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『カンゾー先生』(カンゾーせんせい)は、1998年公開の日本映画。
監督は今村昌平。坂口安吾の原作を、今村とその息子である天願大介が脚色した。
● キャスト
・ 赤城風雨:柄本明
・ 万波ソノ子:麻生久美子
・ ピート:ジャック・ガンブラン
・ 鳥海:世良公則
・ 梅本:唐十郎
・ トミ子:松坂慶子
・ 赤城一郎 :田中実
・ 伊藤歩
・ 田口トモロヲ
・ 金山一彦
・ 山本晋也
・ 北村有起哉
・ 神山繁
・ 裕木奈江
・ 渡辺えり子
・ 伊武雅刀
・ 小沢昭一
・ 清水美砂
・ 山谷初男
● スタッフ
・ 監督 / 脚色:今村昌平
・ 助監督:桑原昌英
・ 原作:坂口安吾
・ 脚色:天願大介
・ プロデューサー:飯野久 / 松田康史
・ 撮影:小松原茂
・ 水中撮影:武田篤 / 田中知二 / 山本亨
・ 音楽:山下洋輔 / 栗山和樹
・ 音楽プロデューサー:おくがいち明
・ 美術:稲垣尚夫
・ 録音:紅谷愃一
・ 照明:山川英明
・ 編集:岡安肇
・ 衣装:斉藤育子
● 製作
今村昌平が30年もの間温めていた企画である。主人公の医者には、実際に開業医だった今村の父が投影されており、想いを込めて描いたという。ラストで広島の原爆投下らしき画を見せるため、時代背景は昭和20年頃で、その時代設定では予算がかかる作品として実現は困難とされていた。
◎ キャスティング
主演は当初、北村和夫に打診されたが、手術を受けたために無理となり、三國連太郎が起用。しかし、撮影の1週間目ほどで自ら降板し、別の役で出演していた柄本で撮り直されることになった(なお、緒形拳は北村に頭を下げてまで主演を希望したが、今村に断られたという)。三國の降板の理由について、今村側は「三國の台詞覚えが悪い」、三國側は「撮影中に膝を悪くした」と説明が分かれている。後日、当時現場にいた柄本は「100テイク近く撮り直ししていた。その後、降板が決まった」と語っている。
録音技師の紅谷愃一は「今村さんは最初の段階から、馬力のある三國連太郎をイメージして脚本を書いたんです。1997年7月16日にクランクインして順調に撮影が進むかと思われましたが…7月23日に向日比(岡山県玉野市)のロケセットで撮影していたときに問題が起こったんです。脚本にして2ページ強のワンシーンワンカットの場面だったんですが、三國さんが何度やっても途中でつっかえてセリフが出てこなくなったんですね。すごく暑い日でもあったんですが、やはり三國さんの問題ですよね。三國さんが今村映画に出演するのは『復讐するは我にあり』以来18年ぶりでしたが、その間に『釣りバカ日誌シリーズ』などにレギュラー出演して、長い月日の間に釣りバカ風のセリフ回しを身に着けてしまった。今村監督は自分で脚本を書いていることもあって、特にセリフの微妙なニュアンスを崩れるのをとても嫌がる監督です。実は今村さんは前から自分の整理でセリフを言ってしまう三國さんの芝居があまり好きじゃなかったんです。それでも今村さんの中で赤城風雨役のイメージはどうしても馬力のある三國さんなわけです。だから芝居さえ何とかすればと今村さんは思っていたんでしょう。この日はNGが続いてテイク30ぐらいまでいったのかな。結局この日は撮り切れずに中止になりました。翌日の朝一番に何とかこのシーンは撮り終えましたが、監督は決して満足しているわけではなかったんです。ところが次のシーンがまたダメで、これがテイク100までいったんですよ。おそらく三國さんの頭は真っ白だったと思います。フィルムをガラガラ回して、フィルム・チェンジばかりやっていた感じでしたね。要は監督と役者の意地の張り合いです。今村さんは途中で芝居を止めないので毎回シーンの終わりまでやって『もう一回!』となるわけですから、体力的にもかなり厳しい。それでこの日は撮り切れずに中止になったんです。もともと赤城風雨というのは冒頭のナレーションで『『開業医は足だ。片足折れなば片足にて走らん。両足折れなば手にて走らん。疲れても走れ。寝ても走れ。走りに走りて生涯を終らん』と自分で言っていますが、走るシーンもふんだんにある。それがこのシーンをやってみて、長台詞とはいえその調子ですから、今村さんとしては三國さんの体力や精神的な馬力に対して、疑問を感じたと思うんです。僕も見ていて、今の三國さんではやりきれないだろうという予感がしました(中略)翌朝、今村さんから『実は昨日、中止してから2,3時間経って、三國連太郎に呼ばれて話をした。彼は自分の体力に自信がないから降ろして欲しいというんだ。その申し出を了承した』などと説明がありました。それで代役を誰にするか僕に相談があり、今から主役級の俳優のスケジュールを押さえるのは至難の業ですと進言し、僕からも候補者としていくつかの名前を出しました。その日のうちに監督は東京に戻り、主役探しに奔走したんです。それで二日間撮影は中止になって、二日目に柄本明さんを代わりに主役に決めたんです。今村さんの決断は早かった。柄本さんは元々友人の外科医・鳥海役にキャスティングされていました(代役は世良公則)。柄本さんは三國さんがNGを繰り返したときも撮影に参加していて、事情も呑み込めていたし、何より降板が急すぎてほかの俳優では対応できない状況だった。予算的にも長いロスは許されない。柄本さんは役者魂というか、気持ちが入っていましたね。彼は田舎の町医者という感じの素朴さもあるし、走れるしね(笑)。主役交代劇の後は撮影は順調に進んでいきました」などと述べている。
注目を浴びたのがヒロイン、万波ソノ子役に抜擢された新人・麻生久美子。当時糖尿病で足が悪くなっていた71歳の今村監督にかなりしごかれたという。
◎ 撮影
原作「肝臓先生」の舞台は伊豆の伊東であるが、今村はラストで広島の原爆投下を見せるため、場所を瀬戸内に設定し直している。
1997年7月中旬から岡山県牛窓を中心に。紅谷は「監督は結構思い切りよくズバズバと切っていきました」と証言している。
● ロケ地
・ 岡山県
・ 瀬戸内市牛窓
・ 岡山市建部駅 - 北区建部町中田
・ 岡山市犬島 - 東区
・ 広島県
・ 広島市出汐 - 南区
・ 香川県
・ 小豆島 - 小豆郡。
● 宣伝
キャッチフレーズは「人間は美しく、たくましきバクテリアなり」。
● 作品の評価
◎ 興行成績
柄本明と麻生久美子が多くの映画賞を獲ったが、興行は振るわず。
● 受賞歴
・ 第22回日本アカデミー賞 最優秀主演男優賞(柄本明) / 最優秀助演女優賞(麻生久美子) / 新人俳優賞(麻生久美子)
・ 第23回 報知映画賞 主演男優賞(柄本明)/ 助演女優賞(麻生久美子)
・ 第72回 キネマ旬報ベスト・テン日本映画第4位 読者選出日本映画ベスト・テン6位/ 主演男優賞(柄本明)
・ 第53回 毎日映画コンクール 最優秀映画音楽賞(山下洋輔)
・ 第11回 日刊スポーツ映画大賞 主演男優賞(柄本明)
・ 第20回 ヨコハマ映画祭 最優秀新人賞(麻生久美子)
「カンゾー先生」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(https://ja.wikipedia.org/)
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