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『東京ゴッドファーザーズ』(とうきょうゴッドファーザーズ、英題:)は、2003年の日本のアニメ映画。
● 概要
『パーフェクトブルー』『千年女優』に続く今敏監督による長編劇場映画第3作である。リアルな演出で知られる今敏としては珍しくファンタジー要素がなく、最も現実世界に近い作品である。
ストーリーとしてはシンプルで、東京の新宿に暮らす3人のホームレスがクリスマスの夜にゴミ捨て場で赤ちゃんを拾い、残された手掛かりから何とかその赤ちゃんを親元へ返そうと奮戦するというコメディである。
本作は、1948年のアメリカ映画『三人の名付親』(原題: 3 Godfathers)に着想を得た映画としても知られている。
● あらすじ
自称・元競輪選手のギンちゃん、元ドラァグ・クイーンのハナちゃん、家出少女のミユキ、三人は新宿の公園でホームレス生活を送っていた。クリスマスの晩、ハナちゃんの提案でゴミ捨て場にクリスマス・プレゼントを探しに出かけた三人は、赤ちゃんを拾う。
赤ちゃんに「清子」と名付け、自分で育てると言い張るハナちゃんを説得し、三人は清子の実の親探しに出かけるが、行く先々で騒動が巻き起こる。
● 登場人物
◇ ギン
: 声 - 江守徹
: 自称、元競輪選手のホームレス(本当は自転車屋の親父)。3人の中ではホームレス歴が一番長い。ギャンブルによる借金のために家族を残してホームレスになったが、根は娘想いで大きくなっているはずの娘のために、コツコツとお金を貯めている。ギンの娘も、赤ん坊と同じ「キヨコ」という名前である。当初は清子の両親探しに乗り気ではなかったが、娘との再会や清子が誘拐された子であることを知り、幸子を追う。今までギャンブル運とは皆無だったが、終幕近くで宝くじで巨額を当てる。
◇ ハナ
: 声 - 梅垣義明
: 元ドラァグクイーンのオカマのホームレス。彼氏と死に別れたことで生活力を失いホームレスとなる。家族に恵まれなかったため、清子の境遇に一番同情している。非常に人情深く、大好きだった「泣いた赤鬼」に準え、ギンの為にあえて悪役を引き受けることもある。ホームレス生活がたたり体が弱くなっているが、その事を他の2人には隠していた。捨てられていた赤ちゃんに「清子」という名前をつける名付け親。よく一句思い付いて呟く場面がある。
: 劇中ハナが担当声優の梅垣義明の十八番でもある「ろくでなし」を歌うシーンがある。
◇ ミユキ
: 声 - 岡本綾
: 家出少女の高校生。猫を捨てられたと勘違いして、父親を口論の末に刃物で刺してしまい、そのまま家を飛び出しギン達と生活することになる。ミユキの父は、肉親と離れ離れになった行方不明の赤ん坊(清子)捜索の担当者だった。家出前は太っていたが、現在は長いホームレス生活により痩せている。2人に憎まれ口を叩きながらも清子の両親探しを手伝い、清子を道連れに自殺を図る幸子に一喝した。ラストは喧嘩別れした父と再会を果たした。漢字で書くと「美由紀」。
◇ 清子
: 声 - こおろぎさとみ
: ゴミ捨て場に置き去りにされていた新生児。拾われたのがクリスマスだったため、「きよしこの夜」からとって清子(きよこ)と名づけられた。3人が彼女を拾ってから、行く先々で奇跡がかった出来事が起きる。
◇ 太田
: 声 - 飯塚昭三
: 墓参りの帰りに坂道で自分の車に潰されかけていたところを、ギン達3人に助けられたヤクザの親分。3人を娘の披露宴に招待するが、これが元で3人は銃撃事件に巻き込まれる事になる。ギンが供え物の酒をくすねた墓石にも同じ苗字が彫られている。
◇ 母さん
: 声 - 加藤精三
: ハナが以前働いていたオカマバーのママ。広い心の持ち主で、ハナが客とのいざこざの末に飛び出した後も、「お金で解決できることだから」と特にハナを責めることなく待っていた。
◇ 泰男
: 声 - 石丸博也
: 幸子の夫で、清子をゴミ捨て場に放置した張本人。ごみ溜めのような部屋で、ギャンブルに儚い夢を見ながらダラダラと生きているダメ人間。その姿にかつての自分を見たギンにどやされる。その後、清子が実の娘ではないことをギンに話し、自殺を図る幸子に謝罪し、駆けつける。
◇ 老人
: 声 - 槐柳二
: 老ホームレス。路上で倒れているところをギンに見付けられ、死に際に自分の遺品を処分するように託す。
◇ ミユキの父
: 声 - 屋良有作
: 警察官。とある病院で起こった新生児連れ去り事件を担当している。清子が無事保護された後ミユキと病院で再会する。妻は宗教にいれこんでいる。
◇ 幸子
: 声 - 寺瀬今日子
: 清子の母親と名乗る女性。清子を夫の泰男に捨てられた後、絶望して川に飛び込もうとしたところをハナとミユキに止められ、清子と再会するが、実際は清子は本当の子ではなく流産したショックで誘拐した他人の子で、自分の子として一緒に自殺しようと画策するも真相を知った3人によって阻止された。
◇ ギンの娘(キヨコ)
: 声 - 能登麻美子
: 現在は看護師として働いている。ギンがいなくなった後も、彼を恨むことなく母親と2人で待ち続けていた。近々結婚予定。
◇ 医者
: 声 - 大塚明夫
