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『日本沈没』(にっぽんちんぼつ、にほんちんぼつ)は、1973年(昭和48年)に刊行された小松左京による日本のSF小説。
1973年と2006年には映画化、1974年と2021年にはテレビドラマ化、1973年と1980年にはラジオドラマ化、1970年代と2000年代には漫画化、2020年にはWebアニメ化されるなど、様々なメディアミックスがなされている。
● 小説
1964年(昭和39年)から執筆が開始され、9年がかりで完成した。当初は複数巻となる予定だった長編を出版社の要請で短縮し、上下巻とした。本作品に先行して執筆していた『復活の日』で描かれるアラスカの大地震を予測するという設定は、本作品のために地震学の資料を集めていたことにも由来している。映画作品中においては、現実の地球物理学者であった竹内均博士を出演させている。
まず、1973年(昭和48年)3月20日に光文社カッパ・ノベルスより書き下ろしで上下2巻が同時刊行された。当初は3万部ずつだったが、版数を重ねるごとに出版数が増え、上巻204万部、下巻181万部の計385万部まで伸び、「空前の大ベストセラー」とも評された。その結果、1億2,000万円の収入を得た小松は文壇長者番付の5位にランクインし、1974年には第27回日本推理作家協会賞、第5回星雲賞日本長編部門をそれぞれ受賞している。刊行から50年を経た2023年時点での累計部数は490万部を超える。
ベストセラーになったことにより、小松の知名度を上げて日本におけるSFの浸透に一役買うことになった。その背景には、高度経済成長が終わりを迎えた1970年(昭和45年)の日本万国博覧会に代表される薔薇色の未来ブームへのアンチテーゼとして登場したことの衝撃に加え、1973年の狂乱物価とも言われたインフレーションやオイルショックなどによる社会不安があった。また、同年が関東大震災から50年という節目でもあり、本作品によって大規模災害への不安が喚起されるきっかけともなった。一部のマニアに愛好されるものであったSFというジャンル自体も、一般に普及していったとされる。
1976年には、マイケル・ギャラガーによる3分の1ほどの抄訳が、アメリカにて『JAPAN SINKS』のタイトルで出版された。
小松自身は、題名を「『日本滅亡』――果てしなき流れの果てに…、出発の日」とつけていたが、担当編集者であった浜井武の「『日本沈没』のほうが“滅亡”よりユーモラスだ」という主張により、『日本沈没』となったという。
元々は「日本人が国を失い放浪の民族になったらどうなるのか」をテーマに据えており、日本列島沈没はあくまでもその舞台設定で、地球物理学への関心はその後から涌いたものだという。しかし、そのために駆使されたのが当時になって広く認知され始めていたプレート・テクトニクスであり、本作品はその分野を広く紹介する役割をも果たした。この分野に関する作品中の解説やアイデアは、修士論文に相当するとの声もあったほどである。
難民となって世界中に散っていった日本人を描く第2部の構想(仮題は『日本漂流』)もあったことから、下巻の最後には「第1部・完」と記されていた。下巻発刊後から長らく執筆されることはなかったが、2006年のリメイク版映画の公開に合わせ、谷甲州との共著という形で出版された。
◎ 物語
197X年夏。小笠原諸島の北にある無名の小島が、一夜にして海底に沈んだ。地球物理学者・田所雄介博士は、ただちに現地調査に赴く。深海調査艇「わだつみ」号の操艇者・小野寺俊夫、海洋地質学者の幸長助教授と共に日本海溝に潜った田所は、海底を走る奇妙な亀裂と乱泥流を発見する。
おりしも伊豆半島付近で地震が発生し、それに誘発されて天城山が噴火したため、内閣では地震学者との懇談会を開いて意見を聞くことになった。その席に招かれた田所は「日本がなくなってしまう」可能性を口にするが、学者仲間の失笑を買うだけだった。だが、政財界の黒幕である渡老人は自らの周囲に起きていた事象と符合する田所の説に興味を抱き、それを検証するために首相を呼びつけ、極秘で「D計画」を立ち上げさせる。
D計画に集った田所、幸長、小野寺、情報科学者の中田一成らは、やがて一つの結論に達する。それは、日本列島近傍のマントル流に急速な異変が起こっており、その結果として「日本列島は最悪の場合2年以内に、地殻変動で陸地のほとんどが海面下に沈没する」というものだった。一方、渡老人は比較文明史学者の福原教授らに依頼し、日本人の国外脱出とその後に関する計画を策定させる。
その間にも京都に次いで東京が巨大地震に襲われ、富士火山帯の火山が相次いで噴火するなど、異変は着実に進行していた。田所は危機が迫っていることを国民に知らせ、そのことに対する反応を見ようと故意に週刊誌とテレビで情報を暴露し、D計画を去る。
その後、コンピューターによるシミュレーションの結果、日本沈没が10か月以内に迫っていることが判明し、首相は日本沈没の危機が迫っていることを国会演説で発表する。休火山までが活動を始めるなか、精鋭スタッフたちは死に物狂いで全国民の国外脱出計画「D-2」を遂行し、日本人を続々と海外避難させる。一方、あえて国内に留まり日本列島と運命を共にする道を選択する者もいた。
そして、日本列島は四国を皮切りに次々と海中に没していき、最後まで残っていた北関東が大爆発を起こした結果、完全に消滅する。
◎ 設定
