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『がんばれジャイアン』は、2001年3月10日に『ドラえもん のび太と翼の勇者たち』と同時上映公開されたドラえもんの映画作品である。26分20秒。『ドラえもん』の登場人物であるジャイアンこと剛田武の活躍を描いた物語。原作単行本第40巻「泣くなジャイ子よ」と第44巻「ジャイ子の新作まんが」をベースとしており、田中道明が作画を担当した漫画版も存在する。
● 物語のあらすじ
冬のある日、のび太が本屋で残り一冊の本をある少年と取り合いになりながらも譲られる。しかし、運悪くジャイアンとジャイ子の兄妹ゲンカに巻き込まれる羽目になる。ジャイ子は先ほどの少年に出会う。名は茂手モテ夫という少年だった。漫画描きという共通の趣味で2人は意気投合し、同人誌の発行を目指して一緒に漫画を描くことにする。協力して執筆を続ける内、ジャイ子はモテ夫に次第に惹かれ始める。
それを知ったジャイアンは同人誌の完成と2人を恋仲にしようとのび太やいつもの仲間を巻き込んで作戦を開始するが、これが大失敗。ジャイ子は自暴自棄になり、兄に怒りをぶつけ、漫画の原稿を放り出してしまう。風に乗って町中へと散らばってゆく原稿。ジャイアンはジャイ子に「俺を嫌いになるのは仕方がない。でも、漫画を描くのを嫌いになっては駄目だ」と励ますのだった。
「妹に夢を捨てさせたくない」―――ジャイアンは原稿を追って、雪の降りしきる中を駆け出してゆく。ドラえもんたちの協力もあってボロボロになりながらも必死に原稿を探すジャイアン。雪の中に埋もれながらも、過去に同じ経験があったことを思い出すジャイアンの前にジャイ子が駈け込んできた。漫画のために兄をつらい目に遭わせたくないと思い和解しに来たのだ。翌日、ジャイ子はモテ夫に同人誌の件を断ろうとするが、モテ夫から残りの原稿を見せられて、再び同人誌を描くことを決心するのだった。
● 概要
ジャイアンの初主演映画であり、また彼の妹のジャイ子もまた実質的に主人公と言って良い扱いを受けている。原案となったのはてんとう虫コミックス40巻収録『泣くなジャイ子よ』、44巻収録『ジャイ子の新作まんが』の両短編作品。のび太同様に「映画ではとたんに格好良い役柄になる」と言われるジャイアンの男気や妹想いの兄貴ぶりをふんだんに味わえる作品。要所要所で三味線を使った効果音が流れる点や、和風作りのジャイアンの実家の雰囲気、そしてテレビで初代林家三平が出演しているなど、昭和40年代を思わせる演出も特徴的。ちなみに三平役の声優として、氏の次男である林家いっ平(現・二代目 林家三平)が出演している。ジャイアンの代名詞と言うべき歌は作中では一度も歌っておらず、その事に関してTVスペシャルの時にスネ夫に言及されている。また、田中道明によりコミカライズ版も執筆されている。
ジャイアンの実家は「剛田雑貨店」という名前であるが、この作品では「剛田商店」という名前になっている。この店名は、ジャイアン役がたてかべ和也から木村昴になったアニメ第2期でも用いられている。
エンディングでは、ジャイ子の部屋のカレンダーが2015年の2月になっている。顔は映らないが、ジャイアンが写った写真を直すジャイ子と思われる人物の左手薬指には指輪がはめられている。
配給収入、観客動員数、配給は『のび太と翼の勇者たち』を参照。
● 登場人物
◇ ジャイアン
: 声 - たてかべ和也
: 今回の主役。妹のジャイ子を初恋の相手・茂手モテ夫と引き合わせるため、そして漫画家になるという妹の夢を守るため、いささか空回り気味ながらも男気一本で奮闘する。雪の中、必死にジャイ子の原稿を探す中、小さいころジャイ子のクレヨンやスケッチブックをめちゃくちゃにしたいじめっ子を追い払い、ジャイ子のためにのび太から奪ったクレヨンを渡したことが原因で雪が降る寒い中、母に物置に入れられたことを思い出した。
◇ ジャイ子
: 声 - 青木和代
: 漫画が好きで、少女漫画を執筆している。小学生ながらその腕前はかなりのもの。偶然出会ったモテ夫と共に執筆を始めつつ、彼に恋心を抱いてゆく。あれこれ世話を焼く兄・ジャイアンのことは煙たく思っていたが、終盤で兄が時代考証のために撮ってきたエジプトの写真を見たことから彼の優しさに気づき、雪の中、兄を探しに駆けだしていく。本作では白目が大きく描かれている。
◇ ドラえもん
: 声 - 大山のぶ代
: 自分も妹を持つ身であるため、妹を想うジャイアンの心に打たれ、協力を申し出る。
◇ のび太
: 声 - 小原乃梨子