: 旅の途中で倒れたハナを診察した医師。実はギンの娘(キヨコ)の結婚相手。
◇ 新郎
: 声 - 小山力也
: 太田の娘婿。ギンの借金を取り立てていたヤクザ。銃撃されかけた太田を庇い重傷を負う。
◇ 胡桃沢
: 声 - 犬山犬子
: 幸子夫婦が住んでいた近所の住人。
◇ 山之内
: 声 - 矢原加奈子
◇ 猫ババ
: 声 - 柴田理恵
: 幸子夫婦が住んでいた家の近所の住人。
◇ タクシー運転手
: 声 - 山寺宏一
: 3人に、妙に腐れ縁のある人。殺人未遂の犯人を知らずに運んでいたり、カーチェイスに付き合わされたりと、ろくな目に遭わない。
◇ その他
: 声 - 宇垣秀成、小形満、川崎恵理子、芝原チヤコ、竹口安芸子、伊藤和晃、古田信幸、湯屋敦子、清水敏孝、堀川仁、風間勇刀、原田正夫、最上嗣生、園部好徳、川瀬晶子
● スタッフ
・ 原作・監督 / 絵コンテ - 今敏
・ 企画 - 丸山正雄(マッドハウス)
・ 脚本 - 信本敬子、今敏
・ キャラクターデザイン - 小西賢一、今敏
・ 演出 - 古屋勝悟
・ 作画監督 - 小西賢一 / 安藤雅司、井上俊之
・ 美術監督 - 池信孝
・ 美術監督補佐 - 猪田薫、伊奈淳子
・ 色彩設計 - 橋本賢
・ 色彩設計補佐 - 鳥形昌子
・ 撮影監督 - 須貝克俊
・ 編集 - 瀬山武司、木村佳史子
・ タイトルロゴ - 山下京子
・ 音楽 - 鈴木慶一、ムーンライダーズ
・ 音楽制作 - エガリテ ムーンライダーズ ディビジョン
・ 音響監督 - 三間雅文
・ 音響効果 - 倉橋静男(サウンドボックス)
・ キャスティングマネージャー - 柏倉ツトム
・ 録音スタジオ - アオイスタジオ
・ 音響制作 - テクノサウンド
・ 制作プロデューサー - 豊田智紀
・ 制作進行 - 吉野智美、渡邉和夫、高橋亮平
・ アニメーション制作 - マッドハウス
・ プロデューサー - 小林信一、滝山雅夫、真木太郎
・ アソシエイトプロデューサー - 増田弘道、森島太朗、千野毅彦、横山真二郎、神部宗之
・ 配給・宣伝 - ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
・ 製作 - 「東京ゴッドファーザーズ」製作委員会(マッドハウス、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、電通、ジェンコ)
● 制作
『千年女優』の制作期間中にマッドハウスのプロデューサーから今に次の作品の企画を出さないかという誘いがあり、映画完成後に二か月ほどかけて簡単な企画書を書いて提出したところ、すぐに「GO」サインが出たので、具体的なストーリー作りをして制作に入った。原作・脚本を監督の今敏が担当し、共同脚本にはドラマ『白線流し』やアニメーション『カウボーイビバップ』の信本敬子を迎えた。作画監督にはスタジオジブリ在籍時代に『ホーホケキョ となりの山田くん』の作画監督をつとめた小西賢一、演出には古屋勝悟を迎えた。
● 配給
配給は、日本のソニー・ピクチャーズエンタテインメントとなり、2003年11月8日に公開となった。国内だけでなく海外配給もソニー・ピクチャーズが権利を獲得して同社系のデスティネーション・フィルムズと独立系のIDPが担い、2004年1月16日に北米で公開された。劇場数は10スクリーンで興行収入は12万9560ドルだった。夢のある映画やアニメには相応しいとは言い難いホームレスを主人公に設定したのは、この企画を思いつく以前から今がホームレスという存在が気になっていたからである。「豊かな時代であっても生まれてしまうが、同時に世の中が豊かであるがゆえに養われ得る存在である彼らは、街(都市)に生かされているのではないか」と思ったのが作品の発想のきっかけのひとつだった。登場人物たちの視点では、この「顔」を発見することはできず、観客のみが気付くことができる。「ゴミ」はいわば同業の他者が不要として捨てたアイディアであり、赤ちゃんを拾ってくるのは、今がそうしたアイディアのゴミ置き場から自分が素晴らしいと思うアイディアを拾ってくる行為につながるからである。当初は5月2日と3日にプレビュー公演と、5月6日から11日までの公演も予定されてたが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になった。
◎ 出演者(舞台)
・ 松岡昌宏
・ マキタスポーツ
・ 夏子
・ 春海四方
・ 大石継太
・ 新川將人
・ 池田有希子
・ 杉村誠子
・ 周本絵梨香
・ 阿岐之将一
・ 玲央バルトナー
◎ スタッフ(舞台)
・ 原作:今敏
・ 上演台本:土屋理敬
・ 演出:藤田俊太郎
・ 美術:乘峯雅寛
・ 照明:日下靖順
・ 音響:けんのき敦
・ 衣裳:前田文子
・ ヘアメイク:川端富生
・ 映像:横山翼
・ 振付:新海絵理子
・ 演出助手:平井由紀
・ 舞台監督:倉科史典
「東京ゴッドファーザーズ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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