197X年と書かれているが、執筆当時から予測される近未来と設定されており、当時はまだ完成していなかった施設のうちのいくつかが既に稼動しているものとして話が進められている。新東京国際空港(現在の成田国際空港)・青函トンネル・関西国際空港(小説上は神戸沖だが、現実の神戸沖には神戸空港があり、実際の関西国際空港は大阪南泉州地区沖にある)など。大型コンピュータのLSI化など確実に未来を予測したものもある。
実現しなかった未来の描写としては、水深1万メートルまで潜れるような深海潜水艇や超音速輸送機が多数登場する点が挙げられる。現実では、かなり未来のこととなったものを登場させているものとしては超電導リニアが全線の測量が終わり工事が始まっている。一方で東海道新幹線にビュフェがあるなど、その後の時代からみれば懐かしい描写もある。
国際情勢に関しても、執筆中に情勢が変化しているケースもあった(作中にはパプア紛争に介入する形で日本人の移住先確保を図ろうとする構想が描かれているが、発売直前にインドネシアが併合を強行している)。
日本列島を沈没させる科学設定のほかにも、「ナカタ過程」と呼ばれる架空の理論など、完全にフィクショナルな科学描写もある。
また、日本が沈没するのは人口増加率が減少に転じた数年後という設定もあり、そのため、ひそかに進められている海外移転計画が海外から「日本の人口対策ということはありえないと怪しまれる」という描写がある。
◎ 用語解説
◇ D計画
: 日本列島の地質的大変動の可能性について極秘裏に調査・研究する計画。「D」の意味については、作中では特に言及されていない。
: 初期段階では首相のほか総理府総務長官、内閣官房長官、防衛庁長官のみの知る極秘プロジェクトで、内閣調査室、総理府、防衛庁からの機密費と、渡老人からの資金援助によって運営されていた。発足時のメンバーは田所(地球物理学)、中田(情報工学)、幸長(海洋地質学)、山崎(内閣調査室)、小野寺(潜水艇技術者)、安川(会計担当)。のちに、最悪の事態が生じた際の、人間と資産の国外退避に関する研究を行う「D-2」が追加されたため、それまでのD計画は「D-1」と呼ばれるようになり、東京大震災以後に規模を拡大、気象庁、国土地理院、地震研究所などを巻き込む巨大国家プロジェクトに発展する。なお、D-2は自衛隊で検討される。
: 日本政府が危機を公表してからは退避計画実行委員会の下部組織となり、その後、日本政府自体が国外に脱出してからは、ホノルルに本部を置く救出対策本部の下部組織として、海上自衛隊護衛艦「はるな」に本部を置く。
◇ 国連日本救済特別委員会
: 国連事務総長ビン博士の主導により、総会直属の特別委員会として、世界各地域17か国を構成国として設立された。委員長は国連タンザニア代表でアフリカ経済委員会メンバーのンバヨ。副委員長は米ソ両国から選出。日本は議決権・交渉権のない特別メンバーとなっている。
● 登場人物
・基本プロットは複数人物による群像劇として描かれており、章によっては主人公が変わる。
◇小野寺俊夫
:深海潜水艇の操艇者。30代。独身。潜水士と海技士の資格を持つ。当初は海底開発KKに勤めていたが、後にD-1計画に引き抜かれる(身分的には臨時雇)。戦後生まれで、出世や組織の属すること、国家に対しても興味がなく、純粋に海が好きで潜水艇を操縦しており、その性格を田所に早々と見抜かれて海洋研究で本格的に力を貸す。
◇田所雄介
:地球物理学者。博士。作中では「田所博士」と呼ばれることが多い。「エピローグ」の時点で65歳。独身。和歌山県出身。田夫野人な性格の人物として知られる。元M大客員教授。現在は大学には在籍せず、新興宗教「世界海洋教団」をスポンサーにして個人研究所を運営している。D-1計画の中心人物。小野寺と同様に出世に興味がなく純粋に自然や物理、日本列島を好んで研究する人物。「科学者に必要な物は直感」がモットーだが日本列島が沈没すると当初から予感しながら科学的証明が出来ずに悩んでいた。
:米軍や新興宗教の資金援助を受けたり、公開の席上で他の研究者を面罵したりするといった態度のため、日本の学界では嫌われているが、海外での評価は高い。のちに週刊誌に情報を漏洩した上、泥酔状態でテレビのワイドショーに出演し、同席していた山城教授に暴行を加えて逮捕され、D-1計画を去り消息を絶つ。実は、日本沈没が迫っていることを国民にそれとなく知らせるため、渡・中田と示し合わせた上で打った芝居だった。日本列島と運命を共にすることを決意しており、最後まで日本に残る。
◇幸長
:海洋地質学者。M大学の助教授で田所の右腕的存在。銀縁眼鏡を着用。常識人で、小野寺や田所を気遣う。政界にもコネクションを持ち、田所と渡老人を引き合わせてD-1計画を発足させ自らもメンバーとなる。田所を支持する半面自らの立場に対する不安を抱く。田所が暴行事件を起こして逮捕された後は実質的にD-1計画の責任者となる。
◇首相
:内閣総理大臣。60代。渡老人に陣笠議員のころから造船疑獄事件などで助けてもらい、渡の力により首相の座に就いた人物で、異常事態において、決断が迫られる中覚悟を決めてD-2計画を推し進める。姓は緒形だが、作中ではもっぱら「首相」または「総理」と呼ばれている。
◇阿部玲子
:作中のヒロインの一人。大手財閥の令嬢で、政略結婚を目的に小野寺と見合いをさせられる。海岸で一夜をともにし、小野寺を運命の相手と見定めて結婚を決意する。
◇麻耶子(マコ)
:作中のもう一人のヒロイン。西銀座のバー「ミルト」のホステス。小野寺の深海潜水に純粋に興味を持っている。
◇渡老人
