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さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち


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『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(さらばうちゅうせんかんヤマト あいのせんしたち)は、1978年8月5日に東映洋画系で公開されたアニメーション映画。 通称は「さらば」「さらヤマ」など。外国語表記は「Arrivederci Yamato」(アリーヴェデルチ ヤマト)。 2017年に『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』としてリメイクされている。

● 作品解説
テレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト』の続編(厳密には、本作を含めた続編は劇場版第1作の続編ではない)であり、「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」の第3作にして劇場版第2作。総集編だった劇場版第1作と異なり、完全新作のオリジナルストーリーである。1978年8月5日公開の夏休み映画として、全国133の映画館で封切りされた。地球と白色彗星帝国の戦いを通じ、ヤマト乗組員たちの死が描かれる。 1977年公開の劇場版『宇宙戦艦ヤマト』の成功を受け、同年11月に本作の製作が決定した。第1作のオフィス・アカデミーによる制作だと正月映画になってしまうため、夏休み公開を目指して制作能力の高い東映動画が制作に参加し、東映動画は以降の昭和ヤマトシリーズの劇場版と『オーディーン 光子帆船スターライト』を担当することになる。脚本と絵コンテに4か月をかけそれを上回り、前作の2倍以上の21億円とアニメ映画史上に残る大ヒットとなった。 監督は舛田利雄と松本零士が共同で担当。本作では舛田の意見が随所に反映されており、特にクライマックスのシチュエーションは、彼の監督作である戦争映画『零戦黒雲一家』との類似性が指摘される。本作で新たに登場する空間騎兵隊の斉藤始は、舛田が発案したオリジナルキャラクターである。 主題歌の歌手には、一般の人気が高い沢田研二が起用された。当時はアニメに人気歌手を使うことは異例だったが、沢田が歌う「ヤマトより愛をこめて」はオリコンにもランクインするほどのヒットとなった。ヤマトのストーリー同様「箝口令」が敷かれ、レコーディングは録音スタジオ・サウンドシティーにおいて密かに行われた。本作では他にもコスチュームデザイン協力にファッションデザイナーの花井幸子を起用する試みを行い、パブリシティに一役買っていた。 1978年5月の製作発表記者会見で西崎義展プロデューサーは「これで、ヤマトを最後にしたい」と語っており、最後に表示される観客向けのテロップは、初公開時は「もう二度と姿を現すことはない」と明言したものであった。これは1979年夏のヤマトフェスティバルでの公開版以降、「あなたが生きる限りヤマトも生き続けるでしょう」という意味の文面に差し替えられている。ビデオソフトやテレビ放送時は地上波、BS、CSを問わず差し替え版で、DVDでも初発売のLDサイズケースのものでは差し替え版だったが、後に発売されたものでは初公開時のテロップが再現されている。BDには両方が収録されており、どちらかを選択して再生できる。なお、このテロップは西崎の発案である。 本作の公開から2か月後の1978年10月14日には、ストーリーの大要が本作と同様であるものの結末は異なるテレビアニメ『宇宙戦艦ヤマト2』の放映が開始された。その後、シリーズの後発作品は本作ではなく、『ヤマト2』のストーリーを受け継ぐこととなる。 本作と『ヤマト2』の結末が大きく異なることについては、以下の2つの見解がある。
・ 松本は(現実世界の)戦争の記憶の残る時期に発表された前作において「目的を果たし、生還する」というメッセージ性を強く意識しており、ゆえに彼は本作の結末が特攻を美化するとして良しとせず、「生き残って再建の苦しみを描くべき」と主張した。そのため、後に『ヤマト2』が製作されることになる。
・ 一方、安彦良和によると、本作のヒットを受けて製作側は「もっと続編が作りたくなっちゃって、また生き返らせろというんですよ(笑)」ということになり、安彦は反対したものの主要登場人物たちが死亡しない内容に脚本が作り直され、それ以降の続編を制作することになった。 ヤマトの2代目艦長の土方役には当初、俳優の三船敏郎や仲代達矢が候補に上がっていたが、どちらも出演料が高額であることや西崎の方針で見送られたという
・ 大統領 - 梶哲也
・ 政治家 - 峰恵研
・ ズォーダー大帝 - 小林修
・ サーベラー - 小宮和枝
・ バルゼー - 大塚周夫
・ ゴーランド - 阪脩
・ ゲーニッツ - 村越伊知郎
・ ラーゼラー - 曽我部和行
・ ザバイバル - 富田耕生
・ ミル - 市川治
・ タラン - 矢田耕司
・ テレサ - 上田みゆき
・ アンドロメダ艦長 - 辻村真人
・ 部下 - 池水通洋
・ 副官 - 島英司
・ 操縦士 - 島田敏
・ ナレーター - 広川太一郎

