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カブトムシ


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カブトムシ(漢字表記は「兜虫」もしくは「甲虫」、学名:Trypoxylus dichotomus)は、コウチュウ目コガネムシ科カブトムシ亜科カブトムシ族カブトムシ属 Trypoxylus に分類される昆虫の種。より広義にはカブトムシ属を含むカブトムシ亜科 (Dynastinae) に分類される昆虫の総称だが、この項では種の標準和名としての狭義のカブトムシを扱う。本州以南の日本を含む東アジアに分布する。 大型のカブトムシ類としては東アジアを代表する種である。また日本を代表するコガネムシとする文献もある。日本では成虫は夏に発生し、クワガタムシとともに子供たちから人気を集めている昆虫である。成虫は夜行性で、クヌギ・コナラなどの樹液に集まり、幼虫は腐葉土や軟らかい朽木などを食べて成長する。

● 名前の由来
「カブトムシ」の和名は、オスにある1対の角が兜の正面の飾り(前立て)に似ていることが由来である。漢字で「独角仙」と表記されることもある。「カブトムシ」は京都方言が全国的に採択されたもので、江戸時代には平家ムシ(豫州)、枇杷ムシおよびヤドヲカ(勢州)、オニムシ(仙台)、ツノムシ(和州)、サイカチムシ(江戸)などの地域名があった。『物類称呼』によれば「サイカチムシ」の名前は、「皀莢〔サイカチ〕の樹に住むし也」という。 学名(種名)の属名 Trypoxylus は「木に穴を穿つもの」の意味で、酷似した属名にはハチのジガバチモドキ属 Trypoxylon がある、すなわち「もう一つの Myrina 属」という意味である。これはカブトムシが当初 Myrina と命名されたものの。

● 分布
日本では本州・四国・九州に分布するほか、日本国外では台湾・朝鮮半島・中国・インドシナ半島に分布する。本来の北限地は青森県とされ、ブラキストン線を越えた先にある北海道には元々分布していなかった。 体色は雌雄ともに赤茶褐色から黒色である。体色は個体差があり、赤みの強い個体を長期間飼育していても黒っぽくはならないことから、先天的・遺伝的なものと考えられている。屋久島の個体群(後述)はほとんどの個体が赤色系である一方、タイの個体群はほとんど黒色であるとする文献がある。体は厚くて楕円形で、頭部は小さい。 オスの頭部には大きな角があり、さらに胸部にも小さな角がある。メスの体はオスより一回り小さい。メスは角を有さないが、頭部には小突起があり、全身を微毛で覆われる。また、メスの前胸背板の中央には縦溝があることが多い。 カブトムシは主に広葉樹樹幹の垂直面で活動し、付節先端の爪のみが樹皮上での占位に使用される。

◎ オスの角
オスの角は外骨格の一部が発達したもので、オス同士の闘争(後述)の際に武器として使用される。 頭部の角(頭角)は先端部分がY字型に分岐するが、中型・大型個体では前胸背板より長く、かつY字型に分岐した先端がさらにもう一度二叉するため、尖端は4つとなる。胸部の角(胸角)は通常、頭角の3分の1程度の長さで、分岐した先端が尖る。頭角の長さは必ずしも体の大きさに比例するとは限らず、角が長くなる「長角型」と短くなる「短角型」の2型が存在することが判明している。藤山静雄・近野匡生が長野県松本市でオス成虫95個体を採取してそれらの角の長さを測定したところ、角の長さは10 - 34 mmまで分布するが、20 mm前後を境に2山型の分布が存在する(短角型は14 - 20 mm、長角型は24 - 32 mm程度が多い)ことが判明している。なお、角は長いほどオス同士の闘争の際に有利になる反面、タヌキやハシブトガラスといった天敵に捕食されるのを避けるには短い方が有利であることが研究で明らかになっている。角の大きさは、幼虫時の栄養状態の優劣と、遺伝により決定される。また、大きなオスが立派な角を持つ一方で、小さなオスは角への投資配分を下げ他の部位に投資することが知られており、特定のサイズでこの配分が変化することが明らかにされている。ノコギリクワガタなどクワガタムシの一部の種のような非連続変異やコーカサスオオカブトのような体格に比例しない長短変異は示さない。 本郷儀人は、本種と南アメリカに生息するヘラクレスオオカブト(本種とは逆に胸角が頭角より長く、相手を挟み込むのに向いている)の角の形状の違いについて考察し、本種の場合は樹上という比較的開放的な空間で闘うことから、相手を投げ飛ばすことが相手を排除する最も有効な手段となるため、投げ飛ばしに特化した形状の角を持つように進化したという仮説を提唱している。

