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カメレオン科(カメレオンか)は、爬虫綱有鱗目に分類される科。
● 概説
トカゲの仲間に含まれる群ではあるが、一般に独自のものとして認識されている側面がある。これは以下のような特徴がよく知られているためである。
・体色変化が得意で、背景の色に溶け込んで姿を見つけるのが難しい。
・両方の目をそれぞれ別々に動かすことが出来る。
・尾を巻くことが出来、また四足の指がクランプ状になっていて、木の枝につかまることが出来る。
・舌を伸ばして虫を捕る。
もっとも最初の特徴は必ずしも正しくなく、体色変化は種によって範囲が決まっているし、その変化も必ずしも環境だけによるわけでなく、個体の状態や感情によっても変化する。
一般的な関心が高く、ペットとして飼育されることもあるが、飼育は容易ではない。
● 分布
サハラ砂漠を除くアフリカ大陸、アラビア半島南部、インド、スリランカ、パキスタン、マダガスカルおよびその周辺のコモロなどの諸島。全身の鱗は小型で、皮骨板や腹面の鱗に皮膚腺の出る孔がない。
● 分類
系統的にはアガマ科に近縁とされる。最古の化石記録は、ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州から産出した中新世のものである。
1986年に肺や半陰茎の形態などから以下の2亜科6属に分ける説が提唱され、近年まで主流とされていた。
・ カメレオン属(ナミカメレオン属) - エボシカメレオン・ディレピスカメレオンなど
・ ツノカメレオン属(ミツヅノカメレオン属) - ジャクソンカメレオン・メラーカメレオンなど
・ ハチノスカメレオン属(コビトカメレオン属)
・ フタヅノカメレオン属
・ ナジカンべカメレオン属
・ コダイカメレオン属(トラフカメレオン属)
・ カルンマカメレオン属 - パーソンカメレオンなど
・ フサエカメレオン属 - パンサーカメレオン・ボタンカメレオン・ミノールカメレオン・ラボードカメレオンなど
・ ヒメカメレオン属
・ クチボソヒメカメレオン属 (ヒメカメレオン属から分割)
● 生態
ほとんどは樹上性で、地上を歩行するのはうまくない。ヒメカメレオン類やナマクアカメレオンは地表棲で、後者は砂漠に生息する。これは2008年時点で知られている四肢動物としては最も短い寿命といわれる。
● 人間との関係
開発による生息地の破壊、ペット用の乱獲などにより生息数が減少している種もいる。コノハカメレオン属を除いた全ての属が属単位でワシントン条約に掲載され、ロゼッタカメレオンはワシントン条約附属書Iに掲載されている。
ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されている。主に野生個体が流通するが、一部の種では飼育下繁殖個体も流通する。
◎ ペットとして
カメレオンは珍奇な姿、興味深い習性などもあってペットとしての需要はかなり高い。しかしながら、飼育はかなり困難であり、その配慮すべきポイントはかなり独特である。
かつては飼育がきわめて困難であるとの認識があり、『「飼うべき生き物でない」「繁殖はおろか長期飼育すら難しい」と言われてきた』ものであるが、その後飼育法が次第に確立し、現在ではそこまで言われることはない。
カメレオン飼育の困難さは、一般の爬虫類飼育の苦労とはかなり異なるところにある。以下にそのいくつかを紹介する。
・生き餌しか食べないこと。生きた昆虫を常時確保する必要がある。慣れれば肉などを食べるものもおり、またエボシカメレオンなどは植物質も食べるが、ほとんどのものは生きて動くものを与える必要がある。しかも、同一のものだけを与えていると飽きて食べなくなったり栄養バランスが崩れたりしやすい。これはヨーロッパイエコオロギなどが餌昆虫として導入されたことで大きく解消されてはいる。
・容器から水を飲まないものが多い。動くものしか認識しないのは水にも適用され、葉の表面できらめく水滴や水面が揺らめいているものからしか飲まない。従って、水を与えるためには霧吹きするか、しずくが常時垂れるような装置をつけるか、あるいは水を入れた容器にエアレーションをしかけ、動かすなどの工夫が必要となる。これらは他の樹上性爬虫類を飼育する際に共通する部分もあるが、カメレオンは水不足になると、舌を伸ばして餌を捕らえるのが難しくなるので、他の爬虫類より水の欠乏が深刻な問題となりやすい。しかし稀に,容器に入れた止水を飲む個体もいる。一般に動いた水しか飲まないと言われることから、たまたま物覚えの良い個体が水場の位置を覚えたものと思われる。
・環境の管理が難しい。熱帯性の動物であるため、耐寒性が低いのは当然であるが高温にも弱いものが多い。さらに高地に生息する種の場合、多湿かつ通風性を確保し、なおかつ低温で飼育することが求められる。いずれにせよ、日本の気候では年間を通じてエアコン稼働が望ましい。また、上から見下ろされるとストレスを感じるので飼育者の目の高さ以上に設置する必要がある。またカメレオンから見えるところに他の個体、別のペット、餌昆虫などが見えるとそれもストレスになる。
◎ 名称について
カメレオンという語はギリシャ語の khamai (地上)と leon (ライオン)とされ、おそらく頭部周辺の発達した形状や体を膨らませて威嚇する様子をライオンに見立てたものとされる
漢字では「避役」と書く。これは、古代中国でカメレオンと同じく姿を消すことができるとされた幻獣の「避役」が由来となっている。なお、中国では「避役」の他に「変色竜」とも呼ばれる。
◎ 文化的側面
目立つ特徴があること、それに1種はヨーロッパにも分布することから古くから広く知られ、関心を持たれてきた。枝の上でじっと動かず、目だけを動かして周囲を観察する様から賢者に喩えられることもある。錬金術等では熟慮や賢者のシンボルとされた。また、カメレオンがデザインされたopenSUSEというPC用のOSも無償で公開されている。体色が大きく変化することから、変幻著しいことをカメレオンに喩えることもある(ピカソ、ストラヴィンスキーなど)。
16世紀には星座として「カメレオン座」が追加された。この星座は現在も88星座の一つとして残っている。
主にアフリカに伝わるカメレオンに関する神話がある。おおよそ次のような筋である。
このように、カメレオンは、本来は人間に不死をもたらす存在のはずが、結果として、人間に死をもたらす存在として、語られている。(バナナ型神話も参照)
● 体色変化
2015年3月10日、スイスのジュネーヴ大学に属する研究者チームが発表した研究論文がイギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載され、その体色変化の原理が解明された。
ジュネーヴ大チームによれば、多くの体色を変化させる動物の大半は色素胞(しきそほう)の一種、黒色素胞で色素メラニンを調整して体色の明暗を調整しているため色の純度は変化できても色調の変化はできない。この色を変化する薄膜(スマートスキン)は色変化に際して体積が変化しないため、迷彩服や塗料、化学センサーなどありとあらゆる製品の材料として利用できる可能性がある。
「カメレオン科」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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