● スタッフ
総勢1,200人
・ 企画・原案・製作・総指揮:西崎義展
・ 監督:舛田利雄
・ 監督・総設定:松本零士
・ 協力製作:今田智憲※ノンクジット
・ プロデューサー:吉田達
・ 原案:松本零士、舛田利雄※ノンクジット
・ 脚本:舛田利雄、藤川桂介、山本英明
・ 音楽:宮川泰
・ 作詞:阿久悠
・ アニメーション・ディレクター:勝間田具治
・ 助監督:棚橋一徳
・ 絵コンテ:安彦良和
・ 総作画監督:湖川滋(現・湖川友謙)
・ テクニカルディレクター:石黒昇
・ 作画監督:小泉謙三、荒木伸吾、芦田豊雄、宇田川一彦、落合正宗
・ 美術設定:辻忠直
・ 美術監督:勝又激
・ 共同デザイン:スタジオぬえ(宮武一貴、加藤直之 ※全てクジット)
・ 音響監督:田代敦己
・ 音響効果:柏原満(T.E.O ※ノンクレジット)
・ 録音:林昌平、宮内栄一
・ タイトル:多々良正春 ※ノンクレジット
・ 編集:千蔵豊
・ テクニカル助手:安濃高志※ノンクレジット
・ 制作担当:横井三郎、長島正治、広岡修
・ SF設定協力:豊田有恒
・ 衣装デザイン協力:花井幸子
・ 設定製作・鶴見和一
・ 演助進行・高山秀樹
・ 製作助手・山田哲久、倉内重男、斉藤晴美
・ 製作進行・池上悟、竹澤裕美子
・ 美術進行・鳥本武、丸森俊明
・ 仕上進行・平賀豊彦
・ 仕上検査・小椋正豊
・ 原画・青鉢芳信、石井邦幸、泉口薫、稲野義信、及川博史、小川明弘、兼森義則、金田伊功、金山通弘、木野達児、白土武、高橋信也、角田紘一、友永和秀、広田全、正延宏三、的場茂夫、姫野美智、(安彦良和)
・ 動画・石山毬緒、上野茂々子、小林敏明、加藤良子、川口栄夫、金子幸子、坂野隆雄、薄田嘉信、多田康之 服部照夫、松村啓子、平野俊弘
・ トレース・五十嵐令子、入江三帆子、奥西紀美代、黒沢和子、坂野園江、若井嘉治
・ ゼログラフ・酒井日出子、高橋章、戸塚友子、冨永勤、林昭夫、村松錦三郎、茂木明子
・ 彩色・阿部慶子、後藤美津子、佐藤道代、関口好子、藤橋清美、古屋紀子、増川千鶴子、村田邦子、山内正子、山田純子、吉村和子
・ 背景美術者・赤保谷則子 市原勝義、海老沢一男、小林祐子、下茂恵美子、松本健治、松本弘子
・ 特殊効果・岡田良明、佐藤章二、堰合昇
・ 撮影・相磯嘉雄、池田重好、片山幸男、清水政夫、武井利晴、高梨洋一、福井政利、細田民男、町田賢樹、目黒宏、吉村次郎、山田順弘
・ 編集所・㈱ タバック ※ノンクレジット
・ 編集助手・松原千佳子
・ 記録・黒石陽子
・ 製作デスク・野間喜美子
・ 宣伝・徳山雅也 松田郁夫、鈴木武彦 丸目卓也
・ 宣伝協力・徳間書店アニメージュ編集部 ※ノンクレジット
・ 演技事務・青二プロダクション、テアトル・エコー※全てノンクレジット
・ 録音・アバコスタジオ
・ 音響制作・グループ・タック ※ノンクレジット
・ 現像:東映化学
・ 協力プロダクション・スタジオ・ライブ、スタジオメイツ、タイガープロ、荒木プロダクション、アニメルーム、オープロダクション、スタジオZ、スタジオバード、スタジオライフ、スタジオコスモス、アトリエロビン ※全てノンクレジット
・ アニメーション制作:東映動画(製作費 3億6000万円、セル画 約6万5000枚、総カット数 2300、色数 約150種)
・ 配給・東映洋画