◎ 体長
「体長」については文献により、オスの頭角を除く長さを指す場合と、頭角を含む長さを指す場合の両方がある。カブトムシの種ごとに最大個体の記録を集計し、その最大記録に関するコンテストを季刊誌『BE・KUWA』誌上で行っているむし社では、頭角もしくは胸角の先端から上翅の先までの長さを「最大体長」と位置づけている。本種の場合は頭角の先端から上翅下端までが「最大体長」であり、野外採取個体・飼育個体のどちらでも応募を受け付けているが、生体では正確な計測ができないことから、「最大体長」の応募は標本のみ受け付けている、これはクワガタムシなどの大顎の先端から腹部もしくは翅の先端までの長さを指すものである。同じ文献でも角を除いた頭部の先端から腹端までの長さを「体長」、角を含めた長さを「全長」として使い分けている文献もある。 野外では体長80 mmを超える個体はやや少ないが、飼育では幼虫期間に餌をより多く与えることにより、全長80 mm(角の長さを含む)に達する成虫を育てるのは難しくない。しかし85 mm以上を育てるのは難しい。最長記録はむし社の調査によれば、野外採取個体の場合は2012年に記録された87.3 mm、飼育個体の場合は2017年に記録された91.7 mmである。 2015年6月には俳優の哀川翔が育成したカブトムシが88.0 mmを記録し、当時のむし社によるレコード記録を更新した。哀川はこの個体をギネス世界記録に申請したが。

