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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲


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『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ オトナ帝国の逆襲』(クレヨンしんちゃん あらしをよぶ モーレツ オトナていこくのぎゃくしゅう)は、2001年4月21日に公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズの9作目。上映時間は89分。興行収入は14.5億円。

● 概要
本作は21世紀初の劇場版クレヨンしんちゃんである。本作では親世代が20世紀の象徴として、子供世代が21世紀の象徴として描かれており、過去と未来の交錯が描き出されている。本作では20世紀、特に昭和30〜40年代の高度成長期を懐古するコンテンツやギミックが多用されている。そのため、本来の(アニメの)『クレヨンしんちゃん』の視聴者層である子どもだけでなく、むしろ子どもの親に向けられた作品であるとも言える。本作のDVDのCMには俳優の阿部寛が起用され、大人の鑑賞にも堪え得る感動作であることを強調した。 監督の原恵一は「あの形で作るということに関して、『クレヨンしんちゃん』じゃ無くなるという自覚はあったが、それでもいい映画を作りたいという気持ちが勝ってあの形にした。出来上がったとき初号や試写会で、実際に偉い人や出資者たちは不満そうだった。『こんな不愉快な映画初めて見た』とも言われました。『しんちゃん』ではないということなのでしょう」と語っている。 樋口真嗣は「誤解を恐れずに言い切ってしまえば、決まったキャラを売る条件さえクリアされていれば、あとは何をしてもオッケー。その「抜け道」を利用して作られたのが宮崎駿監督の『カリオストロの城』であり、押井守監督の『ビューティフル・ドリーマー』であり、原恵一監督の『嵐を呼ぶ モーレツオトナ帝国の逆襲』」と指摘している。 野原つる(初代声優の北川智繪が唯一担当)・野原ひろしの子ども時代が劇場版初登場。 松尾銀三が野原銀の介役を演じた最後の作品である。 本作は映画シリーズの中でも頭一つ抜けた圧倒的な人気があり、未だにファンの間では「クレヨンしんちゃんの最高傑作」との呼び声も高い。

◎ ストーリー案
本作にはテレビシリーズで原型となった回があり、監督の原は「これだけで満足すると思ったら、中途半端に、自分の中に火がついてしまって、我慢できずに映画のネタにまでしてしまった」と語っている。原型となった回「母ちゃんと父ちゃんの過去だゾ 1」(1999年9月10日放送、脚本/中弘子、絵コンテ/原恵一、演出/ささきひろゆき、作画監督/大塚正実)の内容は「懐かしのアトラクションが出来て、みんなで行くという話」で、このエピソードはビデオソフト化されておらず、原自身もタイトルを忘れており「誰か録画していたら僕に観せて欲しい」とも話している。

◎ スタッフ
監督・脚本・絵コンテは5作目から引き続き原恵一が担当する。物語の結末は考えず、最初の万博のシーンに取り掛かっている最中、現場の若いスタッフに「なんでこんな描写をこんなに丁寧にやるんですか?」と引かれてしまったらしい。それに対して監督の原は「うるせえぞ! やりたいからやるんだよ!」と返したと言う。また当時は社員監督(シンエイ動画)ということで、「やりたい放題が出来たと言えるんですよ。チェックが甘い会社だったんですよ」とも発言している。 音楽は前々作『爆発温泉わくわく大決戦』(1999年)でも担当した浜口史郎が登板。 主題歌は前作『嵐を呼ぶジャングル』(2000年)に引き続き小林幸子が担当しており、映画シリーズで複数作品の主題歌を担当したのは小林が初の事例となる。 ラストにしんのすけが必死に階段を駆け上がるシーンがあるが、これはテレビ朝日プロデューサーの太田賢司の「敵とは戦わずに、しんちゃんが階段を駆け上がるみたいなのが良いのでは」とのアイディアを取り入れたものである。原は「テレビ局の方がそういった冒険的な判断をしてくれてうれしかった。そしてあのシーンは音楽の面の功績も非常に大きい」と感謝の旨を発言している。