:「箱根の老人」の異名を取り、政官財で暗躍する黒幕。100歳という高齢にもかかわらず、一種の激しい精神力と、端的かつ鋭い質問を浴びせるような明晰な頭脳を持っている。戦前は満州事変当時活躍し、直接ではないにしろ大勢の人間を死なせているという。戦時中は完全な生活を送って、戦犯にならずにやり過ごし、戦後は最初の15年ほどは猛烈に活動したが、80歳を過ぎてからは自分からは動かず、政財界の大物からアドバイスや、調停の口利きを依頼されていた。ツバメが巣を作ったまま帰ってこなくなったり、植物の咲き方の些細な異変から日本で異変が起きていることを肌で感じていた。田所の科学的な直感を信じ、総理を茅ヶ崎の自邸に呼びつけて、ほんの二言三言で「D計画」の実行を決意させる。最後は日本列島が沈みゆく中、府中の邸宅で、田所に看取られ息を引き取る。
◇花枝
:渡老人の身の回りの世話をする少女。第5章の時点で23歳。
◇邦枝
:総理府秘書官で幸長の友人。渡老人と同郷。渡老人の右腕的存在で、政府や田所との仲介を行う。
◇中田一成
:情報科学者で幸長の大学時代からの友人。D-1計画のメンバー。既婚者。確率無限小と思われる現象が、自然の中ではなぜ起こりえるか、ということについて「位相学的確率論」を提唱、一部では「ウィーナー過程」「マルコフ過程」とならんで「ナカタ過程」と呼ばれている。田所がD-1計画を去った後は、幸長とともに最後まで計画を支え続ける。政府との板挟みとなり、正確な被災情報はコンピューターでも計れないと政府に呼び掛ける。
◇結城
:小野寺の親友で同じ会社に勤める操艇者。後に小野寺の誘いでD-1計画に引き抜かれる。
◇野崎八郎太
:外務省特別顧問、国連日本救済特別委員会特別委員。外交問題を一手に任される老人。流暢なクイーンズイングリッシュをしゃべる。D-2計画の海外亡命の仲介を行う。
◇山崎
:内閣調査室調査官。D-1計画メンバー。代々木のD-1計画本部にいた時に東京大地震に遭遇する。
◇片岡
:防衛技研所員。D-1計画メンバー。
◇安川
:D計画の会計担当者。大学を出たばかりの青年で、立場上は臨時雇い。東京大震災の衝撃で記憶を失う。
◇穂積
:D-1計画メンバー。調査結果が世間に漏れないように情報操作を行うために引き抜かれる。
◇真下
:地震研究所助教授。D-1計画メンバー。
◇福原
:比較文明史学者。京都の大学教授。50代。渡老人に依頼されて日本人の国外脱出計画の策定を行うが、途中で「何もせんほうがいい」という案に傾きかける。大綱を渡に提出した直後に過労死する。
◇郷六郎
:N建設調査部の地質調査技師で小野寺の友人。東海道新々幹線(リニアモーター超特急)の基礎工事に関わっていたが、京都大地震の直前に変死体で発見される。のちに、地殻変動によって新々幹線の建設が不可能になることに独自に気づき、その事態を受け入れられずに自殺同然の事故死を遂げたことが明らかとなる。
◇ンバヨ
:国連タンザニア代表で国連日本救済特別委員会委員長。若い頃にアフリカ統一機構に出向していたことがある。理想主義者。日本沈没を日本人の枠でとらえず「私たち人類に対する試練」と言及し、人種や国という考えを捨てて結束すべきだと促す。
◇オーストラリア首相
:オーストラリア首相。渡老人との取引でオーストラリアに日本移民受け入れを承認する。ユダヤ人であり国を無くした日本人がこれからユダヤ人のような流浪の民になることにより試練が待ち構えることを予見する。
◇吉村
:海底開発KKの部長、出世を狙い小野寺に政略結婚を勧める。日本沈没時はスイスに逃げる。
◇D・マルタン
:ベルギー人の美術商。裏で密輸と窃盗を行っておりインターポールから目をつけられている。渡老人と裏取引を行う。
◇小野寺の兄
:兵庫の実家に住む小野寺の兄。カナダの会社からヘッドハンティングを受けている。
◇山城
:地質学者。T大教授。田所と不和で、以前からその研究を冷笑している。田所からは、専門分野では優秀だが視野が狭いと評されている。
◇大泉
:地震学者。K大教授。田所がアメリカ海軍の委嘱を受け軍事研究の下請けを行っていた過去を、ことあるごとに批判する。田所からは、山城同様、専門分野では優秀だが視野が狭いと評されている。
● 外部リンク
・筑摩書房「『砂の器』と『日本沈没』70年代日本の超大作映画」
・
・
● 1973年の映画
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作品名 = 日本沈没
原題 =
画像 =
画像サイズ =
画像解説 =
監督 =
製作総指揮 =
製作 =
脚本 = 橋本忍
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音楽 = 佐藤勝
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編集 = 池田美千子
美術 = 村木与四郎
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上映時間 = 140分
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言語 = 日本語
制作費 = 5億円
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前作 =
次作 =
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東宝映画・東宝映像の製作、東宝の配給で1973年(昭和48年)12月29日より正月映画として公開された。当初は同時上映に『グアム島珍道中』がつけられていたが、途中から本作品の1本立て興行に改められた。