● 分類
カブトムシ属 に分類される。 最初は Scarabaeus dichotomus Linnaeus, 1771 として記載されたほか、古くはその属名に Dynastes や Xylotrupes などが用いられたこともあったが、Arrow (1937) はユンクの甲虫目録で、本種やシナカブトムシ Xylotrupes davidis をサビカブトムシ Allomyrina preifferi を基準種とした属に編入した、1998年には三宅義一が、カブトムシの属名には Allomyrina よりも、 Allomyrina の同物異名として扱われ、日本でも Kono (1931) によってカブトムシやツノボソカブト(後述)の属名として用いられたことがあった Trypoxylus Minck, 1920 を当てることが適当であるとした。同論文によれば、Allomyrina は他のカブトムシ族 Dynastini とは著しく異なり、体表面が密に羽毛状の鱗毛で覆われているという特徴があるが、同属に含まれていたカブトムシやシナカブトムシなど他属の種はすべて体表が平滑もしくは先細の微毛で覆われていること、またサビカブトムシはカブトムシと同様に前胸突起が柱状に発達してはいるがその突起は低く、前基節の会合部の後方に位置している一方、カブトムシなどではそれが前基節間に伸び、前基節間が広く離れていることといった違いがある。一方で分子系統解析では本種には主要なクラスターとして中国大陸中部および南部・東南アジアの西方系統、中国大陸北部・日本本土・屋久島・口永良部島・朝鮮半島の北方系統、台湾・沖縄本島・久米島の南方系統の3つのグループがあることが示唆されており、そのうち日本産のはやを内群に含む側系統群とされ、西方系統ではや別種として報告されたが基亜種の中国南部個体群からなるクレードの内群に含まれるという結果が得られている: 日本では北海道・本州・四国・九州および、佐渡島・粟島・飛島・淡路島・隠岐・見島・対馬・壱岐・五島列島・甑島列島、熊毛諸島(馬毛島・三島硫黄島)に分布する。中華人民共和国北部(遼寧省・吉林省)、朝鮮半島の個体群を本亜種と同一亜種とする説もある、ヤマトカブトとも呼ばれる。 : タイプ産地は沖縄島与那。亜種小名 takarai は模式標本の貸与者であった高良鉄夫への献名。 : 体長(オスの角を除く)は30.3 - 50.1 mmないし30 - 50 mm。吉田賢治 (2016) によれば、オスの頭角を含む全長は37 - 54 mm(頭角を除くと35 - 45 mm)、メスは体長38 - 47 mmである。また岡村茂 (2023) によれば、オスは頭角を含むと最大で体長66 mm以上になる。 : 永井 (2007) によれば沖縄本島産はオスが体長34.4 - 50.1 mm、メスが35.2 - 47.6 mm。伊平屋島産はオスが39.1 - 40.7 mm、メスが38.1 mmである。 : 日本本土に分布する亜種より小型であり、オスの角も本土亜種より小さい。体表は黒色ないし黒みの強い黒褐色で、オスは前翅の光沢が強い。メスは全身に黄灰色の短毛が生えており、体色は光沢を欠いた暗褐色である。メスの前胸背板中央の縦溝はI字状になることが多い(本土亜種はY字状が多い)とする文献もあるが、原記載。また農地開発、ダム・ゴルフ場の建設、生息環境の開発によって生息環境の森林が破壊されており、個体数は減少している。 : 、準絶滅危惧(NT)(レッドデータおきなわ)
◇ 久米島亜種 (Kusui, 1976): 久米島に分布する固有亜種。クメジマカブトムシ、クメジマカブトとも呼ばれる。 : 体長40 - 50 mm(オスの角を除く)。吉田 (2016) によれば、オスの頭角を含む全長は42 - 57 mm(頭角を除くと40 - 47 mm)、メスは体長38 - 47 mmである。また岡村 (2023) によれば、オスは頭角を含むと最大で体長67 mm以上になる。 : 沖縄亜種と独立した亜種とする考えもあるが(口永良部島亜種) Nagai, 2006 : 大隅諸島口永良部島に分布。亜種小名 tsuchiyai は採集者である土屋利行(むし社編集部)に由来。体長はオスが33.9 - 48.8 mm(頭角を除く)。ヤクシマカブトとも呼称される。 : 屋久島・種子島に分布しているカブトムシはかつて、本土亜種と同一亜種とされていたが、2017年に新たな亜種として記載された、2023年に発表された論文によれば、系統解析に遺伝子汚染を示す証拠は見受けられない。
◇ Takeuchi, 2014: 中華人民共和国(湖北省): チベット自治区: インド(西ベンガル州)。また、台湾の亜種であるツノボソカブトは樹冠で休むことが報告されている。夕暮れとともに活動を開始し、餌場に集まる。日の出とともに再び休息に入り、夜を待つ。餌場争いに負けるなど、何らかの理由で夜間餌にありつけなかった場合や産卵期のメス個体は日中でも摂食を続けていることがある。 オスは飛翔力があまり高くなく、早朝に樹木の半径50 m内外の叢に潜んでいる場合があるが、メスはオスより飛翔力が高く、昼間でも樹液に集まるとする文献がある。