◎ ゲスト声優
ゲスト声優として小堺一機と関根勤が1シーン出演し、本人役で持ちネタを披露している。この出演は、関根が娘・関根麻里と一緒に映画版を見に行くほどのファンであったことと、原作者の臼井儀人がTBSラジオ『コサキンDEワァオ』のヘビーリスナーであったことが縁である。また、原作者の番組出演の際、撮影に使われたセル画が送られている。 イエスタディ・ワンスモアのリーダーであるケンを演じる津嘉山正種は監督の原によると、『ボディガード』(1993年)でのケビン・コスナーの吹き替えを聞いて、凄い好い声だと思ったから出演をお願いしたとのこと。ケンの恋人であるチャコ役の小林愛については、1999年に放送された『∀ガンダム』での声優っぽくない生々しい感じに原が惹かれたと言う。凄い逸材だなと思った原は、当時テレビアニメの『クレヨンしんちゃん』で演出を担当し、なおかつ『∀ガンダム』の演出もやっていた池端隆史にお願いし、小林愛の声が入ったテープを渡したという。原は小林愛の声が本当に大好きだったため、次回作『アッパレ戦国大合戦』(2002年)でも春日廉役で起用している。矢島は2017年のインタビューでもこの2作品を最も好きな作品として挙げている。

