白亜紀の北米大陸最大の竜脚類として登場している。
・ プテラノドン - 1980年版ではドラえもん一行を襲撃しているが、本作では海辺のシーンで少し登場しただけである。
・ ケツァルコアトルス - 1980年版ではプテラノドンが渓谷にてドラえもん一行を襲撃しているが、本作ではプテラノドンを凌駕する大型翼竜として登場している。
・ スピノサウルス - ドルマンスタインの切り札。世界最大の大型獣脚類であり、時代も生息地も異なる恐竜種だが、ドルマンスタインが連れてきた。公開前情報が伏せられていた「隠れキャラクター」であり、ティラノサウルスとの対決は『ジュラシック・パークIII』のオマージュネタである。

● スタッフ

・ 原作 - 藤子・F・不二雄
・ 脚本 - 渡辺歩、楠葉宏三
・ 総監督 - 楠葉宏三
・ 作画監督 - 小西賢一
・ 美術監督 - 西田稔
・ CG監督 - 木船徳光
・ 撮影監督 - 熊谷正弘
・ 編集 - 岡安肇
・ 録音監督 - 田中章喜
・ 効果 - 糸川幸良
・ 音楽 - 沢田完
・ チーフプロデューサー - 増子相二郎、杉山登
・ 監督・絵コンテ - 渡辺歩
・ 演出 - 宮下新平
・ 動画検査 - 大野順子、山西晃嗣、澤田裕美、八木郁乃
・ 色彩設計 - 松谷早苗
・ 色彩設計補佐 - 堀越智子
・ 仕上検査 - 今泉ひろみ
・ 仕上担当 - 野中幸子
・ 特殊効果 - 干場豊
・ おまけマンガ作画 - むぎわらしんたろう
・ おまけマンガ制作 - タイムマシン
・ アニメーション協力 - ベガエンタテイメント
・ 制作事務 - 杉野友紀、服部高弘、宮澤英太郎
・ 制作進行 - 廣川浩二、西川昭彦、八鍬新之介、布川徹
・ 原画制作 - 別紙直樹
・ 制作デスク - 外崎真、山﨑智史
・ プロデューサー - 小倉久美、吉川大祐、山崎立士
・ 制作 - 「映画ドラえもん」制作委員会(藤子プロ、小学館、テレビ朝日、ADK、小学館プロダクション、シンエイ動画) 「特報」ムービー制作スタッフ
・ 絵コンテ - 渡辺歩
・ 原画 - 金子志津枝 (7月中旬から劇場や公式ホームページで流された最初の特報でドラえもん、のび太、ピー助が乗るタイムマシンが黒マスクが乗るタイムマシンに襲われるシーンがメイン。この特報は本編DVDにも収録されていない。これ以外の特報、予告編は本編映像を使用。)

● 主題歌

◇ オープニングテーマ「ハグしちゃお」 : 作詞 - 阿木燿子 / 作曲 - 宇崎竜童 / 編曲 - 京田誠一 / 歌 - 夏川りみ(ビクターエンタテインメント) : 第2期初の映画化作品であるためか、オープニング→タイトル→本編の順が第1作『のび太の恐竜』を踏襲した流れになっている。
◇ エンディングテーマ「ボクノート」 : 作詞・作曲・編曲 - 大橋卓弥・常田真太郎 / 歌 - スキマスイッチ(BMG JAPAN/AUGUSTA RECORDS)

● 作品解説


◎ 企画
2004年7月に発売された月刊コロコロコミックにて映画の次回作は2006年春公開と発表されたが、これが本作の第一報である。ただし当時はまだ声優交代が報道されていなかったため、2005年に映画が公開されない理由は明かされていなかった。 2005年4月に行われたテレビシリーズのリニューアルと共に映画シリーズも原点回帰・再出発がテーマとして大きく打ち立てられ、大長編の第1作である『のび太の恐竜』のリメイクとして企画が本格的にスタートした。 映画ドラえもんシリーズとしては初めて製作委員会方式が採られ、新たに小学館プロダクションが出資と製作に参加している。