◎ 食性
幼虫は腐植土(腐葉土)を食べて成長する。生木や、腐食の進んでいない枯木・落葉は食べない。朽木や枯葉が微生物等の働きで土状にまで分解されたものを好む。 成虫は口器(小顎)に艶のある褐色の毛が密生していて、これに毛細管現象で樹液を染み込ませ、舐め取るようにしながら吸汁する。カブトムシが好む樹液を出す樹種としては主にクヌギやコナラが挙げられるが、それ以外にもアベマキ、ミズナラ、ナラガシワ、カシワ、クリ、ヤナギ類、サイカチ、ネムノキ、カシ類、マテバシイ、ニレ類、サイカチ、シマトネリコ、ライラックなど、多岐にわたる。日本の西南部では主にカシ類、本州の中部から北部および高標高地ではニセアカシア・サイカチ・ヤナギ類の樹液に集まることが確認されている。日本ではクヌギは関東地方に多い一方、東海地方ではクヌギの林が見られないため、カブトムシの生息地となる雑木林を形成する主な樹種はアベマキやコナラとなっている。またトラップにも飛来するが、オスは警戒心が強いため、トラップに集まるのはメスが圧倒的に多いとする文献がある。 なお樹液場はシロスジカミキリのメスの産卵痕や、ボクトウガ・コウモリガの幼虫など、他の昆虫が樹皮を傷つけることによって形成される。クヌギやアベマキなどの樹液は昼よりも夜によく出る。また樹液は空気に触れると発酵して甘酸っぱい酒のような匂いを放つ。 雑木林の樹液を餌とする昆虫は数多く存在し、昼はカナブン類やスズメバチ・アシナガバチなどのハチ類、オオムラサキ・ゴマダラチョウなどのチョウ類、ウシアブなどが樹液に集まる。また夜はカブトムシ以外にもノコギリクワガタ・コクワガタなどのクワガタムシ類、ミヤマカミキリ、スズメガなどのガ類、ヘビトンボなどが樹液に集まる。そのような環境の中でも樹液の争奪戦が発生する場合があり、強い昆虫が弱い昆虫を押しのけたり追い払ったりして樹液を独占する場合もある。カブトムシは硬い身体、丈夫な角、闘争心の強さなどで他の昆虫に比べて優位に立つことから、餌場を巡る競争において優位に立つことが多いと考えられており、岸田 (1971) は樹液に集まる昆虫ではカブトムシが最も強く、次いでクワガタムシ、その次にカナブン・スズメバチなど、……といった序列ができていると述べていた。実際に樹液の出ている量が少ない場所では、カブトムシが他の昆虫を押し退けて樹液を独占している場合がある。しかし、スズメバチがカブトムシの活動時間に影響を与えるという研究もあり、必ずしも樹液場の優占種というわけではない。 トネリコ・シマトネリコ(モクセイ科)やリンゴ(バラ科)では、カブトムシ自身で樹皮を削り樹液を得ることがある。トネリコは樹皮に少し傷をつけるだけで樹液が出てくる反面、樹液の流れはすぐに止まってしまうため、カブトムシは少しずつ樹皮を削りながら吸汁を続ける。樹皮の掘削は大顎(mandible)と頭部内部にある歯車状の構造により実現されている。カブトムシはトネリコでは自ら餌場を作ることができるため、クヌギなどパッチ状に樹液が出ている木に比べて餌場をめぐる競争は少ないことが示唆されている。自ら樹皮を削って樹液を得る行動は本土亜種だけでなく、台湾産の亜種(ツノボソカブト)や、別種のヘラクレスオオカブトでも観察されている。 樹液の以外にも、熟したり傷んだ果物(ブドウ・モモ・スモモ・ナシ)も食べるため、ときに害虫として扱われることがある(後述)。長野県ではリンゴの樹皮を削る被害も生じている。飼育下では市販の昆虫ゼリーのほか、バナナ・リンゴ・スイカなども食べるが、スイカを食べると下痢をするという文献もある。