● あらすじ
万博を訪れていた野原一家。到着の遅いひろしを待っていると、万博に突如怪獣が接近。「万博防衛隊」である野原一家はこれに対抗し、戦闘機で万博へ向かっていたひろしは巨大ヒーロー「ひろしSUN」に変身し怪獣に立ち向かう。 …という特撮ビデオを撮影していた野原一家。撮影も終了し「次は私の番」とみさえは胸を躍らせ、「魔法少女みさりん」に扮する。ビデオ撮影は「20世紀博」のアトラクションの一つであり、大人達は子供の頃を懐かしみ、20世紀博を満喫していた。 しかし、毎日のように20世紀博の子供部屋に預けられていたしんのすけやかすかべ防衛隊を含む子供達は不満を漏らしていた。風間トオルは大人達の異常なハマり方に疑問を抱き、幼稚な遊びにふける母親を心配していた。また、20世紀博の影響は全国に広まり、街中では旧車が走り、古い電化製品やファッションが流行するようになっていく。 ある晩「20世紀博からの大事なお知らせ」が放映される。「明日の朝、お迎えにあがります」という内容の短いものだったが、それを見たひろしとみさえはまるで何かに取り憑かれたように、夕飯も食べずしんのすけとひまわりを放置して寝てしまう。翌朝になっても2人の様子は変わらず。ひろしは仕事にも行かず、揃っておやつやジュースを暴飲暴食をして、昼寝をしていた。しんのすけは、話しかけても子供のような返答しか返ってこない2人の姿に困惑する。見かねたしんのすけは幼稚園へ向かおうとするが、バスが来ないので仕方なくひまわりを背負って自力で幼稚園へと向かう。道中、三輪車で幼稚園へ向かうと道端や公園で子供のように遊んでいる大人達を何人も見掛け、幼稚園の先生や近所の知り合い達までもが、ひろしとみさえのように豹変していた。 そこに大きな音楽を鳴らしながら街中を通るオート三輪の列が現れると、一斉にその列に集まって乗り込む大人達。その中に両親のひろしとみさえ、意中の相手・大原ななこの姿を見つけ、必死にオート三輪を追いかけようとするしんのすけだったが、自身には目もくれずに去っていくななこにショックを受け、その上大人達の姿を見失ってしまう。 大人達がいなくなったその後、かすかべ防衛隊(風間トオル、桜田ネネ、佐藤マサオ、ボーちゃん)はしんのすけの家に集まっていた。「もしかしたら大人だけの帝国=オトナ帝国を作るのでは?」などと考えていると、TVの番組が突然昔の白黒映像へと変わっていった。その後コンビニに向かい、占拠していた不良小学生たちの目を盗んで食料を手に入れようとしたものの失敗し、誰もいないバーで大人になった気分を味わうかすかべ防衛隊だったが、大人がいなくなったために街からは電気が消え、置き去りにされた子供達はパニックに陥る。 明かりの消えたしんのすけの家でかすかべ防衛隊がラジオを聴いていると、「20世紀博」の創立者で「イエスタディ・ワンスモア」のリーダーである「ケン」から「町を訪れる20世紀博の隊員に従えば親と再会できる」というメッセージが流れる。それを聞いた大半の子たちは従ったものの、何か不穏な空気を感じたかすかべ防衛隊は、そのまま迎えをやり過ごし隠れるのに丁度良いと、サトーココノカドーへ足を運び、そこで一夜を過ごす事を決める。 翌朝、迎えに従わなかった子供たちを捕まえる「子供狩り」が始まる。追っ手の中にはひろしとみさえ、園長先生の姿もあった。ひろしは文句を言いつつも、EXPO'70の部屋にいつでも出入りできる迷子ワッペンであっさり釣られてしまう。 サトーココノカドーで夜を明かしたかすかべ防衛隊だがしんのすけは「ちゃんと8時にセットした」せいで「8時から始まる」子供狩りに逃げる時間を失い、居場所が見つかり、店内や町中で追いかけっこを繰り広げる。ひろしやみさえを見つけ「とうちゃん、かあちゃん」とよびかけるが「ガキがいたぞ!」と大人達を呼ぶ。その後幼稚園バスへ逃げ込んだが包囲され逃げ場はない。そこでしんのすけは、バスを運転して逃げることを提案。風間トオル、桜田ネネ、佐藤マサオはこの提案に驚き抵抗を示したものの、ボ―ちゃんは「ボク、(運転)できるかも」(いつも園長先生の運転を近くで見ていたからとのこと)と賛成したため、この計画を実行することとなった。