映画化の企画は東宝プロデューサーの田中友幸によって小説の刊行前から進められており、「映画化のあと、TBSでテレビドラマ化する」という契約が交わされていた。このため、撮影現場にはテレビドラマ版のスタッフも2台のカメラを持ち込んで撮影参加している。
監督は黒澤明作品でチーフ助監督を務めた経験がある森谷司郎が、脚本は同じく黒澤作品に参加していた橋本忍がそれぞれ担当した。製作期間は約4か月と短かったが、約880万人の観客を動員し、配給収入は16億4,000万円(1974年邦画部門配給収入1位)を挙げる大ヒットを記録した。また、中野昭慶が監督した特殊撮影もアジア映画祭の特殊効果賞を受賞する評価を受けた。本作品の成功で、森谷司郎は『八甲田山』などの大作映画を任せられる監督の地位を確立し、東宝も本作品に続く形で『ノストラダムスの大予言』(1974年)、『東京湾炎上』(1975年)、『地震列島』(1980年)までパニック映画を一つの路線として敷くこととなった。
アメリカ合衆国では、1975年にロジャー・コーマンのニューワールド・ピクチャーズにより『'』のタイトルで公開された。ハリウッド俳優を使った追加撮影も行われたが、オリジナルより大幅に短縮されている。アメリカでは100万ドルの配給収入を挙げた。
◎ 出演者(1973年の映画)
以下の順番は本編クレジットに準拠。
1 1974年
10月6日 飛び散る海 山根優一郎 福田純
田渕吉男 森下悦子:望月真理子
森下信介:下條正巳
悦子の母:今井和子
ニュースキャスター:新堀俊明
下田の消防団:加藤茂雄(ノンクレジット)
下田の消防団:今井和雄(ノンクレジット)
下田の消防団:広瀬正一(ノンクレジット)
支配人:鹿島信哉(ノンクレジット)
2 10月13日 海底の狂流 西村潔 森下悦子:望月真理子
土屋医師:佐々木勝彦
巡視船の船長:不明
3 10月20日 白い亀裂 ジュン:関根世津子
刑事:鈴木治夫
小野寺の友人:石山克己
4 10月27日 海の崩れる時 長野卓
川北紘一 漫才コンビ ヒロ・タケシ:正司敏江・玲児
家政婦:江田正子
佐藤健
八木和子
アナウンサー:池水通洋
5 11月3日 いま、島が沈む 長坂秀佳 絹川俊介:村井国夫
矢島教諭:津野哲郎
島民:木田三千雄
太一:新井つねひろ
少年:山瀬洋
少女:岩城けい子
看護婦:桂木美加
島民:草間璋夫
島民:夏木順平
島民:榊田敬二
6 11月10日 悲しみにく大地 西村潔
田渕吉男 絹川俊介:村井国夫
刑事:堺左千夫
佐々木一彦:頭師孝夫
刑事:加藤茂雄
後宮次長:守田比呂也
7 11月17日 空の牙、黒い竜巻 山根優一郎 トラックの運転手:広瀬正一
ドライバー:所雅樹
アナウンサー:池水通洋
ドライバー:宮村義人
家政婦:江田正子
フロント係:佐田淳
8 11月24日 怒りの濁流 山際永三
高野宏一 源さん:柳谷寛
官房長官:近藤準
科学技術庁長官:永井玄哉(ノンクレジット)
総理府総務長官:田中志幸
建設大臣:相原巨典
ダムの職員:猪野剛太郎
管理人:和久井節緒
アキオ:八幡洋之
カズコ:松村みゆき
支配人:名川貞郎(ノンクレジット)
D計画職員:大矢兼臣(ノンクレジット)
警備員:稲川善一(ノンクレジット)
レストランの客:渡部猛(ノンクレジット)
9 12月1日 海底洞窟の謎 石堂淑朗 徳光春夫:大和田獏
徳光太左衛門:玉川伊佐男
大西良夫:三津田健
アナウンサー:池水通洋
D計画職員:大矢兼臣(ノンクレジット)
10 12月8日 阿蘇の火の滝 長坂秀佳 金谷稔
川北紘一 沖田健司:大門正明
北川レイ子:新井春美
レイ子の父:高原駿雄
青木則彦:亀谷雅彦
藤田康之
大貫幸雄
高橋務
阿蘇山の饅頭売り:大村崑
11 12月15日 京都にオーロラが 山根優一郎
高野宏一 日高:東野孝彦
12 12月22日 危うし京の都 真船禎 日高:東野孝彦
藤田ゆみ
針谷弘之
藤井敏夫
吉川友子:夏純子
木村弘三:根上淳
アナウンサー:市川治、作間功
13 12月29日 崩れゆく京都 吉川友子:夏純子
木村弘三:根上淳
官房長官:近藤準
科学技術庁長官:斉藤英雄
総理府総務長官:田中志幸
建設大臣:相原巨典
ダグラス教授:トニー・セテラ
久米勲夫
竹渕真一
藤田ゆみ
住職:不明
14 1975年
1月5日 明日の愛 長坂秀佳 長野卓
川北紘一 天竜:荒谷公之
作業員:矢野間啓二
大田黒清吉:穂積隆信
現場監督補佐:柳生博
省吾の姪:和田麻里
ヒロシ:五藤義秀
マコト:益子隆充
桂省吾:五木ひろし
教授:竹内均(ノンクレジット)
15 1月12日 大爆発・海底油田 山内和美:浜美枝
山内弥作:柳沢真一
浜倉清司:新克利
ロバート・カスター:フランツ・グルーバー
老漁師:山田禅二
居酒屋の主人:池田生二
林寛一
漁師:吉中正一
漁師:貝武
和美の息子:安田泰三
カスターの声:辻村真人(ノンクレジット)
16 1月19日 鹿児島湾SOS 山根優一郎 山際永三
高野宏一 結城ユカリ:田坂都
牛山社長:神田隆
職員:小松英三郎
巽:石井宏明
マダム:五月晴子(ノンクレジット)
主婦:岸井あや子(ノンクレジット)
ウクレレ易者 牧震学:牧伸二
ヤスコ
17 1月26日 天草は消えた 坂本和夫:林家木久蔵
坂本ハル:武智豊子
有吉光一:高津住男
北村主任:弘松三郎
天草の住民:細井利雄
D計画職員:石矢博
山田孝子
アナウンサー:市川殆
坂本ヤス子:木島幸
坂本リョウイチ:大沢総一郎
大浦隆
佐古雅美
18 2月2日 危機せまる小河内ダム 西村潔 永井三郎:下條アトム
二本松直子:水沢アキ
安五郎の妻:石井富子
西崎所長:有馬昌彦
タクシー運転手:藤井敏夫
ダム職員:門脇三郎
坂本ハル:武智豊子(ノンクレジット)