● 音楽・音響
本作の劇場公開直前の1978年8月1日、サウンドトラック音楽集『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 音楽集』がLPレコードとして発売された。演奏は、前年末発売の『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』でも演奏を担当していたシンフォニック・オーケストラ・ヤマトによる。音楽盤の詳細は各項目を参照。 この音楽集はサウンドトラック盤として発売されてはいたが、実際に本作中でBGMとして使用されたのは「白色彗星」と「都市帝国」の2曲のみであり、それ以外の曲はBGM用に編曲されたうえで使用された。これは、西崎義展に「観賞用としての音楽と"BGM"としての音楽は別物である」という主義があったためとも言われているで収録した『宇宙戦艦ヤマトIII』以外の作品では、制作初期に各種モチーフ楽曲を作曲・収録し、制作がある程度進行した後に、映像により合ったBGM用の楽曲の作編曲・収録を行うという、2段階に分けた音楽制作方式がとられるようになった。 本作に限った話ではないが、西崎が「実際に使うかどうかという考えは脇に置いておき、とにかく多く録る」という方針を取っていたため、収録曲数は邦画としては異常なほど多く、音楽盤未収録曲なども含めると200曲を超える。BGM用楽曲の収録回数は8回に上った。 本作の音楽で話題になったのが、パイプオルガンを用いた「白色彗星」のテーマである。宮川泰としても会心の出来だったようで、完成した直後に喜び勇んで「凄いのが出来たぞ!」と息子の晶(宮川彬良)に自慢したほどである。宇宙SF映画にありがちな曲になりそうな主題を、ありそうで無かった、覚えやすくキャッチーで、迫力もあり恐怖感も満点な曲に仕上げている。録音は武蔵野音楽大学のベートベンホールで1978年と同年6月22日。最初は音大の教師に依頼したが、泰がポップス系の作曲家だったために「ジャズやロックは弾けません」と断られたことで、晶に白羽の矢が立ったという)。しかし、晶はピアノとロックオルガンが専門で、ピアノとオルガンの奏法の違いに苦しめられた。録音はミスタッチが続きNGを連発し、たった3分ほどの曲に1日がかりになる状況のなか、晶はプレッシャーで泣きながら演奏した。用意した録音テープも底を尽き、最後の36テイク目で泰が「いいだろう」とOKを出し、ミスのない部分を編集でつなぐことで完成とした。演奏の際には、泰が晶の横に立ち、指揮をしながら晶に対して鼓舞や音楽の説明をしていた。
◇ 挿入歌・イメージソング「好敵手」 : 作詞 - 阿久悠 / 作曲・編曲 - 宮川泰 / 歌 - ささきいさお、フィーリング・フリー : 映画公開前に挿入歌として発売されたが、歌は本作でも『宇宙戦艦ヤマト2』でも使用されず、結果的にイメージソングという扱いになった。BGMとしても、『宇宙戦艦ヤマト2』第24話でのデスラーと別れるシーンで、アレンジ曲が使用されたのが唯一である(総集編では別の曲へ差し替え)。 : なお、ささきは後年のインタビューで「西崎さんは自分が歌わせたい人(本作の沢田や『ヤマトよ永遠に』の布施明など)で話題を作ろうとしてしまうから、(主題歌とは別に)日本コロムビア所属の歌手用にも歌を作っていた」と述懐し、本曲をその代表例として挙げている。
◇「テレサよ永遠に」 : 作詞 - 阿久悠 / 作曲・編曲 - 宮川泰 / 歌 - ささきいさお、フィーリング・フリー : 「好敵手」とカップリング(ジャケットには「B面」ではなく「片面」とある)。『ヤマト2』ではエンディングテーマとして使用された。モチーフを生かしたBGMは、『ヤマト2』でわずかに使われている。『テレサ…』の出だしのところで、“テレサ…”と呼びかける部分にささきがどうしてもイメージが出せないと言ったため、宮川はその部分だけ女性にうたわせることでピタリと決まったと述べている。