しかし、ボーちゃんが運転席に座ったところ手足がそれぞれのペダルとステアリングに届かず、それぞれアクセル・ブレーキ・クラッチ・ギアを担当することとなり、運転手は座席に立った状態でステアリングを操縦し運転することとなった。その後順番に役割を交代して、追っ手を蹴散らしながら走る。そして「イエスタディ・ワンスモア」の部下たちによって、扉が閉まろうとする20世紀博に突入。見事成功するが、シロを胴上げしていたことでハンドルが勝手に曲がり、柱に激突してしまう。 風間トオル、桜田ネネ、佐藤マサオ、ボーちゃんの4人はここで隊員たちに捕まり、風間トオルは「ぼくたち、父や母に会いたいだけなんです!」と話すが、ケンは「会っても無駄だ。お前達の親は懐かしい匂いで子供に戻っている」と告げられる。しんのすけ・ひまわり・シロは辛くも逃げ切り、その時「イエスタディ・ワンスモア」の作った「20世紀の匂い」によって大人達が「懐かしさの匂い」に夢中になり、幼児退行していたことを知る。その後会ったひろしは子供に戻っており、当然しんのすけのことは知らない。だが前述の言葉より、しんのすけはひろしの足の臭さを思い出し、ひろしの靴を脱がせて嗅がせる。ひろしの足の臭い。それは、かつての本来の少年の思い出、失恋、上京、就職、仕事の失敗、みさえとの出会い、しんのすけの誕生、念願のマイホーム…そんな彼の人生が積み重なり、蓄積された臭いである。その足の臭いを嗅いだひろしは今までの人生を思い出すとともに正気を取り戻し、「オラが分かる?」と問いかけるしんのすけを涙ながらに抱きしめた。その後、みさえも同じ手で正気を取り戻す。そして20世紀博から脱出しようとする野原一家の前にケンが現れ、チャコと暮らす家へと案内される。 そこで語られるケンの野望。「この紅茶を飲み終えたら東京タワーに登りスイッチを押す、今度は足の臭いでも戻れないだろう」「もしお前たちが本当に未来に生きたいと思うなら行動しろ」野原一家は走り出す。その途中で家に隠れていた隊員が追ってきて、オート三輪へ乗り込んだ。何度も懐かしい匂いにあてられ、その度に足の臭いで正気に戻り、出口を聞き出し外へ出る。 東京タワーに登る野原家にイエスタディ・ワンスモアの隊員達が襲うが、野原家は機転とチームワークで次々と撃退していく。ケンとチャコの2人が計画のため頂上に登り始める。ひろしはエレベーターの扉を手で押さえ、みさえは迫り来る追っ手に対し尻で撃退、さらにひまわりも頭突きを繰り出す。残すはしんのすけとシロのみとなったが、シロも体当たりで隊員を蹴散らし、残されたしんのすけは一人で頂上を目指す。何度も転び、鼻血を流し、ボロボロになりながらもしんのすけは2人にたどり着く。ようやく2人の元に追いつき、ケンの足にしがみつくが歯牙にもかけない。それでも何度も2人を止めようとするが、とうとう力尽き倒れてしまう。 ケンとチャコは計画を発動させようとするが、大人たちの懐古心の原動力、懐かしい匂いのレベルが最低まで下がり、計画は頓挫してしまう。街の住民達は野原家の行動を見て、現実の21世紀を生きたいと考え直したらしい。計画が破綻し感情的になったチャコがしんのすけに、どうして未来を生きたいのかと問いかけると「オラ、父ちゃんや母ちゃんやひまわりやシロともっと一緒に居たいから… 喧嘩したり、頭にきたりしても一緒が良いから… あと、オラ大人になりたいから… 大人になって、おねいさんみたいなきれいなおねいさんといっぱいお付き合いしたいから!」と想いのたけを叫び、再び鼻血を出して倒れる。ケンは敗北を認め、「わかった… 坊主。お前の未来、返すぞ」としんのすけに告げる。「外の世界には行かないわよ」と涙を流すチャコを見て、ケンは何かを決意した顔で屋上の外へと向かう。その後、駆けつけたみさえとひろし達が止めるのも聞かず、飛び降り心中を試みる2人だが、飛んできた鳩(ちょうど2人の下に巣があり、守るために威嚇してきた)に決意を揺るがされ、失敗に終わる。力が抜け座り込み、「死にたくない」とこぼすチャコを、ケンが後ろから抱きしめた。(ケン曰く「また、“家族”に邪魔された」とのこと)。こうして野原家やかすかべ防衛隊、そして日本中の人々はそれぞれの家へと帰っていった。