D計画職員:石矢博(ノンクレジット)
二本松安五郎:藤木悠
19 2月9日 さらば・函館の町よ 長坂秀佳 金谷稔
川北紘一 北條はな:千石規子
井上元太:保積ぺぺ
北條百合:竹井みどり
五郎:小原秀明
カズオ:福崎和宏
シゲル:鍋谷孝喜
操縦士:大理淳
20 2月16日 沈みゆく北海道 服部いく:加茂さくら
和田熊吉:草薙幸二郎
自衛隊員:宇留木康二
ミチ子:岩城睦子
サスケ:江村和紀
谷川村の老人:榊田敬二
シゲ:夏木順平(ノンクレジット)
マサ:草間璋夫(ノンクレジット)
官邸職員:今井和雄(ノンクレジット)
ミチ子の母親:川口節子(ノンクレジット)
21 2月23日 火柱に散る、伊豆大島 長野卓
高野宏一 島本嘉門:吉田義夫
店主:小川安三
客室乗務員:伊藤よし子
アベック:中島公子
タエ子:山添三千代
コウヘイ:古堀宏
タエ子の母:川口敦子
大崎健一郎:福田豊士
タロー:カーリー カワサキ スヤマ号
(渡紀エンタープライズ)
22 3月2日 折れ曲がる、日本列島 山根優一郎 石黒順一:小倉一郎
石黒房代:北沢典子
小里:水谷邦久
岸本:鈴木和夫
石黒弘二:高野浩幸
石黒サチ子:中村亜子
石黒泰三:土屋嘉男
23 3月9日 海に消えた鎌倉 金谷稔 ヨウコ:山岸成美
中島外相:中村伸郎(ノンクレジット)
24 3月16日 東京都民・脱出せよ 海上自衛隊幹部:永谷悟一
若者:寺本梢
若者:吉田めぐみ
エミー:ポーラ野沢
若者:平野康
若者:佐古雅美
若者:石田徹
25 3月23日 東京が沈む 福田純 ヘリ整備係:山田禅二
救急隊員:今井和雄
岡山看護婦:若原初子
アナウンサー:田川恒夫
操縦士:大理淳
外国人女性:ハリー・ブラウン
26 3月30日 東京最後の日 松本銀二:小鹿番
松本照子:曽我町子
自衛隊員:酒井郷博
松本夫妻の長男:池田義彦
◎ 映像ソフト(1974年のテレビドラマ)
◇ レーザーディスク
:
・ 日本沈没 LD-BOX D-1(7枚組)(1996年10月25日、アミューズソフトエンタテインメント AML-37)
:
・ 第1回から第14回を収録。
:
・ 日本沈没 LD-BOX D-2(6枚組)(1997年2月21日、アミューズソフトエンタテインメント AML-48)
:
・ 第15回から第26回(最終回)を収録。
◇ DVD
:
・ 日本沈没 TELEVISION SERIES(全9巻、アミューズソフトエンタテインメント)
:
・ M-1.0(第1巻)からM-3.0(第3巻)は、2001年4月27日に発売。各3話を収録。
:
・ M-4.0(第4巻)からM-6.0(第6巻)は、2001年5月25日に発売。各3話を収録。
:
・ M-7.0(第7巻)からM-9.0(第9巻)は、2001年6月22日に発売。M-7.0(第7巻)・M-8.0(第8巻)は3話を収録、M-9.0(第9巻)は2話収録。
:
・ 日本沈没 TELEVISION SERIES プレミアム・ハザードBOX(DVD 9枚組)(2006年7月7日 アミューズソフトエンタテインメント ASBP-3423)
:
・ 上記DVD 9枚をセットにしたDVD-BOX
◎ 外部リンク(1974年のテレビドラマ)
・
● 2021年のテレビドラマ
● 2020年のWebアニメ
● 1973年の連続ラジオドラマ
映画版、テレビ版より早い1973年10月8日から1974年4月5日の半年間、毎日放送制作で、9:00 - 15分の帯番組として、月曜から金曜の毎日、全国ラジオネットワーク(NRN)系列局で放送された。全130回。
主人公小野寺の名前を俊夫から浩介へ、小野寺が乗る潜水艇の呼称をケルマデックからケマルデックへ、などの設定の変更がされている。また、小野寺の亡母が三保(現在の静岡市)で入水した、などの追加がされた。
◎ スタッフ(1973年の連続ラジオドラマ)
・演出:岡本愛彦
・脚色:蓬萊泰三
・音楽:田中正史
・効果:高田暢也
・演出助手:竹内東弥
◎ キャスト(1973年の連続ラジオドラマ)
・小野寺浩介:江守徹
・阿部玲子:太地喜和子
・田所雄介博士:加藤武
・幸長信彦助教授:金内喜久夫
・中田一成:高橋悦史
・邦枝:角野卓造
・山本総理:北村和夫
・渡老人:龍岡晋
・吉村秀夫:下川辰平
・ナレーター:川辺久造
・その他出演:文学座
● 1973年の単発ラジオドラマ
上記のラジオドラマとは別に、1973年11月4日には文化放送にて『小松左京「日本沈没」より ここを過ぎて悲しみの都へ』と題したラジオドラマが放送された。原作から「日本が沈む」という設定だけを取り込み、政府の思惑や地殻変動の仕組みを知らない一市民が未曾有の大災害に翻弄される姿を描いた作品。
第28回(1973年)文化庁芸術祭ラジオ部門優秀賞受賞。
音源は放送ライブラリーで保存・公開されていた一方、文化放送社内では長らく作品のことは「忘れ去られたまま」だったという。その後、当時の放送を収録したオープンリールが小松宅で偶然見つかったことをきっかけに、2023年12月から2024年1月にかけて計4回放送された年末年始特番『小松左京クロニクル 「日本沈没」を探す旅』の中で、50年ぶりに再放送された。
◎ 『続日本沈没』の企画
1973年末夕刊紙に東宝の翌年以降の大作ラインナップの広告が出された際、『エスパイ』、『ノストラダムスの大予言』などと共に発表された。製作前の各作品に「抽選で50名を試写会にご招待」とまで告知された。