● 反響

・ 観客動員数 400万人
・ 興行収入 43億円 1979年7月には、劇場版『宇宙戦艦ヤマト』(スターシャ生存編)と劇場版『海のトリトン』とともにラストメッセージを改訂した本作が「宇宙戦艦ヤマトフェスティバル」として東映洋画系でリバイバル公開され、配収5億1000万円を記録した。 1978年の日本映画では、配収21億5000万円の『野性の証明』に次ぐ2位の興行成績を記録したヒット作品となった。 1991年公開の『魔女の宅急便』が配給収入21億5000万円を記録するまで、アニメ映画の興行成績(金額ベース)の記録を保持した。

● 長尺版の噂
本作は完成が遅れたことから、公開時の初期に一部劇場にて公式版よりもも尺が長く、一部セリフや音楽等の違う「零号フィルム」と称する初期バージョンが上映されたという噂が存在する。以下は主なシーンなど、「確かに見た」という証言も多く存在するとされている。よって、上映プリントと零号との間で上映時間の長さや音楽・セリフで違いが生じることは本来ありえないことである。事実、資料によれば、7月28日に「フィルムゼロ号完成。」、翌29日に「フィルム初号完成。」、8月2日に試写会が開催され、8月5日に全国133館で一斉封切りという零号から改めて編集やダビングをするには逼迫したタイムスケジュールである。 しかし、本作の5年後のケースで同じく東映洋画部が配給する1983年の『宇宙戦艦ヤマト 完結編』では18日にフィルムが完成すると、翌日の19日にほぼ日本全国での公開を、20日までには全ての劇場での上映を実現していた。それに対して本作は、前述のように初号が7月29日に完成し、全国封切りは8月5日と、プリントとその輸送については『完結編』よりもずっと余裕があるスケジュールである。 長尺版が存在するという主張には客観的な証拠がなく、「見た」という記憶に基づくものである。例えば、通常版よりも約30分長い上映時間を記した新聞掲載の映画館のタイムテーブル、通常版とは異なる劇場音声を録音したテープなどといった客観的な証拠が提示されたことはない。また、劇場版『宇宙戦艦ヤマト』や『宇宙戦艦ヤマト 完結編』の場合のような完成の遅れや異なる編集版について、公式な記録や当時の書籍、関係者の言及も見あたらない。 そして長尺版に存在したと言われる前述のシーンは、いずれも当時の『さらば』のシナリオ・ひおあきらによる漫画・小説・『オールナイトニッポン』のラジオドラマ版・『宇宙戦艦ヤマト2』などに存在しており、これらとの記憶の混同ではないかと指摘されている : 品番:BCXA-0713 / 販売元:バンダイビジュアル / 発売日:2013年4月24日 : 映像をHDデジタルリマスター化したBD。リマスターに際し、一部の撮影ミスがデジタル修正されている。また、静止画特典として本作の絵コンテが全編収められており、その中には上記の長尺版に該当する本編未使用シーンの絵コンテも含まれている。本BDは通常版のほか、劇場5作品のポストカードを付属特典とした限定版が、『宇宙戦艦ヤマト2199』のイベント上映劇場およびヤマトクルー通販にて販売された。

● 4Kデジタルリマスター版
IMAGICAエンタテインメントメディアサービスによる4Kスキャン&4Kリマスター作業が施された、4Kデジタルリマスター版。2024年1月5日から期間限定で劇場公開、および4K UHD BD/BDも発売予定。

「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
2024年10月13日22時(日本時間)現在での最新版を取得

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