● 登場人物
『クレヨンしんちゃん』のレギュラーメンバーの基礎情報はクレヨンしんちゃんの登場人物一覧および個別記事を参照。

◎ TVシリーズからのキャラクター

◇ 野原しんのすけ : ひろしとみさえが幼児退行し、妹であるひまわりの面倒を見たり、ひまわりを背負いながら三輪車で幼稚園に向かうなど、いつものおバカな行動を取るよりもしっかりお兄ちゃんをやっている。 : スナックのオネエの振る舞いやチャコへの口説きなど大人への憧れが強く、イエスタディ・ワンスモアの思想とは良くも悪くも正反対の考えと言える。
◇ 野原ひろし : イエスタディ・ワンスモアの洗脳によって幼児退行してしまい、柄が悪くなった。迷子ワッペンに憧れを持ち、自分の子供が20世紀博に来ていないという理由でみさえとともに子供狩りに動員された時は激しく渋っていたが、褒美として迷子ワッペンを与えると聞いて協力する。しんのすけ達がバスジャックして逃走した際、ひろしSUNに変身してバスに乗り移ろうとするも距離が離れ、車とバスの間にしがみつく羽目になる。引き上げてくれるかと思った組長(園長)にも橋扱いされた。そしてしんのすけの放屁でバランスを崩した拍子に落ちそうになりつつ、ドアに両足を挟んで起き上がるというガッツを見せるも、直後にドアごと外れ、そのまま道路に取り残された。その後、自らの人生を積み重ねた足の匂いで洗脳から解き放たれる。ケンの勧誘を再び受けるとケンの誘いを断った。エレベータの扉を手でこじ開けながら逆に家族がいる今の幸せを分けてやりたいと同情した。チャコのパンツが見えたことを指摘して赤面させるも直後に手を蹴られ、隊員達に袋叩きにされた。
◇ 野原みさえ : イエスタディ・ワンスモアの洗脳によって幼児退行すると魔法少女「みさりん」になり子供狩りに加わる。バスジャックの時にも披露し、しんのすけをドン引かせた。手を弾かれても片手で車体にしがみついたり、しんのすけに投げ捨てられた魔法のステッキを取り戻そうと逆走するなどパワフルさを見せた。その後、ひろしの靴の臭いで正気を取り戻し、完全に全ての大人を洗脳しようとするケンに対して「せっかく家族に戻れたのに」と反発した。 : 高所恐怖症であり、東京タワーでの戦闘はそれが顕著に出た。しかし、しんのすけがケツがデカいという点を連呼したおかげで隊員達を尻込みさせたり、更にしんのすけを先に走らせるため階段から飛び降りる覚悟も見せた。
◇ 風間トオル : 20世紀博に異様にハマる大人達に唯一疑問を持った人物。冷静に行動する一方でしんのすけの悪ノリに乗ったり、常識にとらわれすぎてスピード制限を守ろうとしたり、無免許だと気づいて取り乱すなど足を引っ張る描写が多い。
◇ 桜田ネネ : スナックで若手のホステスを見事に演じ、風間から「様になってるね」と言われた。 : 幼稚園バスでの逃亡では、「運転手よりバスガイドやりたかった」と言って『アルプス一万尺』を歌い出し、しんのすけと一緒に踊り出した時は明らかに前方不注意だったので運転手を替えられる。風間と同様、全く活躍していない。
◇ 佐藤マサオ : スナックのウーロン茶で大人の気分を味わったり、自信がつくとワイルドで強気な性格に変わるようになり、後の映画でもこの面を度々見せている。イエスタディ・ワンスモアとのカーチェイスでは、最初は弱気だったが、偶然ハンドルを切ったことで車が田んぼに落ち、試しに反対側にも切ったところ、同じように落ちた為、覚醒した。土手を使って何台かひっくり返し、屋根の上に乗り込まれても歯牙にもかけず、池を飛び越えたりなど 大活躍を繰り広げる。
◇ ボーちゃん : 幼稚園バスを運転して逃げようというしんのすけの無茶な提案に「僕、できる…かも」と進言する。園長先生の運転をいつも見ていたらしく実際、大型MT車を見事に乗りこなしている(大人のように実際座るとアクセル、ブレーキはおろか、ハンドルにすら届かなかったので他の4人と役割分担し、運転手は立ち乗りになった)。
◇ かすかべ防衛隊の保護者 : ひろしやみさえと同じく20世紀博に頻繁に訪れていた。イエスタディ・ワンスモアの洗脳によって幼児退行しており、子供遊びをするようになったことをトオル達が語っていた。自分達の子供が20世紀博に来ていないのに何故か子供狩りに動員されていない。
◇ 大原ななこ : 三輪トラックが迎えに来る朝、かごめかごめの鬼になっており目隠ししながらしゃがんでいる(しんのすけも、その時は彼女の存在に気づいていなかった)。 :その後、三輪トラックがやって来て荷台に乗るために走る所をしんのすけに発見されるが、しんのすけに気づかず、そのまま払いのけてしまった。次にしんのすけが彼女を見た時は、満面の笑みで荷台に乗っていた。
◇ 埼玉紅さそり隊 : 三輪トラックが迎えに来る朝、3人とも公園のブランコで立ち漕ぎをしている。 : 未成年だが、洗脳された。漫画版では登場シーンをカットされた。
◇ ふたば幼稚園の教職員 : しんのすけがひまわりを背負いながら三輪車で幼稚園にたどり着いた時は園庭で缶けりをしようとしていた(じゃんけんで鬼になったのは園長先生)。しんのすけに呼び止められ全員が彼をにらみつけ、よしなが先生は彼を(かなりわざとらしく)「しんたろう」と呼ぶなど、ひろしと同じように柄が悪くなっており、みんなで仲間外れにする態度は子どもそのものだった。 : 三輪トラックが大人達を迎えに来た時は彼らのみ幼稚園バスに乗っていた。 : その後、かすかべ防衛隊が幼稚園バスで逃亡した時は園長先生が「僕のバスを返せー」と追いかけ、その後は野原夫妻が運転する車に同乗し、ひろしを体を橋にバスの上に乗ったがその直後に案内標識にぶつかってしまう。 : 洗脳が解けた後は、春日部に帰るために三輪トラックの一台を園長先生が運転し、その助手席に副園長先生が、さらにその荷台の最前列によしなが先生達が立ち乗りしている。