◎ 闘争
カブトムシやクワガタムシは同種同士でも食物である樹液をめぐって競合する一方、林の中でも樹液を出す木は限られているため、同じ木で遭遇すると相手を排除しようとする。一方で視力は良くないため、互いに体が触れ合った際に相手を認識することとなる。ただし、オスは相手が同種のメスである場合に限り、体が触れ合っても相手を排除しようとはしない。カブトムシのオス同士の闘争は、以下の4段階に分けられる。 2頭のオスが樹液の出ている餌場で出会い、互いに体が接触し合うと互いに相手を認識し、相対した状態になる(第1段階)。次いで2頭は互いに頭角を突き合わせる格好になる(第2段階)が、大半の場合はこの段階で一方が逃げ出し、もう一方のオスによって頭角で突かれるなどして追い出されるため、闘争まで至る例はごくわずかである。両者とも引き下がらない場合、2頭は互いに自身の頭角を相手の体の下に差し込んで押し合う格好となる(第3段階)が、この場合も多くの場合は一方のオスが逃げ出し、勝ったオスに角で追い立てられる形で決着する。しかし互いに引き下がらずに戦い続けた場合、最終的には一方のオスが相手の体の下に差し込んだ頭角を用い、てこの原理で相手を樹皮から引き剥がして投げ飛ばす形で決着する(最終段階)。カブトムシ同士の闘争は負傷(脚が取れる、角が折れるなど)のリスクが高いことから、カブトムシは極力無用な争いを避ける傾向にあり、オス同士の闘争が最終段階まで激化するのは互いの体格差が小さい場合に多く、逆に両者の体格差が大きい場合は闘争はこまで激化しないことが多い。一方で第2段階で決着する場合は体格の大きい個体が勝利するとは限らず、体格が小さくても角の長い個体が勝利する場合もある。 またクワガタムシとの闘争でも、オスは角を用いて戦う。カブトムシは体力面でクワガタムシより優勢であることに加え、クワガタムシは興奮すると体を起こし、大顎を振りかざして威嚇の体勢を取るが、カブトムシの角が相手のクワガタムシの大顎より長い場合はそのような姿勢を取るクワガタムシの体の下にカブトムシが角を差し込みやすくなることから、カブトムシが勝利する場合が多い。このため、野外ではクワガタムシはカブトムシとの闘争を回避する場合が多い。

◎ 鳴き声
成虫になると雌雄ともに、興奮した時や求愛行動中に腹部を伸び縮みさせ上翅の内側との摩擦によって音を立てる。一般的に鳴き声と表現されるこの音は「シューシュー」「ギュウギュウ」「ギュウィン・ギュウィン」といった感じのもので、音は1メートルほどしか聞こえない程度。持ち上げたり霧吹き等を使い威嚇させると簡単に聴くことができる。死んだ個体の腹を押して上翅と人為的に摩擦しても音を聴くことができる。

◎ 排泄
幼虫の糞は黒褐色で匂いはそれほど感じられない。孵化後しばらくはケシの実状をしており、2齢、3齢と成長するにつれ米粒型を経て最終的には1 cm程度のやや丸みを帯びた長方形となる。腐植土の種類や水分状態にあまり影響を受けず通常は固形で排泄されるが、驚いた時は水分を多く含む下痢状になる。 蛹の状態では一切排泄しないが、羽化時に成虫はやや白い体液を蛹の殻内に排出する。成虫の糞は水分を多く含む液状で、これをあたりかまわず飛ばす。摂食する餌の違いが量や色、匂いに影響してくる。一般的な市販の飼育ケースで飼育していると、飛散した糞尿の汚れにより、1、2週間のうちにケース全体が汚されて(蓋の裏側も含む)、内部の観察がしづらくなるほどである。

◎ 性差
卵から2齢幼虫までの雌雄判別は難しく行動や外見では全く見分けがつかない。3齢幼虫になると雄は雌より一回り大きくなる事が多く、下腹部にV字の模様と小さな凹みが出る。同一環境下の生育でないと大きさの判断は難しく、V字模様がはっきり浮き出ない個体もいるが、凹みは必ず表れるためこちらで判別した方がより正確である。 蛹以降になると雄は頭部と胸部の二箇所に角が現れ確実に判別できるようになる。蛹になる時に角が伸びるので、その分だけ雌よりも縦(種により横)に長い蛹室を作る。一方、雌に角はないが、蛹の状態ではわずかに頭部が飛び出しておりブタの鼻のような形に見える。また雌は雄と比べ前脚の脛節が幅広く熊手のような形状に発達していることに加え、全ての脚に鋭い刺が発達している。これは産卵の際に土中に潜るために都合がよい。

● 生活環
カブトムシは卵 - 幼虫 - 蛹 - 成虫という完全変態をおこなう。幼虫は2度脱皮を繰り返し3齢幼虫が終齢となる。詳細な生活環は森田慎一氏による記事のFig.3に詳しい。