◎ 脚本
脚本は総監督の楠葉宏三と監督の渡辺歩が共同で執筆した。渡辺は全部自分で書きたかったが、物理的に難しかったと語っている。楠葉は物語の序盤(ピー助を最初に白亜紀へ送り届けるところまで)を担当し、原作漫画に忠実に脚本化。絵コンテを描く段階で、渡辺がそれに脚色を加えた。物語の中盤から結末までは、渡辺が脚色を加えつつ脚本化した。 本作で新たに加えられた要素・場面に関して渡辺は「あくまでも、自分の想像の域を出ない」と断りをいれた上で「原作に潜んでいるもの」、「読者の想像力にゆだねられたもの」を描いたとしている。その一方で、原作・旧作とは異なる(のび太たちがタイムパトロールの力を借りずに日本へたどり着く)終盤の展開については物語のポイントであり、「最初に手を加えたいと思った箇所」とも述べており、「子供達が、自分達の意志で生きていくようにできないのかという事と、理想論としての子供と大人の関係みたいなもの」を描くために入れたという。

◎ 最新学説の導入
本作は、(制作当時の)最新の学説を取り入れ、設定などを改変している、学説をまったく無視した作品づくりは原作者の姿勢に反することになる。本作の監督の渡辺は勉強会に参加し、最新学説と作品内容に齟齬があることを理解した上で「ファンタジーにしたいという事で、最新の恐竜学の考察を入れるのは避けた」と、部分的に最新学説を採用しなかったことについての自身の考えを述べている。

◎ 作画
作画監督は渡辺たっての希望もあり、スタジオジブリ出身の小西賢一が迎え入れられた。小西は前作『のび太のワンニャン時空伝』(2004年)で原画を担当しており、そのことが本作に携わるきっかけとなった。キャラクターデザインは渡辺がテレビシリーズ用に手がけた設定画と原作、本作の絵コンテを元に小西が改めて描き起こした。 本作の特徴は、一般的なアニメで見られる均一の整えられた線でなく、鉛筆の手描きを活かした強弱のあるタッチである。小西が『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999年)を手がけた際に作った技法の延長線にあり、同時にアニメ的な影の入れ方も排した。これは時間経過や光源がはっきりしている場面の効果的な強調と、原作・キャラクターの「良さ」を活かすためのものである。 オープニングアニメーションはこれまで手描きの作画によるものやCGを多用したものなど様々な手法で制作されてきたが、本作では『ぜんまいざむらい』のキャラクターデザインなどを手がけた秋穂範子が中心となり、クレイアニメを交えた内容となっている。

◎ 封切り
海外でも公開され、日本のアニメ映画作品として初となる中国公開も実現した(2007年7月公開)。台湾(2007年9月14日公開)のほか、シンガポール、スペイン、フランスでも公開された。

◎ 評価
第1回Invitation AWARDSアニメーション賞を受賞した。 作品への評価として、映画批評家の前田有一は「第1作のリメイクは新キャスト・スタッフにとって良い選択」「近年の劇場版と比べシンプルだが、飽和気味の世界観を絞め直す効果はある」と批評している。 また、2017年のインタビューにてメイン声優の水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみの3人は本作品を大長編のベストに挙げている。

● 漫画
本作の原作は、藤子不二雄の藤本弘(のちの藤子・F・不二雄)が1979年から連載した長編漫画『ドラえもん のび太の恐竜』(大長編ドラえもんシリーズ第1作)である。

● ゲーム
2006年3月2日に、本作をモチーフにしたゲームが発売された。ニンテンドーDS用ソフト。ゲームの物語は本作に基づいているが、のび太たち5人がタイムマシンで白亜紀に向かう途中で黒い男に襲われる場面以降は、ゲーム独自の展開となる。

◎ ゲームの漫画
映画の公開やゲームの発売の2か月前から、『のび太の恐竜2006 DS』のタイトルで長編漫画が発表された。漫画の執筆は藤子プロ出身の漫画家・岡田康則。全2回の連載(前後の大長編漫画執筆の流れは大長編ドラえもん2006年〜を参照)。

「映画ドラえもん のび太の恐竜2006」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
2024年10月11日14時(日本時間)現在での最新版を取得

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