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『くるみ割り人形』(くるみわりにんぎょう、, ,)は、ピョートル・チャイコフスキーが作曲したバレエ音楽(作品71)、およびそれを用いたバレエ作品である。チャイコフスキーが手掛けた最後のバレエ音楽であり、1892年にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で初演された。
本作は、クリスマス・イヴにくるみ割り人形を贈られた少女が、人形と共に夢の世界を旅するという物語である。原作は、ドイツのE.T.A.ホフマンによる童話『くるみ割り人形とねずみの王様』を、アレクサンドル・デュマ・ペールがフランス語に翻案した『はしばみ割り物語』である。
クリスマスにちなんだ作品であることから毎年クリスマス・シーズンには世界中で盛んに上演される。クラシック・バレエを代表する作品の一つであり、同じくチャイコフスキーが作曲した『白鳥の湖』『眠れる森の美女』と共に「3大バレエ」とも呼ばれている。
● 上演史
◎ 創作の経緯
1890年1月、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で、チャイコフスキー作曲によるバレエ『眠れる森の美女』が上演され、成功を収めた。これに満足した劇場支配人のは、同年2月ごろに早速チャイコフスキーに次回作を依頼し、オペラとバレエを2本立てで上演したいと提案した。この上演形式は当時のパリ・オペラ座に倣ったもので、オペラを公演の中心とし、その後に余興のような位置づけでバレエを上演するというものであった。1890年の末に最終的な話し合いが行われ、オペラの演目は、チャイコフスキー自身の提案により『イオランタ』に決まった。バレエの題材はフセヴォロシスキーが選び、E.T.A.ホフマンの童話 『くるみ割り人形とねずみの王様』 をアレクサンドル・デュマ・ペールが翻案した『はしばみ割り物語』を原作とすることになった。バレエの台本は、マリインスキー劇場のバレエマスターであるマリウス・プティパが手掛けたの日本語訳と、【 】内に音盤などで慣例的に用いられている名称を記す。
・ 序曲 (Ouverture)
・ 第1幕
・ 第1曲 情景 (Scène) 【クリスマスツリー】
・ 第2曲 行進曲 (Marche)
・ 第3曲 子供たちの小ギャロップと両親の登場 (Petit galop des enfants et entrée des parents)
・ 第4曲 踊りの情景 (Scène dansante) 【ドロッセルマイヤーの登場】
・ 第5曲 情景と祖父の踊り (Scène et danse du grand-père) 【グロースファーターの踊り】
・ 第6曲 情景 (Scène) 【招待客の帰宅、そして夜】【クララとくるみ割り人形】
・ 第7曲 情景 (Scène) 【くるみ割り人形とねずみの王様の戦い】
・ 第8曲 情景 (Scène) 【松林の踊り】【冬の松林で】
・ 第9曲 雪片のワルツ (Valse des flocons de neige)
・ 第2幕
・ 第10曲 情景 (Scène) 【お菓子の国の魔法の城】
・ 第11曲 情景 (Scène) 【クララと王子の登場】
・ 第12曲 ディヴェルティスマン (Divertissement)
・ チョコレート (Le Chocolat) 【スペインの踊り】
・ コーヒー (Le Café) 【アラビアの踊り】
・ お茶 (Le Thé) 【中国の踊り】
・ トレパック (Trépak) 【ロシアの踊り】
・ 葦笛 (Les Mirlitons) 【葦笛の踊り】
・ ジゴーニュ小母さんと道化たち (La Mère Gigogne et les Polichinelles)
・ 第13曲 花のワルツ (Valse des fleurs)
・ 第14曲 パ・ド・ドゥ (Pas de deux) 【金平糖の精と王子のパ・ド・ドゥ】
・ 【アダージョ】【イントラーダ】
・ ヴァリアシオンI 【タランテラ】
・ ヴァリアシオンII 金平糖の精の踊り (Danse de la Fée-Dragée)
・ コーダ (Coda)
・ 第15曲 終幕のワルツとアポテオーズ (Valse finale et apothéose)
◎ 演奏会用組曲
バレエ組曲『くるみ割り人形』(作品71a)は、チャイコフスキーがバレエ音楽から編んだ組曲である。1892年3月、『くるみ割り人形』の作曲中であったチャイコフスキーの元に演奏会の依頼が来た。あいにく手元に新作がなく、また作曲する暇もなかったため、急遽作曲中の『くるみ割り人形』から8曲を抜き出して演奏会用組曲とした。この組曲は、バレエの初演に先立ち、1892年3月19日(ロシア旧暦3月31日)に初演されて好評を得た。以下は慣例名による。