◎ 本作品のオリジナルキャラクター

◇ ケン : イエスタディ・ワンスモアのリーダーで黒幕。長身痩躯で、マッシュルームカットと丸眼鏡が特徴の男。愛車はトヨタ・2000GTで「俺の魂」と呼び、大事にしている。 : 「汚い金」や「燃えないゴミ」が蔓延する21世紀の日本を憂いており、まだ人々が「心」を持って生きていた20世紀への逆戻りを企てる。20世紀博内で「懐かしい匂い」を作り出し、来場した大人達を洗脳した。ひろしとみさえだけは、しんのすけによってひろしの靴の匂いを嗅いだことで正気を取り戻す。 : 大人たちの、過去を懐かしみ戻りたいという気持ちを原動力とした計画の最終段階において、野原一家の奮闘を視聴した大人たちの懐古心の収まりにより計画を進めることができなくなり、「未来を返す」と敗北を認めた後、大人たちを解放する。 : エピローグではチャコと共に2000GTに乗り、どこかへと向かう描写がされた。 : しんのすけ達に計画を告げ、計画の発動に加えて阻止方法まで教えるなど、フェアな悪役である。また、これまでの悪役とは違い、自身では格闘や銃撃を行わずに、圧倒的な組織力と豊富な資金、大規模な組織を纏め上げるカリスマ性と統率力といった理知的な面を用いてしんのすけ達と闘い追い詰めた。
◇ チャコ : ケンの恋人で共犯者。ケンに共感しており、21世紀を嫌っている。しんのすけやひろしから「良い女」と評されるほどの美人。 : 感情が乏しい女性だが、物語の終盤でひろしにミニスカートを覗かれた際には僅かながら顔を赤くして怒りの表情を浮かべ、自分達を最後まで邪魔したしんのすけにも感情的になった。計画断念後、飛び降りの機を逸した際には「死にたくない」と本心を発露した。その後はケンと2人でどこかへと去っていった。 :
・放映以降、ケンとチャコの消息は不明だが、TVアニメにおける12番目のエンディングテーマ『全体的に大好きです。』のイラストには過去の映画に登場したキャラクターたちが存在し、町はずれのアパートに2人で暮らしている様子が描かれており、第25作『襲来宇宙人シリリ』では2人でサーカスを観覧している。
◇イエスタディ・ワンスモアの隊員たち :ケンに歯向かう者には容赦なく、しんのすけ達とのカーチェイスシーンではスバル・360の大群でしつこく追い回した。隊員全員も「懐かしい匂い」によって幼児退行しており、エアガンなどの玩具を武器にするなど戦い方や行動がどこか子供っぽく、チェイス中のスバルのクラッシュもどこか抜けている。 :男性隊員は青、女性隊員は黄色の制服で、男女共通で制服の色に合わせた帽子を被っている。基本的に男性隊員が戦闘員で、非戦闘員となる女性隊員は主に20世紀博のガイドをはじめとしたサポート役を担っているため、男性隊員より表に出ることはあまりない。
◇TVの人物 :イエスタディ・ワンスモアによってテレビ局が占領されたため、1960年代〜1970年代に流行った番組が放送された。小堺一機と関根勤が本人役で登場している。
◇ヒーローSUN :ひろしが子供の頃に憧れていた特撮ヒーロー。
◇魔女っ子さゆり :みさえが子供の頃に憧れていた魔法少女。
◇外国人(女性)観光客 :しんのすけにコンパニオンと言いながら追いかけられた女性。みさえに怒られたしんのすけを見て言った言葉は「おぉモーレツ」。
◇怪獣役者 :ヒーローSUNに出てくる怪獣。ヒーローSUNになりきっていたヒロシと戦う。途中でしんのすけが退屈のあまりにのし掛かり、劇を一時中断する事となったが、着ぐるみを脱ぎ「強いな僕」と褒めた。
◇肉屋、八百屋、魚屋、酒屋、トラックの運転手 :20世紀の時代を懐かしみ、役になりきって町の住人に昔の出来事を思い出させようと洗脳する。
◇不良小学生 :コンビニを占拠し、食料を求めに訪れたしんのすけ達を追い返した。20世紀博からの迎えに応じなかったため、イエスタディ・ワンスモアの隊員達に連行された。