監督と特技監督には前作と同じ森谷司郎と中野昭慶を起用。タイトル横に付けられたキャッチ・コピーは「祖国を失った日本人は世界史から抹殺されるのか?」だった。プロットとしてはジュネーブで再会する小野寺と玲子、難民化した日本人の受難、日本政府の裏資金での国土調達活動などが描かれると言われた。しかし、小松の原作執筆が進まず、公開予定が1976年に延期されたのち、製作は立ち消えになり幻の企画となった。
◎ 『新日本沈没』の企画
1995年から1998年にかけて、東宝により企画された再映画化案。北山裕章と映画『さよならジュピター』の監督を務めた橋本幸治がプロデューサーとされ、脚本家として米村正二らが候補に上がった。ストーリーには原発事故による複合災害や新島での日本再建といった要素が盛り込まれ、CGと特撮の併用による撮影が計画されていたが、同時期に企画されていた松竹の『日本沈没1999』が先行して映画化の許諾を得ていたことから、企画は立ち消えとなった。
◎ 『日本沈没1999』の企画
1998年9月30日に銀座東急ホテルで、松竹が1999年12月から公開する2000年の正月映画として『日本沈没1999』の製作発表を行なった。監督には大森一樹を起用。ストーリー面では、大森と小松両氏が1995年の阪神・淡路大震災の被災者でもあることから、その経験を活かそうと阪神・淡路大震災当時に見られた若者たちのボランティア活動やインターネット上の動向を盛り込もうと意欲を見せたほか、原作小説におけるD-2計画に重点を置いたものになる予定であった。また、先述の『新日本沈没』と同様に原発災害を盛り込む案も存在した。映像面ではスペクタクルシーンにCGを活用する方針を採用。光吉俊二、大原伸一といったスタッフの名前が挙げられ、パイロット映像も作成されていた。
総製作費12億円、配収目標30億円の大作になる予定だったが、業績不振の松竹は制作費を調達できず、1999年3月5日の記者会見で大谷信義社長が「検討中」とコメントし、同作の関係社員を異動させたことも明らかとなり、事実上の製作中止が確定した。結局、2000年の松竹の正月映画には大島渚の監督作『御法度』が公開された。
● 小説『日本沈没 第二部』
小説の続編である『日本沈没 第二部』が、2006年の再映画化に合わせ、谷甲州との共著という形で2006年7月に出版された。
◎ 執筆までの経緯
テレビでの対談において続編の構想について質問された小松は「日本沈没時、大量に発生した火山灰のため地球全体が寒冷化し、地球規模の食糧不足となり、そのような状況の下、世界各地に散らばった国を失った日本人がどうなるかを考えていたが、昨今の火山の噴火に伴う同様の状況の現出など、あまりに現実的すぎるテーマとなってしまい筆が進まないでいる」という趣旨の回答をしており、第2部においても「地球寒冷化」が「日本人の行く末」と並んで重要なテーマとされている。
後に小松と彼を慕う若手SF作家(谷や森下一仁ら)を中心として『日本沈没』の続編を執筆するプロジェクトが立ち上げられて、沈没後に残された日本人と地球がたどるであろう運命について議論が交わされて小松の元で基本的なプロットがまとめられた。だが、小松が既に老齢であったこともあり、実際の執筆は沈没後の日本人が活躍の舞台とするであろうアジア地域での生活が長かった谷が担当したが、出版後の2011年に小松は逝去することになる。
◎ あらすじ(第二部)
日本列島の大半が海底に沈んだ「異変」から25年が過ぎた。かつて日本列島があった海域は、領有権の主張はおろか、学術的な調査すらも凍結された状態で残されていたが、その付近には中国の海洋調査船がひそかに入り込んでいた。海上自衛隊のワタリ准尉らは、白山の一部が岩礁として残っているのを発見する。
かつてのD計画の中心人物で、現在は日本国の首相となっている中田一成は、日本国を再建するために大和堆の上にメガフロートを建設する計画を進めようとする。しかし、それは中国をはじめとする周辺諸国とのを招くことになった。
ところがその矢先、地球シミュレータによるシミュレーションで、「異変」にともなって噴出した膨大なエアロゾルが地球の寒冷化を促し、新たな氷河期が近づきつつあることが判明する。
鳥飼外相は中田首相に対し、メガフロート計画を人類救済のために転用するように主張するが、中田は納得できず鳥飼は外相を辞任する。中田はアメリカとの軍事同盟に頼って事態打開を図るが、アメリカは責任を日本政府に押し付けるような情報操作を行ったうえで地球シミュレータを接取しようとする。
◎ 設定(第二部)
◎ 登場人物(第二部)
◇ モーシェ・・ワタリ
: 海上自衛隊准尉で、護衛艦「くらま」の搭載ヘリ乗員。イスラエルと日本の二重国籍。渡花枝の長男で、桜の異父兄。
◇
: 渡花枝の長女で雅俊の異父妹。戸籍上の姓は吉村だが、母方の姓を名乗っている。中田首相の私的秘書として、「異変」を記録する役割を与えられる。
◇
: 「日本人の子を産め」という渡老人の遺言に忠実に従い、さまざまな国の何人もの男性と結婚・離婚を繰り返したため、多数の国籍と名字を持っている。第一部から登場しているが、「渡」姓は第二部で初めて言及される(渡老人との血縁関係は明言されていない)。
◇
: 海上自衛隊三佐。「くらま」搭載ヘリ機長。雅俊の上司。
◇
: 中田首相の旧友で、花枝とも旧知の間柄。第一部においてD計画のメンバーの一人として活動した。
◇
: 日本国首相。かつてのD計画の中心メンバーの一人であり、政治家となってからも学者時代の旺盛な好奇心を覗かせる。第一部ではニヒルな態度をとることがしばしばあったが、第二部では失われた「日本」に対する深い執着を見せる。