◇第1曲 小序曲 (Ouverture miniature)
: Allegro giusto、変ロ長調、4分の2拍子(複合2部形式。展開部を欠くソナタ形式とも取れる)。この小序曲のみ編成から低弦、つまりチェロとコントラバスが除かれ、タセットを指示されている。このバレエ全体のかわいらしい曲想を感じさせる。おとぎ話のような主題がヴァイオリンにより提示される。これらはクラリネット、フルートなどに引き継がれ、次第に大編成化する。すると一転してオーボエによる叫びがあり、メロディックで優雅な第2主題(ヘ長調)が提示される。この後、第1主題・第2主題(変ロ長調で再現)はそのまま反復される。
◇第2曲 性格的舞曲集 (Danses caractéristiques)
◇a 行進曲 (Marche)
: Tempo di marcia viva、ト長調、4分の4拍子(ロンド形式)。A-B-A-C-A-B-Aの形を取る。
◇b 金平糖の精の踊り (Danse de la Fée Dragée)
: Andante non troppo、ホ短調、4分の2拍子(複合三部形式)。当時、発明されたばかりであったチェレスタを起用した最初の作品として広く知られる。当初、このパートは天使の声と喩えられた珍しい楽器アルモニカ(または別種の「ガラス製木琴」)のために書かれていた。しかし、後に旅先のパリでチェレスタを見つけ、この楽器を使うことに決めた。なお、チャイコフスキーはパリからチェレスタを取り寄せる際、楽譜出版社のユルゲンソンに送った手紙で「他の作曲家、特にリムスキー・コルサコフとグラズノフに知られないように」という趣旨のことを書いており、他の作曲家に先を越されたくないという思いがあったようである。通常、「金平糖」の精と訳されるがあるが実際はドラジェのことである。
◇c ロシアの踊り(トレパック) (Danse russe (Trepak))
: Tempo di Trepak, Molto vivace、ト長調、4分の2拍子(複合三部形式)。
◇d アラビアの踊り (Danse arabe)
: Allegretto、ト短調、8分の3拍子(変奏曲形式)。この曲のベースになった曲はグルジア民謡の子守唄である。
◇e 中国の踊り (Danse chinoise)
: Allegro Moderato、変ロ長調、4分の4拍子(小三部形式)。
◇f 葦笛の踊り (Danse des mirlitons)
: Moderato Assai、ニ長調、4分の2拍子(小ロンド形式)。A-B-A-C-Aの形を取る。おもちゃの笛「ミルリトン」(ミルリトンにはカップケーキ、マフィンのようなお菓子の名前と笛の名前がある)が踊る。
◇第3曲 花のワルツ (Valse des fleurs)
: Tempo di Valse、ニ長調、4分の3拍子(複合三部形式)。序奏は、オーボエ、クラリネット、ファゴット、そしてハープが効果的に用いられ、ハープのカデンツァののちに、ホルンにより主題が提示される。続くワルツの主題は弦楽部と管楽部の掛け合いによって反復される。中間部にはオーボエとフルートの新たな主題が現れ、さらにヴィオラ・チェロによる主題が提示された後、再び第一主題へと戻り、終結する。
○ 第2組曲
後年にアメリカの指揮者アーサー・フィードラーによって『くるみ割り人形』第2組曲が編まれており、これは
情景―冬の松林
雪片のワルツ
パ・ド・ドゥー―アダージョ
チョコレート
終幕のワルツ
の5曲からなる。
● 受容
本作は、バレエ以外のダンスとしても上演されることがある。2016年12月、雑誌『ニューズウィーク』では、2つのバレエの他にヒップホップとブレイクダンスを合わせたもの、そして3つのバーレスクを紹介している。
● 人種差別的な演出への対応
第2幕第6曲の「中国の踊り」では、ステレオタイプの中国人像が演じられることがある。2021年、ベルリン国立バレエ団は、滑稽な扮装と誇張された舞踊、肌の色を黄色で扮装することなどが人種差別的要素であるとして、当年のクリスマス公演の演目から排除。スコティッシュ・バレエ団は「中国の踊り」に加え「アラビアの踊り」についても劇中の舞踊と扮装を修正することを表明した。
「くるみ割り人形」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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