● キャスト

・ 野原しんのすけ - 矢島晶子
・ 野原みさえ - ならはしみき
・ 野原ひろし - 藤原啓治
・ 野原ひまわり - こおろぎさとみ
・ 風間くん、シロ - 真柴摩利
・ ネネちゃん - 林玉緒
・ マサオくん - 一龍斎貞友
・ ボーちゃん - 佐藤智恵
・ 園長先生 - 納谷六朗
・ ひろし(子ども時代) - 三田ゆう子
・ 野原銀の介 - 松尾銀三
・ 野原つる - 北川智絵
・ TVの声 - 関根勤、小堺一機
・ 副園長先生 - 滝沢ロコ
・ よしなが先生 - 高田由美
・ まつざか先生 - 富沢美智恵
・ 上尾先生 - 三石琴乃
・ 「かすかべ書店」店長・不良小学生。 : 松岡茉優は、本作を「いまだにあらすじを思い出すだけで涙が出て、大人になっても感動がよみがえってくる映画です」と魅力を語っている。 : 志田未来は、本作について「すごく好きです」とコメントしている。 : 豊田エリーは、本作について「22年ぶりに映画館でオトナ帝国の逆襲を観た。12歳の時、この作品のあまりの面白さに感動したからこそ、大人になった今も映画館でクレしんを観続けているんだと思う。」とコメントしている。 : 麻生久美子は、本作を「アニメ映画でここまで容赦ない表現ができるなんて凄いと、呆然としました。原監督ならではの表現がとても恐ろしくて、それでもエンターテイメントとして笑いと涙がある"完璧"としか言いようのない作品だと思います。」とコメントしている。 : 水樹奈々は、「本作はちょっと怖い要素もあって、印象に残っています。」とコメントしている。 : 鬼頭明里は、本作について「子供の頃に見ても良い作品だと思っていましたが、大人になってから見ると、深い内容をより理解できました。あれこそ"大人に向けたクレヨンしんちゃん"だと思います。」とコメントしている。 : 日笠陽子は、「本作とルパンのカリオストロの城は名作。」とコメントしている。 : 中川翔子は、本作について「むかし10代のときにみたときより、何倍もズシンときた、うう子どもがうまれてからみたら号泣でたちあがれなくなりそう。たのしみ。アニメや映画、むかしと感じかたが変わっていく感覚が面白いね、人生がすすんでいってる感じがわかる。」とコメントしている。 : 白石麻衣は、本作について「大好きで。何回泣いたことか」とコメントしている。 : 松村沙友理は、本作について「子供のときは、昭和の話が出てきても『私、平成生まれだし、懐かしくないな』という感じだったけど、大人になって観たら、昭和を生きていなくても懐かしいという気持ちになりましたし、家族愛を描いた物語にすごく感動しました。」とコメントしている。

● 受賞歴

・ 第23回ヨコハマ映画祭日本映画ベストテン第8位。
・ キネマ旬報創刊85周年オールタイムベスト・テン アニメーション部門7位。
・ キネマ旬報創刊90周年オールタイムベスト・テン 日本映画アニメーション部門4位。
・ 日本のメディア芸術100選アニメ部門選出。
・ 日本オタク大賞2001オタク大賞受賞。
・ 『映画秘宝』が毎年選定している映画ベスト10において、2001年度にアニメーション枠ではなくすべての洋・邦画を含めた中で初めて1位に輝いた邦画である。同誌ベスト10で1位に選出された邦画は、本作と2016年度の『シン・ゴジラ』、2018年度の『カメラを止めるな!』の3作品。
・ 雑誌『映画秘宝誌』のゼロ年代(2000〜2009)映画ベストテン10位。

● テレビ放送
2002年4月12日 19:00 - 20:54に初のテレビ放送が行われた。この翌週から本番組の放送枠は土曜19:00 - 19:30に移動したため、枠移動前最後の放送となった。 その後、翌年の2003年10月18日 19:00 - 20:54にも再放送され、『クレヨンしんちゃん』アニメ15周年記念企画の一つとして2006年9月29日 19:00 - 20:54、映画『クレヨンしんちゃん 超時空嵐を呼ぶオラの花嫁』の宣伝として2009年12月18日 19:00 - 20:54にも放送され、これまで『クレヨンしんちゃん』の映画作品で過去最多の5回テレビ放送が行われている。また、NHKのBSアニメ夜話第3弾(2005年3月29日放送分)では本作が取り上げられた。
回数 放送日 放送時間 放送分数 備考
1  2002年4月12日(金曜日)  19:00 - 20:54  114分  
2  2003年10月18日(土曜日)  19:00 - 20:54  114分  
3  2006年9月29日(金曜日)  19:00 - 20:54  114分  
4  2009年12月18日(金曜日)  19:00 - 20:54  114分  
5  2020年5月10日(日曜日)  17:25 - 19:00  95分  CSテレ朝チャンネル1で放送


● VHS・DVD・Blu-ray

・ VHS - 2002年3月25日にバンダイビジュアルより発売。
・ DVD - 2002年11月25日にバンダイビジュアルより発売。
・ Blu-ray - 2023年4月26日にバンダイビジュアルより発売。

「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
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