: 世界各地に散らばった日本人難民の再編と、メガフロートによる日本国の再建を進めようとするが、その矢先に地球シミュレータにより全地球の寒冷化が判明。計画を中止し首相を辞任、鳥飼元外相にその地位を禅譲する。
◇
: 日本国外務大臣。中田首相と対立して外相を辞任した後、首相の地位を禅譲される。
: 日本列島が沈没した年の外務省入省組で沈没まで海外経験がほとんどなく、そのため、日本国にこだわらず人類の存続を考えることができる。
◇
: 農業開発機構所員。農地開発の専門技術者で、パプアニューギニア入植地の開発を担当している。日本沈没を経験した一世世代。
◇
: ガイア農業開発研究所長。
◇
: 海洋開発機構所属の「ずいほう」の船長。
◇
: 海洋開発機構研究員。
◇
: 日本国農林水産省(オーストラリアのダーウィンに置かれている)の官僚。地球シミュレータのプロジェクトリーダー。
◇
: 農林水産省技官。
◇
: 農林水産省技官。
◇ 巌谷
: 日本国建設省官僚。
◇
: 日本政府連絡員。
◇ 田原
: 国際連合日本政府代表部一等書記官。
◇
: 国連難民高等弁務官事務所職員。第一部では富士山の噴火に巻き込まれ、真鶴道路附近で行方不明となっていたが、生存していた。生き別れとなった元婚約者である小野寺のことが忘れられず、業務のかたわら、小野寺を探している。
◇
: 駐ニューヨーク中国領事館副領事。中国国内のNGO活動にも深く関わっている。
◇
: カザフスタンの日本人難民リーダー。じつは記憶喪失となった小野寺俊夫本人(第一部の結末近くで、摩耶子から誤って「小野田」と呼びかけられる場面がある)。摩耶子と結婚していたが、5年前に死別した。
◎ 「第二部」以降の展開
第三部の構想もあった。2006年にラジオ番組『サントリー・サタデー・ウェイティング・バー』に小松が出演した際、「第三部をもし作るとしたら、第二部で生きてた日本人はもう宇宙まで行くしかない。宇宙にメガフロートを作ろうかと谷(甲州)と話している」といった趣旨の発言をしていた。
『日本沈没』が執筆開始された後から『SFマガジン』に連載され、出版は1966年と『日本沈没』に先んじる形になった小松の別の長編小説『果しなき流れの果に』には、短いエピソードとして、国土を失ったさらに未来の日本人の行く末に触れており、ここでは宇宙に進出する日本人の姿が描かれている。また、「お祭り」というショートショート作品では、国土を失った日本の民族が宇宙開発を率先して進めたため、その貢献への返礼としてお盆に太平洋上で巨大「大文字焼き」を行う権利を得、月面や衛星軌道上から眺めるという新たな風物詩を定着させている、ということになっている。
● 現実に日本列島が沈没する可能性
地球物理学者の上田誠也(当時、東京大学教授)は、『中央公論』1973年7月号に掲載された小松との対談において、量子力学上のトンネル効果を援用したところが日本を沈没させるための「トリック」であることを指摘しており、小松も上田の指摘を認め、「あれがないと、日本列島だけ沈んでくれないんですよ」と述べている。
日本列島の土台は複数のプレートの運動によって形成された付加体である。これは大陸側のプレートと太平洋側のプレートの衝突によって、海洋プレートの上の堆積物が押し上げられる形で隆起したものである。よって、このプレートの動きが変わらない限り日本列島が沈没することはなく、むしろ沈下ではなく隆起している。実際にプレートの動きが変わっても完全に沈没するまで100万年以上かかると計算されており、差し迫って沈没時のための準備や心配、対策などをする必要はないとされている。
また、愛媛大学教授の入舩徹男は、『ネイチャー』2008年2月14日号に発表した論文で、地表から地中に沈下したプレートは地下600キロ前後で滞留しそれ以上は沈下しないとしている。
2006年版の映画において使用された「プレート」を爆破して沈没を防ぐというアイディアも、現実科学的にはありえない。これは、マグニチュード5.25クラスの地震でも史上最大級の核爆発による人工地震に相当しており、日本列島を沈没させるプレート幅は余裕で1000kmを上回る。これを破壊するためには、マグニチュード10クラスの地震を引き起こすだけのエネルギーが必要であり、その量はTNT換算で150億トンにも達するためである(日本最大の巨大地震として知られる「東北地方太平洋沖地震」がマグニチュード9で、40分の1の規模)。
上記のことは作者の小松も承知していることであり、作品中でも示唆されている通り「日本沈没」は「何十億年に一度かの天変地異が今起こったら?」という、あくまでも仮定の話である。仮定が現実となった場合であっても天変地異が日本列島のみに限定されることや、僅か数年の前触れだけで起こることは、まずあり得ない。仮に作品で描かれるような日本列島が沈没するケースが起きた場合は、日本周辺からプレートの繋がる各大陸での地殻変動、朝鮮半島や中国大陸、台湾など周辺諸国、また環太平洋地域の諸国への影響はまず避けられず、巨大津波来襲などまさに世界規模の大災害につながるであろう。
● パロディ
◇ 日本以外全部沈没
: 筒井康隆作のパロディ小説。『日本沈没』が第5回星雲賞(日本長編部門)を受賞したのと同時に、第5回星雲賞(日本短編部門)を受賞。
: 2006年の『日本沈没』の公開に便乗する形で映画化が発表された。監督は河崎実。初代映画版とテレビドラマ版でそれぞれ小野寺役を演じた藤岡弘、と村野武範がそろって出演し、話題となった。なお、こちらの映画版の田所博士役は寺田農で、寺田はリメイク版『日本沈没』からも出演のオファーを受けていたそうだが、結局こちらを選んだ。また、2006年版に出演した松尾貴史が、気象予報士・森田良純役でこちらにも出演している。なお、この作品には小松が公認(お墨付き)を与えている。