: モテ夫と最初に会う。ジャイアンに頼まれ、ジャイ子の漫画の時代考証などに協力する。
◇ しずか
: 声 - 野村道子
: バイオリンの稽古の帰りに偶然、ジャイ子がモテ夫と会っているところを目撃する。
◇ スネ夫
: 声 - 肝付兼太
: 得意の口八丁でジャイ子とモテ夫の引き合わせに協力するが、これが裏目に出てしまう。
◇ 茂手モテ夫
: 声 - 佐々木望
: 隣町の団地に住む漫画好きな少年。ジャイ子と出会い、彼女の才能に惹かれて共に同人漫画を執筆することになり、時には漫画描きのアドバイスをする。本屋でのび太と漫画本の取り合いになっても、快くのび太に譲るなど、心優しい性格。終盤にてのび太たちと共に原稿探しをしていた。原作によれば、その名の通りバレンタインデーにチョコレート百個を貰うほど女子に人気だという。
◇ 玉子
: 声 - 千々松幸子
: 声のみ登場。雪の中、帰宅したパパに「お風呂が沸いてますよ」と声をかける。
◇ のび助
: 声 - 中庸助
: 雪が降る中の帰り道、原稿を探すジャイアンを目撃。
◇ ジャイアンの母ちゃん
: 声 - 青木和代
: ジャイアン・ジャイ子の母。ジャイ子からジャイアンの失踪を聞かされる。
◇ モテ夫の母
: 声 - 川島千代子
: 息子同様に眼鏡をかけており、温厚な人柄。しかし、ドラえもん達によってモテ夫を無理やり外に出させてしまう。
◇ 探し物は何ですカ
: 声 - 愛河里花子
: ドラえもんの出した道具。蚊を模した帽子、羽根、尾の部分からなる。身に着けると、探し物を手早く発見してくれる。
◇ 林家三平
: 声 - 林家いっ平(現:2代目林家三平)
◇ ツタンカーメン
: エジプトの王。ジャイアンから「ラーメン王」と勘違いされた。
◇ いじめっ子
: ジャイアンの回想に登場した二人組の悪ガキ。ジャイアンにいじめられた恨みがあったらしく、ジャイ子に対し「お前の兄貴が悪いんだぞ!」と罵りながら彼女のスケッチブックとクレヨンをめちゃくちゃにし、ジャイアンに追い払われた。
● スタッフ
・原作 - 藤子・F・不二雄
・監督・作画監督 - 渡辺歩
・脚本 - 藤本信行
・美術監督 - 鈴木朗
・撮影監督 - 熊谷正弘
・録音監督 - 浦上靖夫
・音楽 - 菊池俊輔
・効果 - 横山正和
・編集 - 岡安肇
・動画チェック - 原佳寿美
・動画チェック補 - 長島崇
・色彩設計 - 吉岡美由紀
・原画 - 尾鷲英俊、大城勝、鈴木大司、金子志津枝、福本勝、千葉ゆみ、石井邦幸、石井智美、加来哲郎、釘宮洋、大杉宜弘
・動画 - 角田恵子、田中俊也、松井香、花沢成江、桜木愛、証高実、小野慎哉、栢下浩司、三浦一世、山下祐介、大塚隆司、田内亜矢子、高橋由起、森下智美、斎藤敦、江部賢、石川麻実、石井邦俊、大原真琴、斉藤佐保、篠田正浩、川崎美穂、清水昌之、山田康之
・仕上 - 岩切当志子、吉田美夜子、土屋裕美、高木小百合、石川香織、宇井俊恵、松井めぐみ、生嶋路子、柚木脇達己、米井ふじの、山崎久美子、堤奈緒、西脇好美、高橋直美
・特殊効果 - 橋爪朋二
・リスマスク - マキ・プロ
・タイトル - 道川昭
・背景 - 天水勝、土師勝弘、久保季美子、沢登由香、池田玲子、新井由華、劉基連、宮本ゆう
・撮影 - 古林一太、野村達哉、佐藤久美子、市川智、小川滋見、川崎匡詞
・編集 - 小島俊彦、中葉由美子、村井秀明、川崎晃洋、三宅圭貴
・音響制作 - オーディオプランニングユー
・音響制作デスク - 山口さやか
・音響制作進行 - 井澤基、加藤知美
・レコーディングスタジオ - APUスタジオ
・ミキサー - 内山敬章、田中章喜
・アシスタントミキサー - 田口信孝
・技術協力 - 森幹生
・現像 - 東京現像所
・制作担当 - 松土隆二
・制作デスク - 別紙直樹、武井健
・プロデューサー - 増子相二郎、市川芳彦、木村純一、岩本太郎、山川秀樹
・制作協力 - 藤子プロ、ASATSU-DK
・制作 - シンエイ動画、小学館、テレビ朝日
● 主題歌
◇ 「さよならとは言わないで」
: 作詞・作曲・歌 - ダ・カーポ / 編曲 - 京田誠一
● 参考資料
・ ビデオ『がんばれジャイアン / ドラミ&ドラえもんズ 宇宙ランド危機イッパツ』 東宝、2001年。
・ 藤子・F・不二雄 『ドラえもん』40巻&44巻 小学館、1989年-1993年。
「がんばれ!ジャイアン!!」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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