◎ 卵
交尾を終えたメスは、腐葉土や堆肥、製材所のおがくずの山などに集まり、それらの中に潜って産卵する。雑木林では、クヌギの木の朽ちた倒木の下などが主な産卵場所である。産卵時は1個ずつ卵を産み付け。体は餌を食べる事によって膨張し、取り込んだ腐植土や柔らかい朽木を分解して成長する。ある程度育つと脱皮をする。2齢、3齢とも脱皮直後は孵化と同じく頭部も白く柔らかい。体色は青みを帯びた透けるような白から2齢幼虫後半ごろには黄色がかった不透明な乳白色へと変色する。二酸化炭素に正の走行性を示し一箇所に多くの幼虫があつまる。複眼も単眼も持たず視力を有しないが、大顎から摩擦音を発することで他の同種幼虫との接触を避ける。気温や餌の状態に影響されるが早いもので孵化から1ヶ月程度で、だいたい晩秋までには終齢である3齢幼虫となり、そのまま越冬する。この時点で体長10 cmほどになっている。幼虫の成長速度は北の個体群ほど早い。

◎ 蛹
冬を過ごした3齢幼虫は4月下旬から6月ごろにかけて体からの分泌液や糞で腐植土中に縦長で楕円形をした蛹室を作り、そこで3回目の脱皮をして蛹となる。蛹室の内壁は、蛹の表皮にダメージを与えることがないよう平滑に仕上げられている。雄の場合は蛹に脱皮する時に頭部の成虫原基が膨張し角が形成される。蛹室の周辺には他の同種幼虫が多数いるため、常に蛹室を壊される危険がある。これを避けるため蛹は体をうねらせて振動を起こし、周囲に存在を伝える。蛹ははじめ白いが、橙色、茶色を経て頭部や脚は黒ずんでくる。やがて蛹の殻に割れ目が入り、脚をばたつかせながら殻を破って羽化する。脱け殻は押し潰され原形を留めない。羽化したばかりの成虫の鞘翅はまだ白く柔らかいが、翅を伸ばしてしばらくたつと黒褐色もしくは赤褐色に色付き硬化する。

◎ 成虫
成虫は羽化してから2週間程度は何も食べず土中で過ごした後、初夏の、夜間の気温が20度を上回る日が続くと、夜を待って地上に姿を現す。 6月から7月ごろに成虫が発生し、梅雨明けと同時に個体数が増す。成虫の発生のピークは7月で、7月中旬 - 8月初旬に個体数が最も増すが、8月下旬になるとあまり見られなくなり、9月に入るとほとんど見られなくなる。温暖な地域では5月下旬ごろから、涼しい高地では7月初旬と気候により出現する時期に若干ばらつきが見られる。だいたい6月-7月の蒸し暑く風の無い夜に一斉に飛び立ち、野生の成虫は遅くとも9月中には全て死亡する。成虫の形態で越冬することはないが、飼育下では12月 - 翌1月まで生きる例がある。雄の方が活動的でやや短命な傾向にある。成虫の寿命は1-3か月ほどで、外気温と餌の量に大きく左右される。ある研究での野外寿命はおよそ数日であった。気温が低下すると、カブトムシの活動が鈍くなること、樹液が落葉に向かって流れなくなることが影響すると考えられる。

◎ 天敵
幼虫の天敵はコメツキムシやツチバチの幼虫、アリなどの昆虫やモグラである。イノシシも堆肥等を掘り返し食べる。モズにはやにえにされることもある。他にもカビやウイルスによる病気で死ぬこともあるが、元来丈夫でそれほどデリケートな種ではない。また、蛹の時に蛹室にミミズが入ってきてしまうと蛹は死んでしまう。成虫の天敵となる捕食者はカラスやフクロウなどの鳥。オスは特に捕食されやすく、大きな個体ほど狙われやすい。武田健一らは鳥などに捕食されたカブトムシの死骸を集めて測定し、大型個体は闘争に負けた時のリスクが大きいだけでなく、外的にも襲われやすいと結論付けている。 さらにヒトは、森林開発による伐採や採集による捕獲を行っていることから、幼虫・成虫を問わず個体群に影響を与えている可能性がある。

