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テントまたは天幕(てんまく)は、木や金属の骨組みと布地などからなる住宅である。その歴史は古く、旧約聖書の出エジプト記などにも、儀式や居住のために天幕を設営する描写がみられる。
● 遊牧や狩猟のための住居
◎ 生活
乾燥地帯や砂漠の各地を巡回する遊牧民などは簡単に設営解体できる天幕住居を利用する。パオまたはゲルと呼ばれるものが代表的である。
そのほか狩猟民族においても、長期に移動したり、酷暑から逃れるために風通しの良い、簡易の住居として夏場だけ天幕住居を利用する人々もいる。
◎ 種類
・ ゲル (家屋)(モンゴル高原)
・ ティピー(インディアン)
・ ヤランガ(チュクチ)
・ イグルー(カラーリット)
・ (ロシアウラル語族遊牧民:ネネツ人、ガナサン人、エネツ人、ハンティ人、マンシ人、コミ人など)
・ (北欧圏のサーミ人)
・ (スカンディナヴィア北部のサーミ人)
● 仮設建築としてのテント
仮設建築とは地盤面に対し堅結接合されているが建築構造体は恒久的な使用ではないという条件のもと主要構造部や屋根などに対し防火性能や強度において一定の基準の低減が認められた建築物や工作物をさす。防火性能などの基準を満たすテント(膜式屋根材)も製造されており一般の住居である建築物の屋根にも使用されている。また庇部分においては規定の範囲外とされる部分もあるので商業建築の開口部の庇や住宅の玄関の庇などにもテントが使用されている。
◎ 用途
荷さばき場や商店街のアーケード通路などで使われる。基本的に一度設営すると解体しない。設営および撤去には土木工事が必要になる。そのため骨組みはかなり頑丈で、布も非常に厚手のビニールや帆布製である。大きさは数十メートルになる場合もあり、数ヶ月ごとに各地を巡回するサーカス小屋もここに含まれる。
◎ 構造
建築学において、膜構造建築の一種として位置づけられる。ドイツの構造家フライ・オットー(Frei Otto)によって確立され、ミュンヘンオリンピック公園のテントでれっきとした建築構造として認知されることとなった。柱・梁の数を必要としない膜状の吊構造であり、軽量・低コストで大空間を構成することができるというメリットがある。なお鉄骨造などで壁を組み、その上に膜構造の屋根を架けるという手法もある。
◎ パイプテント
さまざまな形・大きさがあるが、三角屋根と6本の足で構成されている2間×3間テントが一般的。家型のテントで、パイプの組立式の骨組みにキャンバス地の屋根を張ったもの。中に人が立って活動するのに必要な高さはある。居住用ではなくイベントなどで雨と日光を防ぐためのものである。使用目的によって、側方にも幕を張って用いることがある。構造上強風には弱い。突風により飛ばされるなどの事故をできるだけ防ぐためにも足に重しを付けたりロープと杭を使用する等、何らかの固定を施す必要がある。日本国内においては、学校や町内会をはじめとする集会・運動会等 屋外イベントの本部用・救護用テントなどとして用いられ、目にする機会が多い。
● アウトドアにおけるテント
◎ 構成
アウトドア生活に用いられるテントは、インナーテント、ポール、フライシート、ペグの4つを主要な要素とする。
○ インナーテント
インナーテントとはテントの居住空間となる本体部分である。インナーテントを支える構造にもいくつかの種類があるがフックで吊り下げる吊り下げ式が主流になっている。大型のテントにはインナーテントとの間に前室と呼ばれる部分があり、調理時などのスペースとなる。登山では、テントを含む全ての荷物を背負って行動するため小型軽量、かつ強風に耐えることが求められる。
エドワード・ウィンパーが1862年にウィンパー・テントを発明し、後のテントの基本となった。また自分で運搬する場合にはママリー・テントが利用された。
○ ワンタッチテント
:生地に骨組みが内蔵されたテントである。フレームを持ち上げるだけで簡単に設営できて自立する。ポップアップテントともよばれる。
○ ソロテント
:ソロキャンプにおいて一般的に使用される、1人用の小型テントである。一般的には非常に軽量かつコンパクトであり、バックパックに取り付けてのハイキングや、自転車、バイクの荷台への積載が容易になり、移動中の負担を軽減する。
○ パップテント
:シェルターハーフとも呼ばれる。もともと軍用に開発された野営用テントの一種で、軍幕とも呼ばれている。ポールを用いたシンプルな構造で組み立てが容易である。機能性を重視し、装飾を排した武骨な外観が特徴。
○ 高床テント
:床面を数本の脚で支え、空中に浮かせるテントである。地面熱が伝わりにくく、虫や昆虫の侵入を防ぐなど居住性が高い。高床を実現する構造に工夫があり、安全性と機能性を確保している。テントと簡易ベッドが合体したテントコットは高床テントが多い。 代表的な高床テント(カッコはメーカー名)
:
・ ZERO POD(MARIO DEL MARE)
:
・ THEDOOKAN(HondyBro)
○ ハンモックテント
:ハンモックのように樹木などに吊り下げて、床面を空中に浮かせるテントである。1点式、2点式、3点式があり、3点式であれば複数人が使用できる。
:代表的なハンモックテント(カッコはメーカー名)
:
・ ヘブンテント(HAVEN)
:
・ DDフロントラインハンモック(DDフロントラインハンモック)
:
・ サファリコレクション(テントサイル)
● その他
戦争時の軍隊の居住用から災害時の避難施設としての仮設住宅や難民キャンプなどで国連をはじめとする国際支援によって設置されるテントなどがあり、その仕様は軍事用のものから一般の市況品まで様々である。なかには自然保護区にあるサファリホテルや資材の運搬が困難な場所に建つリゾートホテルなどコテージ部分に限らず全体が大型の仮設テントで作られているものもある。
また最近では車の上に載せるルーフテントというものもあり、車中泊などで手軽に旅を楽しむ人達に少しずつ浸透し始めている。
「テント」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年9月20日19時(日本時間)現在での最新版を取得
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