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スパルタ教育(スパルタきょういく、Spartan Education)は、古代ギリシアのポリス・スパルタで行われていたとされる教育。古代ギリシア語ではアゴーゲー(アゴゲ)という。
● 定義・特徴
極めて厳格かつ過酷な訓練を施すことが特徴である。自己が帰属する組織への忠誠心の涵養や、軍事訓練、歌唱、舞踊、狩猟など総合的な社会学習を主眼とする。 原語の「アゴーゲー」は様々な意味を持ち、その中には「押収」「誘拐」といったものも含まれるが、文献の文脈から判断すると「指導」「訓練」と解釈するのが正しいとされる。
● 概要
スパルタでは、兵力増強の観点から子供は国の財産とみなされていた。同国の子供は7歳になると厳しい軍事訓練を課せられた。アテナイの、自由で芸術や弁論を尊重した教育の対極にある。
具体的な内容は、プルタルコス『英雄伝』(対比列伝)やクセノポン『ラケダイモン人の国制』などで、立法者のリュクルゴスが定めた教育制度として伝えられる。
そこではまず、親は自分の子供を自由に育てる権利を持っていなかった。「子供は都市国家スパルタのもの」とされ、生まれた子供はすぐに長老の元に連れて行かれた。そこで「健康でしっかりした子」と判定されれば、育てることが許される。病身でひ弱な子供は、タイゲトス山にあるアポテタイの淵に投げ捨てられた。
また、7歳になった子供たちは軍隊の駐屯地に集められ、いくつかの組に分けられ、同じ規律の下、生活と学習も一緒に行われた。最高権職に就任している人間の中の少年監督官が子供を召集させた。また、少年監督官がいないときは市民の居合わせるものが権限者になり、良いことがあれば申しつけ、過ちを犯した者は罰した。大人が居合わせない場合はもっとも俊敏な者が少年組を指揮させるようにさせた。調査した上で軽挙妄動をする者がいた場合には強く懲らしめることができ、鞭打ちを行う権限を持つ人たちもいた。そうして、大いなる謙虚さ従順さを持たせた。頭は丸刈りにされ、下着姿に裸足で訓練を行った。当時のヘラスの諸都市は足を履物で軟弱にしていたが、スパルタが裸足で訓練を行う目的は「登り坂ははるかに容易に越えることができ、下り坂はより安全に下ることができ、とりわけ跳ぶこと、はねること、走ることは、より速くできる」とリュクルゴスが考えたためだとクセノポンは述べている。また、他のポリスと比べて女性の権利や地位は認められていた。
男性には強い子供が産めそうな女性、女性には戦争に出ても生きて帰って来そうな男性が魅力的と見なされる傾向が強く、成人後に結婚相手を選ぶ際、魅力的な女性を複数の男性が取り合うことや、これほど頻繁には起こらなかったが、逆に魅力的な男性を複数の女性が取り合うことなどもあった。
● 現代日本における転用
上記のような歴史的事実から転用され、現代日本では厳しい教育一般について、比喩として「スパルタ教育」と呼ばれることがある。
● 関連作品
・ 石原慎太郎『スパルタ教育』(カッパブックス、光文社 1969年(昭和44年)) - 作家の石原慎太郎が書いた教育論。スパルタ教育を奨励している。
「スパルタ教育」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
2024年9月20日21時(日本時間)現在での最新版を取得
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