◇ 日本漂流
: 小松左京による。初出は『話の特集』1966年8月号。松代群発地震の調査でボーリングを行ったところ、なにやら柔らかいものに行き当たり、同時に日本列島すべてを激震が襲い、直後に日本列島は南に向かって泳ぎ出す。「地下にナマズがいるというのは本当で、日本列島の下には巨大な一匹のナマズのような怪物がいた」という話。超々特大日本鯰竜(アルキウルトラギガントナマザウルス ニッポニクス)という名が付けられている。
◇ 日本ちんぼ*
: 横田順彌のナンセンスパロディ小説。
◇ 日本ふるさと沈没
: 2006年版公開に合わせて出された徳間書店から刊行されたパロディ漫画集。「(作家たちの)故郷が沈没したら?」というコンセプトで書かれており(「ご当地」のみが沈没ないし残存するという場合もある)、鶴田謙二や吾妻ひでおなどSFファンには馴染みの深い作家から、いしいひさいちまでと執筆者の範囲が幅広いのも特徴である。
◇ SMAP×SMAP
: 関西テレビ・フジテレビで放送のバラエティ番組。2006年版の主演である草彅剛が出演しており、この映画のパロディであるコント「日本陥没」が放送された。
◇ ケロロ軍曹
: テレビアニメ。「日向家沈没」の題で、地下基地年末拡張工事で緩んでいた地盤が日向家もろとも沈降するというストーリー。水中調査船のネーミングも、「わだつみ」ならぬ「つみだわ」となっている。
◇ ドラえもん
: 漫画。「世界沈没」の題で小学館てんとう虫コミックス版の単行本では4巻に収録。のび太が12時間後に起こる現実をドラえもんの道具(イマニ目玉)で見ると世界中で大雨が降り世界が沈没するという内容。実はのび太が見たのは夜に自分が見ることになる夢で、実際に世界が沈むことはない。
◇ 王様はロバ〜はったり帝国の逆襲〜
: ギャグ漫画。タイトルは「日本ちょっと沈没」、数回にわたり連載されていた。局地的な地盤沈下により、日本が80cmだけ沈没(浸水)したという設定で、その環境で暮らす人々の生活を描いている。
◇ ふしぎの海のナディア
: テレビアニメ。第21話「さよなら…ノーチラス号」でノーチラス号が撃沈される海溝の名前が「ケルマディック海溝」。第31話「さらばレッドノア」でのハンソンの説明が1973年版映画の田所教授の説明のパロディ。第31話にはほかにも細かなパロディが存在。なお、第21話の絵コンテおよび第31話の監督は2006年版の監督をした樋口真嗣。
◇ ハヤテのごとく
: 漫画。メイドのマリアが、ヒロインの三千院ナギの暇つぶしに見ていた映画DVDの中に「練馬沈没」という作品を見つける場面がある。この場面が登場した物語はリメイク版が放映された年に掲載された。
◇ 絶体絶命でんぢゃらすじーさん
:『コロコロコミック』の漫画。「じーさんの日本沈没」という絵本をじーさんが書いたという話が登場した。
◇ 復活の日 人類滅亡の危機との闘い――
: 小松左京の『復活の日』の新井リュウジによるジュニア版リメイク。直接登場はしないが、主人公・吉住の恩師に「田所」という地質学者がいる。また「石坂兵吉」という日本の副総理が登場しており、これは2006年の映画版で総理大臣役を演じた石坂浩二が名前の元ネタである。この他にも国会議事堂に向かうデモ隊に警察のヘリコプターが警告する場面は、1973年の映画版で避難民を乗せた漁船群に小野寺がヘリコプターから警告する場面のパロディとなっている。
◇ レッドサン ブラッククロス
: 佐藤大輔の仮想戦記小説。作中における日本の反応兵器開発の計画名が「D計画」。計画を推進している海軍大佐の名前が「田所雄介」になっているなどのパロディが存在する。
◇ WORLD WAR Z
: 海外小説。全世界にゾンビが発生し、日本でも被害が発生する中、日本人が日本列島を脱出して国を失くす、という描写が作中で描かれている。また作中で日本脱出を提案した「小松由紀夫博士」という登場人物は、小松左京が元ネタとなっている。
● 日本沈没を引用したメディアなど
◇ 大韓民国の新聞社
: 2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)による巨大地震や大津波の浸水による水没で、韓国の全国紙『中央日報』とソウル特別市の地方紙『ソウル新聞』は、3月12日朝刊の記事で、このことを本作品にたとえ「日本沈没」という見出しをつけて掲載した。しかし、このことが本作品を想起させて、日本人の震災被害者の心情を侮辱すると、読者からクレームが殺到した。『中央日報』は同年末12月26日付けの特集で「災害に苦しむ日本人を傷つけた」として、当時の紙面を取り消す旨の「反省文」を掲載し、改めてその水没した被災地の写真を使い、「がんばれ日本」と書いた訂正記事を発表した。
:
◇ ハケンの品格 第2シリーズ(日本テレビ)
: 実際の書籍(1973年のカッパノベルス版)がドラマ内に登場。また、大前春子が「日本沈没」と叫ぶ場面があり、エンディングには、協力としてクレジットされている。
:
◇ 継母の連れ子が元カノだった (AT-X、TOKYO MX、BS日テレ、毎日放送、BSフジ)
: 第1話「元カップルは呼びたくない「そういうところが......!」」で、リビングテーブルに2020年の角川文庫版の本がある描写があり、「小松左京」も明記されている。同様に出た有川浩の「海の底」とも エンディングクレジットには書かれていない。
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