● 人間との関わり
日本初の独自の本草書『大和本草』(1709年)には、絵と共に蛾に似ているなどという記述がある。本草学者である小野蘭山の『本草綱目啓蒙』(1806年)によると、江戸時代の関東地方ではカブトムシのことを「さいかち」と呼んでいたことが記されている。この由来についてはサイカチの樹液に集まると考えられていたという説、カブトムシの角がサイカチの枝に生えた小枝の変形した枝分かれした刺に似ているからだとする説がある。また、『千虫譜』(1811年)には、カブトムシは独角僊と紹介され、子供がカブトムシに小車を引かせて遊んでいると書かれている。 前田信二は2011年に、東京23区でもカブトムシが生息しているところはあるが、野生のカブトムシを見たことがない子供が多くなっていると述べている。カブトムシは、日本ではその独特な姿形を「格好いいもの」と考える人が多く存在し、特に小学生程度の年齢の子供に人気がある。カブトムシの成虫が現れる7-9月は小中学校が夏休みにあたるため、この時期の深夜から早朝にかけて、山林に生息するカブトムシを捕まえにいくことが子供たちの夏期の楽しみの一つになっている。子供たちは捕まえたカブトムシを、しばしば上記の飼育方法によって飼育する。また観察日記を夏休みの自由研究として記録する子供も多い。 かつては、捕まえたカブトムシを飼育観察するだけでなく、カブトムシに糸をつけ重い物を牽引させて遊んだり、子供同士でその大きさを競い合ったり、あるいは「けんか」「昆虫相撲」などと称して、2匹のオス同士、またはカブトムシとクワガタムシをけしかけ角で相手をひっくり返した方が勝ちとする遊びに興じたりされることがあった。力が強く、大きく、競技で多くの勝ちをおさめるカブトムシを持つことは、その年ごろの子供にとって一種のステータスであり、これによって他の子供からある種の尊敬を集めることもあった。 今でも夏のイベントとしてカブトムシの相撲大会が開催されている。 ちなみにカブトムシは自分の体重の20倍以上のものを引っ張ることができるとされる。人気の高さゆえにカブトムシを商品として売買することが1970年代ごろから行われている、在来のクワガタムシと餌を巡って競合することからクワガタムシの減少の一因になっている可能性がある。1936年の大沼周辺での導入記録が最も古く、本格的な定着は1970年代ごろからと考えられる、幼虫1万匹を購入して北海道初のカブトムシ飼育場を作り、養殖を開始したが、この飼育場は3年で閉鎖され、散発的に発生していた個体群もすぐに消滅した。当時は北海道でカブトムシを増やすことが美談としてマスメディアに称えられており、濵田は1971年に旭川市で同じように養殖場を建設し、一般市民に入場料無料で開放したところ道内各地から多数の観光客が来訪したが。 本種は、北海道の外来種リストにおいて生態系への悪影響が最も懸念されるカテゴリーに分類されており、カブトムシを野外に捨てないよう、道政府がホームセンターなどで呼びかけを行っている。 一方、財団法人自然環境センターは沖縄県で、ペットとして販売されている本土産のカブトムシと沖縄固有亜種のオキナワカブトムシが交雑することによる遺伝子汚染を危惧している。また、種生物学会はそれ以外の地域でも飼育ブームの裏で放虫されたカブトムシが、地域独自のカブトムシの遺伝的多様性を脅かす恐れがあると主張している。

◎ 農業における利害
また、ブドウ畑などではカブトムシは果物を荒らす農業害虫として扱われる。長野県松本市のぶどう園では、収穫直前のデラウェアの果汁を吸おうと大量のカブトムシが実を食い荒らし、多数の実が出荷不能になったという事例がある。新潟県佐渡市(佐渡島)の果樹園でも、大量発生したヤガによってネクタリンの実が食害される被害に遭ったところ、食害されて傷んだ実の匂いに釣られて大量のカブトムシが集まり、さらに実を食害するという被害があったことが報じられている。これらの事例では大量発生の原因として、農場付近に幼虫の発生環境となる堆肥などの人為腐植質が多く存在したためと推察されている。

「カブトムシ」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/
2024年4月20日7時(日本時間)現在での最新版を取得

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